忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ラッシュライフ」伊坂幸太郎 (新潮文庫)



同じ場所に立ち、同じものを見上げる彼ら。
だが、抱える想いはそれぞれ。
彼らの置かれた状況や背負ってきた境遇は彼らだけのもの。
懸命に生きる彼らの人生のドラマが展開され、時間軸が錯綜する。
そして、係わりのなかった者同士が、偶発的な出来事から繋がりを持っていく。
点と点が次第に線になっていく鮮やかさ。
自分にどんな衝撃的なことが起ころうとも、
世界は昨日とは変わらずに動いている。
それが、心強くもあり、少し寂しくもある。
ラッシュライフ--豊潤な人生。
大海に流される非力な存在であったとしても、
掴み取る気持ちを失うな、と、言われた気がした。


やっぱり黒澤好きだわ~、と、再認識の再読。
伊坂作品は作品同士のリンク世界が楽しめる特典つきなところも好き。
「あなたの好きな日本語を教えてください」
問われたら、私は何と書くだろうか?と考えて……浮かんだ言葉は「笑顔」でした。






拍手

PR

「王たちの蹶起~叛獄の王子3~」 (モノクローム・ロマンス文庫)



完結巻。
タイトルに全てが集約されている。
破綻のないストーリー展開は読み応え抜群。
陰謀に嵌められ、苦境に立たされた二人の王子。
互いに向けられる憎しみと因縁。
互いを知るほどに培われる信頼と情愛。
相反する想いに折り合いをつけるためには、一度剣を手にぶつかり合う必要があった。
甘くて穏やかな時間も束の間、手に汗握る窮地へ。
最後の最後までドキドキしっぱなしっで、
苦しかったりもったいなかったりで一気に読めなかった。
努力と気力で運命を勝ち取ったローレントの生き方は
余りにも痛々しいものだったけど
デイメンの情愛に包まれて穏やかに凪ぐといい。



もっと読みたいなぁ、
これからの二人の物語をまだまだ追っていきたいなぁ、
と、こんなにも切望した作品は久々。
巡り巡る「兄殺し」。
着地点がうますぎて、なんと言ったら。
後半部分、もっとじっくり書いてくれても良かったのよ~~!と、ジタバタ。
好きなシーンが何か所かあって、何回か戻って読み耽っちゃったよね。
一気読みが常なので、
途中でこういう読み方をするのも私的にはとてもとても珍しい。
再読必須の面白さでした!








拍手

「逆説の日本史4 中世鳴動編」井沢元彦(小学館文庫)



平安時代中期から末期まで。
清和源氏の由来が知れたのが、個人的には一番の収穫。
お勉強になりました。
そして、院政時代のカオスっぷりに唖然。
根深い言霊信仰の記述には
納得させられる部分が多すぎて唸ってしまう。
遺言書作ろうかな?
でも死ぬこと想定して本当に死んじゃったらヤだからやめとこ。
で、遺言のないままの急逝。
個人はそれでもいいけど、国家はそうはいかない。
武士の台頭に起因する、穢れ思想からの軍事力の忌避。
現代に至るまで日本が他国に侵略されなかったことの僥倖に胸をなで下ろす。
と同時に提示されている問題に一抹の不安。


私の中で清和源氏と言えば高河ゆんの『源氏』。
完結してくれたら嬉しさで泣ける自信がある。
■行った場所:厳島神社
■行きたい場所:神田明神/将門塚
■とりあえずメモ:『源氏物語』紫式部/『あさきゆめみし』は既読。『源氏物語』を小説で読みきる根性は多分ないけど、武田氏曰くのa系(本書内にて説明)を通す読み方にはとても興味がある。

拍手

「ひとりごとの恋」榎田尤利(SHY NOVELS)



割り込み方があまりにも強引で身勝手で。
この男最低~!という第一印象を見事に覆した悦巳。
菱田もそうやって気持ちが悦巳に向かっていったんだなぁ、と、
リアルに納得してしまった。
取り繕うことなく本心を曝け出すことができる相手が傍にいるって、
とても大きな支えになる。
「お前の想いを知っている」ということを半ば脅迫まがいでも
悦巳が最初にそれを菱田に明かしたことで、二人の間の壁ってぶっ壊されてたんだよね。
その後の悦巳の菱田に対する接し方が真摯だったことでジワジワと株が上昇。
結果的には菱田の抱えた家族との問題まで解決しちゃった悦巳すごいわ。

身体がチワワでも中身が土佐犬の野々市女史。
お友だちになりたい(笑)
人生における転機に決断を見誤らないように……
というか、決断すべき時にきちんと決断できる人間でありたいね。

拍手

「ユダの覚醒(下)」 (シグマフォースシリーズ3)ロリンズ(竹書房)



ユダの菌株と東方見聞録の謎を巡り、
世界各所でギルドと戦うシグマの隊員たち。
いや、隊員ではないのに果敢に戦ったのは、
偶発的に巻き込まれてしまったグレイの両親。
知恵と勇気と諦めない気持ちで暗殺者とよく渡り合ってくれた。
どこまでも二人で支え合う姿がとても尊い。
謎解きの過程で巡りあったマルコ・ポーロの遺体。
これが史実だったら!と思わせるロマンティックさが素敵。
セイチャンの言葉は今度こそ鵜呑みにしていいのかしら?
命懸けの戦いを制し、人類を滅亡の危機から救ったグレイたち。
SOSのサインに希望を託して、次のシリーズへ。

