きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「野性の呼び声」ジャック・ロンドン(光文社古典新訳文庫)
空気が凍る。
あたかも、未開の雪原に放り込まれたかのように。
胸が軋むほどに伝わってくる半端ない臨場感に
息苦しさを感じながら頁を捲った。
突然に断ち切られたあたたかで優しい世界。
突きつけられた過酷な世界で目の当たりにする
悲哀と、絶望、極限までの寒さ。
それでも、生き抜こうとする彼の命の力強さ。
だんだんとロクでもない人間に挿げ替えられていく主人。
死の淵で巡り逢えたソーントンと交わした愛情。
だけど、そこに安住できなかったのは、彼の業なのか。
次第に強く聞こえてくる彼を呼ぶ声。
眠れる野性の見事な目覚め。
圧倒されての読了。
計画性皆無で行き当たりばったりな人間に振り回される犬たちが哀れ。
これ、会社の上司とか国のトップがこんなんだったら……と考えると、
寒気がする。
身体がぼろぼろになっても持ち場につこうとするデーヴには涙出そうになった。
彼の人生は橇を引くこと以外になかったんだろうな。
淡々と、だけど、半端なく力強く描かれる物語。
100年以上前に描かれているにもかかわらず、ものすごい躍動感。
今も彼等はそこに鮮やかに存在している。
私的にはものすごく印象深い、素晴らしい読書でした。
【ガーディアン必読 56/1000冊】
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