きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ドッグレース」木内一裕 (講談社文庫)
元ヤクザの探偵矢能。
カタギを主張する彼のやることなすこと立派なヤクザ寄り。
でも、彼の主義は全くぶれないところがカッコいい。
そんな彼でも養女の栞に対峙する時には
新米パパ予備軍的な態度になるギャップが良いね。
法の境目を簡単に飛び越える非情さと、
懐に入れた人間に対する情愛とが違和感なく同居している。
今回の依頼は他人の犯した殺人の罪を着せられた男の無罪を証明するための調査。
闇社会の人間のことは闇社会に。
故に、行く先々で降りかかるトラブル。
いつもの面々に加えて今作で新たに登場した男たちがまた憎めない。
また会えるかな?
「メシでもご一緒願えませんかね?」
「断る」
矢能のこの一刀両断なそっけなさが好き(笑)
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「星に願いをかけるには」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)
孤独の中にいたマイロが星に託した願い事。
そしてそのマイロを見失いかけたジェイソンが星に願った想い。
そんな彼らの恋の行方と並行して語られるのは、
平穏に暮らす町に降りかかった未知のウィルスの脅威。
本人が思っているほど頑なでもクールでもないジェイソン。
彼が押し隠した想いを本能的に察したマイロのジェイソン認識が、
本人の自己認識とかけ離れているところが面白い。
理屈をこねていたジェインがようやく素直になったかと思えば、
その想いをマイロに伝え損なう間の悪さ。
だけど、それは彼だけのせいじゃない。
凶暴な(笑)援護射撃に感謝しないとね。
一話話完結で続いてきての、シリーズ第三弾は
これは次巻に続くと考えて良いのよね?と前のめりになるエンド。
不穏な気配ムンムンで胸がざわざわする。
この町の平穏が壊されることがありませんように。
「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」ジェイ・マキナニー (新潮文庫)
「きみはそんな男ではない」
印象的な書き出し。
やわらかな二人称の語り掛けに引き込まれるように、
物語世界を浮遊する自分がいる。
意にそぐわない仕事。
出て行ってしまった妻。
自堕落な遊びに誘う友。断れないきみ。
現状に不満を感じ、居心地の悪さを感じているくせに、
その現状を変えようとする努力の見えないきみ。
それどころか仕事放棄。
それじゃあ、何も変わらないよね、と冷めた思いで見てしまう私。
これまでの生活をぶち壊したきみが、
夜明けの光の中でパンを口にするシーンが印象的。
だけど、本当にやり直せるの?
懐疑的な私。
「性格を知りたかったら、その人間の蔵書を調べてみるのが一番いい」
なるほど。
蔵書を読メの読了本に置き換えても同じことを言えるのかな?と
ふと思ってみました。
【ガーディアン必読102/1000冊】
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女Ⅲ」
文武両道な上に帝王学まで。
人様が1コースのところを
3コース制覇したフェルディナンドの超人ぶりがすばらしい。
だけど、何故そこまで頑張らなければならなかったのかという
生い立ちを思うと、称賛してばかりもいられない。
貴族社会はつくづく窮屈だわ。
そんな貴族社会で奮闘するローゼマイン。
すがることのできない家族のぬくもりの代わりに
父のマントにくるまる姿が痛々しくて涙出そう。
そして、押し寄せてくるカエルの大群に遭遇しても涙出そうだわ。←意味が違う。
今回は職人の世界の在り様が知れる。
モノづくりの職人さんたちがいることで世界は成り立ってる。
転生前に成人だっただけあって、
子どもたちのやる気に対する火のつけ方はうまいなー。
「モチベーションは自分であげるものだ」と言い切った
ウチの会社の偉い人、ちょっと見習ってください。
時にヘルプも飴も必要!
