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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「誓いをどうぞ」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



シリーズ最終巻。
ここにきて暁斗の成長ぶりに目を瞠る。
考えなしな部分は相変わらずだし、周りに恵まれた感ありありだけど、
それでも、自分が変わろうと努力し、将来のビジョンを明確に見つけることができたのは
良かったと思う。
ショーのために奮闘する彼らの姿は清々しかった。
暁斗が変わる為には、桐原の方も成長が必要。
譲歩が3日までの家出だけど、この二人にはそれくらいがちょうどいいのかも。
リックの自己評価の低さにちょっと驚いた描き下ろし。
6年も付き合ってるんだからもっと自信持って!とエールを。
東悟がそんなリックにべた惚れなのは一目瞭然よ。

桐原と暁斗、東悟とリック。
時に喧嘩したり、からかいあったりしながら、
四人で和気藹々と歳を重ねて欲しいなぁ。




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「秘密をどうぞ」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



暁斗には甘えることと我儘なことは違うんだよ?と。
桐原には仕事途中で放り出すってありえなくね?と。
ブツブツ思いながらの表題CPはおいといて。
同録の桐原父・東悟とリックの物語はとても良かった。
リックが12年かけて育んできた愛。
付き合っていた桐原から東悟に気持ちが移ろっていった経緯。
その気持ちを「受け入れられない」と伝えた東悟がリックと付き合うに至った経緯。
丁寧に描かれていて、じわっと沁みる。
我慢して苦しんで我慢して。
じっと呑み込んできた想いが迸るまでに6年。
返ってきた愛の言葉に安堵。

そして前作に引き続き書き下ろしが愉快。
息子に情事を見られても動じない……どころか余裕の切り替えしのパパ、素敵(笑)

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「アンクル・トム物語」ストウ夫人 (こども世界名作童話)



自分で戦って乗り越える道筋がつけられる希望がある苦境なら。
まだ歯を食いしばって立ち向かえる。
だけど。
「奴隷」という立場で人の手から手に委ねられる自分の運命を
抗う術もないまま、ただ受け入れるしかなかったとしたら。
絶望の淵に沈んでしまう。
それでも、生きていくための心の拠り所になるのが、
心を通わせることのできる身近な家族であり、宗教……なのかな。
「人と人」
本来はそうであるべきなのに「人と物」という関係になってしまっているのが辛い。
けど、それが奴隷制度。
廃止するべく戦った南北戦争。
「自由」という言葉の意味を、今一度考える。


一般小説での入手がどうにも困難だったので、児童書で。
以前に読んだのって多分義務教育時代。
今改めて読んでも泣ける。
「南北戦争」というワードは『風と共に去りぬ』と直結する。
のに、積んでない残念さ。
いつか必ず読むよ☆

【ガーディアン必読 94/1000】

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「キスをどうぞ」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



仕事や人生や桐原に対する暁斗の考え方のどれもこれもが私とは相容れず、
なんだかなぁ、と思いながら読み進める。
そもそもが甘い。
だけど、ちゃんと自分を省みて、やるべきことを自覚して。
周りに対して配慮しながら懸命に努力する姿には、素直に頑張れ!と、思えた。
一方の桐原はありのままの暁斗が可愛くて仕方なくて、
ずっと独占したていたい、というのが丸わかり。
年の差があるからこそ成り立つ関係性だと思う。
その想いが高じ過ぎたのか、メインの本編より破壊力があった描き下ろし。
もはや珍種のスパダリと化した桐原が愉快。
面白すぎる。

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「遠い港」北方謙三 (角川文庫)



肌に馴染んだ北方ワールドを想定しながら読み始めると、
ん?なんか想像できなかったよ!というストーリーが展開される。
だけど、そこに広がっているのは紛れもなく北方が紡ぐ世界。
北方以外には描き得ない、男たちの世界。
少年の目線で語られる世界は、時ににほろ苦くだけどやさしく心に沁みる。
勉強、異性、家族、将来、そして、友だちや仲間のこと。
我々にも身に覚えのある悩みを抱え、それらと向きいあいながら、
彼の示したしなやかな強さと決意が頼もしい。
海の男たちを見て多感な時期を過ごした少年が成長した姿を楽しく思い描く読後。
ものすごく良かった。

ハードボイルドでも歴史小説でもない北方。
でも、違和感なく北方。
想像してなかった方向から良作を読ませてもらえたお得感。

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「お手をどうぞ」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



絵に描いたようなシンデレラストーリー。
言ってみれば王道。こんな設定あるよねー、とまぁ、斬新さはないんだけど。
そこはさすが水壬さんらしいテイストで、よくある感を全く感じることなく楽しく読ませてくれます。
年上が年下を甘やかす話を壬南さん自身が好きで楽しく書いているのが伝わってくる。
「付き合ったばかりなのに抱いてくれない」という暁斗の独りよがりな葛藤は、
正直めんどくさいなーと思う部分もあるも、
そもそも言葉選びを失敗したのは桐原。
周囲の悪ノリもあっての仲直りセックス……からの翌朝の顛末に爆笑。
バスローブで開き直る残念なスパダリ。
最高だわ。

