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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「三国志 5 ~八魁の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



帰趨の決していない乱世に生きる男たち。
戦いの最中にありながら、きっちりと描かれる人間模様に魅せられる。
妻を得、子を成し、時に友と語らい、或は己の未熟に嘆く。
乱世に生まれた男が描く夢。
即ち、天下。
そこに至る道は数多あれども、手にすることができる者はただ一人。
数年後を見据えての、駆け引き。
自分に在るものと欠けているもの。
自覚しているからこその強さが確かにある。
曹操が計略を巡らせなかったら、劉備と彼の人との出逢いは果たしてあったのか?
ゾワっとするところで次巻へ。
本当の始まりはここから……って、言い過ぎ?(笑)

失敗を人のせいにはしない彼らの潔さがとても好き。
北方三国志における張飛の在り方は、本当にかっこいいと思う。←イチオシは違う人だけど。
ここで初めて見せた孫権の無謀さ。
無事だったから言えることだけど、周瑜と同じく、好ましいものだと思う。
周瑜と孔明。
こうして名前を並べるとこどうしても私設が読みたくて仕方なくなる。

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「恋とは呼べない 1」町屋はとこ/榎田尤利(ビーボーイコミックス)



「恋は落ちるもんだよ」
とても素敵な笑顔で語る英。
そんな英が恋に落ちた相手がクソなところが、
本当にいたたまれない。
だけど、何もかもを理解した上で、関係をきっちり清算できる強さがあるから大丈夫。
クリスマスイブの日に傷心の英に文字通り「拾われた」淳平。
「恋は二度としない」と自らに言い聞かせる彼は、
過去の恋で負った傷に苦しんでいる。
傷ついても苦しんでも、優しさと笑顔を失ってはいない彼らの物語。
コラボしている小説サイドの橘高とサガンも加えての恋愛模様。
一筋縄ではいかない人たちばっかりだけど、だからこその読み応え。


何度読んでも、やきのりちゃん(猫)可愛い~~~(*≧▽≦*)!!
と、心の中で叫んでしまう。
「記念日が来るたびに恋人に捨てられたことを思い出すのか」
と泣く英の姿に、かつて
「恋人の誕生日に彼の歳の数だけプレゼントを用意して一個ずつ全部渡して
最後にサヨナラって別れてきたの。彼、予想外すぎて大泣きしてたわ」
と語っていたクラブのママを思い出す。
詳しく事情を聞いたなら、私の思いも違ったかもしれないけど、
言われた言葉だけを受け止めたら、鬼だなぁ、としか思えなかった(^^;

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「幽霊たち」ポール・オースター (新潮文庫)



奇妙な依頼に端を欲した単調な毎日。
他者の為に費やされる膨大な時間。
他者の影を追う生活に、自分の人生はない。
それが、探偵である自分が受けた仕事である以上、
全うしなければならない任務。
けれども。
次第に膨らむ疑念。
果たして、真に監視されているのは一体誰なのか?
自分の書いた報告書は誰の手に渡っている?
自分はなんのためにここに在る?
息が詰まりそうな閉塞的な世界は、彼が傍観者から当事者に成り変った瞬間に崩壊する。
そして、私こそが幽霊たちの影を掴み損ねたかのような想いに包まれるのだ。
現実味を欠いた浮遊感に呑み込まれたまま。


【ガーディアン必読 10-2/1000冊】
『ニューヨーク三部作』の二作目。
そうそう、この感じがオースター。
と。
久々に彼の描く不思議な世界を浮遊してきました。
そう。
「浮遊する」
オースターの作品を読んだ時の感覚は、この言葉が自分的には一番しっくりきます。
作中で劇的な何かが起こるわけではないけれども、とても印象深い何かがそこにはある。
だけど、それはあくまでも感覚的なもので、特に何が、と具体的に語ることは難しい。


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「普通のひと」榎田尤利(SHY NOVELS)



離婚歴のある的場と、彼女と別れて間もない花島。
どこにでもいる所謂ノンケの男子二人が
日常の中で出逢い、やがて惹かれあって恋に落ちる物語。
同性との恋はお互いに初めて。
それ故に生じる葛藤や惑いがとても丁寧に描かれていて、
彼らと一緒になって一喜一憂してしまう。
良き相談相手となった周囲面々の助言は的確で、頷くことしきり。
理性のメーターを振り切って感情的になった二人。
剥き出しの感情でぶつかってはじめて届く本音。
「欠点を思いついても好きでたまらない」
素敵なノロケ。
人生をいつまでも共に歩み続ける二人を想いながらの読了。

彼らの仕事に対する向き合い方から学ぶところが多々あった。
今日の自分を顧みて反省するところも。
本部長に止められなければガチでゴング鳴らすところだったわ。
相手を詰問する前によく考えよう、私。
縁切ってもイイ勢いで喧嘩腰になるのは自分都合。
会社の利益にはならないのよ~。

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「ハンサムは嫌い」榎田尤利(SHY NOVELS)



『ハンサムは嫌い』
ダメ人間だった真壁が由比との出逢いでイイ男に変貌を遂げていく。
一人の人間との出逢いと環境の変化で、人はここまで変われるんだなぁ、という感動ひとしお。
真壁の周囲からの声に耳を傾ける素直さと柔軟性も素敵。
そして「誰があたしを嫌っても、あたしがあたしを認めてりゃいいっていう覚悟」
という玉助の言葉にはただ頷くしかない。
『無作法な紳士』
こちらはお坊ちゃまだった桜彦が雪山で炭を作る克郎と出会い、
人として成長していく物語。
野性味あふれる克郎の魅力が半端ない。
ワイルドでやさしいって素晴らしい。


