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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「光の雨 ―原罪―」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



彼の死に対して抱え続けた悔恨と自責の念。
自分の性癖を明確に自覚した瞬間の混乱と恐慌。
貴方は悪くない。
誰も貴方を責めてはいない。
本人が納得しない限り、そん言葉は響かない。
糸が切れそうになった伊能を引き戻した雨の屋上での口づけがとても好き。
愛と哀しみと後悔を抱え続けた伊能に寄り添った野々宮。
囚われた過去から一歩先へと進み始めた伊能。
細やかな心理描写を辿りつつ、
事件に主軸を置いて展開していく
シリアスでどっしりとした作品世界にのめり込んでしまう。
大阪地検の面々はアクが強くて味がある。
だけど、私はミステリアスなヤクザ原口に興味津々。

で。えっと……続いてますけどーーー!
というわけで、調べなかった自分のことは棚上げして声を大にして言いたい。
続き物はちゃんと巻数表示してくださいっっ!(涙)
終ると思って読んでたから、あと残頁ちょっとってところで「ん??」ってなっちゃったよ。
作家買いの時は内容いちいち確認しないし、
基本的にフィーリング買いだからやっぱり内容吟味しないし。
わかりやすく「1巻」とか「前編」とか表記してもらえると、大変ありがたいのです。
「完!」のつもりで読んでいたからメッチャ消化不良な気分。
このまま続きを読むか、予定通り一般書にいくか。
悩ましい……

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「アクロイド殺し」アガサ・クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)



嘘がひとつ。嘘がふたつ。嘘がみっつ。嘘が……。
嘘をついた人は複数いるけど、
嘘をついたことを知っているのは自分だけ。
積み重ねられる嘘で見えなくなってしまった真実。
誰にとって都合がいいのか、何を守ろうとしているのか。
或は、何を隠そうとしているのか。
殺人事件の真相に迫ろうと、
捻じれて絡まりあった糸を紐解いていくエルキュール・ポワロ。
最初から最後まで面白かったんだけど、
ラストのポワロが暗に示した解決策と犯人の選択。
これがどうしてもひっかかってもやっとした読後になってしまった。
結末を知った上で、再読してみたい。

解説は冒頭に「ネタバレあり」の記載があって、好印象。
時々予告なしにネタバレぶっこんでくるあとがきがあってびっくりするんだけど、
ああいうのは事前にチェック入らないのかしら?と思ってみたり。
次にクリスティで読みたいのは『オリエント急行殺人事件』
1974年版の映画で観たうすらぼんやりした記憶(笑)
【ガーディアン必読 84/1000】

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「くるおしく君を想う」沙野風結子 (ガッシュ文庫)



勝手に副題「三つ子の魂百まで」。
まぁ、正確に言えば9歳からなんだけど。
莉一に対する「好き」の気持ちを13年も抱き続けた航希。
胸の内に抱えていた想いは、実際に莉一の体温を知っちゃったら、
沈静化なんてするわけがなく、そりゃあ、燃え上がるよね。
一方の莉一。
航希に対する冷たく突き放すような態度。
なのに、求める身体。
もしかして……というこちらの想像は「え?天然!?」という着地点。
うん。なんか新鮮なびっくりだったわ。
だけど、その深層心理にはしっかりとした理由がある。
このあたりの流れ、とても良かった。
采登にもいい人が現れてくれるといいな。

あとがきを読んでなかったら絶対に気付かなかったカバー下。
自分に言い聞かせるために何度でも繰り返すわ。
読んだら捲ろう、カバー下!
美味しいモノが隠れています。

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「楊家将 下巻」北方謙三 (PHP文庫)



それは、個人の悲願なのか、国の悲願なのか。
どう考えたって前者だ。
配下の将軍を掌握しきれない帝が前線に出て、何故勝てると思うのか?
挙句は味方だったはずの宋軍に潰された楊家軍。
卑怯者が何故そこで生きている?
と、怒りに打ち震えて号泣。
再読なのに何やってんの、私。
そうじゃない。
何度読んでもそこまでのめり込ませる北方の筆力、恐るべし。
戦場を駆けた楊家の男たちの生き様があまりにも峻烈で、潔くて、胸を打つ。
楊業が耶律休哥のよに自由であったら、という思いが過るが、
楊業はそれを望まなかった。
だから、これが彼の運命。

泣き疲れたので『血涙』はちょっとインターバルを置いてから。
改めて読むと、簫太后カッコいいなぁ。
個人的には耶律休哥が大好きだけど、
肩入れするのは勿論楊家です!←この辺複雑な乙女(?)心。
再読だからもうちょっとあっさり読めるかと思ったんだけど、
そんなことは全然なく、作品世界にめり込んでの読了。

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「あひるの空 THE DAY(1)」日向武史 (講談社コミックス)



かつての大敗から一年。
味わった無力感と悔しさをバネに、戦える力を懸命に身に着けてきたクズ高の彼ら。
だけど、忘れてはいけない。
一年の時間があったのは、大栄の彼らも同じだということを。
彼らとて、進化しているのだと。
その事実を愕然と突きつけられる第一クォーター。
そんな中でも空の表情がずっと変わらないのは良い予兆だと思っていいのかな?
逆に振り回されている千秋がなんだか珍しい。
絶望的な点差ではない。
ならば、第二クォーターでの巻き返しに期待しよう。
結末は覆らない。
だけど、善戦する彼らの姿を目に焼き付ける。

