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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ツミデミック」一穂ミチ(光文社)

禍がそのきっかけの一因となったとしても、引き金を引くのは人間。
奈落へ転がり落ちるギリギリのところで踏みとどまることができるのも、人間。
他人を傷つけるのも、誰かを助けることができるのも人間。
パンデミック、災害、押し込み強盗、異国の戦争、集団自殺。
生活に紛れ込んだそれらの事象に呑み込まれ、絡み取られた人たちの物語。
短編6篇。
抱えた事情はそれぞれで、1篇1篇まったく違った趣の作品を読ませてくれる。
個人的に短編は好んで読まないんだけど、一穂さんの短編はスッと入ってくるだけではなく、
各々の作品の色で余韻が残る。



一穂さん登録60冊目。
久しぶりに一穂さんの文章を読むと、
あ~、帰ってきたなぁ、というホーム感を感じるんだよね。
なんか安心する。
独特な感情表現には相変わらず目を見張るものがあって、
記憶をかつお節に例えた言葉がめっちゃ刺さった。
うまいなーって。
積んでいる作品がまだ少しあるんだけど、
それらは既刊を再読してから読もうと思っているうちにうっかり失念してしまっていた残念さ。
気付かせてくれたお友だちに感謝。

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「いとしいとしという心」かわい有美子(ビーボーイノベルズ)

断ることはできたはず。
にもかかわらず、それを受けたのは個人の意思であり選択である。
だから、これはある意味、等価交換。
順調にキャリアを積み重ねてきた銀行勤務を辞して歴史ある実家の家業を千明が継いだのは、
長きに渡って想い続けた侑央を手に入れるため。
そして、侑央がその身を差し出したのは、恋した人が遺した旅館を守るため。
どちらも自覚的に行ったことだからこそ、漂うのは悲壮感ではなくやるせなさ。
どちらもちょっとずるくて、だけど胸の内に抱えた想いはまっすぐで真摯。
緊張しっぱなしな空気感が少し緩んでほっと息を吐き出したところで読了。
続き~~!


京都行きたいなー。
三度行ったけど、落ち着いて観光できたことが一度もないという
なかなか残念な巡り合わせ。
一度目は仕事の合間だったので清水にバタバタ行っただけ。
二度目は体調不良で一日ホテルから動けず。(連泊だったことだけが幸い。笑)
三度目は色々あってランチのお豆腐懐石急遽キャンセル。竹林にも行けず……
今度行った時こそちゃんと観光したい。

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「夢にも逢いみん」かわい有美子(リンクスロマンス)

かわいさんの描く平安(調←ご本人談)絵巻。
世界観の美麗さや雅な言葉使い美しさは相変わらず盤石。
あとがきでかわいさんが「デレとデレがこじれると」とおっしゃっておりますが、
私的な感覚では拗れているデレは一方のみ。
で、私その一方である桂の宮の思考パターン駄目だわ。
尉惟は桂の宮ファーストなのになんで疑う?
で、なんでそこで尉惟を呼ばない?ってところで最高潮に相容れず、苛々。
むー。
尉惟はカッコいいし、兵部卿の宮もこっそりお気に入り。
作品自体は面白かったものの、桂の宮と私との相性がどうにもこうにも悪かった。

わー、ごめんなさいな感想。
……と思ったら、読友さんのレビューで「(桂の宮に)我を忘れるくらいムカムカしてしまった」という一文をみつけて思わず噴いたよね。
そんな読友さんのこの作品に対する評価は「超よかった」であることは付け加えておきます。(笑)

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「スパイに死を 県警外事課 クルス機関」柏木伸介(宝島社文庫)

後半の大味な展開に一瞬飽きかけて、ラストは驚きの持ち直し。
ぐっと引き込まれて読み切ったシリーズ三作目。
意図した殺人と、偶発的な殺人。
そこから引き起こされる騙し騙されの狂騒曲。
捜査に来栖が加わってしまったが為に、思惑通りに事が運べなかった人たち多数。
来栖をサイコパス呼ばわりしている警察関係者側も、実は相当イカれてる。
「誰も信じるな」と言いつつ、独りでは戦えないわけで。
駆け引き裏読みブラフにディスインフォメーション。
頭脳戦かと思いきや、挙句の果ての銃撃戦。
私に諜報機関は務まらない。←リクルートされてない。
「誰のために 何のために」
政治を司る人たちに対するこの問いは重い。

この作品が書かれたときは、
まさか本当に要人が暗殺されることになるとは思いもしなかっただろうなぁ。
そして北朝鮮やスパイと言うワードに引っ張られて五條さんの小説が読みたくなったけど、もう新作を書かれることはないと思うと残念。(既刊コンプ済)
せめて『ソウル・キャッツアイ』を読める日が来ることをまだ諦めたくない。









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「月の旋律、暁の風」かわい有美子(リンクスロマンス)

