きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「とある飛空士への追憶」 犬村小六(ガガガ文庫 )
【とにかく前へ行こう。進もう。泣き言をいっていても仕方がない。
苦難がきたからといって、いちいち逃げてどうする。
男なら笑って乗り越えてみせろ】
世界観になじむまでにちょっとだけ時間がかかったけど、なじんでしまえば一気読み。
透明で綺麗な話だった。
例えるなら、吟遊詩人の奏でる歌を聴いているかのような……って、聴いたことないけど(笑)
イメージそんな感じです。
正統派な恋愛小説。
予測できたラストであっても、その瞬間はとても切ない。
幼いころのシャルルが、ファナと出逢ったその一瞬を心の支えに生きてきたように。
二人で過ごした数日間の出来事は、大空に巻かれた砂金以上に
キラキラと輝かしい思い出となって、これからの二人の人生を支えていくのだと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!?―圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる!蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。
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「八日目の蝉」 角田光代(中公文庫)
【もし、二手に分かれる道の真ん中に立たされて、どちらに行くかと神様に訊かれたら、
私はきっと、幸も不幸も関係なく、罪も罰も関係なく、
その先に薫がいる道を躊躇なく選ぶだろう】
犯罪は肯定しない。まずはそれが大前提なわけだけど……
母であった「あの人」の元から引き離されて泣いた薫。
「あの人」のもとへ帰ろうと、一人、道を歩いた薫。
たとえ、実の親元から不当に連れ去れらた子どもだったとしても、
「あの人」……希和子に愛されて大切に育てられたことが痛いくらい伝わってくるからこそ、
場面場面でなんだか泣けて仕方がなかった。
どうしてこの人たちは「親子」でいられないのだろう?と。
けれども、偽名を使い、過去を偽って生きていかなければならない生活は、
遅かれ早かれ破綻する。
希和子は法で裁かれ、薫は恵里菜として実の両親のもとで暮らすことになる。
時を経て……
かつて、幸せだった場所を、ただ遠くから眺めることしかできない希和子。
新しく前へと進むためにその場所を訪れ、今の家族と新しい一歩を踏み出そうとする薫。
それでいいのだと思う。
彼女たちの人生は、交わらないままでいい。
それでも、希和子が薫の母であることには変わりないのだ。
内容(「BOOK」データベースより)
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。
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「遮光」 中村文則(新潮文庫)
【現実を見ないために、私は敢えて
そういう演技を自分に課したのかもしれなかった】
それは純愛か?狂気か?
両親を亡くし、作り上げた自分を演じながらひとりぼっちで生きてきた主人公が、
ようやく手に入れかけた幸せ。
だが、その幸せは、ある日突然彼の手をすり抜けて、永遠に手の届かないものとなってしまった。
失った幸せを言の葉に乗せる嘘で取り繕いつづける日々。
あたかも、そこに在るかのように。
けれども、砂の城はいつかは崩壊する。
必ず。
あたしがこの本から受け止めたのは、純愛でも、狂気でもなく。
どうしようもない寂しさと哀しみ。
故に。
ラストは泣けて仕方なかった。
内容(「BOOK」データベースより)
恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった―。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。
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「小説・震災後」 福井晴敏(小学館文庫)
【人間はいつだって“結果”を生きているのではなく、
“過程”を生きているのだから】
ニュースで誰かが言っていた言葉を耳にした。
「それは安全神話じゃない。安全願望だ」
言われてなるほど、と、思う一方で、
後付けの理由(理屈)なんて、いくらでも探せる、と思った自分もいた。
否定をすることは簡単だけど、じゃあ、その代替えは?何か案があるの?
誰かを責めるのは簡単だけど、いまは、悪者捜しをしている場合じゃない。
本当にやるべきことはなに?
