きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「始まりのエデン 新たなる神話へ」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)
それは不可避だとわかっていたから。
ずっとずっと胸が苦しかったけど。
その瞬間には悲しみと、そして安堵で落涙。
彼がひとりではなかったから。
孤独ではなかったから。
そのことがとてもうれしくて哀しい。
人の強さ、弱さ、ずるさ、愛情深さ。
色々な想いが詰め込まれていて、彼らの一言や行為が胸に刺さった。
全巻を通して教えられたのは「世界を変えたいのなら、まず変わるのは自分」ということ。
他者に責任と行動を委ねるのではなく、自らの手で未来を勝ち取るべきなのだと。
彼らは行動で示してくれた。
一つの戦いの終りは、新しい困難の始まり。
だけど、彼らは乗り越えていくだろう。
クリスマスや誕生日に「何が欲しい?」と聞くと必ず「本!」と答える姪っ子ちゃん。
この作品はいつか、彼女にも読んでもらいたい。
私の本棚は中学時代から集め続けた本がどっさりみっしり詰まっているので、
(何度も整理しているから残っているのはお気に入りばっかり)
彼女の年代に応じてその本たちを読んでいってもらいたいなーと思っているのです。
PR
「横顔と虹彩 ~イエスかノーか半分か 番外篇~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
概要しか覚えてないなーと思いながらの再読。
なにこれ。面白いんですけどー!と、食い入るように読んでしまった。
竜起と深。
対極にあるような性格の二人が、
互いの良さを認め、努力を知り、良い意味の影響を与え合って成長していく。
仕事的にも、互いを知るほどに惹かれあっていく恋愛的にも
読みごたえがあって面白い。
ふがいなさを知ることは、成長の糧になる。
自分に足りていないものと、この先の仕事とどう向き合っていくのかと言う自覚。
若い二人の足掻きがなんだか眩しい。
これからの二人がとても気になるので、番外の続刊は嬉しい。
全力では仕事をしたくない身としては、
彼らの働き方に頭が下がる。
いかに余暇のために余力を残すかが私のポイントだからなぁ。
とはいえ、最初の職場がブラックすぎて、今の職場は何をやらされてもあの時の大変さを越える仕事はないからぶっちゃけ楽。
……と思っているのは会社には内緒(笑)
そんな前職ともいまだにつながりはあるので、いい勉強をさせてもらったという意味で感謝☆
「銀の騎士 金の狼 新たなる神話へ」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート) (
あなたと私。
個と個として出会い、同じ時間を過ごし、関係を深める。
そうやって築いた絆の間に、出自はどれほど関係があるのだろう?
生まれや育ちに拘り出した者たち全員に問いただしたい。
あなたはその人の何と付き合ってきたのかと。
だったらあなたが去るべきだと。
苛立ちを飲みこみながら読み進め、なんかもう、レジスタンス側の人々に色々憤慨しての読了。
多大な権力を持ちながらも地位に固執しない者は強い。
自分の保全だけを考えればいいのだから。
「人生を終わらせるために必要な存在」
彼のその言葉に胸が軋む。
生きるために戦ってほしいと。
そう願って止まないのだけれども。
那智の滝。
次巻で出てくるかな?
那智大社へつづく階段を下から全力で駆け上がり、ぜーぜー言いながら御朱印をいただきに行った思い出。
間に合ってよかった。
和歌山、また行きたいなぁ。
今度はアドベンチャーワールドに行きたい!
そしてパンダビレッジに泊まりたい。
「チンギスの陵墓(下)」 (シグマフォースシリーズ8)ロリンズ(竹書房)
起こった問題に対する多方面からのアプローチ。
ある程度判別できてしまう関わる人たちの生死。
そして、限られた時間内でのドキドキハラハラの問題解決。
この展開もマンネリ化してきたなぁ、もうちょっと違う展開でもいいかなぁ、
と思った後半の自分を襲ったとんでもない衝撃。
ちょっとロリンズ!
