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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「彼岸過迄」水城せとな (Be×boy comics)



短編四編。
『彼岸過迄』「対価」という言葉が頭を過る。
彼が切り捨てたもの。そうすることで手に入れたもの。
要求されたのが右目だったとしても。
彼は多分、差し出したんだろうなぁ。
『ブレックファスト』
鱗平の愛の深さに涙。
発病していることをおくびにも出さずに守谷の傍に寄り添い、
決して破ることの出来ない約束をやさしく刻みつけるように取り付ける。
その状態で恋しい人に会いにいける彼が、ただ尊い。
『指輪物語』
けじめの選択。大人だね。
『Honey β』
さぞかし美しく、そして禍々しい花が咲くのだろう。
見たいような、見たくなうような……



プロフィールに「チョコレートを主食とする」って書いてあって。
このときからせとなさんの道筋は『失恋ショコラティエ』に
繋がっていたんだなぁ、としみじみ思う。
「不幸せに慣れたりしたら本当の幸せがわからなくなる」
『彼岸過迄』の鈴呂の台詞。
ここから連想したのが『俎上の鯉は~』での恭一のこの台詞。
「幸せに難癖をつければいくらでも不幸になれる」
こういうのは作家読みする醍醐味。

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「スリィピングビューティ」水城せとな (ビーボーイコミックス)



この頃のせとなさんの感性がとてもとても好き。
彼らの気持ちやその顚末が抉られるみたいに刺さるんだけど、
それがいい。
そして一冊の中でまとめ上げられている世界観の素晴らしさ。
突っ込みどころはあるけど、
そんなことは気にならないせとなワールド。
彼女にしか紡げなかった物語。
知りたかったのは情熱の行方。
欲したのはそのぬくもり。
抱えた覚悟は自分だけのもの。
そう思っていたけれども。
計り知れない愛を与えられていたのだと。
気付いた瞬間の切なさは言葉にできない。
至上の愛。
永遠の苦しみ。
「夢のつづきはここにある」
読み返すたびに涙。


元は同人誌での自費出版。
イベント会場で購入してそのまま直行した友だち宅で読んで、
友だちのベッドを占拠して声をあげて大号泣した想い出。
友だちもそんな私をどうしていいかわからず、泣きやむまで放置されました。
そりゃそうだ(笑)
商業で出版するにあたって作中の人たちの名前が変わってしまっているけど、
私の中での呼び名は今でも当時の彼らのままです。



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「天水桃綺譚」凪良ゆう (プラチナ文庫)




人間に恋をした天のモモ。
手の届かぬ桃を一途に想い続けた亨。
天の神に恋をしたみそっかすのコモモ。
小学生か!と突っ込みたくなる、愛情が分かりずらい白虎。
抱えたそれぞれの想い胸に刺さる。
ピュアすぎる気持ちが切なくていとけなくて滲む涙が止まらない。
そして、健気に慕う相手を想い続けた彼らが手にした幸せに心から安堵する。
そんな素敵な物語。
読めて良かったお借り本。
別作品でも思ったけど、凪良さんの「生きる」ことに対する対峙の仕方には心から共感。
他力に縋らないところが潔くて好き。
と同時に「明日も頑張ろう」という気持ちになれる。

この表紙を眺めていると、桃狩りに行った時のことを思い出す。
四方八方桃桃桃……
楽しくて美味しかった♡
良質なファンタジーと藤さんのイラストは抜群の相性だと思う。
そして白虎と言えば四神。四神と言えば平安神宮の御朱印帳!
いつか頂きに!!という野望を抱えたまま何年経っただろう?
うん。いつか、必ず☆

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「GIANTKILLING 56」ツジトモ(モーニング KC)



読み終わって改めて眺めると、この表紙、辛い。
怪我にはフィジカルな負傷とメンタルの負傷とがあると思うんだよね。
無傷で選手生活を終えられればそれは幸い。
だけど、怪我は誰しもが直面しうるもの。
抱えた苦悩は自分で乗り越えていくしかない。
椿、潰れんなよ。
試合後のブランのコメントは私、とても好き。
負けたからって悲壮感ばっかり出す必要はないと思うんだ。
精一杯戦った彼らに拍手を。
そして!待ってた!とても待ってた!というわけで、舞台は日本へ。
ETUメンバーがそこにいることが嬉しい。
彼ららしい試合展開。
達海に対するモノローグに泣きそうになったけど、達海の方が上手だったわ。

スポーツの世界は厳しい、というシビアな現実を
色んな意味で突きつけられる。
むー、そしてシビアな現実と言えば、今年のウチの地元チーム!
がんばって~~!

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「スミソニアンの王冠(下)」 (シグマフォースシリーズ12)ロリンズ(竹書房)



蜂の攻撃描写がホント嫌。
というか、小さな虫に全身に張り付かれてジワジワ食いちぎられるのは
マジ勘弁してもらいたい。
忍者、もっと頑張れよ、というのと、
え~、そこ共闘しちゃうんだ!という個人的不満もあって、
上巻がとっても楽しかった割には下巻でプラマイゼロ感。
つまり、いつも通りの満足度に落ちつきました☆
陰謀やアクションメインにストーリーが展開しても、
恋愛や家族等々の生活感漂う描写が差し挟まれるから、
彼らがより身近に感じられる。
グレイとセイチャンの間に生じた変化は
今後の彼らにどう影響するのか?
気になりつつの読了。