必要なのは、目の前の事象と向き合い、立て直していくための、勇気と決断力と知恵だ。そして思いやり。
いろんなことを目の当たりにして、いろんなことを考えて。
自分なりにやれることを探して、実際にやってみて。
でも、それだって“結果”ではなく、単なる“過程”にしかすぎない。
そんなふうに思わされた。
解決していない問題は山積みで、時間だけが二年も経過してしまった。
だけど、小さなことでもやらないよりは全然良いし、
何かをやりたくても、実際にはそれをやれない人もいることもわかっている。
結局、この先の世界がどうなるのか。
わかっている人なんて誰もいなくて、みんながそれぞれの立場でいろんなことを考えて、
探りながら未来へとつなげている。
現在、という、この時を。
納得のいく未来であることを願いたい。
と、重い話ばかりじゃアレなので。
蛇足っぽいけどどうしても言いたいこと。
渥美さんにまた会えたのがなんだかうれしかった。
読んでいてとってもテンションが上がった場面。(笑)
思わずイージスを引っ張り出してきたけど、ちゃんと読むのはまた今度。
内容(「BOOK」データベースより)
二〇一一年三月十一日、東日本大震災発生。多くの日本人がそうであるように、東京に住む平凡なサラリーマン・野田圭介の人生もまた一変した。原発事故、錯綜するデマ、希望を失い心の闇に囚われてゆく子供たち。そして、世間を震撼させる「ある事件」が、震災後の日本に総括を迫るかのごとく野田一家に降りかかる。傷ついた魂たちに再生の道はあるか。祖父・父・息子の三世代が紡ぐ「未来」についての物語―。『亡国のイージス』『終戦のローレライ』の人気作家が描く3・11後の人間賛歌。すべての日本人に捧げる必涙の現代長編。
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「あひるの空・37」 日高武史(講談社コミックス)
【負けそうな時に『負けるかも』って絶対に思うな】
地区予選決勝。丸高戦。
自分の立ち位置で、自分にできることを必死でやりながら戦っている彼らの姿に
本誌を読みながら毎週毎週泣きそうになっているわけですが……
コミックスを読んでても、やっぱり泣きそう。
それは、彼らの必死さや、懸命さ、仲間への信頼、相手への敬意。
そういったものが痛いくらいに伝わってくるからだと思う。
セリフやモノローグがいちいち胸に刺さって仕方ない。
前巻にひきつづき、この巻でも試合に決着はついていないわけだけど、
このボリュームでこの内容。
読み応えありすぎました。
決着………ついてほしいけど、ついてほしくない。
どっちが勝っても泣きそうだけど、最後までドキドキしながら彼らの試合を見続けたいと思います。
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「アクセルワールド 13 水際の号火」 河原礫(電撃文庫)
【自分に対するプラスのイメージの根拠を、
誰かの視線や言葉に求めることがそもそも間違いだ。】
安定の面白さ。
ニコ可愛いなー。
自分の弱さを認め、晒したことで、より強い王になってくれることを願うわ。
着々と地盤を固めて行くネガ・ネビュラスが頼もしい。
そう感じるのは、戦力の増強だけじゃなく、みんなの成長が垣間見れるからかな?
次巻でメタトロン攻略編完結。
楽しみに待ちたいと思います♪
内容(「BOOK」データベースより)
新アビリティ「光学誘導」を獲得したシルバー・クロウことハルユキ。ようやく「メタトロン」との決戦の準備が整ったかにみえたが、戦いの舞台は梅郷中学の文化祭へとうつる。「スカーレット・レイン」ことニコと、「アッシュ・ローラー」こと日下部綸に文化祭の招待状を渡してしまったハルユキは、黒雪姫の氷属性なオーラに脅えながらも、クラス展示班の仕事を他のメンバーと協力してやりとげる。そして、文化祭本番への期待に胸をふくらませるのだった。しかし、加速世界に混沌を広めんとする「マゼンタ・シザー」の魔手が、思わぬ方向から迫りつつあり―。
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「145gの孤独」 伊岡瞬(角川文庫)
【夜が明けたのに、まだずっと夢を見ているようだ】
真佐夫との関係がどんなうふうに進展するのか、わくわくしながら読み進めていたのだけれども。
倉沢の心の傷は、思っていたよりもより深く、昏いものだった。
輝いていた過去は戻らない。
起こってしまった出来事もまた、なかったことにはできない。
思い通りにはいかなくても、いま在る現実と
折り合いをつけて生きていかなければいけないのが人生。
自分の代わりに「悔しい」と泣いてくれた田中。
「いい加減に目を覚ましてよ」と怒ってくれた晴香。
仕事を斡旋しつづけてくれた戸部。
倉沢は、決して孤独ではない。
故に。
彼が夜よりも長い夢から覚める日は、遠からず来るだろう。
内容(「BOOK」データベースより)
プロ野球投手として活躍していた倉沢修介は、試合中の死球事故が原因で現役を引退した。その後、雑用専門の便利屋を始め、業務の一環として「付き添い屋」の仕事を立ち上げる。その最初の依頼は「息子がサッカーの観戦をするので付き添ってほしい」という女性からのものだった。倉沢が任務を終えると、またも彼女から連絡が入り…。横溝正史ミステリ大賞受賞作家が情感豊かな筆致で綴る、ハートウォーミング・ミステリ。
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「犬の力 上・下」 ドン・ウィンズロウ(角川文庫)
このボリュームで最後までダレることなくどきどきしっぱなし。
ぐいぐい引っ張られる展開は圧巻。
とはいえ。
残酷な描写が多いので、精神状態がローな時に読むのはちょっとキツイかな?
