きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「惑いの森」中村文則 (文春文庫)
短編はあまり好んでは読まない。
そして、最近の著者の作品とは相性が良くなかった。
そんなマイナス要素は一作目を読み始めた瞬間に霧散する。
50篇の短編で構築された一つの世界。
即ち、著者の紡ぎ出した森の中に惑うことなくスッと入り込んでいく。
森の中の木々が伝えてくれるのは、
包み込むようなやさしさと、やわらかさ。
尖った異物感。そして不快感。
一作一作を読みながら胸の内に浮かんでくる想いを抱いて
浮遊する空間は99%心地よい。
漂う世界のその心地よさに、安堵の息をつく。
また森の中へ足を踏み入れたくなる読後感。
蜘蛛の言葉がエロティック。こういうエロスは歓迎する。
緊急ボタンに体当たりするネコ、頑張った。
クマのぬいぐるみの想いが切ない。
そして「鐘」。そうだよね、と、全力で頷きたい。
「星空の16進数」逸木裕(角川書店)
主軸は親からネグレクトを受け、幼いころ誘拐事件に巻き込まれた
コミュ障気味の17歳の少女が、周囲とコミュニケーションを図ることを覚え、
自己の確立をしていく物語。
個人的には。
謎の解明をしていく一見常識人の探偵・みどりの
「自分を殺す人間の顔を見てみたかった」という闇の部分と
刑事から探偵に転身し、見方も肝を冷やすほどの凄みを聞かせる強面浅川。
そして、柔らかであたたかみのある司だけど、
みどりの夫をやってるくらいだから、過去に何か抱えていると面白い。
そんな彼らの存在に興味新進で読了したお借り本。
特に浅川氏、素敵っ。
CMYKがなんたるかもわからないまま、
フォトショと格闘した日々を懐かしく思い出しました。
感覚だけで表紙作ってたなぁ。
#FFFFFFは白。
#000000は黒。
これだけは覚えています(笑)
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅳ」香月美夜
お貴族様の社会、ほんとめんどくさい。
そしてお貴族様の結婚、やっぱりめんどくさい。
ストレートに言葉を伝え合うことができないのも、
政治的な意図によって婚姻が決められるのも、
何もかもがめんどくさいわーーーー!←なんかストレスだったらしい。私の(笑)
下町が恋しい。
……と思ったら、まさかの下町消滅の危機。
貴族と平民の力関係がここまでだとは思わなかった。
そしてローゼマインが貴族と平民の間の緩衝材になってくれている重要性がよくわかる。
とはいえ、身の回りの生活環境をきれいに整えるのは大事だよね。
皆頑張って!
ヴィルフリートと婚約したものの、ローゼマインが彼と結婚するイメージが全くわかない。
そして刺繡というスキルは私にも多分ない。
祖母が手先がとても器用な人で、いろんなものを手作りしていたことを
懐かしく思い出しました。
今でも使わせてもらってるものがあったりします。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅱ」香月美夜「
王族であるアナスタージウスの恋愛は
想い人の諸事情も相まって色々大変そうだけど素直に応援したくなる。
がんばれ。
ってか、直接的な言葉を伝え合う習慣がないのは、まわりくどいしめんどくさい。
人任せだったり思い込みだったりしてたら本当の気持ちは伝わらないよ~。
アナスタージウスも規格外の貴族っぽくて面白い。
エーレンフェストの騎士団は課題山積。
ローゼマインの指摘によって浮き彫りになったことが今後改善され、
メキメキ強くなっていったら面白い。
やっと下町の人たちが出てきたけど、訪れる一つの転換期。
いつまでも変わらないままではいられないのよね。
前巻でちょっとダレたけど、今回はそんなことなかったので一安心☆
長い物語。
波があってあたりまえ……かな?(笑)
