きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「天使の影~アドリアン・イングリッシュ1~」ジョシュ・ラニヨン
唐突に知らされた、友人の死。
その日から、少しずつ何かが崩れていく日常。
事件はそこだけにとどまらず、新たな旋戦慄を呼び起こし、
眠れる過去を暴き立てる。
知らぬ間に向けられる、独善的な好意と独りよがりの執着。
ああやって向けられる一方的な狂気は、防ぎようがないから恐ろしい。
自らを疑われながらも、犯人を突き止める為、果敢に闘ったアドリアン。
孤軍奮闘な状態にどうなることかと思ったけど、
だんだんと態度を軟化させていくリオーダンの存在が頼もしかった。
ブルースの家で鉢合わせた二人。
心臓が止まりそうになったのは、お互い様だろう。
この先、二人の関係がどう進展していくのか。
とても気になりつつ、次巻へ。
ストーカーは軽く見ちゃいけないと思います。
命の危険と隣り合わせ。
アドリアンのかつての恋人、メルは、後からややこしく絡んでくる気がしてならない。
どうなんでしょ?
内容(「BOOK」データベースより)
LAでミステリ専門の書店を営みながら小説を書くアドリアン・イングリッシュの元をふたりの刑事が訪れる。従業員であり友人のロバートが惨殺されたのだ。前日レストランで口論して別れたアドリアンに、殺人課の刑事・リオーダンは疑いの眼差しを向ける。調査に乗り出したアドリアンだったが、犯人の深い憎悪と狂気はやがてアドリアンに向かう。彼の危機に飛び込んで来たのは―!?それぞれの運命と向き合う男たちを描き上げたM/Mロマンスの金字塔、ついに刊行。
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「新公安捜査Ⅱ」浜田文人(ハルキ文庫)
巨大な利権。
動く巨額の金。
縁も興味もない自分にはそれが人を殺してでもどうにかしたいものなのかどうかが
さっぱり理解できないが、それらを動かせる者たちは、
得られる甘い汁に手を伸ばさずにはいられないのだろう。
秘匿される情報。
歪められる真実。
それらに屈しないためのスタンドプレー。
公安の蛍橋。捜査一課の鹿取と要。そしてやくざの三好。
男たちの見事な連携によって暴かれる真相。
絶対的な信頼と、揺るぎない絆。
彼らの係わり方がとても好き。
やくざに匿われてふて腐れる要の幼さに「幾つだよ」と突っ込みつつ、
要を守る為に奔走した彼らに「お疲れ様」と囁きかけた読了後。
東京オリンピック。
豊洲への移転問題。
リアルな話題を散りばめつつ、物語は展開します。
「名誉でも地位でもカネでもない。
己をピカピカに磨くたえい生きてるような女や」
という蛍橋の言葉を受け、「男はみんなクレンザーか」と返した鹿取。
夜の世界を強いくしたたかに生き抜く女の生き様を表した言葉がとても印象的でした。
内容(「BOOK」データベースより)
銀座中央市場の移転予定地で死体が発見された。被害者は銀座中央市場の仲卸業者の矢口和也。だが、一見、普通の殺しに見えた裏には、市場移転にからむ、巨大な利権問題があったのだ。児島要警部補は再び都知事の石橋太郎に相対する。一方、神奈川県警公安二課の螢橋政嗣は、ある任務のために、仮出所した関東誠和会組長の三好義人を訪ねるのだが…。書き下ろしでおくる、都庁シリーズ第二弾。
「光」三浦しをん(集英社文庫)
自分は悪くない。
あれは仕方がなかった。
心の奥底に抱いていた想いがあるが故に、彼らの歩み続けた歪んだ道。
手を伸ばせば、そこにささやかな幸せがあったかもしれないのに。
それが必然であるかのように、暗く淀んだ闇へと誘われていった彼ら。
罪人は何事もなかったかのように日常へと舞い戻り、
彼女はすべての真実に蓋をする。
神経を逆なでする不快感。
だけど、それもまた、人の業。
ありえない話ではないと思えるからこそ、苦い想いを飲み下したかのような読後感に、
暫し呆然となった。
タイトルの「光」。
いくつもの「光」の解釈が頭を過った後、
いつか、すべての出来事を白日の下に晒すための光であってほしいと、私は思いました。
「幸せ」という言葉とは程遠い物語。
だけど、一気に最後まで読ませる何かを孕んでいる。
すべてを覚悟したうえで運命に身を委ねた輔。
家族や恋人を守る手段をどこかで間違えた信之。
どうにかならなかったのか?と思うけれども、
どうにもならなかったからこそ、この結末なのだろう。
内容(「BOOK」データベースより)
島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが―。渾身の長編小説。
「覇者の魔鏡(前編) 炎の蜃気楼6」桑原水菜(コバルト文庫)
400年間抱え続けた直江の想いをまともにぶつけられ、困惑する高耶。
17年しか生きていない彼に、逃げるなと迫る千秋は身勝手だ。
上杉の夜叉衆の面々が自らの内なる想いと対峙して混乱と苦悩に陥る中、
高耶に向けられた氏照の言葉が胸に刺さる。
大戦からの復興の回想。
