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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「光」三浦しをん(集英社文庫)



自分は悪くない。
あれは仕方がなかった。
心の奥底に抱いていた想いがあるが故に、彼らの歩み続けた歪んだ道。
手を伸ばせば、そこにささやかな幸せがあったかもしれないのに。
それが必然であるかのように、暗く淀んだ闇へと誘われていった彼ら。
罪人は何事もなかったかのように日常へと舞い戻り、
彼女はすべての真実に蓋をする。
神経を逆なでする不快感。
だけど、それもまた、人の業。
ありえない話ではないと思えるからこそ、苦い想いを飲み下したかのような読後感に、
暫し呆然となった。
タイトルの「光」。
いくつもの「光」の解釈が頭を過った後、
いつか、すべての出来事を白日の下に晒すための光であってほしいと、私は思いました。

「幸せ」という言葉とは程遠い物語。
だけど、一気に最後まで読ませる何かを孕んでいる。
すべてを覚悟したうえで運命に身を委ねた輔。
家族や恋人を守る手段をどこかで間違えた信之。
どうにかならなかったのか?と思うけれども、
どうにもならなかったからこそ、この結末なのだろう。



内容(「BOOK」データベースより)

島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが―。渾身の長編小説。

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