きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「きみがいなけりゃ息もできない」円陣闇丸/榎田尤利 (ビーボーイコミックス)
ノベルズのコミックス化。
心情は小説の方がより鮮明に抉られるように伝わってくるけれども、
実際に動いている二人を視覚的に見られる楽しさが漫画にはある。
漫画には漫画の、小説には小説の良さがあって、
作品から受け止める印象はどちらも変わらない。
素晴らしい。
東海林の愛情を当たり前のように受け止めていた二木。
離れてみて痛いほどに突きつけられる彼の存在の大きさ。
無人の部屋のドアを叩くシーンはやっぱり泣ける。
「愛してる。だから自由にしてやる」
そんな想いを経てからの
東海林の涙のモノローグが半端なく感動的だった。良かったよ~~。
足元に巻きついて甘える27歳男子が可愛いってどんな異常事態!?
と思うわけだけど。
二木ならアリだな、と、思える不思議は東海林曰くの末期。
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「ダブルダディ」野原滋 (幻冬舎ルチル文庫)
別れるべくして別れる夫婦もある。
翔子が一番どうしようもないけど、暁彦にも非がないわけではない。
お互いに背中しか向けていなかった夫婦に愛情は生まれない。
翔子の琢己に対する態度が一番許せなかったかな。
子どもは大人の都合であんなふうに振り回して傷つけちゃいけない。
一方で、相手の良いところも悪いところも晒してまっすぐに向き合った恭介と暁彦。
一緒に過ごす時間が増える程、惹かれあっていく二人。
家族、愛情、そして恋人。
諦めてきたものの全てを手にした僥倖によかったね、と。
何と言っても琢己の可愛らしさに頬が緩みっぱなしのお借り本。
可愛かった!
ウチの姪っ子ちゃんたちもお風呂を出たら「あがりましたよー」と叫ぶの。
メッチャ可愛いの。
そして、ドライヤーを手にいそいそと駆けつける私。
お風呂上りの彼女たちにパジャマを着せて、髪を乾かして。
寝るまで一緒に遊ぶのが私の役割。
ああ、会いたくなってきた。
「砂の器〈下〉」松本清張 (新潮文庫)
読後にタイトルを呟いてみる。
「砂の器」。
なるほどね。
現在の自分に確固たる自信があるなら、
どんな過去があっても築いてきたものは揺るがないんじゃない?
と、思うわけだけど、
当時の社会的では差別されかねない出自であり、
それを葬り去る為の偽りの土台であるのなら、
死に物狂いで秘密を守ろうとするしかないんだろうなぁ。
地道な捜査をコツコツと積み重ねる今西や吉村の在り様は
時代に関係なく見習うべき姿だと思う。
今西の妻は素敵な奥さんだった。
終始一貫して漂う昭和感。
だけど、平成が終わろうとしている今の時代に読んでも十分に面白い。
彼の視点で語られる、彼の半生というものにふと興味を覚えた。
良くも悪くもギラついたエネルギーに満ち溢れたものに違いない。
彼女たちの不幸は、
自分しか大事にできない男に惚れたが故の不幸。
なんだかいたたまれない。
そして、解説で積んである『赤と黒』の内容、割としっかり書かれちゃってますけどー!
どーー!!
一週間もしたら忘れるだろうけど、他の本のネタばらしはやめようね。
びっくるするから。
「砂の器〈上〉」松本清張 (新潮文庫)
漂う昭和感がとても心地よい。
頁を捲りながら北へ南へ。
具体的な地名に、
実際自分が旅をしてまわった土地を懐古する楽しさがあった。
旅もまた、時代による交通手段の違いから醸し出されるレトロ感が味わい深い。
……とまぁ、旅本の感想みたいになっておりますが。
ジャンルは所謂推理小説。
手掛りのほとんどない殺人事件の真相に辿りつこうと、
地道な捜査を懸命に続ける今西。
犯人その人よりも「仏のような善人」がなんで殺されたんだろう?
ということの方が、今の所気になるかな。
新進気鋭を気取る若者たちがこの事件とどう係ってくるのか。
わくわくしながら次巻へ。
会社を一歩出たら仕事のことはすべて忘れる!という生活を送っている私には、
今西のように日常のふとしたことから事件のインスピレーションを得たりすることは
絶対にできないんだろうなぁ、と、思ってみました。
「三国志13 ~極北の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
孔明の背負ったものの重さと孤独感が痛々しく押し迫る最終巻。
同じ夢を抱いた者たちは、いまは誰もいない。
果てのない孤独の中で、生き急いだ孔明。
最期の笑顔のなかに、どんな想いが込められていたのか。
劉備、関羽、張飛、そして趙雲。
懐かしい闇の中で孔明が彼らと再び再会できたことを願ってやまない。
もう十分頑張ったよ。
司馬懿もよく頑張った。
私的にはイラッとする頑張りでも、ああいう戦いができるのも才能。
戦いの中で生きた漢たちの物語。
だからこそ、最後に語られる、山中で穏やかに暮らす馬超たちの姿がとても尊い。
馬駿白が歩む未来に明るい光が降り注ぐことを。
……というわけで、登場人物たちに魅了されながら、北方三国志読了!
