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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「3びきのかわいいオオカミ」(冨山房)



これって、ブタのイイトコどりじゃないの!?←ダメな大人の感想です。
悪ブタに対するおおかみたちが本当に本当に可愛い。
要約すれば「現代版三匹の子ブタ。オオカミ&ブタさん入れ替えバージョン」
家を建てる手段がグレードアップして行けば、
当然破壊する手段もグレードアップ。
ダイナマイトを持ちだす悪ブタ……イロイロ半端ない。
家を造っては破壊され、造っては破壊されを繰り返した
オオカミたちがたどり着いた結論に、え?ダイジョブ?と思いつつ。
出来上がった家は本当に素敵!
ダメじゃない大人の感想は……ぶたのイイトコどり!←正直者。
ブタの悪役っぷりとオオカミの可愛らしさに楽しく読了。

この物語のヒールはブタオンリー。
家を作る建材を無償で分けてくれた動物さんたちも本当にいい人(?)ばかりだった。
オオカミが最初から最後まで本当に可愛い。
ブタのヒールっぷりが徹底していて何故か笑える。
そして、まさかの結末。お気に入り。
姪っ子ちゃんにあげるつもりだったけど、甥っ子ちゃんでもいいのかしら?
いや、この場合はどっちにも!(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

あるところに、ふわふわのけがわにふさふさのしっぽをもった3びきのかわいいオオカミが、おかあさんといっしょくくらしていました。いちばんうえのにいさんはまっくろ、にばんめははいいろ、すえのおとうとはまっしろでした。あるひ、おかあさんが3びきをよんでいいました。「さあおまえたち、そろそろひろいせかいにでておいき。かあさんのうちをでて、じぶんたちのうちをつくりなさいな。でも、わるいおおブタにはきをつけるのよ。」「しんぱいしないでかあさん。ぼくたち、ブタにはきをつけるから。」そういって3びきのオオカミは、ひろいせかいにでていきました。

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「蝶」ヘルマン・ヘッセ(同時代ライブラリー)



ヘッセにとって、儚く、美しく、そして滅びゆくものの象徴、それが蝶。
蝶に纏わる短編や詩編を収めた本書。
色とりどりな蝶に飾られた本書は、装丁も美しい……けど、
リアル蝶や蛾なので、苦手な方は要注意。
蝶を形容するために散りばめられた言葉の多彩さと、
その表現の美しさに魅惑され、
「キベリタテハ」を読みながら、指先に止まった蝶の軽やかさを思い出す。
本書購入のお目当ては「クジャクヤママユ」。
馴染の良いタイトルだと「少年の日の思い出」。
覆水盆に返らず、という言葉しか浮かばない。
とは言え、子供を正しく導くことのできる母親の存在は偉大だな、と、改めて。

「白と深紅のその蝶は、野の奥深くへと吹かれていった」
この表現が一番印象に残った。
蝶を追いかけて捕まえることのなくなった私にとっての蝶は「モチーフ」。
服や小物の柄に、綺麗で神秘的に描かれている物であるイメージ。
実際は繊細な翅をはためかせ、ふわりと風に舞うように飛んでいる生き物であることを、
改めて思い出しました。
蝶を触らなくなってどのくらいになるんだろう?



内容(「BOOK」データベースより)

美しいもの、亡びゆくものの象徴―蝶を、生涯にわたって愛しつづけたヘルマン・ヘッセ。蝶採集のときめき、異国の蝶や高山の蛾の珍品との出会い…。「華麗な恋人」蝶との熱いかかわりを綴る散文作品と、「色美しくそよ風のように飛ぶ」蝶を讃え、「きらめきながら消えてゆく」生命の神秘をうたいあげた詩。手彩色の銅版画などのカラー図版で飾る。

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「泣かない美人」菅野彰(ディアプラス文庫)



