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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「鍵のかかった部屋」ポール・オースター (白水Uブックス―海外小説の誘惑)



彼の著作。
彼の妻。
彼の子供。
そして、彼の想い。
全てを引き受け、いまはここにはいない彼・ファンショーの人生を追跡するうちに、
次第に自分の脚元を見失っていく僕。
その作業にのめり込むほどに彼と自分との境目が曖昧になり、いつしか僕も
「鍵のかかった部屋」の内側に閉じこもった彼と同じ道を行くのかと思ったけれども。
そうはならなかったことに目を瞠る。
三部作を読んできて、あ、と思った瞬間。
ファンショーとの決別は、ようやく得ることのできた自我の確立。
いや、妻に「帰る」と伝えた時点で、僕は既にファンショーの影と決別し、
自らの脚で立っていたのだと思う。
ソフィーがいてくれたことに感謝だよ。

【ガーディアン必読 10-3/1000冊】『ニューヨーク三部作』三作目。
『ガラスの街』『幽霊たち』と、自分の立ち位置としてはずっと
物語全体を俯瞰するような感じで読んできたけど、
ここにきてようやく物語の中に入れてもらえた気がする。
各々独立しても読めるとはあるけれども、その感動(?)を噛みしめるためにも、
個人的には順番に読んでいっていただきたい作品。


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「愛とは言えない 2」榎田尤利 (B-BOY NOVELS)



橘高と恋愛関係になることを頑なに拒むサガン。
だけど、気持ちは橘高に惹かれていることが明白で、
いっそ素直になっちゃった方が楽になると思うよ?と思うこと屡。
サガンへの想いをてらいなく口にする橘高と
いい加減恋に落ちちゃいなよ!
と、思うわけだけど、過去編を紐解いてみれば、
そもそもの懐疑の根底には一番最初に関係を持った時の
橘高の態度にあるような気がしないでもない。
勢いで突っ走ることができるのは若者の特権。
経験値の分だけ大人は慎重に、そして臆病になる。
大人ならではの拗れっぷりと、徹底的な魔の悪さに阻まれた二人の関係。
これからどうなる?

サンタのそりから落ちたでっかいプレゼントが淳平。
この発想、とても好き。



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「愛とは言えない 1」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



「孤独の中でひとりで死ぬ」と。
期せずして人生観に置いて共通の想いを抱いていた橘高とサガンだけれども、
恋愛に対するスタンスは全く相容れないふたり。
10数年ぶりの再会。
どちらも紆余曲折な人生を歩んで30半ばの今に至るわけだけど、
サガンの癒えない傷が辛い。
自らが断罪されることを望んできたけれど、当事者全員に咎がある。
事の真相が明らかになったことで、前に進めるといい。
ラストの橘高が運命を自覚した瞬間がとても好き。
拘ってきたもののルーツがそこって、やっぱりサガンとの恋に落ちるしかないよね。
拗れまくった大人の恋愛模様はまだ愛には至らないのです。

漫画との連動が見事にハマっていて、うまいなーと。
この日の後に、こんなことが!とか、ああ、あのときはこう思っていたのね!とか、
瞬時にリンクできちゃうからおもしろい。
漫画だと橘高はもう少しスマートでいい人な印象なんだけど、
小説を読むと人間味がぐっと増す。

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「三国志 5 ~八魁の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



帰趨の決していない乱世に生きる男たち。
戦いの最中にありながら、きっちりと描かれる人間模様に魅せられる。
妻を得、子を成し、時に友と語らい、或は己の未熟に嘆く。
乱世に生まれた男が描く夢。
即ち、天下。
そこに至る道は数多あれども、手にすることができる者はただ一人。
数年後を見据えての、駆け引き。
自分に在るものと欠けているもの。
自覚しているからこその強さが確かにある。
曹操が計略を巡らせなかったら、劉備と彼の人との出逢いは果たしてあったのか?
ゾワっとするところで次巻へ。
本当の始まりはここから……って、言い過ぎ?(笑)

失敗を人のせいにはしない彼らの潔さがとても好き。
北方三国志における張飛の在り方は、本当にかっこいいと思う。←イチオシは違う人だけど。
ここで初めて見せた孫権の無謀さ。
無事だったから言えることだけど、周瑜と同じく、好ましいものだと思う。
周瑜と孔明。
こうして名前を並べるとこどうしても私設が読みたくて仕方なくなる。

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「恋とは呼べない 1」町屋はとこ/榎田尤利(ビーボーイコミックス)



「恋は落ちるもんだよ」
とても素敵な笑顔で語る英。
そんな英が恋に落ちた相手がクソなところが、
本当にいたたまれない。
だけど、何もかもを理解した上で、関係をきっちり清算できる強さがあるから大丈夫。
クリスマスイブの日に傷心の英に文字通り「拾われた」淳平。
「恋は二度としない」と自らに言い聞かせる彼は、
過去の恋で負った傷に苦しんでいる。
傷ついても苦しんでも、優しさと笑顔を失ってはいない彼らの物語。
コラボしている小説サイドの橘高とサガンも加えての恋愛模様。
一筋縄ではいかない人たちばっかりだけど、だからこその読み応え。


何度読んでも、やきのりちゃん(猫)可愛い~~~(*≧▽≦*)!!
と、心の中で叫んでしまう。
「記念日が来るたびに恋人に捨てられたことを思い出すのか」
と泣く英の姿に、かつて
「恋人の誕生日に彼の歳の数だけプレゼントを用意して一個ずつ全部渡して
最後にサヨナラって別れてきたの。彼、予想外すぎて大泣きしてたわ」
と語っていたクラブのママを思い出す。
詳しく事情を聞いたなら、私の思いも違ったかもしれないけど、
言われた言葉だけを受け止めたら、鬼だなぁ、としか思えなかった(^^;