「この春、とうに死んでるあなたを探して」榎田ユウリ (単行本)
たとえ、20年間会わなかったとしても。
再会した瞬間、一瞬で当時の関係性が蘇ってくる。
それが、学生時代を共にした同級生という存在。
38歳になっても子供じみたやり取りができるのは、
成長期を共にした者同士の特権。
共有する過去の思い出を語り、そして今の自分の在り様を伝え合う。
少しずつ詳らかになる互いの今。
23年前に事故死した恩師の死と向き合うことが、
今を生きる彼の再生へと結びついていく。
彼は帰るべくしてこの街に帰ってきたのだと。
そう、思える。
人は一人で生きているのではない。
支えあってここに在るのだと。
「う~な~ぎお~いし か~ば~や~きぃ~」
なんの歌か考えなくてもメロディーが浮かぶって、唱歌すごいな。
4年に一度のオリンピックイヤーに必ず集っていた小6のときの同級生たち。
今年はコロナの渦中につき、同窓会はなし。
また皆で集まって、大人げなくはしゃいで語り合える日が必ず訪れますように。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員I」
派閥に関してあんまり良いイメージを抱いていないので、
派閥撤回に動いたローゼマインには賛成。
競争は学力を伸ばすためにはわかりやすい手段。
誰かが頑張っていれば自分も頑張れる。
ご褒美付きならなおさら。
前巻からの二年の間のヴィルフリートの成長には目を瞠るものがある。
とはいえ、トラップは身近にありそうなので気を付けて!
まぁ、大丈夫かな?
不在なのに存在感のあるフェルディナンド。
でも不在は不在。
彼の他にも馴染んだ面々がここにいないことがちょっと寂しい。
ローゼマインの貴族院での環境に私が慣れない(苦笑)
持って読むのに重いなー重いなーと感じた本は久々。
ここまで重さがあるとソフトカバーよりハードカバーの方が扱いやすい。
現時点では新メンバーに旧メンバーほどの思い入れがないので、
淡々とした日常描写に少々飽きてきました。
が。
もちろん続きが気になるので次巻へ。
「埃まみれの甘いキス甘いからだ」萩野シロ (プラチナ文庫)
まさかのストーカー発言に爆笑。
そういうのを全く伺わせなかった強気の態度の裏の努力(?)は、
欲しいものは自分で掴み行けの典型。
一見強引な村川だけど、オラオラじゃないところがカッコいい。
そして典型的な職人気質で一本気な矢倉。
彼の仕事に対する真摯な姿勢は好感が持てる。
だけど、ある程度の融通が利かないと、
会社を円滑に回すのは難しいところもあるよね。
利益を出さないと会社は成り立たない。
秘めた思いを吐き出すガチンコな告白シーン好きだわ~。
強気美人は大好物なので、
恋愛的にもお仕事BLとしても読み応えあって楽しかった。
現場で手抜き仕事をした人に飛び蹴り……ないなぁ。
酔っぱらって飛び蹴り……あるなぁ。←私じゃないけど(笑)
「傭兵の男が女神と呼ばれる世界」野原耳子(アルファポリス)
戦場を渡り歩く傭兵が「女神」として飛ばされた異世界で、
王位を巡る骨肉の争いに巻き込まれる。
彼の周りに集うのは、諸事情を抱えた男たち。
彼らが戦う理由は、自らに与えられた役割と使命、そして私怨のため。
正義を振り翳さないところが潔い。
闘い方を熟知している男が率いるガチンコで容赦ない戦闘描写に
こちらもアドレナリンが出る。
そんな彼が選択した手段でしかないセックス。
だけど。
絡み合う三人が覗かせる心情に、それぞれの心の傷が滲む。
内乱は収まってないし、気になる石の存在はあるし、
何より彼らが作る世界を私も見たい。
だから是非続刊を出してください!
お友だちに教えてもらっていたから「続きもの」という認識で読んだけど、
そうじゃなかったら暴れてたわ(笑)
何度も言うけど何度でも言う。
シリーズ物、続き物には巻数表示が必要です!
……ここで訴えても届かないかな?(笑)