新キャラのコワルスキとライダーの危機感のなさというか、
どこか愉快な安定感がイイ感じ。
船に残ったジェシーやドクター・バーンハートたち。
今回は非戦闘員の人たちの頑張りを湛えたい。
ジェシーなんて一度食人種につかまって檻に入れられてたのに!
いろんな要素を詰め込んだハイスピードなアクションを一気に読み切った読後は
こっちも疲労困憊(笑)

拍手

「ビューティフル・プア」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



屋敷と土地を守るために侯爵・アロウが選んだ手段は、自分を売りに出すこと。
買い手として名乗りを上げた大富豪4人の中に別の目的で紛れ込んだのは、
ちょっと裕福な庶民の玲一郎。
偽りから始まった関係だけれども、その偽りがなければ出会うことすらなかった二人。
互いを知れば知るほど惹かれあうのは当然。
何故なら、同じ価値観を持っているから。
お金がなくても一年を楽しく過ごすことのできる二人だから。
嘘の露見。裏切りの発覚。あわやの契約の遂行。
紆余曲折はあったものの、
一抹の寂しさと、それを上まって余りある多幸感に泣きそうになって読了。
良かった!

レイとアロウが仲良くインスタントラーメンを食べるシーンが出てくると思ったのに!
出てこなかったことに何故かガッカリ。
何を期待したんだ?私……(笑)
サイモンの気遣いには私も声がでそうになったわ。
できる執事はここまでしてくれちゃうんですね~。
リンダとサミーアとも友人関係をずっと続けて行ってほしい。

拍手

「ユダの覚醒(上)」 (シグマフォースシリーズ3)ロリンズ(竹書房)



ユダ。
キリストを裏切ったイスカリオテのユダを思い描いたけれども。
生命体にとっての究極の裏切り者となる菌株。
それがユダ。
人類を死に至らしめる恐ろしいユダの菌株とは一体何なのか。
鍵となるのは東方見聞録から抹消された空白の出来事。
そしてギルドの裏切り者として追われるセイチャン。
知らずに始まっていたのは、ユダの病菌を悪用しようとするギルドとの攻防。
被害妄想的な性格と評されるグレイとペインターはこの危機をどう乗り越えるのか?
人食いカニの描写にぞぞぞぞぞっと。
ヘビに塗れるのもや嫌だけど、カニに塗れるのも嫌!
更なる裏切り者の存在に驚きつつ次巻へ。

分析・解説よりもアクションよりなので、
前二作よりもテンポよく読み進めることができる。
「偶然を疑え」
阿久津さんも言ってた、それ!と、変なところでテンションが上がった私は、
『機龍警察』が本当に大好きなのです。



拍手

「Life is Beautiful」伊勢原ささら(花丸文庫)



悪いこと続きでしかなかった人生も、誰かと出会うことがきっかけで好転する。
これは再生の物語。
飛び降りるつもりで瑞生が向かった崖で出会ったのは図書館司書の文彦。
絶望し疲弊しきった人生から瑞生が新たな一歩を踏み出す物語かと思ったけど。
途中で感じた文彦のアンバランスさ。
文彦にとっても瑞生の存在は救いだった。
安穏を約束された鳥籠から瑞生が自らの意志で出ていくことを決意した時はガッツポーズ。
そうだよね。
飼われているだけじゃ生きている意味がない。
瑞生にとって図書館があったかい居心地の良い場所になっていく描写がとても良かった。

文章がとても綺麗な作家さん。
他の作品も気になってみました。
本文とは関係ないけど、
帯の「濡れ手にねこ」の漫画が妙にツボった。
地味だけど絶妙な嫌がらせ(笑)






拍手

「Stepbrother」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



関西から転勤してきたちょっと付き合いづらい上司・秋は、
彼の部下となった健輔の、父の再婚相手の息子だった。
優秀で辛辣で厳しくて無表情という会社で見せる顔と
家で見せるだらしなくて甘ったれな顔が極端に違った秋。
その境目がなくなった健輔に対する秋の戸惑いと、
会社での彼とのギャップが面白くて可愛い。
言動がどれだけ厳しくても、理不尽や間違いを強いることのない秋は
なんだかんだ課の人たちに理解され、受け入れられている。
でも彼はそのことに気付いてないんだろうね。
本格的に軌道に乗ったら良いチームになるだろうなぁ。


楽しく読了!したんだけど。
初読の時はこれ、手放しちゃってるんだよね。
「なんで?」が思い出せない。
本棚が飽和したのかな?
結局買い直したけど、改めて読めて良かった。



拍手

「マギの聖骨 下」 (シグマフォース シリーズ1)ロリンズ(竹書房)



そして過去の遺物は時の彼方に。
ロマンチックに過ぎる物語を展開していく面々の
驚異的なタフさに戦く。
どんな鍛え方をしたらあんなに強靭な肉体と精神を得ることができるのか。
そんな彼らとて、パーフェクトではない。
個々に欠けた部分を互いに補いあって、謎と悪に立ち向かっていく。
だからこその組織。
裏切りが横行する中で「自分の組織には絶対の信頼を置く」
司令官ペインターがカッコイイ。
古代世界の七不思議が結んだまさかの線。
その線に込められた意味。
この発想、すごいわ。
小難しい話はニュアンス理解で乗り切れば、極上のエンタメを楽しめる。


アレクサンドリア図書館。
古代最大にして最高の図書館。
あらゆる分野の知識を集約したその場所には計り知れないロマンがある。
やたらとグノーシス派の記述がでてきたおかげで
『グノーシスの薔薇』がチラチラと。
一度読んだら忘れられない強烈な本(笑)

拍手

  

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
8 9 10 11 12
14 15 17
21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]