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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「侵略者」福田和代 (光文社文庫)

読後にこみ上げてくる何とも言い難い感情。
それが何処から噴出してくるものなのかはわからないけれども。
少し軋むようなやるせないような、そんな想いに浸るのも悪くない。そう思える読後。
彼等側に気持ちが引き摺り込まれた感があるのは、作者の筆力の為せる業だ。
彼等の抱えた事情の深刻さがリアルで、絵空事とは思えなくなっていた。
だから置いて行かれたような気持になったのかもしれない。
戦闘機の訓練描写から始まる物語。
膨大な資金力があったからこその最新兵器。
ノアの箱舟に乗り込んだ彼ら。
安住の地は何処へ?

久々の福田さん。面白かった!
未読の他の作品も気になるけど、
お気に入りの『ブラックホークシリーズ三部作』、めちゃ再読したくなる~。

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「春うらら好色男の宿」akabeko(ディアプラス・コミックス)

たとえ今日がどんなにうまくいかなくても。
明日はうまく生きられるかもしれない。
一見するとちゃらんぽらんな藤男が「死にたい」と口にした美春に伝えた言葉。
藤男の過去を思えば、自分にそう言い聞かせて生きてきたのかな?
と思える深い意味を持った言葉。
せめて明日まで頑張ろう、という気持になれる気がする。
妙な出逢い。
身体からの関係。
居場所を見つけられずに孤独に苛まれていた二人がやっとみつけたお互いの居場所。
そこに親子関係の修復や旅館の立て直し等々が絡んできたもの良かった。
元AV男優を撃沈した天然のアンサー、恐るべし(笑)

「春は嫌いだ」とは、美晴の言葉。
私も4月が大嫌いだった。
大好きな人が逝って、父親が逝って、なんかいろいろ嫌なことがあって。
でも、友だちに言われたんだよね。
「私の誕生日月、嫌わないで欲しいな」って。
その言葉になんか救われた。
彼女のことが大好きだから。

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「VIP 蜜」高岡ミズミ (講談社X文庫)

サブタイトルが「蜜」。
前作のあとがきもあって甘々を期待したら……え?全然甘くないよ??と突っ込みたくなる前半。
とはいえ。
いきなり甘ったるい雰囲気になっても人格崩壊か!?となりそうな気がしてきたので、
やっぱりこの二人には今の時点ではこの距離が丁度いいんだろうね。
相変わらず言葉が足りてない二人。
和孝の久遠に対する意地と配慮が自身の状態を悪化させ、
結果お互いに満身創痍な痴話喧嘩。
でも、抱えたものを表に吐き出すことがストレス発散の一番の近道なんだと改めて知らされる。
その後の情事で互いに対する想いを言の葉に乗せる二人。
そうやって、距離を縮めていくといい。

2005年スタートのシリーズ。
そして2024年3月の新刊予約済。
長らく続くシリーズを書き続けてくれていることに感謝。

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「無能な皇子と呼ばれてますが中身は敵国の宰相です (3)」夜光花 (キャラ文庫)

好きシリーズなので期待して読み始めたけど、
期待以上に面白かった。大満足。
北方(謙三)イズムが徹底的に浸透しているので、
竜との戦いに挑む前に念入りに調べて準備してっていう過程にわくわくするし、
戦闘描写も臨場感あってどきどきする。
見事凱旋した後の帝国法改正への着手・根回しの仕方も興味深い。
そういう横槍入るだろうなぁ、と予測できたところからの先の展開に奮い立つ。
秘密の鍵を握る魔女探しにも余念がなく、シュルツとのややこしい関係の落としどころも気になるところ。
一番気になるのは反撃の狼煙をあげたその先の彼等がどうなるのか。次巻楽しみ。


個人的なベストシーンは子竜の誕生シーン。大好き。
リドリーには申し訳ないけど爆笑。
人語も解する子竜は頼もしい相棒に育ってくれるはずだよね。



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「末っ子、就活駆け抜けました 毎日晴天!20」菅野彰 (キャラ文庫)

大河よりもよっぽど大人になってしまった私は、
どんどん視界が狭まっていく真弓と共感して揺れることができずにいたんだけど。
真弓がようやく助けを求める言葉を口にして、
複雑に絡まりあっていると真弓が思い込んでいたものが解けていくのを目の当たりにして。
ほらね、と思う。
物事を難しくしてしまっているのは自分自身。
一人で抱え込んでいるから苦しいし、出口が見えなくなる。
悩んだ末に真弓が気づいたことは、とてもとても大切なこと。
そして改めて大河の存在の大きさを思う。
丈が勝てない理由が泣ける。
それぞれの巣立ちの瞬間が近づいている帯刀家。
最後まで見届けます!

