きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「さみしさのレシピ」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
「孤独やさみしさじゃ誰も死ねない」
確かに、物理的には死ねない。
だけど、心が立ち上がれなくなることはあると思う。
抱えたさみしさを一人で埋めることはただでさえ難しいのに。
誰かのぬくもりを知ってしまった後のさみしさは、余計にやるせない。
様々なさみしさを抱えた人たちの物語。
生きていくためにそれぞれが抱えてきた価値観を受け止めたうえで構築していく人間関係が、
癒えない傷の痛みを包み込むやさしさが垣間見えてあたたかい。
「一緒にご飯が食べたい」
さみしかった一人と一人が
そう思える相手とずっと一緒にいられることの幸せをかみしめる。
久しぶりの一穂さんはゆるっと心にしみる良い作品だった。
相手のために本気で怒れる慈雨と実華子はとても素敵な戦友。
だけど、根本的な寂しさを埋めることはできなかったのかもしれない。
咲彦と慈雨のテンポの良い会話が小気味よくて好き。
本人たちが納得してるなら、こういう関係もありだと思う。
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