言葉は、時にひどく心を抉る。
起こってしまった過去を描きかえることも消し去ることもできない。
人の記憶も、抱えた後悔も。
だけど、痛めた心を抱えたまま、
そこから新しい一歩を踏み出すことができる。
優しさと、後悔と、これからへの不安と希望。
いろんな感情が刺さって、終始泣きたくなりながら読了。
隼人と要の在り様は、それでいいと思った。
完璧な人間なんてどこにもいなくて。
見ず知らずの人間には打算で近づいて。
警戒して、疑って。
だけど、わかりあう。
過去を知り、現在を知り、そして、愛しさがこみあげる。
みんなが要を気にかけてくれていて、本当に良かった。


とても菅野さんらしい話。
そして私はそんな菅野さんが大好きです。
大事に読み返したい作品。
やさしい日本酒が飲みたくなるわ。


内容(「BOOK」データベースより)

隼人はデパートの凄腕外商部員だったが、自身が招いたトラブルで企画課に左遷された。腐る気持ちを抱えつつ、仕事で訪ねた日本酒の酒蔵で、桜の下に佇む美しい青年・要を見かける。彼は杜氏の見習いで、清冽なる酒の作り手だった。だが頑なに心を閉ざし、隼人の差し出す手を振り払う。やがて知る、要や周囲を傷つけた過去のある事件。仕事のつもりが、いつのまにか要の孤独と傷に本気で向かい合うようになり…。

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「変わらぬ哀しみは」ペレケーノス(ハヤカワミステリ文庫)



1960年代のアメリカ社会の混乱と騒動の中に生きる人々の人生が、
過剰な装飾はなく、淡々と語られる物語。
だが、その時代に生きた人々の日常はこうであったのだろうと、
圧倒的なリアリティを伴って迫ってくる。
家族。暴力。愛情。自立。人種。堕落。
そんな彼らの人生は、どこかほろ苦い。
道を過たず、堅実に人生を歩む者。
どうしようもない悪行に手を染める者。
気付けば、深みにはまって抜けられなくなってしまった者。
たくさんの登場人物たちの人生と、当時のアメリカの現状を
むせ返るような熱気と共に見事に描いた物語。
一気に読まされました。
読後はやるせない余韻がジワジワと染みてくる。


何故かこれがシリーズ1作目だと思って読み始めた私。
実際は4作目だけど、時代的には一番過去の物語だから結果オーライ?
ペレケーノスもコンプリしたい作家さんの仲間入り。
【ガーディアン必読 52/1000冊】


内容(「BOOK」データベースより)

1968年、黒人警官デレク・ストレンジは己れの職務をまっとうしていた。白人から罵られ、黒人から同砲を取り締まる裏切り者と蔑まれても。時代は大きくうねり、黒人はキング牧師の下、権利の拡張のため社会運動を起こしていた。その最中、黒人青年が車に轢かれて不可解な死を遂げた。警察の捜査は進まず、やがて黒人による暴動の兆しが見え始める。その時デレクは…ハードボイルドの詩人ペレケーノスが綴る時代の慟哭。

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「楊令伝 6  徂征の章」北方謙三 (集英社文庫)



嵐の前。
来るべき決戦の時に備え、それぞれに見合った場所で力を蓄え、
或は、増強させていく梁山泊。
編成替えの配置の仕方が興味深い。
決して変わらないと思っていた致死軍の指揮官の交代に、
寂寞感がひとしおだった。
だけど、彼なら間違いなく新しい致死軍を作り上げてくれると。
確信できる期待感が嬉しい。
梁山泊の豪傑達を育ててきた子午山は、
殺戮に倦んだ童貫の心をすら晴らす。
王進の存在は誰にとっても平等だ。
幻王軍を解散し、純然たる梁山泊の頭領として一皮むけた楊令。
いよいよ梁山泊に合流する呉用。
静寂な時の終わりは近い。
いざ、決戦へ。

