きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「わが愛しのホームズ」ローズ・ピアシー (モノクローム・ロマンス文庫)
ホームズのパスティーシュ。
「極秘捜査」から「最後の事件」へつづく2篇を収録。
ものっっすごい良かった!
前半に漂うストイックな背徳感と、決して口にすることのできない禁断の想い。
やるせなさと諦念とがじわじわと押し寄せて、
『四つの署名』でのワトソンの決断にこんな裏があったとは!
と、切なくなります。
そして後半は忍び寄る悪意に翻弄される怒涛の展開。
散りばめられた彼らの想いを汲み取るたびに泣きたくなって、
最後の最後で……わぁ、そこは是非読んでみてください。
原書もすばらしいのでしょうが、柿沼さんの翻訳が
原作の雰囲気を踏襲していて素晴らしい。
私、ルパン派!とずっと言い続けてるけど、
うっかり鞍替えしそうになりました。←しないけど、でもよろめきそう(笑)
JUNEに傾倒してきた方々には手放しでおススメ。
こういう雰囲気、たまらなく好き。
可能であれば、事前に『四つの署名』を読まれることをお薦めします。
『最後の事件』はWikiでさらっと内容を摑んでおくと、捕捉になります。
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「四つの署名」コナン・ドイル (新潮文庫)
扱っているのは殺人事件なんだけど、
全編にわたって漂うおおらかさというか、のほほんとした感じがすごい。
ヒマをもてあましてコカインをキメちゃうって、
今だったら捕まっちゃいます!
謀をする人たちが意外と簡単に人を信じちゃうのも
根っこは単純なのね、という微笑ましさすら感じる始末。
笑ってばかりもいられないのは、
イギリス人からの視点によるインド人の描写が
何だか差別的に感じこと。
これは作品が書かれた時代性なのかな?
事件に巻き込まれた(首を突っ込んだ?)彼らが
終始楽しそうだから、まぁ、いいか、と、
妙なところで納得して読了。
西欧の植民地支配が現代社会に与えた影響は……
とか、根深い方向に思考が飛びそうになったので、
物語へと軌道修正。
「(自分が乗っている)船が焼けてもいいからつかまえろ!」という
ホームズの無茶ぶりに笑った。【ガーディアン必読 63/1000】
「ハイスペックな彼の矜持と恋」夕映月子(シャレード文庫)
「完璧なタチ」と言われる自分の真の望みは、
実は「抱かれる」ことなのでは?
自分一人では解決し得ない悩みをかかえてしまうことは厄介だ。
悩み抜いた槙が意を決して足を踏み入れた店で出逢った三隅。
久しぶりに野性味あふれるフェロモン垂れ流しの
ついでに仕事もできちゃう超絶スーパー攻め様に出会いました。
そんな男に仕事で一目置かれる槙もハイスペックな受け様。
様々な葛藤や言葉不足の認識違いを経たうえでの槙の
「後ろで抱いてあげます」発言は、素晴らしい名言だと思った。
対等な存在として互いを尊重し合う、最高のパートナーに乾杯☆
同じ出来事を槙視点と三隅視点とで語られた二種のペーパーはお得感満載。
垣間見える三隅の嫉妬心がいいね。
「モモンガの件はおまかせを」似鳥鶏(文春文庫)
短編四話収録。
相変わらず馬鹿笑いできる楽しさと、胸を突かれる問題提起とが混在していて、
面白いだけでは終わらない読後感が絶妙。
捨て猫を拾って愛情込めて面倒をみる人もいれば、
飼ったものの、面倒を見きれずに無責任に放り出す人もいる。
ペットを飼っている友だちがよく憤っていることを
彼らも指摘してくれていました。
この巻でプライベートが明らかになった方は、とても納得の出自。
彼らが事件に巻き込まれる遭遇率の高さは突っ込まないでおきましょう。
そこを突っ込んだら、私のお楽しみがなくなってしまうから。
「アッパーカット」が超最高!惚れます。
次点で「捕ってこい」。鬼だ。
胸につかえたどんよりとした想いを払拭するために、
そこだけ読みかえして大笑いして読了。
「ダブル・トラップ Love&Trust EX.」榎田尤利 (SHYノベルズ)
沓澤と核が大好きな私にはとてもとても嬉しいボーナストラック。
ふたりの出逢い編と、本編その後。
なんだ、最初から堕ちてたんじゃん!と言いたくなるふたりですね~。
核の抱えてしまったトラウマをちゃんと理解している辺りが、
沓沢の大人の懐の広さだなぁ。
己の弱さを知っているからこその強さって確かにある。
それを自覚しているから沓沢は強いのか、と、
しみじみ惚れ直しました。
そして、内心の全てを吐き出した核のかわいいこと。
このふたり、本当に好き。
真の意味で一線を越えた二人をしっかり認識した杣さんはさすがです。
テンポよくサクサク読めるシリーズで、楽しく一気読み。
繰り返しになるけど、石原さんのイラストとのマッチングが本当に素敵でした。
「死の臓器」浅野涼(文芸社文庫)
地位や名声やお金を望むのも、飽くなき向上心も結構。
自力でのし上がれるなら、或は誰かの助力を得られるのなら、
どこまでも高みを目指せばいい。
だけど、それらが他人を陥れ、犠牲にし、
法を犯さなければ手に入れられないものならば、
それは身の丈に合わないものなんだよ?
