きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「最後の証人」柚月裕子 (宝島社文庫)
文庫最新刊を読むにあたって、佐方のことを復習しておきましょう、
という理由で再読。
読み始めるまでは「どんな話だったかしら?」とわくわくしてたんだけど、
プロローグだけで事件の全容や犯人を全部思い出してしまった悲しみ……いや、
読んだことがしっかり身についていたってことで喜ばしいことのはず。
でもやっぱりサスペンスやミステリーはまっさらな状態で読んだ方が断然おもしろい。
(持論です)
何度読んでも一市民が警察や検察からよってたかってこの状態に置かれたら
泣き寝入りしかない。
それが罷り通る世の中は間違っている。
「医師が話を急ぐということはどういう意味をもつことなのか」
うん。
私も知ってる。
電話で「すぐきてね」と呼び出されて良い結果だったことは一度もなかったww
だから主治医の先生から事務方を通さずに携帯に直電がかかってきたときは
いよいよヤバいんじゃないかってドキッとしたけど、
「びっくりさせると悪いから最初に言っておこうかと思って」という前置きの
診察室に行ってからでもまったく問題ない他愛のない用件でした。
先生、俺チョーいいことした!みたいに鼻高々だったけど、こっちはドキドキだったよ。
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「薔薇色じゃない」凪良ゆう(幻冬舎コミックス)
諍いの理由。
すれ違いの過程。
細々としたことが本当にリアルで胸に刺さる。
だからこそ、苛立ちを覚え、哀しくなり、理不尽だと思いながらも嬉しくなる。
決定的なのがタイミング。
分岐点でのタイミングの良し悪しってホントにあるよねーと思う。
それが悪い方に振れた場合、良い方に振り返せるかは自分の頑張り次第。
諦めてしまった瞬間、どうにもならなくなる。
20歳で出会い、そこから積み重ねた15年の時。
「本当に嫌だったら付き合いはつづかない」
久我のこの一言に尽きると思う。
年齢を重ね思いやることのできるようになった相手の気持ち。
掴み取った幸せを手放すことがありませんように。
行きつけの店っていいな、と思ったお借り本。
大将、ナイスアシスト。
でも結局はおうちごはんが一番好き。
そう思える環境だったことに感謝。
「すべての美しい馬」コ―マック・マッカーシー (ハヤカワepi文庫)
再読ながら、齢16歳の少年が、こんなふうに生きられるのかと。
その生き様に、あの過酷な状況を生き抜けたことに圧倒される。
けれども。
北畠顕家が駆け抜けた人生も20年。(『破軍の星』参照)
年齢じゃないんだよね。
例え、運命に翻弄されようとも、
何を抱え、何を捨て、何を貫いて生きるのか。
それらは自らの意思で選択することが出来る。
だから、彼の生き様が胸に刺さる。
馬と友と。信頼と正義と。
自らの信念を潔いほどまっすぐに貫きとおした少年は、
いつしか一人の男として乾いた大地を踏みしめる。
再び故郷をあとにするために。
『国境三部作』の未読の二作を読むにあたって、一作目を再読。
読むのは六年ぶり。
初読の時よりも彼らとの距離がぐっと近づいた気がするのは、
再読だからなのか、その間の私の成長なのか。
読むべき時が来たから、読む気になったんだろうなぁ。
と、メッチャ楽しみだったのに!
あとがきーー!
そう。私が後書きを好んで読みたくない理由は、時に続刊のネタバレや結末を示唆するような
内容を書く人がいるから。
記憶リセット!