蜂に関しては百田氏の『風の中のマリア』と
鉄腕ダッシュで色々と学びました!
多分、間違ってないと思う(笑)
作中で和歌が差し挟まれるけど、
五七調の和歌が英訳されると、どんな感じになるんだろう?
と、ちょっと気になってみました。

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「スミソニアンの王冠(上)」 (シグマフォースシリーズ12)ロリンズ(竹書房)



ワンパターンを脱却して、
ここにきて面白さのギアをあげてくるシリーズ。
監視なのか護衛なのかよくわからないお付の人たちを伴っての
グレイとセイチャンのバカンス。
彼らに向けられたのは白寿間近の男が胸に抱き続けた恋の恨み。
そして、彼らの過去が招きよせた大いなる危機。
アメリカン・エンターテイメントらしく日本の影の組織の呼称は「忍者」。
「忍刀」「鎖鎌」「手ぬぐい」の用語が飛び交っているのには思わず笑ってしまった。
ああ、だけど忍び寄る脅威の正体はもはやホラー。
気持ち悪い!そして怖い!でも気になる~~!
と読み進めて、最後の最後で衝撃的な爆弾がセイチャンの口から放たれました。
ちょっと、どうなるの!

『悪魔の花嫁』で蟻の卵を人の身体で孵化させて……という話を
小学校の時に読んで半泣きになって以来、その手の話は軽くトラウマ。
想像するだけで気持ち悪い。怖い。でも気になるし!!!
と、ゾワゾワしながら読んでました。
セイチャンは多分、大丈夫だと思うんだ。
ああ、そしてパル。最後まで無事でいてね。
私にとって「ハワイ」と言えば「鉄腕DASH」。
深夜枠は神がかって面白かった。

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「堕天使の背骨」鳩村衣杏 (ゲンキノベルズ)



出逢った歳は5歳と8歳。
9年かけて胸の内で育みつづけた想い。
幸福に溺れたのはほんの一時。
唐突に引き離され、一切の連絡を断ったまま流れた時は17年。
再会を果たした瞬間から彼らの運命は大きく動き出す。
何が凄いって、17年間相手に対する想いが揺らがなかったことと、
相手の自分に対する想いを疑いもしなかったことが凄い。
真実を告げることができなかったからこそ、拗れに拗れた想い。
斜め読みしたエロ描写から引き継いだお仕事BL描写がとても面白かった。
そこから一転してのジェットコースター展開。
最後までドキドキだったわ。


第一印象はお互いがお互いを天使だと思った二人。
視覚的に納得させる最終頁のイラストが素晴らしい。
そして、おっしゃる通り、前作とのリンクがお見事。
『007』シリーズがシリーズなのに出版社がバラバラなのも
この作品を読めば納得!とおっしゃっていた読友さんの言葉で
手にした作品でしたが、とても興味深く読みました。
楽しかった。


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「彼の背に甘い爪痕を残し」鳩村衣杏 (ゲンキノベルズ)



やくざモノかと思って読み始めたら、
相当真面目なお仕事小説で、最初はそのギャップに戸惑った。
この表紙にもしっかり意味があるんだけどね。
(でもやっぱりこれじゃない感は半端ない・笑)
過去を乗り越え、今を生きる俊介と、
過去の出来事に囚われたまま今を生きる音弥。
それぞれ過去に事情を抱えた二人が出版翻訳代理店という職場で出会い、
気持ちを通わせていく。
音弥が過去の自分を乗り越えていく経緯がとても良かった。
そして、翻訳小説を読む身としては、
興味深いお仕事事情が色々と伺えて楽しかった。

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「罅・街の詩」北方謙三 (集英社文庫)



商社から私立探偵に転職した男のもとに舞い込む依頼を綴った7編。
依頼主からの依頼に応えるのと同時に、
何故か調査対象者の事情にも首を突っ込むことになり、
時に傷だらけになっている風変わりな探偵。
意図してるかどうかはわからないけれども、
彼の捜査は「人に寄り添う」ことに則って行われている。
だから、彼らは話す。
それぞれが抱えた事情を。
探偵は時にそれを聞き流し、時にそっと手を差し伸べる。
物語の主役は、常に事情を抱えた彼らだ。
北方にしか醸し出せない何とも言えない情緒が滲む物語。
心地良すぎて読後もしばらく浸っていたくなる。


読み終わってから知ったけど、これ、シリーズ物で続刊があったんですねー。
知らなかったよ!
一話完結の短編でよかった。
ってか、続刊から読まなくてよかった。そこは運が良かった(笑)


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「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ (新潮文庫)



現代日本の価値観の中で生き、子どもを持たない私は、
アンナの選択に寄り添うことはできなかった。
ってか、理解不能。
心はどこまでも自由であるべきだけれども。
立場上、許されない恋は間違いなく存在する。
その恋を成就させるためにしなければならなかったことを
彼女は全て放棄した。
つまり、幸せになる権利は彼女自身の手で手放したようにしか思えない。
全編通して主に三組の男女が描かれていたけれども。
それぞれが抱えた問題が生臭くてリアル。
信仰を持たなかったリョーヴィンが宗教的な境地に辿りついたところで終幕。
オブロンスキーは最後まで駄目男だった。


ドストエフスキーとトルストイ。
「ロシア人作家」と一括りにしていたけど、当然のことながら、全く違う。
個人的にはドストエフスキーの俺前面押しのエネルギッシュな作風の方が好み。
トルストイは社会背景をきっちり描いてくれているのが興味深かった。
そして突然始まった花占いのロマンチックさにびっくりした(笑)
【ガーディアン必読100-3/1000冊】


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