と最初は憤っていたけど、悪役は小物すぎて腰砕けだった。
利権に走る者がいる一方で、
日野医師や日野病院のスタッフの医療や患者に対するスタンスは素晴らしい。
腎臓移植や人工透析については学ぶところが多かった。
身近に移植した友だちや透析を受けている人がいるから、余計にかな。
臓器売買、人身売買を扱った作品では
個人的に『闇の子どもたち』の後味の悪さが半端なかった。
精神的にかなりなダメージを喰らったので、
今のところは読み返す勇気、ないなぁ。
どうでもいいけど、「患者に」という言葉の一発変換は「関ジャニ」と言ってきた私のPC(笑)
「100 Love Letters Love&Trust 3 」榎田尤利(SHY NOVELS)
前の二作とはちょっとテイストが変わってのシリアス展開。
いい。
すごくいい。
天の自立を望みながら寂しさを抱える核。
慣れない隠し事をしてしまったばっかりに拗れてしまった天と正文。
気付いてしまった想いに溺れてしまう前に身を引こうとした核と、
核に対する想いをむき出しにした沓澤。
沓澤の執着と愛情が、個人的にとてもツボ。
冷静さをかなぐり捨てた男の魅力って計り知れない。
今回のお仕事、一通一通届けられる百通の手紙にまつわる
エピソードがあまりにもロマンチックでキュンとしました。
それ以上にラストの沓澤と核の会話がロマンチック。
とても幸せに読了。
蛇足だけど、言いたい!沓澤の無精ひげ姿に身悶えっ!
日頃身ぎれいにしている男のこういう隙ってたまらないよね。
バラ売り不可の兄弟+正文。
そこに沓澤が加わって賑やかな日常が繰り広げられるのかな?
とか、妄想すると楽しい。
あ、杣さんも忘れずに☆
「幸福論」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)
ヘッセの晩年の随想や短編が14編収められた作品集。
この本は、ある程度ヘッセの作品を読んだうえで手に取ることをおすすめします。
ヘッセの著書にまつわる話や作品名がチラチラ出てくるので、
そのストーリーを思い浮かべて頷くことができるのは、読んだ人だけの特権。
そして、この本に収められている作品を読み進めていくほどに、
既読の作品から受け取っていたイメージと違わぬヘッセの姿がそこここに在って、
なんだかほっとするのです。
だからこそ、最後の「日本の私の読者に」というヘッセからのメッセージは
素晴らしいプレゼントでした。
「部屋のあかりを消すと外には異常に美しい神秘的な世界が横たわっている」
という表現の後につづく情景描写が秀逸。
内容には関係ないけど、この作品に限らず、
高橋氏は「もう少し」と言いたくなるところを「も少し」と訳します。
だから必ずそこでひっかかる(笑)
「Erotic Perfume Love&Trust 2」榎田尤利(SHY NOVELS)
不倫で泥沼になるのも傷つくのも恨まれるのも、
跳ね返ってくるのが自分に対してならば自業自得で片が付く。
だけど、大人の身勝手な事情で
子どもに不憫な想いをさせては絶対にいけない。
読後に何かがひっかかたような想いが残ったのは、ソコだよね。
やり直すことのできない年齢や立場になってしまった家族の姿が寂しい。
一方で家族愛を全身で表現しあう兄弟愛は健在。
恋愛面に関しては子どものまま大人なった天の葛藤が微笑ましい。
天と正文の恋愛はこれから。
反対に、性に対して奔放な核には悪魔の尻尾が絶対くっついていると思う。
沓澤と核の大人カプの醸し出す雰囲気そのものがとても好き。
次巻も楽しみ♪
というわけで、二巻も楽しく読了。
沓澤の核に対する態度のなにからなにまでがとてもツボ。
核の答え方もやっぱりツボ。
強気で戦える女王様は最高なのです。
「ラブ&トラスト」榎田尤利 (SHYノベルズ)
素晴らしきかな兄弟愛。
行き過ぎたスキンシップ上等!
研ぎ澄まされた爪と牙を持ったしなやかな豹の闘う姿もカッコよければ、
両足を踏ん張って懸命に誰かを守ろうとする小動物もまたカッコイイのです。
それぞれのキャラが際立っていて楽しい上に、
石原さんの色気ダダ漏れなイラストとのマッチングぶりが素晴らしくて!
テンポよく進む作品自体の面白さとの相乗効果で
ハイテンションでの読了。
……なんだけど。
梁石目の『闇の子供たち』 が脳裏を過って、陰鬱な気分がチラッと。
子どもの臓器売買はやりきれない。
個人的には沓澤氏と核のペアが好みドストライク♪
次巻も楽しみ。
私も子どものころの思い出に、
母が揚げてくれたドーナツのおやつがあります。
アツアツでふんわり甘い、極上の逸品。
粉砂糖を振りかけただけで贅沢度が上がるのです。
母が作ってくれる蒸しパンも大好きだった。
その延長でマーラーカオが好き。
アツアツのドーナツが久々に食べたくなりました。