そんなびっくり望んでなかったよー!(涙目)
防御なしに爆風を浴びた気分。
それでも、エピローグ・裏はいらなかったと断言する。
爆風と一緒にチンギスも吹っ飛んだわ。
作者の織り成す世界に翻弄されるのが読者。
間違いなく続きも読むよ。
「頑張れ!」と言われ「さっきからずっと頑張っているわよ!」と言える
女子の頑張りは好きだなー。
『逆説の日本史』もまだ道半ばだけど、
『逆説の世界史』の文庫はしっかり追いかけていこうと思ってみた。
「チンギスの陵墓(上)」 (シグマフォースシリーズ8)ロリンズ(竹書房)
プロローグのアッティラ暗殺の場面から期待値が高まる。
チンギス・ハンの陵墓は徳川埋蔵金と通じるものがある……と思うとなんだかワクワク感が募る。
あらゆる物事が思いのほかスムーズに進み過ぎるところがなんとなくひっかかるけど、そこはご愛嬌。
ザッツエンタメ。楽しんだモノ勝ち。
まさかの北朝鮮での戦闘にまで発展するとは思わず、彼の国の惨状に眉を顰める。
ダークマターまで話は広がり、大風呂敷を広げきったところで次巻へ……だと思いたい。
これ以上広がったら大盤振る舞い過ぎると思うから。
馴染んだキャラたちは相変わらずでとても楽しい。長編読みの醍醐味。
読めば読むほど北方の『チンギス紀』が気になってくる。
史上最大の帝国を築いた彼の生涯を、北方はどう記しているのだろう?
完結して文庫になるのを待って……って言ってたら、読めるのいつになるのかしら?
「世界のまんなか~イエスかノーか半分か 2~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
喧嘩をしてもすれ違っても。
計の潮に対する絶対の信頼は揺らがない。
それが伝わってくることが心地良い。
どんなことがあっても帰れる場所がある。
素の自分で寛ぐことができる場所がある。
そう思える寄り処があるのって、とてつもない力になる。
一人で抱え込んで頑張って頑張ってきた計が潮の前で弱音を吐くシーンがとても好き。
この人の前では素直になれるのね、という泣きたいような安堵。
だけど、その後のびっくり展開。
戸惑う潮の姿に胸が痛くなるものの、
ぐらついた潮を「浮気だ」と詰る計に爆笑。
ああ、本当に元に戻ってよかったよ。
周囲の人たちが計の頑張りを理解してくれてるのが嬉しい。
仕事で「できない」って言いたくない気持ちはよくわかる。
水面下の頑張りはすべて押し隠して「できましたけど」と涼しい顔をしていたい。
でも「わからない」はちゃんと言う。
「わからない」で進めてしまったら迷惑にしかならないから。
「生まれいずる者よ 金の髪のフェンリル」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)
革命の象徴でありつつも、最前線で戦う金の狼の姿に奮い立つ。
「感情で動きたい」と言い切ったフェンリル。
だから人々は彼に希望を託す。
傍らのタウバの存在が何とも心強い。
感情を排したユージンとはある意味対極。
他者に自分の理想を押しつけることは、歪みと不幸せしか生み出さないんだよ、
と、セシルには言いたい。
運命に導かれるように出逢うべくして出会う者たちが出逢い、
彼らの未来への道筋が整えられていく。
シティとDエリア。
あまりにもかけ離れた二つの世界。
統合される日が本当にくるのか。
ならば、どうやって?
逸る想いを抱きながら、次巻へ。
「何が人を変えるのだろう?」
深い問いかけ。
経験と環境。あとは?
サラの父・マーロン博士の存在感が本当に大きかったんだなぁ、とつくづく思う。
「砂漠の王 金の髪のフェンリル」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)
ぐらついた土台の上に築いた建物は脆い。
些細なことで跡形もなく崩れてしまう可能性は否めない。
だから、フェンリルには自分と向き合う時間が必要だった。
現在の己を知るために。
進むべき道をまっすぐに見据えるために。
「金の狼」としてではなく、ただのフェンリルとしていられるタウバの傍での
年相応の少年らしい振る舞いに安堵するとともに、課せらた運命の重圧を禁じ得ない。
一方で幼少期のサラの溌剌さと愛らしさは、それを奪ったこの先の彼女の人性の過酷さを知らしめる。
「世界が変わるのではなく自分が変わるのだ」
この言葉に奮い立つ。
同じ言葉を胸に刻んだ二人。
出逢ったその先の未来が知りたい。
最初から最後までのめり込んで読み進めたけど、
特に後半の展開にドキドキが止まらなかった。
アラビアコーヒー……挨拶に行った仕事先で初めて頂いたんだけど、
沈む粉に戸惑い、一体どこまで飲むべきか聞くこともできず、ものすごーく悩んだことを思い出しました。
ハードル高かったよ(笑)