桐原と暁斗の出逢いが偶然ではなかったことが個人的にはポイント高い。
「偶然を信じるな」は沖津さんの名言。←『機龍警察』

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「デッドボール」木内一裕 (講談社文庫)



時間を行きつ戻りつしながらのハイスピードな展開。
脚を踏み入れた瞬間から抜け出せなくなる木内ワールド。
犯罪のプロフェッショナル。
巻き込まれた素人①。
頭のおかしい弁護士。
巻き込まれた素人②。
彼らの身に起こった悲喜劇。
え?どういうこと?と、前のめりで読ませる手法は、著者の感性なんだろうなぁ。
読後は全力疾走した後のような疲労感と満足感。
誰も彼もが収まるべきところに収まった違和感のなさ。
クレバーな佐藤がカッコイイ。
けど、その佐藤と愛海を守ろうと、必死で考えて頑張ったノボルに拍手。
この先の人生が上り調子でありますように。


グイグイ引っ張られて一気読み。
再読時はドタバタする彼らとゆっくり向き合いたいと思うものの、
きっとまた、一気に読んじゃうんだろうなぁ。

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「恋は異なもの味なもの」かわい有美子 (ビーボーイノベルズ)



ゲーム感覚で相手を落としは、綺麗に別れた!と自負するチャラ男、丹羽。
アプローチしても自分には決して靡かなかった柏葉を攻略しようと思った発端は遊び心。
だけど、柏葉の人となりを知るにつれ、自分の軽薄さを省み、
だんだんと彼に対して本気になっていく。
一方で丹羽を受け入れつつも、柏葉の彼に対するスタンスが終始変わらなくて、
そのままいくのかな?と思ったけど。
初めて身体の関係を持ち、迎えた朝の柏葉が!
思いっ切り小悪魔で個人的にどツボ。
確実に逆らえない丹羽が愉快。
いつかリバって欲しい二人。
丹羽、受け身の快楽にも弱そうなんだよね。


「彼女とハワイにいったんでしょ!」「え?誰だよその女!」
と冷やかされていた男友達が
「ちげーよ!っつか、俺いねーだろ、彼女。男と一緒だよ!」と返していましたが☆
数年後。
全く別ルートの友だち主催の飲み会に急遽引っ張られていって、
同席していた初対面の子たちの中に、
なんとその彼と一緒にハワイに行っていたという女の子がいたミラクル。
メッチャ当時の彼氏自慢してたけど、
彼は何で隠してたんだろ?と、素朴な疑問。
あーー!って言いたかったけど、
とりあえず何も知らないフリして話を聞いてた私、大人な対応(笑)

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「その犬の歩むところ」ボストン・テラン(文春文庫)



ギヴ。
彼に降りかかる運命の過酷さに息が詰まる。
アメリカを生きる犬の物語であり、
アメリカを生きる人々の物語でもあり、
激動のアメリカそのものの物語でもある。
父親が辿りついた安住の地で生まれ、
アンナの愛情を一身に浴びてのびのびと育っていたギヴの身に降りかかった災厄。
劣悪な環境に置かれようとも、彼が人間に対する信頼と愛情を失わなかったのは、
彼と係った人たちが、彼ら自身が心に大きな傷を負っていたにも関わらず、
惜しみない愛情を彼に与え続けたから。
お互いに補いう合う所もあったんだと思う。
強く生きるってそういうことだよな、と、教えられた気がする。


個人的に「アメリカを生きる」というワードで連想するのが
ちょっと時代が違うけど『怒りの葡萄』。
あれほど圧倒されたアメリカの物語は今のところないかな?




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「墨と雪」かわい有美子(リンクスロマンス)



経済的にも精神的にも余裕のあるアラフォー黒澤。
駆け引きめいた会話とつかず離れずの距離感を楽しみながら
懐かない猫のような篠口を手中に落とす話かと思いきや。
暗雲立ち込める急展開。
不測の事態に陥った時の対処方法を知っていることと、
実際にそんな事態に直面するのとでは訳が違う。
サイコパス袴田、怖いし気持ち悪い。
篠口に対する追い詰め方がリアルに迫ってきて、ぞっとする。
窮地を脱した傷だらけの篠口に対する黒澤の寄り添い方が
半端なく素敵!と思ったんだけど。どーー!
読みたいのはそこから先!先なのよ!というところでエンド。
続きいつですか!?

あとがきでかわいさんが続編はある、と断言していらっしゃるので、
期待に胸を膨らませて待つわ。
今年出してくれたらメッチャ嬉しい。

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