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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「静かなる天使の叫び (下) 」エロリー(集英社文庫)



30年以上に及ぶ、ジョゼフの半生を描いた物語。
何故彼が、人生を壊されなければいけなかったのか?
何故彼は、掴みかけた幸せを奪われなければならなかったのか?
その答えを得るために、私も彼と一緒に旅をする。
著者が言いたかったのは「何故?」の部分ではなくて、
「ジョゼフがどう生きたか?」なんだと思う。
分岐点はいくつかあった。
けれども、彼は選択した。
過去と向き合うことを。
負の連鎖をその手で断ち切ることを。
本当はそれは彼の役目ではなかったのに。
上巻のようなドキドキ感はなかったけれども、
その分重苦しさと格闘しながらの読了。


服部由美子の「スリークオーター」が聴きたくなってCDを引っ張り出してしまった読後。
やるせなくなって涙出そうになったわ。
この曲と作品世界のイメージがなんか被ったんだよね。
【ガーディアン必読 79-2/1000】

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「RDC―レッド ドア クラブ―」水壬楓子(リンクスロマンス)




宿無し一文無しの直十が謎めいた男・廿楽と出会い、
自分の人生を立て直す物語。
マイフェアレディ……というより、育てゲー的な印象。
細かい事はつっこまないこと。
そうすると、テンポの良さとキャラの立ち回りのうまさで、
ものすごく楽しく読めます。
ああ、でも言いたい。
ハードボイルドの定義ってそうじゃないのよー!
それはただのエロオヤジなの!
でもね。悔しいけどこのエロオヤジが半端なくカッコいいのです!
←渋いおじさま大好き。
あだ名が「若頭」の強面なのに、その中身はかまいたがりの溺愛系な廿楽が
とっても素敵。
次巻はどんな素敵なおじさまが登場するのかしら?


「誰かに頼りたいとは思わなかった」
と言うのなら、もっと生活管理しっかりしようか。
それができないのは「甘え」でしかないんだよー。
と、なんか最初っから直十にはイラっとしたのでした。
でも、廿楽と出会えたのは彼にとって人生最大の幸せだと思う。
「生活すること」をちゃんと教えてもらえたのだから。





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「静かなる天使の叫び (上) 」エロリー(集英社文庫)



天使。即ち死者。
読み進める間中、苦しく脈打つ胸の鼓動が止まらない。
事件は解決していない。
彼の苦悩もまだ続く。
故にこのドキドキも次巻まで持越し!
……心臓に悪い。←褒め言葉。
アメリカ南部の田舎町で起こった幼女連続殺人事件。
時は第二次大戦の真っ只中。
ヨーロッパでの戦禍の火種は、アメリカの田舎町にまで降りかかる。
偏見や差別、そして姿の見えない恐怖に対する集団心理の恐ろしさ。
この負の連鎖はいつの時代にも当てはまる。
同時に語られるのは少年が大人へと成長していく物語。
痛々しさを孕んだ彼の人生に平穏が訪れる日がくるのだろうか?

カバー裏の内容すら読まずに読み始めたので予備知識なし。
なんか思っていた以上に引き込まれてガツンとやられてる感じ。
聡明だった彼女が精神的に壊れていった様がものすごく切ない。
「みんなが思ってることと実際にあったことは同じではない」
うっかり喋ったことがSNSで拡散されてしまう時代において、
気軽く発した言葉がとんでもない何かを引き起こしてしまう可能性が十分にある、
ということを改めて刻む。
【ガーディアン必読 79-1/1000】

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「約束」河南さらさ (ガッシュ文庫)



自分は覚えている。
交わした会話もその時の表情も触れ合った体温ですら覚えている。
大切に育んだ想いは変わらない。
だけど、彼からはその記憶は抜け落ちていて、
あの時のように触れることはできない。
手を伸ばせば触れ合えるところに彼はいるのに……。
うわーん。切なさマックス。
胸が軋んで、彼らの優しさと思いやりに泣きそうになって。
曝け出した感情が刺さって、ラストに安堵。
人を寄せ付けなかった有也に対する颯の近づき方がとても好き。
他人には決して見せることのなかった颯の心の傷。
それを隠してああやって笑っていられる颯は強いと思った。

鵜飼のスピンがとても読みたいお借り本。出ないかなぁ。
石田とお友だちになって一緒に飲みにいきたい。
「瞳ともう一度、もう一度恋ができる」(@キャッツアイ)
という俊夫の言葉に号泣した過去を思い出してみました。


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「ラッシュライフ」伊坂幸太郎 (新潮文庫)



同じ場所に立ち、同じものを見上げる彼ら。
だが、抱える想いはそれぞれ。
彼らの置かれた状況や背負ってきた境遇は彼らだけのもの。
懸命に生きる彼らの人生のドラマが展開され、時間軸が錯綜する。
そして、係わりのなかった者同士が、偶発的な出来事から繋がりを持っていく。
点と点が次第に線になっていく鮮やかさ。
自分にどんな衝撃的なことが起ころうとも、
世界は昨日とは変わらずに動いている。
それが、心強くもあり、少し寂しくもある。
ラッシュライフ--豊潤な人生。
大海に流される非力な存在であったとしても、
掴み取る気持ちを失うな、と、言われた気がした。


やっぱり黒澤好きだわ~、と、再認識の再読。
伊坂作品は作品同士のリンク世界が楽しめる特典つきなところも好き。
「あなたの好きな日本語を教えてください」
問われたら、私は何と書くだろうか?と考えて……浮かんだ言葉は「笑顔」でした。






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「王たちの蹶起~叛獄の王子3~」 (モノクローム・ロマンス文庫)