実質的には「あひるの空 51巻」
だけど表記は「Part1」
最初見た時、1巻からリニューアルするのかと思って、え?それでも買わないとだめだよね??
と、ちょっとだけ混乱(笑)
読み始めてから15年。
どんな装丁、どんな出し方になってもついていくよ。

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「楊家将 上巻」北方謙三(PHP文庫)



何故彼らが戦わなければならないのか?
立場が違えば、誰よりも分かりあえたであろう漢たちだと思えるだけに、
愚問と知りつつ、問いかけたくなる。
父楊業の元で結束する楊家の息子たち。
互いを認め合い、足りない部分は補えるようにアドバイスし、
抜きんでたところは心から称賛する。
楊家の男たることに恥じぬように在ろうとする彼らがとても魅力的。
そして、戦場を自由に駆ける白き狼・耶津休哥。
彼の度量の大きさと果敢さが、やっぱり魅力的。
戦い方にそれぞれの性格と才覚が明確に反映されているから、余計に彼らの魅力にのめり込む。
だから辛い。
ドキドキしながら下巻へ。


再読の弊害。
先の展開を知っているから、なんかもう泣けて泣けて仕方なくて。
この巻で泣く要素ってそんなにないはずなのに、
この先の彼らを思って、マジ泣きしたよね。私。
びっくりしたわ。自分に。
『水滸伝』を読まれている方には是非読んでいただきたい。
読まれていない方も是非。


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「飼い犬に手を咬まれるな」夏乃穂足 (キャラ文庫)



陥った窮地は誰のせい?
拗れに拗れた関係の発端はどこにある?
一緒になって心が軋んで大変だったので、
あ、許すんだ、と思ったんだけど。
それは許しではなく愛。
最初から最後まで彼らがそれ以外持ち得なかったもの。
たった一つ、彼らが心の底から欲したもの。
「やり方を間違えた」「何もかもを間違えた」
読み始めた時からずっとそう思ってたから、それを一稀の口から聞けて
この人たちは大丈夫だなぁ、と。
そして、泣くことができた猛に良かったね、と。
すべてを叩き壊しての再生。
この先の二人は、よりしなやかに、強く在ることができるはず。


四年ぶりの新刊!
復帰作としてこんなに読み応えある作品をありがとうございます!
好きな作家さんには、書きたい作品(←こことても大事)を書き続けてくれること。
ただそれだけを願いたい。
そして、この笠井さんの表紙がとても素敵。
猛と一稀。
二人のジェットコースター人生を一緒になって全力で駆け抜けて、
最後白木の存在になんだか癒されました。(笑)

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「贄の夜会 下巻」香納諒一 (文春文庫)



諸悪の根源は勿論犯人。
だけど、命懸けで現場を駆けずりまわっている刑事たちの脚を引っ張りまくった警察上層部!
何やってんの!と言いたくなる為体。
見て見ぬふりをするのは罪。
だけど、上から強要される見て見ぬふりにどうやって抗えばいいのだろう?
だから彼は自ら死を選ぶしかなかった。
だから彼はその警察を辞める決意をするしかなかった。
だから彼は満身創痍の身体を引きずって、自ら銃を手にするしかなかった。
愛に殉じた男と、再び愛を手にした男を描いて物語は幕を下ろす。
男が決意した道を歩みつづけることは茨の道。
だけど、やり遂げてほしい。

「慟哭」からの「暴走」。
これ以外はない決着なんだろうなぁ。
くっそー。
ギリギリした気持ちが込み上げる。でもこのやるせなさ、嫌いじゃない。
打ちひしがれて弱りきった時に受け止めてくれる人がいた大河内は幸せだ。
拠り所のない人たちは、ただひたすらその苦しみを耐え抜くしかないのだから。


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「眠る探偵」榎田尤利 (ジュネノベルズ)



『眠る探偵シリーズ』の絵画的に言ったら習作。
勿論、そんなつもりで書いたわけではないと思うので、
あくまでも絵画的に言ったら。
シリーズ全巻を読んだ後に戻り読み。
これを踏まえて、あのど迫力な作品が出来上がったんだなぁ、という感慨深さ。
もちろん、こちらの作品自体もとても面白かった。
収録されているのは、どれも「家族」に視点があてられた3編。
近しい人だからこそ、泣き言が言えない。強がっていたい。頼れない。
なんかわかるな。
でも、崖っぷちでどうにもならなくなった時に手を差し伸べてくれるのは家族。
差し伸べることができるのも家族。
そうでありたい。

ここで打ち切らせないで、リテイク(リメイク?)してくれたことに感謝。





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「青い鳥 眠る探偵4」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



彼はたくさんの人を殺した。
罪のない人たちを、身勝手な理由で。
どんな孤独の中にあっても、寂しくても。
愛を欲して気が狂いそうになっても。
誰かを殺していい理由になんかならない。
これ、同調したら絶対ダメなヤツ。
そう思ったんだけど。
言い聞かせてる時点でダメだよね。
一緒に心が潰れそうになって泣いてしまった。
彼を模倣した男の姿に、彼の愛がいかに大きくて深くて孤独だったのかを知る。
そして訪れた平穏。
だけど、心に疼きは残る。永遠に。
だからこの先、彼を語ることのできる彼らが離れ離れになることがありませんように、
と、願いつつの読了。


圧倒されすぎて呆然。
読み応えがあるとか、おもしろかったとかじゃなく、凄い作品を読ませてもらった。
そんな感じ。
あとがきを読みつつ、イエモンのCDを持っている自分を褒め称える。
『JAM』。聴かねば。


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