計り知れないダメージを被っても、人は立ち上がる術を知っている。
諦めない限り先に進むことができる。
今の直江は袋小路にの中に在る。
凶器にしかならない想いを抱えた己に下した悲観的な結論が痛い。
そして、彼の手の届かない所で高耶の身に起こった出来事に呆然となるのだ。
この巻からリアルタイムで追いかけたので、
次巻を手にするまでの間の悶々としたことといったら。
ドキドキしながら続きを待つのも読書の醍醐味だけど、
続きが手元にある安心感も素敵。
氏照と高耶の対話のシーン。
高耶の台詞はすべて関さんの声で脳内再生。
先に台詞が出てきて文字を後から目で追いかけるような感じになっちゃって……
「鳥の翼」で色々気持ちが揺さぶられた結果、うっかり泣きそうになりました。
内容(「BOOK」データベースより)
日光東照宮から、何者かに盗まれた秘宝、『〓鏡(つつがきょう)』は、人間の魂を封じこめる魔鏡だった。一方、由比子とともにプールに出かけた紗織は、謎の白い腕が次々と若い女性を水の中に引きずりこむのを目撃する。〈闇戦国〉の北条の動きをめぐって、霊が活性化しているのだ。紗織の連絡を受けて〈調伏〉に向かった高耶たちだが、彼らを待っていたのは、練馬城の悲劇の姫・伊都と豊島一族の怨霊群だった。
「新公安捜査 Ⅰ」浜田文人(ハルキ文庫)
都庁で起きた爆発事件。
10年前、新島で起きた殺人事件。
それぞれの事件の真相を探る捜査一課強行犯三係の面々と、
神奈川県警公安二課の螢橋
派手な立ち回りは全くないまま、展開していく物語。
だけど、男たちの熱い気概は伝わってくる。
「犯人をパクる。俺たちにはそれしかない」
たとえ、どんな手段を使っても。
そんな要がどんどんあがめられていっている様がおもしろい。←褒めてます。
実際の所、公安警察の在り様ってどんな感じなんだろう?と、
この作品を読むたびに思います。
蛍橋のように何もかもを犠牲にしないと成り立たないような職なら
やるせない。
「底なしの純情」
「嫉妬交じりに惹かれた」
「澄んだ瞳」
35歳男子の要に対する男たちの賛辞に、どんだけ~!?と、心の中で叫びました。(笑)
さて。
次巻はあの人の復活です!待ってた!!!
内容(「BOOK」データベースより)
都庁で爆発事件が発生。都知事、石橋太郎の檄文を聞き、警視庁の捜査会議は色めき立った。都民の人気は絶大だが、企業や営利団体の反感を買っている都知事。捜査一課強行犯三係の児島要は、鹿取警部補のアドバイスを受けて、都知事との面談に向かう。一方、神奈川県警公安二課の螢橋政嗣は、かつて捜査対象者だった男の白骨死体の発見で、一人新島を訪れていたのだが…。北朝鮮シリーズに次ぐ、待望の書き下ろし新シリーズ第一弾。
「青く清く」小杜蕗シンジ(H&C Comics )
手放しで絶賛。
とても素敵な物語だった。
高校生の真摯なラブストーリー。
「好きだから一緒にいたい」
根底にあるのはこの想い。
そして、好きの意味合いが合致しないからこそ、
「好きだから触れたい」
「このままでいたい」
「好きだから辛い」
「好きになってごめん」
そんな想いとの間で揺れ動くことになる。
シュウからの告白を逃げずに流さずに真剣に受け止め、
どうあるべきかを考え続けたナツ。
彼らの悩みを受け止めて相談に乗り続けたハルとトウヤ。
心理描写が丁寧に描かれている上に、その気持ちを裏付ける表情がとても素晴らしくて。
彼らと一緒に胸がギュッとなりました。
BLでくくって読む方が限定されちゃうのはもったいないくらい素敵な物語だった。
(とはいえ、Hしちゃってるので苦手な人には薦められませんが^^;)
この子たちの表情が本当にいい。
そして、覚えのある気持ちに一緒になって嬉しくなったり哀しくなったりします。
お友達からのお借り本。
これ、私も手元にお取り寄せするわ~。←私も友達に貸したい(笑)
「ジャイアントキリング 41」ツジトモ(モーニングコミックス)
切磋琢磨。或は、好敵手。
そんな言葉が終始脳裏を過る。
競い合ってこそ、チームも選手も成長する。
かつてのチームメイトが在籍するチームとの対戦。
お互いに敬意を持って全力で闘い抜いたからこそ、
試合が終わってからのスタンドからのエール。
ETUサポからの石浜コールには胸が熱くなりました。
そしてモッチー!待ってた!絶対的王者の復活。
怪我に泣かされながらも、自分の立ち位置を認識していて、
今何をなすべきかをわかっている。
期待された以上の成果を出すことは、生半可なことではできないだろう。
だが、それを、やってのけてしまう強さが持田にはある。
いつまでもギラついた彼であってほしい。
うつむきかけた石浜に対する達海の言葉。
監督としての達海の言葉と影響力は半端ないと、改めて思った。
持田の言葉はブラフじゃないから、説得力があるし、
彼の勝ちに対する貪欲さは、誰よりも勝っている。
それは、自分の脚がいつ壊れるかわからない刹那の中で戦っているから……
と、語ってるうちにだんだん妄想入ってきました。(笑)
東京ダービー、楽しみです!
