きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「岳飛伝 5 紅星の章」北方謙三 (集英社文庫)
「生きる覚悟をしろ」と部下に諭しつつ。
兵を死なせても戦いの道を選ぶ。
その矛盾。
それが退路を断たれての唯一の道だったのであれば納得できた。
けれども。
「愉しい戦」
その言葉には釈然としないものが残ってしまった。
そして。
ついに潰えてしまった一つの命。
「心に梁山泊がある者が、梁山泊を作る」
いまや、大陸に散った漢たちがいる。
彼らの在るところに梁山泊在り。
そうであるならば、なんと広範囲に梁山泊が在ることか。
私にとってはいまだにこの作品は『岳飛伝』ではなく『梁山泊』の物語なのである。
どこかで転じるのか?
交易の日本の拠点となっている十三湊。
その十三湊遺跡、調べてみると、行けなくはない場所だったので、いつか訪ねてみたいなぁ。
「長い間幻の港町とされてきた」というだけでわくわくする。
藤原基衡と秀衡の登場には北の民としてはおお!となりました。
平泉……十三湊からは意外と遠いけど、大陸の広さに比べたらどうってことないんだろうなぁ。
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「GIANT KILLING(60)」ツジトモ (モーニング KC)
磐田戦決着。
試合の結果もさることながら、それ以上に大きかったのは椿の躍進。
そして何やらとても楽しそうな(本人たちは必死)名古屋と大阪の試合。
この試合、がっつり描いて欲しかったなぁ
……と思ったら、表紙に対戦相手だった磐田より大阪と名古屋の人たち出張っていたよ(笑)
シーズン終盤には来シーズンの契約の話が当然出てきて、
出る人残る人が徐々に決まっていくのはとてもリアル。
そんな中で気になる椿の動向。
だから彼の吐露した胸の内に熱くなった。
ホントに成長したなぁ。
残り試合もあと僅か。
「必ずタイトルを獲れ」
その通りだよ!
今シーズンが開幕したJリーグ。
ウチのチームの出だしはまずまず。
一年後、再びJ1に復帰してくれていることを願って。
がんばれー!
なんかコッシー、若返っている気が?
「AGAIN DEADLOCK番外編3」英田サキ (キャラ文庫)
シリーズも15周年になれば、世界観は盤石。
長らく続く作品の安定感と読み心地の良さったら半端ない。
小冊子やペーパー、アンソロ収録作品を一冊にまとめた番外編。
持っているものが多々あっても、
やはりこうして一冊になったものを手に取ることができるのは嬉しい。
葛藤や煩悶を乗り越え、共に時を歩みつづける4組の恋人たち。
他愛のない日常を描いているからこそ、
いつも通りの彼らに加えて、今まで見ることのなかった彼らの表情を
垣間見ることができる至福の読書時間。
愛し合う想いに微塵の揺るぎもない姿がとても素敵。
大満足で読了。
シーフードガンボ、ポジョデモーレ……どんな料理か全く想像できなくて、
レシピ調べちゃったよね。食べてみたくて。
どちらも家庭料理なだけあって自作できそうなので試してみたい。
「インフォデミック-巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)
自由を主張する権利は誰にでもある。
けれども。
社会生活を営む以上、たとえ窮屈に感じても守らなければいけないルールがある。
そして。
快適で安全な生活と引き換えに、どこまでの管理を受け入れるのか。
……というより、そのシステムと運用する側にどこまでの信頼がおけるのか?ということを問いたくなる。
コロナを巡るトラブルが主体の話かと思ったけれどもそうではなく、
突き付けられたテーマは途方もなく大きかった。
考えたって正解はわからない。
わからないながらも考えないといけない局面だということは理解できる。
難しいね。
コロナウィルスとはなんぞや?
その問いに対しての本書の冒頭でなされた説明は
とてもとてもわかりやすかった。
とある出来事を真行寺側からの視点で描かれるのが本作。
そして吉良側の視点で描かれるのが『コールドウォー DASPA吉良大介』。
本作だけ読むと、問題解決に必死で動いていた真行寺が少しお気の毒な気がする。
吉良たちは何を思いながら動いていたのか?
足りてないものを補うために、そちらも読まねば。
「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将 (角川文庫)
2011年3月11日。
その日、いつもの時間に仕事に赴いた彼らは、いつもの日常の延長でその場にいたはずだった。
けれども。
14時46分。
日常が瓦解する。
その瞬間から彼らが担い続けた職務の大変さは計り知れない。
これは、知識や経験を最大限に引き出し、危険な場所から逃げることなく、
最悪の事態を阻止するために死力を尽くした人々の記録。
福島原子力発電所。
あの時あの場所でどんな決断がなされ、どんな覚悟を抱き、どんな作業が行われていたのか。
遠くない場所に住む者として、知っておかなければならない。
そして、ありがとうございます、と。
心の底から思う。
こんなにこんなに大変だったんだよ?と。
今、原発に武力を向けている人たちに伝わればいい。
「欺かれた男」英田サキ (キャラ文庫)
表題+続編の2作品収録。
続編の方が俄然面白いなーと思いながら読んでいたら、
続編が書かれるまで8年。
経過した時間がそれだけあるなら、
筆力にも深みがでるなー、と思ってみました。
表題は読み始めから俯瞰して見えてる筋道通りに話が進んでいってるなーという印象。
沢渡、ちょろい。(←言い方)
槙野、ちょっとキモイ。(←……言い方!)
