きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「threesome…」榎田尤利(リブレ出版)
「現実世界でなくしたものが、夢の中で蘇る。
そして夢から覚めた途端に、再びすべてを失ってしまう」
何かが欠けていて、どこかが壊れていて。
淋しさに気付かないふりをして、愛を嗤う。
甘さのない乾いた世界。
だからこそ、そこに介在する情が哀しい。
当人を目の前にしながらも、写真にしか手を伸ばすことのできなかった櫛田。
辻が財津とも菊池とも築くことのできない絆を確かに彼は持っていたのに。
「さよなら」
その言葉を言わせたのは、櫛田自身だ。
疲れ切った辻を労わるように甘やかす財津と菊池。
明日また、活力を伴って目覚めるために。
残酷で厳しい現実世界の中で、彼ら二人に愛を囁かれながら、
愛を語らない辻は、これからもしたたかに生きていいくのだろう。
乾いた切なさが尾を引く読後感でした。
やっぱり榎田さん、好きだわ。
内容(「BOOK」データベースより)
快楽主義で女好きの極道・辻良典は、あるきっかけから、男ふたりと肉体関係を持つようになった。切れ者弁護士の財津と、使い走りの舎弟・菊池―ふたりから鬱陶しいほどの愛を捧げられながらも、辻が愛するのは常に自分だけだったが…。大人気エロティック短編集「erotica」内の続編が、長編書き下ろしで登場。
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