完結巻。
タイトルに全てが集約されている。
破綻のないストーリー展開は読み応え抜群。
陰謀に嵌められ、苦境に立たされた二人の王子。
互いに向けられる憎しみと因縁。
互いを知るほどに培われる信頼と情愛。
相反する想いに折り合いをつけるためには、一度剣を手にぶつかり合う必要があった。
甘くて穏やかな時間も束の間、手に汗握る窮地へ。
最後の最後までドキドキしっぱなしっで、
苦しかったりもったいなかったりで一気に読めなかった。
努力と気力で運命を勝ち取ったローレントの生き方は
余りにも痛々しいものだったけど
デイメンの情愛に包まれて穏やかに凪ぐといい。



もっと読みたいなぁ、
これからの二人の物語をまだまだ追っていきたいなぁ、
と、こんなにも切望した作品は久々。
巡り巡る「兄殺し」。
着地点がうますぎて、なんと言ったら。
後半部分、もっとじっくり書いてくれても良かったのよ~~!と、ジタバタ。
好きなシーンが何か所かあって、何回か戻って読み耽っちゃったよね。
一気読みが常なので、
途中でこういう読み方をするのも私的にはとてもとても珍しい。
再読必須の面白さでした!








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「逆説の日本史4 中世鳴動編」井沢元彦(小学館文庫)



平安時代中期から末期まで。
清和源氏の由来が知れたのが、個人的には一番の収穫。
お勉強になりました。
そして、院政時代のカオスっぷりに唖然。
根深い言霊信仰の記述には
納得させられる部分が多すぎて唸ってしまう。
遺言書作ろうかな?
でも死ぬこと想定して本当に死んじゃったらヤだからやめとこ。
で、遺言のないままの急逝。
個人はそれでもいいけど、国家はそうはいかない。
武士の台頭に起因する、穢れ思想からの軍事力の忌避。
現代に至るまで日本が他国に侵略されなかったことの僥倖に胸をなで下ろす。
と同時に提示されている問題に一抹の不安。


私の中で清和源氏と言えば高河ゆんの『源氏』。
完結してくれたら嬉しさで泣ける自信がある。
■行った場所:厳島神社
■行きたい場所:神田明神/将門塚
■とりあえずメモ:『源氏物語』紫式部/『あさきゆめみし』は既読。『源氏物語』を小説で読みきる根性は多分ないけど、武田氏曰くのa系(本書内にて説明)を通す読み方にはとても興味がある。

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「ひとりごとの恋」榎田尤利(SHY NOVELS)



割り込み方があまりにも強引で身勝手で。
この男最低~!という第一印象を見事に覆した悦巳。
菱田もそうやって気持ちが悦巳に向かっていったんだなぁ、と、
リアルに納得してしまった。
取り繕うことなく本心を曝け出すことができる相手が傍にいるって、
とても大きな支えになる。
「お前の想いを知っている」ということを半ば脅迫まがいでも
悦巳が最初にそれを菱田に明かしたことで、二人の間の壁ってぶっ壊されてたんだよね。
その後の悦巳の菱田に対する接し方が真摯だったことでジワジワと株が上昇。
結果的には菱田の抱えた家族との問題まで解決しちゃった悦巳すごいわ。

身体がチワワでも中身が土佐犬の野々市女史。
お友だちになりたい(笑)
人生における転機に決断を見誤らないように……
というか、決断すべき時にきちんと決断できる人間でありたいね。

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「ユダの覚醒(下)」 (シグマフォースシリーズ3)ロリンズ(竹書房)



ユダの菌株と東方見聞録の謎を巡り、
世界各所でギルドと戦うシグマの隊員たち。
いや、隊員ではないのに果敢に戦ったのは、
偶発的に巻き込まれてしまったグレイの両親。
知恵と勇気と諦めない気持ちで暗殺者とよく渡り合ってくれた。
どこまでも二人で支え合う姿がとても尊い。
謎解きの過程で巡りあったマルコ・ポーロの遺体。
これが史実だったら!と思わせるロマンティックさが素敵。
セイチャンの言葉は今度こそ鵜呑みにしていいのかしら?
命懸けの戦いを制し、人類を滅亡の危機から救ったグレイたち。
SOSのサインに希望を託して、次のシリーズへ。

新キャラのコワルスキとライダーの危機感のなさというか、
どこか愉快な安定感がイイ感じ。
船に残ったジェシーやドクター・バーンハートたち。
今回は非戦闘員の人たちの頑張りを湛えたい。
ジェシーなんて一度食人種につかまって檻に入れられてたのに!
いろんな要素を詰め込んだハイスピードなアクションを一気に読み切った読後は
こっちも疲労困憊(笑)

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「ビューティフル・プア」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



屋敷と土地を守るために侯爵・アロウが選んだ手段は、自分を売りに出すこと。
買い手として名乗りを上げた大富豪4人の中に別の目的で紛れ込んだのは、
ちょっと裕福な庶民の玲一郎。
偽りから始まった関係だけれども、その偽りがなければ出会うことすらなかった二人。
互いを知れば知るほど惹かれあうのは当然。
何故なら、同じ価値観を持っているから。
お金がなくても一年を楽しく過ごすことのできる二人だから。
嘘の露見。裏切りの発覚。あわやの契約の遂行。
紆余曲折はあったものの、
一抹の寂しさと、それを上まって余りある多幸感に泣きそうになって読了。
良かった!

レイとアロウが仲良くインスタントラーメンを食べるシーンが出てくると思ったのに!
出てこなかったことに何故かガッカリ。
何を期待したんだ?私……(笑)
サイモンの気遣いには私も声がでそうになったわ。
できる執事はここまでしてくれちゃうんですね~。
リンダとサミーアとも友人関係をずっと続けて行ってほしい。

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