きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「岳飛伝 12 瓢風の章」北方謙三 (集英社文庫)
李俊や史進が年老い、そして北方も同じように年を重ねた。
「死」に対する描写に、そのことが感じ取れる気がする。
だけど、それは悪いことではない。
人は誰もが年を重ね、そして死んでいくのだから。
だからこそ。
「死に場所は求めぬ。新しく生きる場所を求めるために、闘おう」
彼のこの言葉に嬉しくて震えた。
燕青と李師子の二人の醸し出す雰囲気がとても好き。
艶っぽくも慣れ合わない二人の空気感が好き。
全てが彼自身が納得ずくの行動だったことが嬉しくて、悲しい。
そして秦容無双。
胡土児がこの先梁山泊組とどう関わってくるのか。気になるわ。
昨日の「山カフェ」(ラジオね)でサトウキビで作ったラム酒の話をしていて。
ああ、まさにまさに!今小梁山でそれ作ってる~~!と、
朝から一人テンションが上がった私です。
以下ネタバレ気味。…………彼自身、納得の最期だったんだと。私も納得。
とはいえ。
思えば『水滸伝』からここまで。
よくぞここまで。と、やっぱり寂しい。
残る古参組は二人。
心して見届けます。
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「傭兵の男が女神と呼ばれる世界 (2) 」野原耳子
【再読】
読んだ本の内容を完璧に覚えていられた方がいいのか、
薄らぼんやりしていた方が再読したときのお楽しみが増すのか。
出来れば完璧に覚えていたいけど無理。
というわけで、新刊を読む前の予習復習的な準備万端。
自分を必要としてくれる誰かがいる。
自分の命を預けることのできる誰かがそこにいる。
孤独と絶望の中にいた雄一郎とノアとテメレアの三人のバランスが心地よい。
他国からの干渉をはねのけ、
自らの国を守るために、前線で戦いに臨むことを選んだ彼ら。
現実世界の出来事を鑑みて思わず唸ってしまう。
彼らの幸いを願って、最終巻へ。
読む気は満々なんだけど、オーダーした本が届くのが来週。
他の本とまとめての発送にしちゃってるからだけど、今すぐ読みたい、
と、気持ちが逸る。
「テロリストにも愛を」榎本憲男 (ハルキ文庫)
気づかないうちに相手の意図した方向へ誘導される思考の操作は恐ろしい。
明確な意図をもっていたずらに煽られる恐怖心も気に入らない。
物事を自分自身の目で見極めることは大切だけれども。
取り込んだ情報をしっかり精査できるかどうかが問題。
そして、立場が違えば見方が変わる。
自分の価値観だけで文化や思想の違う人たちの幸不幸を決めてしまってはいけない。
と、なかなか深いところに切り込んで考えさえられることも多々ありましたが。
一番強く思ったことは。
鴨下刑事は女子高生刑事・真理にひっかきまわされることなく、
恋人の愛里沙と安泰でいてほしいということなのでした。
日本的にはオッケーだったとしても。
彼に対する組織からの制裁はなかったのだろうか?
と、ちょっと気になった。
そんなに甘くないよね?
「岳飛伝 11 烽燧の章」北方謙三 (集英社文庫)
兀朮の独白は時折独りよがりで鬱陶しいなぁ、と思っていたのですが。
そして戦いに対するこだわりに、周りを巻き込まずに一人でやれよ、と思っていたのですが。
この巻で私の兀朮の評価はダダ下がりました。
「九紋竜ごとき」って言ったなぁ!
ごときって!なんて失礼な。←山泊贔屓。
一つの旗の元に集い、一致団結していた旧世代。
今の世代を担う彼らは、一人一人がやるべきことを考え、その答えを導き出している。
そのうえで同じ方向を向いている足元のしっかりした強さが感じ取れるようになってきた。
自分が思った通りに生ききればいいと、語った李俊。
それもまた、一つの在り方。
通信の手段……それがあったか!と唸る。
ルーツは古代エジプトまで遡るっていうからすごいなー。
そして私の馬鹿馬鹿馬鹿。
絶対ネタバレ拾うまいって思ってたのに。
これから読む巻の人様のレビューを見てはいけない。絶対に。
何度目かの反省。
「林檎甘いか酸っぱいか[青]」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
潔いほどまっすぐに放たれる言葉。
迷いなく飛び込むことのできる行動力。
それは、まだ未成熟な子ども故の無鉄砲さではなく、
志緒という一人の人間の在り様であるからこそ、
惹かれ、魅了される。
一方、大人であり、教師という柵から逃れられない桂は、
何でもないような顔をしながら、やるせない思いにのたうちまわる。
ひどくバランスの悪いふたりが、
だけれども、これ以上ない絆と結びつきを深めていく様子が
丁寧に描かれていて、
その心の機微に触れては嬉しくなったり切なくなったりの追体験。
幸せな読書時間。
そして志緒の父、かっこよかった。
中高大と一貫した女子校に務める母親から、
職場に忘れ物を持ってくるように仰せつかった高校生男子。
母の指令は絶対。
だけど、女の園に一人で足を踏み入れるのは絶対無理。
ということで、引きずって行ったのは双子の弟。
二人で校内を恐る恐る歩いた結果は……悪目立ち。(笑)
本当にそっくりな双子だったんだよね。
「meet, again.」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
【再読】
言葉は時に鋭い刃となる。
その言葉をぶつけられた相手と、そして放った当人の心をズタズタにする。
そんな傷を抱え続けた嵐。
そして、言葉を巧みに操って他者を傷つける栫。
何が彼をそこまで歪なものにしたのか?
