きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「不機嫌なシンデレラ」千地イチ (ショコラ文庫)
頑固でまっすぐな一生懸命さ。
不器用なんだけど、誠実。
目標に達するために惜しまない努力。
そういうのは、社会で生きていくための武器になる。
すべては、彼自身が頑張って手にした恋と仕事の成果。
最初はどうなることかと思ったけど、
だんだんオトコマエ度が増していく佐山の成長が頼もしい。
一方で大人のずるさと臆病さと諦めを抱えた安西。
生き方そのものが守りに入っていたように見える安西が、
佐山の成長に引きずられるように一皮剥けた様はセクシーで魅力的。
お互いがお互いにとっての王子様。
自社ブランドを着こなして颯爽と街を歩いて欲しい二人なのです。
人前でものを食べることのできない自分を忘れるくらい、
安西と過ごす時間が楽しかった。
そう告げた佐山に胸を突かれた。
お借りした本はとても貴重なサイン本でした!
私も好きブランドで働きたい!
稀にバイトのスタッフさんを募集してるんだよね。
ウチの会社が副業オッケーなら迷わず手を挙げるんだけどなぁ。
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「三国志 8~水府の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
周瑜の死を惜しんだ曹操の株が私の中で一瞬上がり、
荀彧の死に纏わる思いの吐露で、あ、気のせいだった、と思った8巻。
荀彧に裏切られたと思うのは、都合がいいんじゃないかな。
信じてもらえないような扱いをしてきた結果なのだから。
多くの者が戦いで命を落としていく中、
ひたひたと迫る病と向き合わざるをえなかった周瑜。
緩慢に近づいてくる死。
彼の心にゆらめきつづけた切なさがやるせない。
俺は俺。おまえはおまえ。
出自は関係ないと、いいきれる馬超がカッコいい。
戦を繰り返し、時代は移り変わっていく。
頼もしい軍師の元、いよいよ天下三分へ。
劉備の……というよりも、北方の孫夫人に対する扱いが、ものすごーく嫌だわ。
一方で、張飛と薫香の関係はとても微笑ましい。
張飛の野戦料理。とてもとてもおいしそう。
李逵の料理を思い出す。
そうすると、解珍の秘伝のタレ……と続々出てくる食べたいもの。
読んでるのは『三国志』だけど、やっぱり『水滸伝』好きだわーと、改めて思った。
「眠り王子にキスを」月村奎(SHY NOVELS)
独善的ではない宮村の強引さが、とてもあたかくてやさしい。
傷つきすぎて自虐的になってしまった堀が前に進むために必要だったものなんだろうな。
そして、家族から心無い扱いを受け続けてきた堀を受け入れてくれた宮村の母の懐の広さが沁みる。
「好きだから」の後に続く堀の否定的な言葉がとても切ない。
そんな風に堀に思わせてしまったのは、彼の家族。
罪悪感に塗れた堀と一緒になって泣き、一緒になって安堵した。
封じられた恋心は王子様のキスで解放される。
宮村も彼の家族も、堀を傷つけることはないと、思えることが嬉しい。
たくさん愛して愛されて。お幸せにね。
アラサー男子がとてもとても素敵な恋愛をしていました!
と、声を大にして言いたいお借り本。
「三国志 7~諸王の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
赤壁だから、ではなく。
周瑜だから。
この巻はとても思入れ深い。
そして、孔明。
二人の出逢いのシーンは、何度読んでも震える。
側近である生き様を貫いてきた周瑜に、
覇者たる想いを想起させる漣を起こした孔明。
「あなたが私のそばにいれば」
絶対に在り得ない現実に想いを馳せては、泣きそうになる私。
大軍で敗北を喫した曹操。
勢いを増す孫権。
着々と地盤を固めていく劉備。
安息とは程遠い日々の中でも、時折差し挟まれる日常の場面にどこかほっとする。
それぞれの陣営の特徴がはっきりわかって面白い。
そして、彼らは再び戦場へ。
周瑜の病を案じた曹操に、イイヤツじゃん、と呟きたくなったあたり、
私、以前より周瑜の好き度が増している気がする。
次巻、絶対泣く……読みたくないなぁ。読むけど。
馬超の飄々とした雰囲気が好き。
赤兎の子も赤兎。
紛らわしいわ(笑)
「GIANT KILLING 48」ツジトモ (モーニング KC)
現状に満足しない。
常に上のレベルを目指す。
その姿勢は尊敬に値する……と思いかけたけど、
世界ランク一位ってわけじゃないからね。
そんなのは当たり前。
だけど、実際にやろうと思えばとても大変なことだ。
ブランの采配の元、勝利を積み重ねようと邁進する日本代表。
選手たちがそれぞれの仕事を果たしていく中で、
花森の孤独が痛々しい。
どこまでも大きな持田の喪失。
それでも、前線に立つ者は、全力で戦いつづけなければいけない。
花森には、日本代表の10番で在り続けてほしい。
いつか持田と同じピッチに立てるといいね。
笑顔で怒るブラン。怖いわ~(笑)
本誌を読むのをやめてしまったので、この先の展開がわからない。
次巻がとてもとても楽しみ。
花森が「孤高の10番」ではなくなるといいな。
周りには皆がいる。
まぁ、素直に認めないと思うけど、気付いてほしい。
