きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「覚醒―孤拳伝 4」今野敏 (中公文庫)
全国を(主に山の中を)渡り歩き、
それぞれの道を究めた男たちと出逢い、学び、戦って人としての成長を遂げた剛。
一人の師の元でストイックに己を磨き上げる松原。
裏社会で一から出直すことを決めた宋陵元。
師に武道の在り方を解くまでになった蜂須賀。
かつて、闇試合で戦った男たちは、それぞれに成長し、己の歩む道を見出していく。
だが、誰もが道半ば。
その先の彼らを思い描く楽しみが読後にはある。
本当に必要な強さとは果たして何なのか。
終始、投げかけられていた問い。
シリーズを通して読めば、自ずと答えは見えてくる。
実は私、極真空手の体験入門をしにいったことがあります。
一週間通って、とりあえず無理!と思って正式な入門はやめました。
うん。
向いてない(笑)
友さんから譲っていただいた作品。
楽しく読了しました♪
ありがとうございます。
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「海賊王の死 ~アドリアン・イングリッシュ 4~」 (モノクローム・ロマンス文庫)
長い、とても長い航海の果てに辿りついた、真実の港。
それなのに、とても胸が痛い。
皆ちょっとずつ身勝手で、ままならない想いを抱えている。
ジェイク。
どっちもを手にすることはできないんだよ。
選ぶこととカムアウトすることが
同義な状況になってしまったのは酷だけど、
そこまでの状況にならなかったらあなたにその選択ができたかどうか。
でも、それほど大きな決断だってわかっているからこそ、
ラストの展開に涙。
アドリアン。
一度は告げる必要のあったさよなら。
その決断がジェイクにとってどれほど重いモノなのかを
一番知っているのは彼だから。
やっぱりラストの台詞に涙。
もがき苦しみながら、それでも歩んでいく彼らの人生が、
リアルに突き刺さってくる感じがたまらなく好き。
だから、彼らと一緒に一喜一憂して、感情が揺さぶられる。
次巻でとりあえず本編は完結。
見届けなければ☆
「シンドラーのリスト」トマス・キニーリー (新潮文庫)
もう、これ以上悪くなることはない。
現状を凌ぐことができれば、どうにかなる。
きっと。きっと。
そんな彼らの祈るような想いを他所に、
事態は更に想像を絶するような方向へ悪化していく。
第二次世界大戦。
ユダヤ人の身に降りかかった理不尽すぎる惨劇。
彼らを救うために手を尽くしたドイツ人、オスカー・シンドラー。
ノンフィクション・ノベルという形態で淡々と綴られる彼の生涯。
彼が戦時下を生き延びることができたのは、
巧みな処世術と、人間的な魅力。そして、周囲の人たちの尽力があってこそ。
誰しもがシンドラーに成り得るわけではない。
だけど、繰り返してはいけない歴史があることを忘れてはいけない。→
基本的に一人行動ができない人なので、
映画も大概は友だちと一緒に観に行きます。
だけど、この映画は一人で映画館に観に行って、
泣いて泣いて映画館で泣きやむことが出来なくて、
仕方なく泣きながら外に出たら、
元カレにばったり出くわすというびっくりで涙が止まった思い出……
いや、そうじゃなくて。
感想では敢えてナチスには言及しなかったけど。
全体主義の恐ろしさを改めて突きつけられました。
【ガーディアン必読 76/1000】
「悪魔の聖餐 ~アドリアン・イングリッシュ 3~」 (モノクローム・ロマンス文庫)
折り合えない自己の内面と向き合うのは苦しいよね。
認めることのできないゲイである自分。
ジェイクは最所からアドリアンに嘘はついていなかった。
でも、葛藤の末に選んだ選択に茫然。
わかっていても、ちょっとぉぉぉ!と叫びたくなるのが人情です。
人生山あり谷あり。
次第に甘さのなくなっていくセックスがとても哀しい。
これはもう、ジェイクが行き着くところまで苦悩するしかないんだろうなぁ。
このままだと一緒にいても苦しいだけ。
カルトの問題は闇が深い。
巻き込まれ体質のアドリアン。
平穏で穏やかな日常が早く訪れるといいね。
読み終わって表紙を見てため息。
うん。
だから、わかってたわよ!と、言いたくなる。
甘いだけが人生じゃない。
苦悩の先に笑顔と小さな幸せがあるといい。
「GIANT KILLING 49」ツジトモ (モーニング KC)
ブランの監督としての在り方が効果的な役割を果たし、
着実にまとまりつつある日本代表。
効果が結果として表れているところが頼もしい。
孤高のエース・花森が、椿と窪田の若い二人に
かつての自分と持田を重ねるシーンに涙目。
絶対的なエースですら進化する。
城西の期待を外さない優等生的な活躍も好き。
花形だけでは成り立たないのがサッカー。
土台をしっかりと支える役割を担う人も必要。
そして、中国代表にも個性的な監督がいたわ。
彼の言葉は奥が深い。
試合外の選手の姿が垣間見られる
巻末の「アジアカップの日々」がとっても楽しかった。
アジアカップも読んでいてとても楽しいんだけど、
ジーノ不在が続いてなんだか禁断症状気味になってきました。
そして、花森にだんだん愛着が湧いてきて困る。←何で?(笑)
リアルでは地元のチームがJ1残留を決めてほっと一息。
「カンディード」ヴォルテール (光文社古典新訳文庫)
作中で繰り返し唱えられる最善説をあざ笑うかのような残虐非道な行い。
コミカルな表紙とは真逆の行為。なのに鬱々しさがない、軽妙な文体の不思議。
降りかかる災厄をスルリスルリとすり抜けて、カンディードは旅をする。
無一文から始まった旅はカカンボという友を得、たどり着いたのはエルドラド。
だが、彼らは安寧に落ち着くことなく、愛しい人のもとへと踵を返す。
不幸とは?幸せとは?最善とは?