麻薬捜査官=アーサー・ケラーと麻薬カルテルの統制者=アダン・バレーラとの30年に及ぶ麻薬戦争の物語。
史実が絶妙にちりばめられてるところがなんだかリアルで、諸々想像すると背筋が寒くなります。
自らその道に飛び込んでいった者。
運命に背中を押され、意図せずしてその道にはまり込んでしまった者。
多くの人を巻き込んでの血で血を洗う年月の果てに疲弊しきったアーサーの叫び。
ラスト、アーサーとアダンが対峙したシーンはなんとも言えない気持ちがこみ上げてきました。
「日本語に翻訳された小説」ではなく「英語で書かれた小説」を読んでいる気分にさせてくれる翻訳は、
賛否があるみたいだけど、あたし的にはGood☆
それにしても……
殺されるか、全てを失うか。
この争いに関わった人たちの行きつく先はこの二択で、壮絶すぎました。
上巻・内容(「BOOK」データベースより)
メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。米国政府、麻薬カルテル、マフィアら様々な組織の思惑が交錯し、物語は疾走を始める―。
下巻・内容(「BOOK」データベースより)
熾烈を極める麻薬戦争。もはや正義は存在せず、怨念と年月だけが積み重なる。叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。アート・ケラーはアダン・バレーラの愛人となったノーラと接触。バレーラ兄弟との因縁に終止符を打つチャンスをうかがう。血塗られた抗争の果てに微笑むのは誰か―。稀代の物語作家ウィンズロウ、面目躍如の傑作長編。
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「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」 水城せとな(フラワーコミックスα)
【神様が本当にいるのなら
どうかあの男を幸せにしてやってください
大切なたった一人の俺の男を どうか どうか---】
なんていうかもう、何度読んでも胸が痛い……でも大好き。
そんなシリーズです。
恋愛なんて、もう二度としたくないと思うほど、傷ついて。苦しんで。
あんなふうに想いをぶつけあって。
あんなふうに互いを想いあって。
もう、だめだと思いながら、それでも、「絆」を求めて悲鳴をあげる心。
離れても、結局は寄り添わずにはいられない、
だからこその、運命の相手。
流されることから始まった今ヶ瀬との関係の中、
いつしか、懐の深い男へと成長していた恭一。
伝わらないと思っている愛の言葉が。
いつか………いつか、必ず、伝わりますように。
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「僕ら星屑のダンス」 佐倉淳一(角川文庫)
【生きてりゃ、楽しいことだってあるんだ】
全体を通してお伽噺を読んでいるような気持ちになるのは、
出てくる人たちがみんな良い人だからなんだと思う。
そんないい人ばっかりなわけないじゃん、という思いがどこかにあるから、
素直に「良い話だったわー」と言えない自分が、なんだか寂しい。
でも、この話はそれでいい。
心の優しい人たちが、手を取り合って星屑のダンスを踊る。
誰かのために心を痛め、誰かのために涙を流す。
そして、みんなに「大好き」と、伝えることができる、とてもきれいな物語だ。
内容(「BOOK」データベースより)
借金で浜名湖に入水しようとしていた浅井久平は、同じく自殺を図る不思議な子どもヒカリと出会った。ヒカリは最先端科学センターから逃げ出してきた天才だという。半身半疑ながらも一緒に逃避行を始めた久平。一方、内閣官房から指令を受けた警察はヒカリの捜索を開始。だが、ヒカリはネットを駆使して逆にみずから誘拐を装い、100億円を要求した。果たしてヒカリたちは現金を奪取し、偽装誘拐を完遂できるのか?第30回横溝正史ミステリ大賞テレビ東京賞受賞作。
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