「恋してる、生きていく」夕映月子 (ディアプラス文庫)
穂高が好青年過ぎて眩しい。
梓に対するやさしさと思いやりとが、彼の言葉や行動の端々から滲んでいる。
そんな穂高のために「生きる」こととまっすぐに向き合う決意をする梓。
生きる術がそこにあるなら、貪欲に手を伸ばすべきだと、私は思う。
真摯な想いを抱く二人の、とても素敵なピュア・ラブ。
「世界はこんなにもきれいだ」
そう感じて泣ける感受性は、とても素敵。
新しい世界を与えてくれる相手の存在は、人生すら変えてしまう。
どこまでも優しい雰囲気に包まれて読了。
薬指を噛む、というシチュがとてもとても好きなので。
キャーー☆となったお借り本。
蔵王の山頂で見上げた星空の美しさに、
何故か泣けて泣けて……
「何で泣いるの?」と聞かれても「星が綺麗だから」としか答えられなかった思い出。
妙義山の駐車場で星空を見上げていた時は、
真っ暗闇の中から突然聞こえてきたハッハッハッハッという荒い息使いに戦慄。
恐怖に戦いた瞬間、足元に触れたモフッとした温かい感触。
悲鳴をあげそうになったけど、
同じく駐車場に車を停めていた飼い主さんの手からスルッと抜けてきたワンちゃんでした。
見えないって怖いわ~
「てのひらにひとつ」夕映月子 (ディアプラス文庫)
マイノリティであることで深い孤独を抱え、
家の事情もあって「諦める」ことを常に己に課してきた宮下。
そんな彼が塾の生徒として出逢った、一回り年上の日下部。
日下部と過ごす時間が増えるにつれ、彼に心を許し
誰にも伝えることのできなかった想いを吐露し、
恋に落ちていく宮下のとても繊細な気持の機微が伝わってきて、きゅんとなるわけですが。
「私も好きです」の日下部の台詞に、え?いつの間に!?と驚いた表題。
でも、同時収録のその後の話を読むと、ああ、そうだったのね、と深く納得。
そして、誠実でピュアな二人の遠恋に切なくなったり愛おしくなったり。
一冊まとめて読んで完成形なお借り本。
女子禁制のはずの男子寮に放り込まれて講師をやっていたことがあるので、
男子寮の賑やかしい雰囲気が微笑ましいやら懐かしいやら。
塾講していた時の生徒は、家出して連絡をしてきたこともあったわ。
人と係わるということは、思い出が増えるということ。
かけがえのない宝物。
「天国に手が届く」夕映月子 (ディアプラス文庫)
かつて、一度だけ交わった点と点。
そんな彼らの数年後の邂逅。
小田切に出逢えた喜びを隠せない佐和と、
頑なに佐和を拒んだ小田切。
彼が心の奥底に抱えていた孤独がやるせない。
いまはもう、この世界のどこにもいない叶。
二人を繋いだ叶の存在が大きくてやさしくて、あたたかい。
叶を介してお互いの存在を意識していた二人が実際に出逢い、
動き出した心。
次第に小田切に惹かれていく佐和の心理描写がストンと胸に落ちてくるだけに、
小田切サイドの視点でも読んでみたかったという思いが募った。
山の描写が雄弁で美しいお借り本。
チャンスがあれば、また登りたい。
ほぼ山未経験だった自分が槍ヶ岳に登れたことがいかに奇跡的な出来事だったのか。
こういうのを読むとつくづく思う。
あの時見た景色は一生忘れない。
滑り落ちたら怪我だけじゃ済まないような場所を必死で越え、たどり着いた山頂。
眼前に広がるのは、筆舌に尽くしがたいほど美しい非日常な風景。
これが見れるなら、また登りたい。
そう思わせてくれる世界がそこにありました。
「死刑にいたる病」櫛木理宇 (ハヤカワ文庫JA)
依存している自覚があるならまだいい。
影響されているとわかっていれば、自分が見えている。
自分の意志で行動しているつもりが、実は相手の意のままだったとしたら?
迫られた選択の回答ですら、決められたものだったら?
無意識のコントロールが一番怖い。
植え付けられた選民意識の件がぞっとした。
シリアルキラーと対話を重ね、目に見える変化を遂げた彼。
明らかになる真実。塗り込められた嘘。そして、悪意。
絡みつく鎖を断ち切ったことは、今後彼の人生において大きく作用するだろう。
「おれは、おれの話をしてるんです」
キミは大丈夫。
雅也と母親との関係が好転することを願って読了のお借り本。
天性の「人タラシ」な人っているけど、
そこに「悪意」が加わったら手に負えない。
「あなただけが特別」と囁く言葉は自尊心をくすぐり、
囁いた相手には好意を向けるようになる。
騙されたくないわ~、と思うけど、何が嘘で何が本当か。
瞬時に見抜くことは難しい。
「スーツとストロベリー」高遠琉加 (ガッシュ文庫)
『紳士と野蛮』続編。
屋敷を出た義巳が一人で暮らすことの大変さを知って、
誠吾に投げかけた言葉を反省するシーンが、とても好き。
相手の立場に立って、はじめてわかることがある。
それを認めることができるのは人としての器の大きさ。
そして、義巳が多分、ずっと誰かに言ってもらいたかったであろう言葉を断言してくれた誠吾。
うん。私もそう思うよ。
今の自分を誇っていい。
表題はその後の二人。
恋愛慣れしていない義巳の痛みに対する自己分析が大変微笑ましい。
馬鹿なの?と突っ込むか、愛しさに胸がいっぱいになるか。
当然誠吾は後者だわね。
二人で庭の樹木の成長を眺めながら過ごしてほしいと、
ほっこり思ったお借り本。
Cielさんのイラスト、とても素敵でした。