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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ステノグラフィカ」一穂ミチ(ルチル文庫)



【好きが過ぎると泣きたさを催されるものだとは知らなかった】

ひっそりと胸の内で育まれてきた恋心。
決して表に出てくることのないはずだった秘めやかな想い。
彼の声に耳をそばだて、ただ存在を感じている
だけで満ち足りていた碧の想いは、
とある出来事から西口と接点を持ったことによって、動き出す。
見栄を張らず、弱音も吐けて、自然体で接することのできる相手と過ごすことの心地よさ。
元妻との恋に傷ついた西口にとって、碧の存在は得難いものだったのだろう。
瞬間的に燃え上がるのではなく、相手を知れば知る程静かに募っていく二人の想いが
とてもきれいに伝わってきて、甘やかで幸せな余韻に浸れました。

すみれの送別のシーン。
送る方も送られる方も気持ちのいい別れ方で本当によかった。
いつか、彼女が再び彼らと出逢う未来を碧や西口と一緒に信じられる。
そして私は「よくないやつ」と評された佐伯がやっぱり好きだわぁ、と、改めて思いました(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

国会で働く碧は、その「声」に耳をそばだててしまう。滑舌よく明瞭な声の主は新聞社政治部記者の西口。食堂の定位置―碧の隣のテーブルで忙しなく騒がしく食事して去る彼は、日々をひっそり重ねる碧とはまるで正反対だった。しかしある出来事を境に、西口は碧を何彼と構うようになる。彼の素顔に触れるにつれ、次第に惹かれていく碧だが…。

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