きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「泣かない美人」菅野彰(ディアプラス文庫)
言葉は、時にひどく心を抉る。
起こってしまった過去を描きかえることも消し去ることもできない。
人の記憶も、抱えた後悔も。
だけど、痛めた心を抱えたまま、
そこから新しい一歩を踏み出すことができる。
優しさと、後悔と、これからへの不安と希望。
いろんな感情が刺さって、終始泣きたくなりながら読了。
隼人と要の在り様は、それでいいと思った。
完璧な人間なんてどこにもいなくて。
見ず知らずの人間には打算で近づいて。
警戒して、疑って。
だけど、わかりあう。
過去を知り、現在を知り、そして、愛しさがこみあげる。
みんなが要を気にかけてくれていて、本当に良かった。
とても菅野さんらしい話。
そして私はそんな菅野さんが大好きです。
大事に読み返したい作品。
やさしい日本酒が飲みたくなるわ。
内容(「BOOK」データベースより)
隼人はデパートの凄腕外商部員だったが、自身が招いたトラブルで企画課に左遷された。腐る気持ちを抱えつつ、仕事で訪ねた日本酒の酒蔵で、桜の下に佇む美しい青年・要を見かける。彼は杜氏の見習いで、清冽なる酒の作り手だった。だが頑なに心を閉ざし、隼人の差し出す手を振り払う。やがて知る、要や周囲を傷つけた過去のある事件。仕事のつもりが、いつのまにか要の孤独と傷に本気で向かい合うようになり…。
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