繰り返し論じながら彼らが選択したのは、地にしっかりと足の着いた生活。
本編を踏まえた上で、一緒に収められた『リスボン大震災に寄せる詩』を読み、
気持ちが一気に引き締まる。
時間をおいて再読したい。
「働くことは私たちを三つの不幸(退屈と堕落と貧乏)から遠ざけてくれる」
説得力のある言葉。
「そんなひとでも自分が災難にまきこまれると途端に人間らしく泣きわめく」
だよね~、と納得の言葉。
綺麗事や説教めいたことを言っていられるのは他人事だと思ってるからって部分は絶対にある。
それにしても、18世紀の作品とは思えないのは、翻訳の妙なのかな?
出逢えてよかった作品は、読メ登録1234冊目でした。
【ガーディアン必読 75/1000】
「死者の囁き ~アドリアン・イングリッシュ 2~」 (モノクローム・ロマンス文庫)
「これが僕の生まれた形だ」
自分の性癖を揺らぐことなく肯定するアドリアンのまっすぐさが好き。
一方で、己の性癖を素直に受け入れられず、差別的な発言すら口にするジェイク。
肌を重ねることのない恋人同士。
未来に不安を覚えたアドリアンが逃避した先で巻き込まれた事件。
自らの意思で彼を追ってきたジェイク。
二人で生活していく中で、ジェイクの気持ちが次第に
アドリアンに傾倒していく様が微笑ましい。
そして初めてのセックス。
ジェイクがアドリアンに対してとてもやさしかったことが嬉しい。
……って、初読の感想にも書いてあったわ。
まだひと悶着ありそうな二人の関係。次巻へ。
再読。
1巻目と違ってびっくりするくらい内容を覚えていました。
そんな自分に拍手。(笑)
続きが気になって仕方ないのに、初読の私は何故ここで止まったんだろう?
間をあけると積んでしまうあるある。
一気読みバンザイ(笑)
「群雄―孤拳伝 3」今野敏 (中公文庫)
強さの持つ意味は?
何を持って強いと成す?
自分の欲する強さは?
彼が会得した強さとは?
「強さ」の受け止め方は人によって違う。
その体現の仕方も。
人殺しも辞さなかった蜂須賀が身に着けた深みと穏やかさ。
それによって手にした新たな境地は、緋田の存在があってこそ。
実戦経験のなかった松原が、守るべき人の為に振るった拳。
彼もまた、師匠の元でもっともっと強くなる。
そして、擬似的にでも母のぬくもりを知り、女の肌の優しさを知った剛が、
夕陽の美しさに心を震わせるシーンが印象的。
その感性がある限り、獣道に堕ちることはない。
剛もまた、二人と同じ道に辿りつこうとしている階。
それにしても……剛、自分の生い立ちを行く先々でよくしゃべるわ。
そして「人を殺した」と聞かされてもスルーな人たちの多い事。
まぁ、一筋縄ではいかない人たちの巣窟みたいな作品なので、いいのかな?
色ボケした組長に従う和泉の苦悩がお気の毒。
次巻で完結。個人的には緋田センセと蜂須賀のこれからと、
松原の恋の行方がとっても気になるところです。
「隣人は恋人のはじまり」月村 奎(SHYノベルス)
愛情に餓えていた堂島の隣人は、
ソツなく振る舞える歯科医だった。
二人が近づくきっかけになった恋人代行の勘違い。
噛み合わないなりに会話が噛み合ってしまうのは、
小野の立ち回りが上手いせい。
そんな彼は甘やかし上手。
逆に人付き合いが苦手な堂島が果敢に懸命に策を弄する姿は
だんだん痛々しくすらなってくる。
小野に見事に誘導されて決まったリターンエースに思わず拍手。
自虐的で露悪的な言動が多い堂島だけど、
根はいい人だってことが、周りがわかってくれているところが嬉しい。
足りなかった愛情を小野に存分に与えてもらうといいと思うの。
堂島がいつか母親に会いに行ける日がくるといいと、
心から思ったお借り本。
宮村と篤史の安定した恋人っぷりに幸せのおすそ分けを存分にもらった気持になってみました。
月村さんの作品は気持ちがやさしくなります。