完全に理解できているかどうかはおいといて、
個人的に津軽弁はとっても耳馴染の良い響きだったりします。



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「もしも俺たちが天使なら」伊岡瞬 (幻冬舎文庫)



スマートな詐欺師、探偵稼業の元刑事、腕っ節の強いヒモ男。
「神様のいたずら」によって引き合わされた三人が織り成す三重奏。
バラバラに奏でられていた音が
少しずつまとまり、反発して不協和音を奏で、一つの目的の為にまとまっていく。
水面下で進行する不穏な事態を阻止しようと大きな絵図を描き、
綺麗にまとめあげたコンダクターの手腕はお見事。
それぞれ過去に事情を抱えた三人が
苦境に陥りかけた人たちのために(一部自分のメンツのために・笑)
現状をどうにかしようと奔走する姿に前のめりになり、
何かを乗り越えたであろう彼らの姿に清々しく読了。


スワンボートを漕いでいるイケメン二人を想像して思わず笑顔。
映画「俺たちは天使じゃない」は楽しく聴済み……
なんだけど、ハンフリー・ボガート版だったのか、ロバート・デ・ニーロ版だったのか
イマイチはっきりしないポンコツな記憶。

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「新婚さんはスパダリ同士!」小中大豆 (幻冬舎ルチル文庫)



スパダリどこ行った!?と、突っ込みつつ読了(笑)。
拗らせまくった両片想い。
あんな狂おしい想いを胸に抱いたまま一緒に暮らすって
泣けてくるくらい切ない。
しかもお互いにって!
言葉にして確認すればはっきりするかもしれないけど、怖くてできない。
30代男子、頑張って!
……と言いつつ、不用意な一言で今の関係を壊すのが怖い気持ちも、
わからなくはない。
多分色々限界だったんだね。
「嘘」という綻びから本音を囲っていた壁が決壊し、迸る本音。
真っ正直に向き合った二人は、甘さ増し増しのラブっぷりを見せつけてくれました。


指輪の出来をバッサリ切った母がとても好き。
プロポーズのつもりで指輪を作っていた馨に「誕生日12月だけど」って言う冬人もど天然。
そして、小声でこっそり独り言。
これ、リバ読みたい。
ネコな馨が見てみたい。 ( ´艸`)

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「調律師」熊谷達也(文春文庫)



亡くなった妻・絵梨子を想い続ける鳴瀬に対して
「私をお姉ちゃんだと思って」と言った
由梨子の言葉に「何言ってるんだろう?この人」と漲った反発。
姉に対しても鳴瀬に対しても、そして自分に対しても失礼だ。
イラッとしながら読み続けたわけですが。
心の枷を解くのは、その枷の原因となった当人。
鳴瀬の立ち直りの様を描いた描写は見事だった。
鍵盤から立ち昇る香りから想起させられる弾む音・濁る音・嬉しい音等々。
脳内で溢れる音の世界に浸るのは心地よかった。
章ごとに綴られる、ピアノの音と鳴瀬と弾き手の関係がとてもやさしい作品だった。


ノンフィクションやドキュメントとしての震災関連本は
積極的に読んでいきたい。
だけど、物語世界に差し挟まれると、楽しく読んでいる作中から
グラグラ揺れた現実世界に引き戻されるから個人的にはまだ触れたくない。
トラウマっているわけではないけど、そんな気分になるんだなぁ、と改めて思った。
でも「書く」というスキルや感性を持っている作家さんには
是非描いていってもらいたい。というのも本音。



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「やさしいSの育て方」榎田尤利(SHY NOVELS)



年の差20歳。
優しくて感受性が豊かすぎる恋愛初心者な栄田と
ストイックな外見とは裏腹にM奴隷としてのプレイを楽しむ宮。
この二人で一体どうなることかと思ったけど、
ある種の芸術が次第に完成されていく様を目の当たりにしたような読後にうっとり。
メイクラブのセックスとセッション(プレイ)の違いを理解した上での、
快楽の追求としてのSM。
栄田によって生み出される「初めて」の感覚に翻弄される宮が艶っぽい。
自分好みのSを育てると、かつての支配者に宣言した宮。
5年後の二人が見て見たいなぁ。
とても素敵な恋人兼パートナーになっていそう。

王の言っていることがいちいち奥が深くて頷いてしまう。
打算も計算もない栄田の言葉が、いちいち宮の想定外なところが面白い。
そういうところも、惹かれる一因になったんだろうなぁ。
Mに育てられたS。
栄田がピュアなだけに、その完成系が余計に気になる。
宮の為にスキルアップしつつも、タイトル通りの優しいSに育つんだろうなぁ。

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「おやすみ動物園---眠る前に見たい動物たちの寝顔」たちばなれんじ



余白部分に物語を書き込みたくなる。
穏やかな眠りの中に在る、彼らはどんな夢を見ているのかしら?
「サバンナの掃除人」と言われるハイエナも寝顔は無邪気だ。
「人の夢を喰って生きる」と言われるバクも幸せな夢を見ている。
フラミンゴは眠るときも一本足。
シロフクロウは素敵な笑顔。何がそんなに楽しいのかしら?
ゴールデンターキン。キミとは初めて出逢ったわ。
ヤギさん、歌を口ずさんでいそうね。
無防備な姿で眠る動物たち。
おやすみなさい。
また明日。
眠りは明日への活力。
彼らも皆様も、そして私も。
向かえる明日が幸せな一日でありますように。

夏休みに遊びにくる姪っ子ちゃんたち用に購入。
何故か私が癒されました。
どうしよう。
物語を書き込みしたくてたまらない(笑)

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