「愚者の毒」宇佐美まこと (祥伝社文庫)
極悪非道な人間を、まっとうに糾弾することのできないもどかしさ。
今日を過ごすために耐え忍ぶしかない劣悪な状況下で彼らが修羅の道を選んだのは、
守るべき者のため。
それなのに……と、やるせなさで胸が痛い。
迫るのは、大切な人の人生を呑み込まんとする害悪。
ギリギリのところでその決断をせざるを得なかった彼らに
他にやり様はなかった。
それでも、彼らは帳尻を合わせないといけなかったのだろうか?
ならば、彼もまた、その責を負わねばなるまい。
幸せになる権利は彼にこそあったのに。
与えられた愛情が伝わっていたことが嬉しくて、そして哀しい。
読了後の時間の経過とともにジワジワと痛みが増す。
ウチのちびっこたちをぎゅっと抱きしめたくなりました。
いっぱい笑ってすくすくと育ってほしいなー。
「命の砦」五十嵐貴久(祥伝社)
「あなたは間違っています」
まさにこの一言に尽きる。
彼女だけじゃない。
犯行に加担した人間は、誰も彼もが間違っている。
その主張の仕方が。
承認欲求の吐き出し方が。
そんな彼らが生み出した炎を鎮めるために、
命を懸けなければならなかった人たちがいる理不尽。
怯まず炎に立ち向かっていった彼らの職務に対する意識の高さ。
故に彼らは人々の命を救い、自らの命を失った。
そのことに対してどう思っているのか。
犯人たちに問い正したい。
アカウントを削除したら簡単に関係の断ち切れる存在。
そんなものの言葉に乗って人生を賭ける選択ができることが恐ろしい。
新宿サブナードにお気に入りのショップがあって、
何度も何度もあの一帯に足を運んだ身としては、
新宿の地下が燃え盛る様子を想像してゾクリとしてしまったお借り本。
災害が起きた場合は救助の妨げになるような行為をしては絶対にいけない。
と、改めて肝に銘じてみました。
「最凶の恋人(6)―例会にて―」水壬楓子 (ビーボーイスラッシュノベルズ)
読み進めるほどに面白くなっていくシリーズ。
窮地にあって尚、遥を表に出さずに守ろうとする柾鷹と、
自らの意志でその場に赴き、柾鷹を煩わせる問題を解決した遥。
ヤクザではない遥が示した男気が半端なくかっこいい。
そして柾鷹が守ろうとしている遥の立ち位置が知れて、柾鷹を見直す。
ヤクザ相手に啖呵きれる梓ちゃんもカッコいい。
この子には遥とずっとこうやってつるんでいてほしいなぁ。
同録は生野と千紘。
腹の底はどうであれ、同級生のために骨を折った二人。
この子たちも読み進めるほどに印象良くなっていくんだよなぁ。
でも、あっちこっちで盛るのはやめよう(笑)
存じ上げている方々がぞろぞろ出てきて、
再読したいリンク作品が増えるって……時間が全く足りてない。
そのうちね。そのうち。
それにしても、表紙の指定って誰がどんな感じでしてるんだろう?
これじゃない!感が半端ないんですけどー。どー。←エコー。
「最凶の恋人(5)―ある一つの賭け―」水壬楓子 (ビーボーイスラッシュノベルズ)
前巻で柾鷹と共に生きていく覚悟を決めた遥。
今回遥が随所で伺わせたのは「自信」かな。
柾鷹に愛されているという自信。
それをナチュラルに滲ませている感じが、なんかいいなーと思う。
柾鷹に対する信頼は、遥の柾鷹に対する深い想いの表れ。
なのに、遥は絶対にデレない。
最後まで読み切って、ささやかな家電量販店デートで幸せをかみしめる柾鷹が
ちょっとだけ不憫だと思った。
まぁ、好き勝手やっている柾鷹にデレたら余計にめんどくさくなるかな?
拉致された遥を巡ってのやり取りに、
二人の揺るぎない想いが明確に伝わってきたのがすっごく良かった。
友だちと『氷刃の雫』の話をしたのが昨日。
そしたら本作の会話の中で秀島の名前がでてきて、テンションがあがりました。
作品の世界観がリンクしていると、こういうお楽しみがあります♪