ルカとシャハルの出会いは、ルカを救い、そしてシャハルを救う。
シャハルに対するルカの無欲さとまっすぐさの延長上にある思慕がとても尊い。
自らの目的の為にルカを傍に置いたシャハルだけど、
いつしか芽生えたルカへの真摯な想い。
それが迸る瞬間にぐっとくる。
そして、ルカの願いとシャハルの願いが合致する見事な着地。
おしゃべりな鸚鵡デュークと人型にもなれる黒豹アイオスの存在も良き。
物語の終わりは、新しい冒険の始まり。
仲間たちと共に目指す希望に満ちた果てのない旅への一歩。
わくわくするようなエンド。
楽しく読了。

「三つのしもべ」と言われて私が連想するのは
犬・猿・雉。
まぁ、しもべっていうよりお供?(笑)
今の時代だと「仲間」って言わないといけないのかな。
物語世界のきびだんごがとっても美味しそうで
めっちゃ楽しみにして食べたんだけど、
私の好みではなかった時のがっかり感。
うーん。
こればっかりは好みだから仕方ない。


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「闇滴りし」かわい有美子 パレット文庫

かわいさんの筆力で描かれる平安時代。
廃嫡の皇子。陰陽師に妖。辣腕の武官。
作品世界の雰囲気は抜群に良いし、一癖も二癖もある登場人物たちにも惹きつけられる。
何より作品自体がおもしろい。
とってもおもしろいのにーー!
そして、これから色々展開してくはずなのにーー!
残念ながら未完でがっくり。
笠井さんの挿絵も素敵で申し分ないのになぁ。
意味深な龍の宮のつぶやきが、解かれぬ謎が、もやもやと気になる読後。
20年前の作品なので続きは無理よね。

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「起爆都市 県警外事課 クルス機関」柏木伸介

国家規模での対立。或いは、探り合い
どこまでが「国」の意向で、どこからが「個人」の思惑なのかが不明瞭な、
「力」を欲する者たちのマウントの取り合い。
権力者の意向で国民の思考が左右されるのは気持ち悪い。
交番勤務から警備部に呼び戻された来栖。
与えられた任務を完了させるまでに要した日数は三日。
え?これ、三日間の出来事?と、再確認。
たった三日とは思えないほど目まぐるしく事態が動いて、
読了後の全力疾走感が半端ない。
事件はとりあえず収束はするけど、黒幕はまだ謎なまま。
次巻で判明するのかな?
古典ヤクザの高齢化問題。
何だかリアルだなー。


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「県警外事課 クルス機関」柏木伸介

「情報を制する者は世界を制す」
どこで見かけた言葉だったか。
著者デビュー作。
後の『剣崎恭弥シリーズ』に比べれば荒いところはあるけど、面白かった。
彼らのように国家レベルの情報戦を私がすることはないけれども。
時事ネタをちゃんと知っておくこと。
正しい情報をインプットすること。
フェイクに踊らされないこと。
必要最低限、大事だなーと改めて思う。
「誰も信用するな」
その言葉通り、後半は怒涛の展開。
一つ歯車が狂えば、連鎖的におかしくなっていくのはあるある。
そして予測できた裏切りと想定外の事態。
前のめりで読了。

最後の最後、続編が手元になかったら、はぁ!?そこで終わる!!?と叫んでたと思う。
シリーズ揃えておいてよかった。




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「たのしい川べ」(岩波少年文庫)

春が来たよ!ねぇ、春が来たよ!
と、春の喜びを全身で表すモグラと一緒になんだかとっても楽しい気分になる冒頭。
そして、微笑ましいネズミくんとの出会い。
可愛らしい動物たちの川辺での心あたたまる物語かと思いきや!
トラブルメーカーなヒキガエルが事件を引き起こし、
ネズミやモグラ、アナグマたちが巻き込まれての騒動に。
とはいえ。
そもそも余計なおせっかいをしなければ、彼らは巻き込まれることはなかったのでは?
と、思わなくもない。
私ならほっとく。
とはいえ、結果的には満ち足りた生活を送っているみたいだから良いんだろうね。


【ガーディアン必読122/1000冊】
微笑ましさが過ぎ去ったあたりから、農耕民族には書けない作品だなぁ、と思ったのは感想としてあっているのか否か。
そして、食事風景で彼らの食べているものに違和感ありまくってしまった。
ヒエラルキーどうなってる?←多分気にしちゃいけない。(笑)

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「アヒルくんはソレを知らない」コウキ。(幻冬舎コミックス)

自分の容姿に対して抱えたコンプレックスをどうにかしようと頑張ることは悪い事じゃない。
どんな手段で自分を変えていくかは人それぞれ。
それが自力努力でも美容整形でも、外野にとやかく言われる筋合いはない。
「何回負けてもいいから何度でも戦ってちょっとずつ勝っていけ」
なんかもう、先生のこの言葉に色々集約されている気がする。
どんなことにでも応用できるよね。
諦めた瞬間がすべての終わり。
諦めない限りは道は開ける。
アヒルくんの先生に対する告白の言葉はすごい刺さった。
AFTER 7 YEARSのワンカットに激萌え。好き作品。

コウキ。さんはコンプ作家さんなのにレビューをひとつもあげてないんだよね。
少しずつUPしていきたい。

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