今を生きる者達がかつて散って行った者達を語る言葉が優しく沁みる。
『水滸伝』があってこその『楊令伝』。
実感できることが嬉しい。
初読の時に聞煥章に腹を立ててキリキリしすぎたせいか、
今回はその辺りは感情的にならずに読了。
北方の「さらば」の台詞の使い方は本当に絶妙すぎてぐっとくる。

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「楊令伝 5 猩紅の章」北方謙三 (集英社文庫)



一つの大きな山場を迎えた巻。
全ての責は己にある、と言い切れる
童貫の器の大きさを改めて突きつけられる。
冷静であり、公平であり、勇敢である男の言葉は、
何一つ、間違ってはいない。
そんな男が最後の戦いの相手と見定めた敵、
即ち、梁山泊。
その梁山泊のために禁軍の兵力を削ぐと同時に、
呉用の再生でもあった方臘たちの戦い。
たらればを言ったらキリがないけれども。
もしもあのとき、と、違った局面を思い描きたくなる戦いぶりだった。
虎延灼と史進の会話は相変わらず好き。
方臘の軍の最精鋭を迎え入れた梁山泊の戦いぶりがとても気になる。

現代社会で童貫みたいな上司の下で働けたら、
ものすごくやりがいがあるんだろうなぁ、仕事楽しいだろうなぁ、と、
改めて思う。
再読のはずなのに、この巻の内容全部ぶっとんでいたのは、
多分、この巻ラストからの奴のおかげで次巻でカッカしすぎたせいかと(憎)
改めてこの巻を読めて良かった。
色々ありすぎて、感想欄ではとても言い足りない。
唐昇とか花飛麟とか簫珪材とか。
個人的に劉光世がとても気になる。
呉用はみんなに愛されてるなぁ。
「誰もが、自分がいたい場所にいる、というわけにはいかないのだ」
宣賛の言葉が刺さった。



内容(「BOOK」データベースより)

推戴した帝が暗殺され、聞煥章の燕建国の野望は半ばにして潰えた。燕軍は瓦解し、北の戦線は終熄する。梁山泊軍は、楊令の作戦によって河水沿いの地域を一気に制圧した。一方、江南では宋軍による方臘信徒の殺戮が凄惨を極めている。しかし度人の声はなお熄まず、呉用は決死の覚悟で勝利のための秘策を練る。方臘自らが前線に立ち、ついに童貫軍との最後の決戦が始まった。楊令伝、狂瀾の第五巻。

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「In These Words 3」Guilt|Pleasure(BBCDX)



ここで1巻の冒頭につながり、物語展開の緻密さと凄さにゾクゾクっとなる高揚感が半端ない。
フラッシュバックしていた記憶がリアルに押し迫ってくる。
実体を得た犯人。
繋がり始めた事象。
身勝手で妄執めいた愛なんていらない。
自己憐憫で涙を流すその姿が気持ち悪い。
だから、諦めないで、と。
兆した、麻野の生きることへの執着に、ぐっと拳を握る。
そして私は尋ねたい。
あなたは、いったい、誰なのですか?と。
篠崎、踏ん張りどころだよ。
小冊子の過去は現在にリンクするのかしら?
先の展開へのわくわくが途切れない。
どれだけ間があいても、続刊を待ちます。

たとえ新刊が2年以上ぶりだとしても、ちゃんと出してくれる幸せをかみしめるのです。
待ち続けて何年??という作品が色々と。
今年こそ!と年が変わるごとに想い続けて何年!?という作品が。(以下略・笑)

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「スパイは秘書に落とされる」烏城あきら



あ、惜しい!
何が惜しいって、この先の展開がものすごく読みたかった、
っていう読み足りなさが残っちゃってること。
私、社長秘書・中嶋の本来の性質がとっても好みです。
描き下ろしでSS入れてくれたら嬉しかった。
もしくは、逆サイド(中嶋)からの視点の物語が読みたい!という欲がフツフツと。
というわけで、産業スパイ小説楽しく読了。
読み終わってみれば、スパイ・雅也は育ちのいい可愛い犬でした。←褒めてます。
あの性格だから、今までうまくやってこれたんだろうけど。
逆にあの性格故に、転がされたらチョロかった。←しつこく褒めてます・笑。
中嶋はそんな犬を喜んで飼ってくれると思うの。