過ぎた時間の分だけ、みんなちゃんと成長してるんだなぁ、と、しみじみ思う。
そして「長い休筆期間があった」という菅野さんの言葉に、
改めて書き続けてくれてありがとう、と思う。






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「11月に去りし者」ルー・バーニー (ハーパーBOOKS)

男のけじめのつけ方があまりにも見事で。
ちょっと震える。
いや、かなり震える。
共に過ごしたのは一ヶ月に満たない間だったけれども。
彼の胸の内には、確かな想いが芽生えていた。
彼女は女である前に母親だった。
だから、彼女の選択は間違ってはいない。
犯罪組織の幹部、夫の元を去ってきた女と二人の娘、そして殺し屋。
ケネディ暗殺で悲嘆にくれるアメリカを横断する三者の物語。
そしてもう一人。
悲しみを呑み込んだ者がいる。
理不尽な死を遂げた者が多くいる中で、30年後の彼女たちの姿は救い。
寝不足の頭も目が覚める面白さだった。

寝不足で読み始めて目が覚めて、結局読む手が止まらず寝不足まっしぐら。(笑)
ま、そんなときもある。
大雑把ながらジャンルや作家別に本棚の収納場所を区切ってあるんだけど、
当然この作品はウィンズロウと同じ棚に。




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「恋の傷あと」安西リカ (ディアプラス文庫)

自分が幸せになるためなら他人にどんな迷惑をかけてもいいのか?
いや、駄目でしょう。
そんなダメ男きっかけで出会った橋口と未知也が二人が恋に至る物語。
未知也が橋口に惹かれていく様子が丁寧に描かれていて、とても良かった。
セックスが下手そう、と言われ、
実際上手くはなかった橋口だけど、
ちゃんと未知也を労って自分の不足を補おうとする姿勢が好ましい。
未知也視点の物語。だからこれで良いんだけど。
橋口が未知也を好きなのもわかるけど。
橋口がどんな風に未知也に惹かれていったのかが
もう少し丁寧に描かれていたら尚良かった。
作品が面白かったが故の贅沢な望み。

先日会社のメンツで飲んだ時に
「昔は落ちてるエロ本拾って読んでたけど、最近はエロ本落ちてるってことはねぇよなぁ…」
と男子がしみじみ言っていたことを思い出しました。(笑)
自販機のエロ本をどうやって買っていたか、とか人それぞれで面白かった。(笑)

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「VIP 絆」高岡ミズミ (講談社X文庫)

それが最善の策だとは誰も思っていなくても。
彼らは敢えてその策で押し切った。
巻き込んだ形になる聡を救いたいという
和孝の気持ちを汲んだってこともあるけど、
それが最悪を回避するためのベターな手段だった、ってところなんだろうね。
突っ込みたいところはあるけども、
じゃあ、他にどうすれば?と言われると、やっぱり浮かばない。
敵地に赴くにあたって、和孝は久遠を信じ、久遠もまた和孝を信じた。
犠牲を払うことにはなったけれども、その結果がすべて。
和孝が久遠の傍に「帰りたい」と思ってくれたことが,
久遠の和孝に対する献身が嬉しかった。


バカ坊かと思った田丸が実はそうでもなくて。
白朗に都合の良いように利用されているわけでもなくて。
自分の立ち位置を理解した上で行動している姿は自由だなって思った。
自分で選んで突き進んだ道だからこそ、
結末がどうあっても、きっと後悔はしないんだろうなぁ。
人が二人いれば、視点も主張も二つになる。
白朗サイドの視点での話にも興味が湧く。

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「ヒトラーの試写室」松岡圭祐 (角川文庫)

第二次大戦下の日本。そしてドイツ。
二国間を行き交いながら展開する史実から想起された物語。
ウルトラマンで馴染みの深い円谷プロダクションの高度な特殊技術の先駆けというか、黎明期と言うか、そんな時代を垣間見た感慨深さが胸に広がる。
そして、ナチスドイツが「タイタニック」の映画撮影を試みていたことに驚く。
しかも、あんな理由で。
情報をコントロールするための手段に使われていた映像。
その大がかりさに比べたら、今のSNSの手軽さが逆に怖い。
政治的なプロパガンダと技術者たちの仕事への熱意は別のもののはずなのに、
彼等の熱意も否応なしに戦争へと巻き込まれていくのがやるせない。



「できるかできないかと問われたら、とりあえずできると答える。
それから胃が痛くなるくらい考えれば解決策が見つかる」とは
円谷英二の言葉。
ウチのボスも良く言っています。
「契約を取らないと売り上げにはならない。多少厳しくても
取ってからどうやって利益を出すか考えればいい」
先日メーカーさんに「毎回無理言ってすみません。でも助かってます!」と言ったら
「でも無理言った案件は高確率で取ってくれてますから!」と言ってもらえて
お互いに「ありがとうございます!」の応酬になりました。(笑)


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「VIP 刻印」高岡ミズミ (講談社X文庫)

ちゃんと調べないからそういうことになるんだよ~~、と。
思わず言いたくなる展開。
騙された云々以前に、聡をあの母親の元に帰したのがそもそもの間違い。
とはいえ。
これは立ち回り方が相手が一枚上手だった。
和孝が一方的に庇護される立場だった状態から、ある程度対等に意思を伝えあえる関係へと変化していることが明確に伺える久遠と和孝。
互いに対する想いがより深く信頼のおけるものになっているのが伝わってくる。
逆に白朗と田丸の関係は思っていた以上に一方的と言うか田丸が盲目的で驚く。
危険を承知で飛び込む敵地。
どうなる!?

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