吉川英治の三国志は挫折。江森備の私説三国志と北方三国志はどはまりしながら読了。
私的には北方版が正史だと思い定めております(笑)
そして、北方の描く一貫した生死感がとても好き。
「HARD TIME: DEADLOCK外伝」英田サキ (キャラ文庫)
単行本既読で所持。
描き下ろし目当てでこちらも購入。
最近は恋人としてとても安定した二人の姿ばかりを見ていたおかげか、
出逢ったころの刺々しくて、初々しいダグとルイスが逆に新鮮。
ああ、こういう苦悩と葛藤を経て、この二人の今があるのね、
と言うことを再認識した、なんだか感慨深い再読。
描き下ろしは前月に出た『PROMISING 』とリンクしていて、
まとめて読むとお得な気分。
そして、単行本では聞けなかったダグからルイスへの永遠の愛の誓いの言葉に歓喜。
ルイスへの深い思いが自然と溢れた感じが最高に良かった。
ペーパーは大事にファイリングをしてしまっているせいで、
読友さんの感想を拝見するまで持っていることを忘れていました!
ダメじゃん!
これ、みんなどうやって保管してるんだろう?
折って本の間に挟んじゃいますか?
その方が忘れないかなぁ。
「三国志12 ~霹靂の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
出てくるたびに、あ、馬謖、と思いながら読んでしまったせいか。
孔明と向き合うシーンで大泣きしてしまった。
ここで泣いたのははじめてだわ。
馬謖が好きな訳でもないんだけどね。
張飛といい馬謖といい。
北方テイストが加わって、なんとも魅力的な人物になったよなぁ、と、つくづく思う。
そして最後に散っていった蜀にとっての大きな星。
歩みを止めることなど許されない、孔明の背負った孤独がやるせない。
一方の魏。
「実現できることは夢ではない」
常人には図ることのできない力を持っていたはずの、曹丕の諦念が哀しい。
どよーん、とした気分のまま、最終巻へ。
遥か未来の銀河の彼方で。
シェーンコップが「泣いて馬謖を斬る」と言った時にはびっくりしたわ。
凄い!古来からの書物がここまで!って。←ちょっと間違った感動の仕方(笑)
そして友だちが「この間上司の机にあったメモに「泣いて馬謖を斬る」って書いてあってさ。
誰のこと?って考えちゃったよ」と言っていたのも忘れられない。
「PROMISING :DEADLOCK season2」英田サキ (キャラ文庫)
恋愛して結婚して。
生活が安定してからの変化に戸惑い、
自分の為、そして愛する人の為に苦悩する、ロブとヨシュア。
想いを呑み込んで目をつぶって流してしまわずに、きちんと吐き出して向き合って。
ぶつかり合いながらも二人が出した結論がとても素敵。
気持ちを整理するために時に一人になることも必要だよね、とも思いつつ、
話し合うことって本当に大事だと思う。
ヨシュアの取った行動が最高に良かった。
今回はヨシュアの言葉が随所で響いた。
ディックやユウトたちとの関係性も含め、
作品自体の安定感って半端ないと思う。
また彼らに会える日を楽しみにしつつの読了。
まさかの牧場主の出現に、牧場主好きなお友達の姿が脳裏を駆け抜けていきました(笑)
そして、キングの『死のロングウォーク』を再読せねば!と、何度目かの決意。
「三国志11 ~鬼宿の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
自軍の中にあっての孤立無援。
陸遜の凄まじいまでの粘り強さと根気には、鬼気迫るものがあった。
そして、その孤独がとても痛々しい。
だが、頼もしい理解者もいた。
だからこそ、貫けた意思。
血反吐を吐きながらも、自らの戦略を信じ、貫いたが故の勝利。
お見事でした。
一方の敗北を喫した劉備。
「やるべきではない戦をした」と彼は言うけれども。
あそこで動いた劉備だからこそ、多くの者がついてきた。
苦楽を共にしてきた兄弟を亡くし、失意に沈んだ彼が
気力を奮い立たせて伝えたかった「ある言葉」。
劉備が孔明に託したその言葉に泣きそうになってしまった。
「みんな、いなくなってしまいましたね」
孔明の言葉が寂しく刺さる。
あまりにも大きな人を(偉大な人ではない。大きな人)失ってしまった
喪失感がヒシヒシと伝わってくる。
残り二冊。それでも明日に向かって歩いていかねばならない彼らの行く末をみとどけます!