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「幽霊たち」ポール・オースター (新潮文庫)



奇妙な依頼に端を欲した単調な毎日。
他者の為に費やされる膨大な時間。
他者の影を追う生活に、自分の人生はない。
それが、探偵である自分が受けた仕事である以上、
全うしなければならない任務。
けれども。
次第に膨らむ疑念。
果たして、真に監視されているのは一体誰なのか?
自分の書いた報告書は誰の手に渡っている?
自分はなんのためにここに在る?
息が詰まりそうな閉塞的な世界は、彼が傍観者から当事者に成り変った瞬間に崩壊する。
そして、私こそが幽霊たちの影を掴み損ねたかのような想いに包まれるのだ。
現実味を欠いた浮遊感に呑み込まれたまま。


【ガーディアン必読 10-2/1000冊】
『ニューヨーク三部作』の二作目。
そうそう、この感じがオースター。
と。
久々に彼の描く不思議な世界を浮遊してきました。
そう。
「浮遊する」
オースターの作品を読んだ時の感覚は、この言葉が自分的には一番しっくりきます。
作中で劇的な何かが起こるわけではないけれども、とても印象深い何かがそこにはある。
だけど、それはあくまでも感覚的なもので、特に何が、と具体的に語ることは難しい。


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「普通のひと」榎田尤利(SHY NOVELS)



離婚歴のある的場と、彼女と別れて間もない花島。
どこにでもいる所謂ノンケの男子二人が
日常の中で出逢い、やがて惹かれあって恋に落ちる物語。
同性との恋はお互いに初めて。
それ故に生じる葛藤や惑いがとても丁寧に描かれていて、
彼らと一緒になって一喜一憂してしまう。
良き相談相手となった周囲面々の助言は的確で、頷くことしきり。
理性のメーターを振り切って感情的になった二人。
剥き出しの感情でぶつかってはじめて届く本音。
「欠点を思いついても好きでたまらない」
素敵なノロケ。
人生をいつまでも共に歩み続ける二人を想いながらの読了。

彼らの仕事に対する向き合い方から学ぶところが多々あった。
今日の自分を顧みて反省するところも。
本部長に止められなければガチでゴング鳴らすところだったわ。
相手を詰問する前によく考えよう、私。
縁切ってもイイ勢いで喧嘩腰になるのは自分都合。
会社の利益にはならないのよ~。

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「ハンサムは嫌い」榎田尤利(SHY NOVELS)



『ハンサムは嫌い』
ダメ人間だった真壁が由比との出逢いでイイ男に変貌を遂げていく。
一人の人間との出逢いと環境の変化で、人はここまで変われるんだなぁ、という感動ひとしお。
真壁の周囲からの声に耳を傾ける素直さと柔軟性も素敵。
そして「誰があたしを嫌っても、あたしがあたしを認めてりゃいいっていう覚悟」
という玉助の言葉にはただ頷くしかない。
『無作法な紳士』
こちらはお坊ちゃまだった桜彦が雪山で炭を作る克郎と出会い、
人として成長していく物語。
野性味あふれる克郎の魅力が半端ない。
ワイルドでやさしいって素晴らしい。


完全に理解できているかどうかはおいといて、
個人的に津軽弁はとっても耳馴染の良い響きだったりします。



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「もしも俺たちが天使なら」伊岡瞬 (幻冬舎文庫)



スマートな詐欺師、探偵稼業の元刑事、腕っ節の強いヒモ男。
「神様のいたずら」によって引き合わされた三人が織り成す三重奏。
バラバラに奏でられていた音が
少しずつまとまり、反発して不協和音を奏で、一つの目的の為にまとまっていく。
水面下で進行する不穏な事態を阻止しようと大きな絵図を描き、
綺麗にまとめあげたコンダクターの手腕はお見事。
それぞれ過去に事情を抱えた三人が
苦境に陥りかけた人たちのために(一部自分のメンツのために・笑)
現状をどうにかしようと奔走する姿に前のめりになり、
何かを乗り越えたであろう彼らの姿に清々しく読了。


スワンボートを漕いでいるイケメン二人を想像して思わず笑顔。
映画「俺たちは天使じゃない」は楽しく聴済み……
なんだけど、ハンフリー・ボガート版だったのか、ロバート・デ・ニーロ版だったのか
イマイチはっきりしないポンコツな記憶。

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「新婚さんはスパダリ同士!」小中大豆 (幻冬舎ルチル文庫)



スパダリどこ行った!?と、突っ込みつつ読了(笑)。
拗らせまくった両片想い。
あんな狂おしい想いを胸に抱いたまま一緒に暮らすって
泣けてくるくらい切ない。
しかもお互いにって!
言葉にして確認すればはっきりするかもしれないけど、怖くてできない。
30代男子、頑張って!
……と言いつつ、不用意な一言で今の関係を壊すのが怖い気持ちも、
わからなくはない。
多分色々限界だったんだね。
「嘘」という綻びから本音を囲っていた壁が決壊し、迸る本音。
真っ正直に向き合った二人は、甘さ増し増しのラブっぷりを見せつけてくれました。


指輪の出来をバッサリ切った母がとても好き。
プロポーズのつもりで指輪を作っていた馨に「誕生日12月だけど」って言う冬人もど天然。
そして、小声でこっそり独り言。
これ、リバ読みたい。
ネコな馨が見てみたい。 ( ´艸`)

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