派閥や権力争いや悪意に満ちた足の引っ張り合いとは
無縁の状態でいられる幸せを思ってみる。
他人を追い落とすことに必死になるより、
自分の充足と幸せを全力で追いかけたいのです。





内容(「BOOK」データベースより)

タイムリミットは3週間、欲しい機密を握っているのは、社長の側近だけ―。敏腕の産業スパイ・望月雅也が情報源として狙いを定めたのは、社長秘書の中嶋淳。オフィスでは口数も少なく生真目だが、実はゲイらしい!?身体から落とそうと口説き始めた雅也だが、思いのほか中嶋は可愛くて!?情報を盗るか、恋を取るか―。嘘と純愛が交錯するスリリングLOVE。

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「ライオンの冬」沢木冬吾(角川文庫)



ハードボイルドに特化しきらないところが、この著者の持ち味なのかな?と。
最後まで読み終えて思ってみる。
ジーンとくる余韻がとても素敵。
山で静かに暮らす老人二人と女子高校生。
そんな彼らを護ろうとした者、奪おうとした者。
どちらにしても、彼らの生活に土足で踏み込んできたことには変わりない。
……と思ったら、日本政府、何やってんの?
身を守る術を知っていた、老兵二人の戦いっぷりが、カッコいいんだけど、哀しい。
老兵の血を引く女子高校生も、半端なくカッコよかった。
「誰かのために」戦った人たちの物語。
ラストシーンの続き、見てみたかった!

虎が山に残った理由が哀しかった。
と同時に、吾郎がいて、そしてあとから結も加わって。
そんな時間を過ごすことができて良かったね、とも思ってみる。
虎と結の会話が、本当に楽しそうだったから。
「生前贈与なんてするもんじゃない」
ちょっと前にリアルにそんな話を聞かされたばっかりで、胸が痛かった。


内容(「BOOK」データベースより)

伊沢吾郎、82歳。かつて日本陸軍の狙撃手としてフィリピン戦線で戦った男は、軍人恩給をもらいながら、孫娘の結と山奥でひっそり暮らしていた。しかし、ひとりの少年の失踪事件をきっかけに、雪山は緊迫感に包まれる。伊沢の動向を監視する謎の男たち。複雑に絡み合う思惑…。囚われた過去を背負いながら、老兵は愛する人を守るため、再び立ち上がった。ベストセラー『償いの椅子』の著者が描く、強く優しい絆の物語。

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「流浪の果て」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



対照的な二編を収録。
人生の終焉間近な人たちの物語と、これからの時代を担う若者たちの物語。
「流浪の果て」
冒頭ののどかな風景描写に、
余生を仲間たちと穏やかに暮らす人々の姿を思い描いて読み始める。
個性が強い面々の養老院での暮らしがコミカルに描かれていて、
微笑ましく読んでいられるのも最初の内だけ。
孤独で生きる目的のない毎日に、壊れていく心。
そして、唐突に訪れる終焉。
とても寂しい。生き甲斐って大事。友達も大事。
「干草の月」
恋とは言えない。
かけひきですらない。
熱に浮かされたようなその瞬間の高揚に心を浮き立たせる少年と少女。
純情で残酷。

残念なことに、私にとっては二編とも読後感があんまりよくなかった。
とはいえ、風景描写の美しさは相変わらず素敵。
特に「干草の月」ではロママンチックな響きのある夜の描写が印象的。
でも、総括すると、うー、と、唸りたくなる読後なのでありました。
もうこれは私の受け止め方の問題(笑)





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