彼の置かれた環境、としか答えられない。
栫の言葉に抉られ、そして救われた嵐は、
歪みを抱えた栫に惹かれ、疲弊していく。
母親同様、過去に捕らわれ続けた栫。
嵐の言葉に応えた栫の眠りからの目覚めはある種の禊。
栫を世界に呼び戻してくれた嵐の心からの笑顔を、今度は栫が取り戻してあげて。
その日は必ず訪れる。
というわけで、登録2000冊目。
節目の数にふさわしい本を選ぶ、というよりも、今一番読みたい本を読んだ結果、
この本の再読ということになりました。
まー、読書の仕方として間違ってない(笑)
これでようやく『林檎甘いか酸っぱいか』にすすめる。
七年近くも積んでしまったことが信じられない。
「雪よ林檎の香のごとく」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
【再読】
一穂さんらしい綺麗で独特な言葉で構築される、透明な世界。
再読でも読後に尾を引く余韻が半端ない。
心地よいため息。
どこから生まれてくるのかわからないけれども。
気づいたら抱えている「好き」の気持ち。
それを意図的に殺してしまうことはできない。
だから抱え続ける。
そんな志緒の想いが解いた、桂の孤独な決意。
誰かと共に生きていけること。
その幸せをかみしめる。
栫に立ち向かったりかちゃんはかっこいいし、
栫に馬鹿っぽい啖呵を切った桂に笑う。
散々に傷ついた後に手にした光。
幸せになる権利は誰にだってある。
そのことを忘れないで。
続編を読むために再読。
積みっぱなしの同人誌が段箱にひと箱じゃすまない現実に戦慄する身としては、
一冊の本にまとめてくれたのは大変ありがたい。
いや。
同人も商業も読めてない現実は一緒?
買って満足する…という現状をどうにかしないと、積読は減らないよね。
頑張ろう、私(笑)
「岳飛伝 10 天雷の章」北方謙三 (集英社文庫)
水上での懸念が杞憂に終わってほっとしたのも束の間。
陸上では凄惨な死闘が繰り広げられてしまった。
過去を乗り越え、やっと心落ち着ける場所にたどり着けたのに。
王貴、王清、蔡豹。
かつて共に過ごした男たちの恋は悲喜こもごも。
娘を嫁に出し、父親としての複雑な思いを抱く岳飛が可愛い。
何故『岳飛伝』なのか。
ここまで読み続けてようやく腑に落ちた10巻。
梁岳道という名づけられた道が体現しているように、梁山泊と共闘する岳飛を書きたかったんだ、という北方の浪漫思考の表れ。(多分)
派手な色の着物を身に着ける蕭炫材。粋だね。
東南アジア感満載で象まで出てきましたよ。
私も乗せてもらったことある~~!と、勝手に親近感。
あの高さからの視界はなかなかでした。
象、駱駝、馬、ポニーは試乗(?)体験済み。
どの動物さんにも乗ったというのではなく、乗せていただきました(笑)
馬で草原を疾駆できたら気持ちいだろうなぁ。
「岳飛伝 9 曉角の章」北方謙三 (集英社文庫)
秦容のストイックな強さが垣間見れて、私が嬉しい巻。
赤騎兵を従えて疾駆する史進はかっこよかった。
新旧の豪傑たちの活躍が随所にみられるけれども、
戦いはまだ始まったばかり。
一番最初に死線に突入するのは水軍なのかな。
張朔と狄成の会話は肩透かしフラグであってほしい。
ジワジワと金国を締め上げる、宣凱の戦略。
候真の胸に芽生えた想いが、彼の命を縮めることにならなければいい。
タイトルは岳飛伝。……ん?岳飛、どこ行った?
と思うくらい、梁山泊&小梁山メンバーが熱い。
岳飛が前面に出てくるときは彼らの姿が欠けていく時なのだろうか?
ちょっと不安。
火薬、羅針盤、そして紙。
そう。紙まで作り始めた小梁山。
宋代の中国三大発明と言われるものを、しっかり梁山泊&小梁山が手にしているところが
なんだか流石だなーと思ってしまった。