【ガーディアン必読 再読/1000冊】
「昭和ララバイ 昭和小説アンソロジー」 (集英社オレンジ文庫)
一穂さん目当てで購入した昭和小説アンソロジー。
他の三人の作家さんは初読だったけど、期待以上に面白くてご満悦。
表紙を見てある程度のものが「わかるわかる」と思う皆様は同年代。(笑)
ひとくくりに「昭和」と言ってもなんせ64年。
それはいろいろなことがあるよね。
戦争が絡めば命について考えさせられ、
全共闘の時代は今では全く想像つかないよなぁ、と思い。
バブル期に至ってはわかるわかるわかるわー、の連続。
取り上げたテーマ的に異彩を放っていたのは一穂さんかな。
ほっこりしんみり終わるのかと思ったらガツンと来た終幕。
大学の試験期間中。
受講していた講義の試験を受けにいったらバリケード封鎖をしていて目が点になった思い出。
その時ですら思ったわ。
「え?イマドキ!?」って。
そして「バリケードが解除され次第、試験を行います。帰らないでください」とのアナウンスに、
「いつだよ!」と同時に「一日粘る根性見せて!そしたら帰るから」と思ったのは試験待ちの全員の同意。
わー、懐かしい。
ジュリアナもマハラジャもリアルで行けたのは貴重な体験。
でもボディコンは着てないよ(笑)
「恋愛前夜」凪良ゆう (キャラ文庫)
キミが好き。
ずっと一緒にいたい。
だけど、その「好き」の意味合いが違っていたら?
とてもいたたまれない。
幼馴染のトキオとナツメ。
幼い頃からずっと一緒に過ごしてきて、いつしか意味合いの違ってしまった想い。
離れることを決意し、それから二年後の再会。
その間、現実的だったのはトキオの方で、楽観的に過ぎたナツメ。
ヤコ先生の立ち位置、辛いなぁ。
再会しなかったら動き出すことのなかった想い。
だけど、再び出会ってしまった二人。
心理的な描写が丁寧に描かれていて、一緒になって切なくなってしまった。
二人とも、ヤコ先生を拝みやがれなお借り本。
幸せにね。
ネームが出来ずにモダモダしてる時間も
お仕事時間なんですよーと思う。
結果、締め切りに「間に合えばいい」とも思うけど、
周りはヒヤヒヤだよね。
ナツメがとても良い子だったけど、
輪をかけてヤコ先生もイイ人だった。
「彼女が最後に見たものは」まさきとしか (小学館文庫)
何をもって幸せとするのか。
それは百人百様だということを、改めて思う。
私には決してなぞることのできない彼女の幸せの在り様に涙が零れた。
そしてその覚悟に圧倒される。
一見すると幸せな家族。
だけど家庭内に抱える外に見えない歪が怖い。
そうやって子どもが壊されていく。
名前も知らない彼らが彼女のために尽力した。
理由はそれぞれだけれども、その想いがあたたかい。
彼女には全部伝わっていた。
たぶん。
間違いなく。
二作目になった三ツ矢と田所コンビのやりとりがとても愉快。
そして十重二重に絡み合う人々の人生模様が圧巻の読み応え。
自分だったら、死ぬ間際に思い浮かべる言葉は「楽しかった」が理想。
それにしても……積読を減らす!と誓った年始早々に、他作品も読みたくなる作家さんに出会ってしまったのは幸せ……なのかな?(笑)
「求愛前夜 恋愛前夜(2)」凪良ゆう(キャラ文庫)
オトコマエなオネエ攻めって個人的に大好きなのですが!
そんな理由で採点甘いことを差し引いても半端なく面白かったお借り本。
30歳のピュアラブ。
漫画家と担当編集。
二人が真摯にお仕事に向き合う姿勢も好印象だし、
自分の言動を顧みて相手を思いやって反省する姿勢も好印象。
立ち位置が違えば、そういう捉え方になるのね、という気づきは、私自身も戒めになる。
コンプレックスの克服って難しいと思うけど、
ヤコ先生、無理やり押し切らずに貢藤の想いを尊重してくれるところがやっぱりオトコマエ。
据え膳を我慢しようとしたところもやっぱりオトコマエ。
と、ヤコ先生を褒めまくりだけど、貢藤推しという着地点。(笑)
スピン元をふっとばしてこちらを読んでしまったけど、
そんなの関係ねぇ!という勢いで楽しかった。
家族から「日本人形のように可愛い」と言われて自分自身「かわいい」と思ってきた貢藤。
わかる、わかるわ!
