きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「楊令伝1 玄旗の章」北方謙三(集英社文庫)
あれから三年。
潜伏した漢たちは志を胸に抱き、
その時が来ることを信じて黙々と準備を進めていた。
時が満ちていく気配が濃密に漂っていく中、
欠けたるもの、幻の王を求めて、北へ、そして北へ。
「この時機が来てしまったのだな」
果たさた邂逅。雌伏の時は終わった。
それは、託された旗を抱いての、新しい時代の始まり。
過ごした三年という時の分だけ何かを抱え込んだ懐かしい面々との再会に感無量。
そして、王進の住まう変わらぬ子午山の佇まいに安堵する。
散っていった男たちは、今を生きる男たちの胸で生きている。
そして、彼らの子供たちもまた、大きく羽ばたこうとしている。
期待感に胸を膨らませて、次巻へ。
まさか、この物語の中に「日本」という国が登場するとは!
私、私そこにいる!と、ミーハー気分で嬉しくなってしまった。
時代が全然違うことは承知しております
なんだかよく喋るようになってしまっていた御仁が一人。
それも良い変化なのかな?
三年間抱え続けた楊令の想い。
「晁蓋と宋江を合わせたような人間だ」
彼が背負わなければならない運命の重さを感じさせる言葉だ。
「雪を摑み、蔡福は口に入れた。それで、黙ることができた」
この言い回し、北方だなぁ、と、とても印象深かった。
しばらくは彼らと一緒に一喜一憂する日々。
先行した読友さんたちの後を追いかけます!
改めて感想拝見するのがとても楽しみ!
内容(「BOOK」データベースより)
梁山泊炎から三年―。宋との戦に敗れた漢たちは各地に潜伏し、再起の秋を待ち続けていた。燕青は、梁山湖に沈められていた軍資金の銀を引き上げる。呼延灼、張青、史進は各地で流浪の軍を組織していた。青蓮寺による残党狩りが熾烈を極めるなか、梁山泊軍には「替天行道」の旗を託された男、青面獣・楊令の帰還が待ち望まれていた。漢たちの熱き志を刻む「北方水滸」の続編、待望の文庫化。
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「AKIRA 1」大友克洋(講談社)
時は、2019年。
オリンピック開催前年のネオ東京。
夜の街を笑いながらバイクで疾走する少年達。
謎の少年との出逢いとそれによって引き起こされた事故が、
彼らの未来を大きく変える。
身勝手な大人によって身体を作り変えられた鉄雄。
だが、自らの欲求に従ってその力を他者に向けてしまった瞬間から、
彼はもう、後戻りはできない。
行く先々で事件の核心に近い部分に巻き込まれる金田もまた、
引くに引けない所に徐々に追い込まれていく。
破壊される物の描写に圧倒されつつ、何が何だかわからないまま次巻へ。
この勢い、この迫力、この緻密さ。
日本が世界に誇れる漫画たる所以。
お気に入りの映画ベストファイブに入るのが、この「AKIRA」。
他ですか?
「シンドラーのリスト」「カサブランカ」「愛と宿命の泉」「銀河鉄道999」
考えずにタイトルが浮かぶのがこの5本。
統一性がまったくないのは、私的にはもう、お約束。
「AKIRA」はサントラも半端なくカッコよかった。
そして、この漫画の装丁もやっぱりとてもカッコいい。
近未来なのに、どこか漂う昭和臭がとても心地よい。
映画を観すぎて、漫画を読みながらも台詞が音声付で脳内を流れていきます。
一方の漫画は、多分一度読んだきり、本棚の飾りになっていたんですよね~。
次巻はミヤコ様の登場です。私じゃありませんよ?←皆知ってる(笑)
「檻」烏城あきら(キャラ文庫)
設定のわりにはドロドロ感ないなぁ
(自分がドロドロしたの読みすぎてきた自覚はあります・笑)
と思っていたら、最後の最後でキタコレ!というゾワゾワ感が味わえました。
互いを選んだのは自分の意志に基づいた行為であることには違いないんだろうけど、
「あげたかったの」のリフレインが怖くて印象深い。
誰も彼もが「檻」に捕らわれたまま、
破壊することも逃げ出すことも選択肢に入れられずにその場に留まる人々。
その中で手にした彼らの幸せは、私には計り知れないモノがあるけれども。
係わる人たちが納得しているなら、それでいいんだろうな。
読んでる最中は恒川光太郎さんだったら、この閉塞感をどう表現するんだろう?
