きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「プルメリアのころ。」尾上与一(Holly Novels)
【もしもこの先、おまえと別れて、
俺がいないところでおまえが堕ちたら、
俺も堕ちた気がするんだろうと思うんだ】
誰もが勇猛果敢に闘えるわけではない。
誰もが志に燃えているわけではない。
闘うこと。人の命を奪うこと。撃墜される危険に晒されること。
それらすべてが怖くて、逃げ出したくて、だけど、
どこにも逃げることができずに、飛び出した空で震えるしかなかった。
それでも戦った千歳は、弱虫なんかじゃない。
根本的な恐怖は、自分に居場所がないこと。
帰るべき場所がないこと。
必要とされる人がいないこと。
守りたい人ができ、そして、帰る場所を見つけた時、彼は強くなる。
だけど、それはとても哀しい強さだ。
千歳を理解し、彼の全てを受け止めた一。
彼の正直さとまっすぐさがとてもうれしかった。
たったひとりで戦って、死んでいく恐怖。
それがどれほどのものか私にはわからない。
想像したところで、しきれるものではないだろう。
キリストの教えがなんなのかもわからないまま、
隣人愛に縋った千歳の逼迫した孤独が痛い。
一が千歳を受け止めてくれてよかった。
千歳に帰る場所ができて、本当によかった。
内容(「BOOK」データベースより)
日本帝国海軍が真珠湾攻撃から破竹の勢いで南に進んでいた頃、新垣一は南方最前線基地、航空隊の華・ラバウルに着任する。カズイの夢は戦果をあげて内地に帰り出世すること。少尉が乗る九九式艦上爆撃機の偵察員に抜擢されて喜ぶが、紹介された鷹居千歳少尉は見るからに軟弱なお貴族様で単なるお飾り少尉らしい。その上彼は航空隊員にあるまじき高所恐怖症だった。カズイは貧乏くじを引いたと落ち込みながらも少尉とうまくやろうと頑張るが、さらなる秘密を知ってしまい…。カズイと千歳は真のペアになれるのか!?凸凹ペアの切ない青春物語。
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