続編はその沢渡がとても良い感じで仕切ってくれました。
例えるなら、エリート二人を一喝と拳で黙らせる猛獣使い。(笑)
槙野もなんだかんだ頑張った。
藤本はちょっとお気の毒だけど、後出しはそうなるよね。
美味しいお酒が飲めるようになるといいね。
収集はコンプ済の英田さん。
今年はあと2冊読む本を決めていて、完全攻略は来年以降に持ち越し。
主だったシリーズ物は読了済みであとは短編のみ……
この作品を読んで、発刊順に読んでいくのがベストかな?と思ってみました。
「DASPA 吉良大介 」榎本憲男(小学館文庫)
エンタメでありつつ、それ以上の含みを持った作品。
ロシアとアメリカの在り様。
ウクライナとベラルーシの国の在り様。
作中で語られることがリアルな世界情勢とオーバーラップして
なんかもう、考えさせられる。
そしてリアル世界の実情を鑑みて唸る。
むー。
「人は信じたいものを信じる」。
うん。納得。
だから「安全神話ではない。安全願望です」という発言が出てくる。
目を背けずに最悪を想定して、それに対する対策を練る。
実はそれは日本人には不得手なこと、とは井沢さんの弁。(逆説の日本史)
自衛のために、とても大事なことだと思う。
あの人、この人、あ、それあの時のこと!と、
見知った人たちや、かつての出来事があちこちにちりばめられていてとても楽しい。
だからこそ。
この作品単体ではお勧めできない。
まずは『真行寺シリーズ』のせめて一作目を。
できれば『インフォデミック』の手前までを読んでから手に取ることをお勧めします。
出版社が違うから、ここまでリンクしてるとは思わなかったわ~。
そして真行寺シリーズの『インフォデミック』と吉良大介シリーズの『コールドウォー』は
同時進行しているらしい。楽しみ~~!
「甘い水 2」かわい有美子 (リンクスロマンス)
【再読】
ひとりで乗り越えるにはあまりにも大きな傷を抱えた遠藤。
彼自身は前向きに人生と向き合ってきているけれども。
時折吐露される小さなエピソードの数々が刺さる。
1巻よりもこちらの内容をより鮮明に覚えていたのは、
2巻目でタイトルの根幹に関わるような話をしていることと、
神宮寺と遠藤の関係がより揺るぎのないものになったから。
そのために払わなければならなかった代償が痛々しいけれども。
守り守られ、共に桜を愛で、花火を見上げ、ふたりでずっと一緒に歩んでいってほしい。
情事の最中の「お前なんか」のあとの遠藤のセリフがとても好き。
漢字が読めない神宮寺って、私のイメージとはちょっと違っていてなんだか新鮮。
漢字の書き取りをやっていた姪っ子ちゃんに
「私国語得意だったよー」と自慢してみたところ、
「本いっぱい読んだから?」と聞かれたので
「そうだよ。いっぱい読んだから」と自信満々で答えておきました。
「岳飛伝 4 日暈の章」 (集英社文庫)
壮大な物語。
半端ない読み応え。
私の方に一気に読み切る体力がなかった。なんか悔しいなぁ。
交易の道の拡充、未開の地の開墾、造船、そして従来通りの調練。
梁山泊はワールドワイドな頼もしい集団に。
自らの力を発揮できる持ち場を探し、
そこで頭角を現していく若い力の台頭が頼もしい。
と同時に、己の老いを自覚して自問する古参の背中がやるせない。
だけど、貴方たちにしかできないことがある。
憎まれ口をたたきながらも若手を指南していってほしい。
岳飛軍にも金軍にも魅力的な漢が続々と。
彼らの運命がどう交錯していくのか。
見届けなければいけない。
解説、鳴海さんだ~、と、わくわくしながら読む。
(解説をきちんと最後まで読むこと自体、私にしては珍しい)
冒頭にやられる。
「『岳飛伝』は亡霊に恋する男たちの語である」
亡霊とは誰を指すのかは一目瞭然。
成就しない恋を抱えた男たちが、それぞれの生きざまを見つける物語、
と、言い換えてもいいだろう。
「甘い水 」かわい有美子(リンクスロマンス)
【再読】
間の悪いタイミングで耳に届いてしまった言葉が発端で、
遠藤から神宮寺に向けられるようになった反発。
遠藤には全く届いていなかった、所属部署を移動してまでも
遠藤を追いかけたかった神宮寺の想い。
第三者が上手く間に入って、そうと知らずあるいは意図的に彼らの
関係の改善やそれぞれに対する想いの自覚を促していく様がとても楽しい。
遠藤に関してはカラダからの興味が勝った部分が無きにしも非ずだけど、
色気の全くないその誘い方がある意味新鮮。
オトコマエすぎる誘い受け。(笑)
発展途上の彼らの物語がまだ続くことがうれしい。
『墨と雪 2』に向けての再読なわけですが。
その主人公の一人、篠口が思っていた以上に出番があって、再読して大正解。
このシリーズ電子では読めるけど、紙本で入手しずらくなっているのが
紙派の私としては残念。