と、ありえないことを考えていましたが。
読後は榊原姿保美(榊原史保美)さんの作品を読み返したくなりました。
コンプリ作家さん。『雪うさぎ』が大好き。
バイトでやりくりしていた学生時代にハードカバーの本をせっせと買うくらい
好きな作家さんでした。
内容(「BOOK」データベースより)
封印されたあの庭には、決して入ってはいけない―。幼い頃から憧れていた、優しい従兄の宗司と同居することになった稔。けれど、日毎に募る仄暗い想いを持て余した稔は、ある夜禁断の庭へ足を踏み入れてしまう。ところが、庭の茶屋で自慰に耽る稔を目撃した宗司は、様子が一変!!「なぜここにいる」と猛々しく稔を抱いてきた!!宗司の激情に、稔は歓喜と恍惚の中で陵辱されるが。
「血まみれのマリア きんぴか2」浅田次郎(光文社文庫)
浅田氏の描く家族の姿が好き。
広い邸宅で卓袱台を囲んで豪華な夕食を取るヤクザの若頭福島克也と
その妻子の姿にほっこりする。
破天荒な三人組と親玉は健在。
表題はガチでロシアンルーレットをかます男・ピスケンの一途な恋。
マリアの血で汚れた髪を洗ってあげるシーンが好き。
仕事に命かけてる女にあのプロポーズは頂けない。
だけど、彼の愛に応えられる女は幸せだろうなぁ、と思った。
脳みそ筋肉の軍曹もほんのり恋バナ。
いや、あれはもう親心?
暑苦しくて鬱陶しいけど、軍曹、良い人。
「天使の休日」これはタイトルが深い。
楽しく読了☆
「人間は不幸の分だけ幸せになる権利がある」
軍曹のこの言葉は、名言だと思うの。
内容(「BOOK」データベースより)
ピスケンが恋をした。お相手は、「血まみれのマリア」こと阿部まりあ。泣く子も黙る救急救命センターの看護婦長で、今まさに息絶えんとする重体患者を救うこと数知れず、の奇跡を呼ぶ女だ。あまりに意外な組み合わせに、驚きのあまり絶句する軍曹とヒデさん。一途で不器用なピスケンは、マリアのもとに通いつめるが…。悪漢小説の金字塔、佳境の第2幕。
「なんか、淫魔が恋しちゃったんですけど」松雪奈々(シャレード文庫)
オヤジ妖精にとり憑かれ、
生きるか死ぬかの瀬戸際のセックスから始まった美和と渡瀬の関係。
そりゃあ、山積するよね、という気持ちの問題が双方から噴出し、
美和の決断と渡瀬の叫びにまさかうっかり泣きそうになるとは!
でも、今回の騒動を通して美和と渡瀬の想いは、
揺るぎないものになったと思うの。
わからないことをわかったふりしない美和のスタンスが好き。
そして、わかってくれ、と押し付けなかった渡瀬もカッコいい。
オヤジ妖精の恋はまさかの展開。
橋詰は私の想像をはるかに上回るスケールの男でした。(笑)
なんとなく篠澤が哀れに思えるあのイラストは反則。
最後は笑って大団円。楽しく読了。
オヤジ妖精に喰いついてくださった皆様。
ありがとうございました。(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
二度あることは三度ある!?はたまた三度目の正直か―!?温泉で別れたはずのオヤジ妖精がまたしても美和の前に現れた。どうやら美和の同期にして超イケメンの橋詰にマジ恋したらしい。美和を橋詰に接触させたくない渡瀬とは喧嘩してしまうし、身勝手なオヤジは性懲りもなく美和にとり憑くしで事態は複雑化。そんな中、三日に一度の性交を強いられる美和のため、渡瀬は鬱屈した思いを抱えながらも協力しようとするが…。なんと渡瀬が原因不明のEDに…!?美和最大のピンチが訪れる。
「三人の悪党 きんぴか1」浅田次郎(光文社文庫)
刑務所帰りのヤクザ。独りクーデターからの自殺未遂の自衛官。収賄の罪を被った政治家秘書。
世が世なら大物になった(かもしれない)傑物三人が、
「四課は桜の代紋を背負った極道だ」と論ずる定年を迎えた警察官に導かれ
邂逅を果たす。
破天荒な人情話であり、悪を成敗する話でもある。
笑っているうちにホロリとさせられたりしながらも、
結局は痛快に読めてしまうところが、浅田さんだなぁ、と思う。
所々に差し挟まれた二組の親子の姿と、広橋の家族の姿が印象に残る。
軍曹のサイズに合う帽子と靴を探しに行くピスケンの優しさが好き。
次巻で三人がどんな騒動を引き起こすのか。
とても楽しみ。
病院に搬送されたときどんな下着を着けているか?
これって、実はメッチャ重要ですよね~。
「日の丸はパンツの柄には適し得ない。
意匠の中心を正面に持って来れば猥褻。
後部に持って来れば、猿である」
読み始めた直後から大笑いでした。
内容(「BOOK」データベースより)
阪口健太、通称ピスケン。敵対する組の親分を殺り13年刑務所で過ごす。大河原勲、通称軍曹。湾岸派兵に断固反対し、単身クーデターを起こした挙句、自殺未遂。広橋秀彦、通称ヒデさん。収賄事件の罪を被り、大物議員に捨てられた元政治家秘書。あまりに個性的で価値観もバラバラな3人が、何の因果か徒党を組んで彼らを欺いた巨悪に挑む!悪漢小説の金字塔。