標準より痩せている家族に「(丸いから)転がったら早いんじゃない?」と言われたことのある(←悪意はない)私は
自分が太ってると思ってずっとずっと育ってきたけど、
実はそうじゃなかったことに気づいたのは大学に入ってからでした。
ちょっと!
「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆう(央公論新社)
明日、地球が滅びるとしたら何をする?
多分、何もできない。
せめて、大好きな人のぬくもりを感じられる場所にいられればいい。
では、一ヶ月後に地球が滅びるとしたら?
考える時間も何かの行動を起こす時間もあるだけに、
それはとても優しくて残酷な一ヶ月だと思う。
それでもやっぱり私は大好きな人と一緒にいたい。
地球がこんなことにならなかったら集うことのなかった四人。
地球の滅亡と引き換えに家族と見紛うばかりの絆を手にすることのできた四人は、
幸せだったのだと思う。
初回限定の小冊子まで読ませてもらえて感謝のお借り本。
無性にマッカーシーの『ザ・ロード』が読みたくなった。
私の中でのNo.1のディストピア。
社内の最年少の子が2000年生まれで。
そうなると聞いてみたくなるクエスチョン。
「ノストラダムスって知ってる?」
「え?何スか?それ?」
うっそーー!!と、軽く驚愕。
私世代ならみんな知ってるノストラダムス。
「あの日、君は何をした」まさきとしか (小学館文庫)
作中で最も罪深いのは誰だろう?
多分、思うところは人それぞれ。
だから、それぞれのアナタの考えをきいてみたい。
私は一人の名前を挙げる。
その人があの人に与えた苦しみこそが、最も罪深いものだと。
子どもを亡くした母親の慟哭。
息子を案ずる母親の狂気。
根底にあるのが愛情である限り、
どんな醜態を晒そうとも、彼女たちを嫌悪する気持ちは沸いてこない。
そして親を亡くした子どもの虚無。
それを埋めるかの如く、繰り返された「なぜ?」が手繰り寄せた真実。
目で見ることのできない人の本質はわからない。
自らを「異常者」と言う言葉の裏に孤独を垣間見た気がして。
哀しくなった。
初読の作家さん。
普段の私だったら買わなかった作品。
同行者がいた手前、BL棚には近寄れず、
それでもせっかく来たから何か買わねば、と思ったときに目に入ったので手に取ったけど、
私の直感に外れはなかった。(笑)
こういう出会いは嬉しいね。
そしてこのコンビに続編があるのは朗報!しかも先月の新刊……私、いいタイミングでこの作品読んだなぁ。←自画自賛。(笑)続編も読まねば。
「サンドリヨンの指輪」綾ちはる (ショコラ文庫)
甘え方を知らない子どもは不憫だと思う。
そして、私だったらあんな父親と和解することは難しいわ、と思ったけど、
それでも見捨てることもできず、歪むことなく育った千尋。
両親の愛情を知らず、寂しさを抱えたまま大人になった彼が、
偽りの愛から真実の愛を手にするまでの物語。
一度は縋った指輪を手放すまでの心理が痛々しい。
一方の赤枝の苦悩も、人間味があって嫌いじゃない。
魔法が解けた後、赤枝自身が想いの在り所を自身に問いかけて、
そして見つけた胸に宿っていた想い。
きっかけはどうであれ、育ち始めた恋。
千尋は赤枝に存分に甘えられるようになるといい。
深夜近く。
自宅へと急ぐ私の視界の端に移ったモノに思わず足を止め、
振り返ってみればそこにいたのはガードレールの間に挟まって横たわっている殿方。
え?具合悪い?酔っ払い?変な人??
以前酔っ払いを助けて足を捻挫したことを思い出し、
すぐに駆け戻ることができず、暫し逡巡している間に後からきたご婦人が
「ちょっと!こんなところで寝てたら風邪ひくよ」と声をかけてくれていて、
あとはよろしくお願いします、と、立ち去ったことを何となく思い出しました。
道端で転がっているのは心臓に悪いからやめて。