「誘惑の天使」ジョアン・ロス(MIRA文庫)
施設で育った二人の少年。
大人になり、諜報員と医師へと道が分かれても、家族のように慕いあう二人。
国内が混乱に陥っている因縁のある国への潜入は、囚われた親友を助けるため。
残虐な将軍が自分を殺そうと待ち受けていることがわかっているのに……と。
ここだけ抜き出すとハードボイルドな展開かと思いきや、
そこに「天使」という要素が加わると、素敵なロマンス小説になります。
意志が強くて、まっすぐで、美しく聡明なレイチェル。
彼女もまた、過去や自分自身の存在そのものに大きな秘密を抱えていた。
そんレイチェルとジェイドのラブロマンス。
頑ななジェイドの気持ちが、だんだんとレイチェルに傾いていく様がとても良かった。
一言苦言を呈すなら☆
服をビリビリに破くのはダメだと思うの。
脳内でハードボイルド展開を想像して、あ、ロマンスだとそっちにいくのねーと
分析している自分が面白かった。(笑)
読友さんからのプレゼント本。
楽しく読了しました。
ありがとうございます。
内容(「BOOK」データベースより)
凍えるほど寒いある冬の日、両親に捨てられ施設で暮らす少年ジェイドは、施設裏の湖に誤って落ちてしまった。息もできず薄れゆく意識の中で少年が見たのは、天使のような女性の幻覚。そして目覚めたとき、どういうわけか彼は助かっていて、医務室に横たわっていた。あれから20年近く経ち、諜報員となって暗躍するジェイドは今、大切な友人を助けるため人生で最も危険な任務に就こうとしていた。そんな彼の前に現れたのは風変わりな修道女。彼が気づくはずなかった―彼女が遠いあの日の天使と瓜二つなことにも、彼女の正体にも。
「さよなら、ベイビー」里見蘭(新潮文庫)
肉親との死別。
思いもよらなかった事態との遭遇。
迫られる対応。
それは、誰にでも起こり得るもの。
対処の仕方がわからなくなって、途方に暮れた時こそ、
これまで培ってきた人生の経験値が生かされる。
自分だけが特別なわけじゃない。
みんながそうやって生きている。
そして、助言や助力を与えてくれる人がいなければ、
多分、危機を乗り越えることは難しい。
雅祥には色々言いたいことはあるけど、
ひきこもりでありながら、生後数か月のタカヤと
懸命に向き合った姿は評価したい。
彼らの接点は?
この子は誰の子?
そんな疑問を内在した時系列の運び方が秀逸。
おかげでノンストップで読み切りました。
「愛し愛されるためにやってきたこども」
このフレーズがとても響きました。
全ての子供達がそうであることを願いたい。
内容(「BOOK」データベースより)
見知らぬ赤ん坊を連れてきた父親が、まさかの突然死。母亡き後ひきこもり歴4年の雅祥が、いきなり育児を任されることに。この時から地獄の二人暮らしが始まった。ミルクを飲ませても、おむつを替えてもタカヤは泣き止まない。母親はいったい誰…迎えが来る日まで、あと1日。だが、まあくんとタカヤと母親の人生は驚愕の真実へと急転直下する!胸に染みる、痛快青春ミステリー。
「流刑の街」チャック・ホーガン(ヴィレッジブックス)
義勇軍を気取った退役軍人の彼らは、
この世界とどうにか折り合いをつけて、
楽しく真っ当に生きようとしただけなのに。
知らぬ間にはまり込んでいた泥沼。
後戻りできない道。
生き残った者も心に深い傷を負い、
その傷を抱えたまま、歩き続ける。
裏切った者は裏切られる。
彼が最も軽んじたであろう者に。
冒頭から鷲掴まれた物語の中に、ガッツリ引きずり込まれた。
そして、めまぐるしく展開していく物語をドキドキしながら追い続けた。
彼を最後まで突き動かした想いが哀しい。
この結末でメイヴンは救われたのか?
願わくは、彼の瞳に再び光の宿らんことを。
「明日の男理論」これはとても素晴らしかった。
「昨日の男」にしてほしかったことを、「明日の男」のために実行しろ。
「男」を「自分」に置き換えて、この部分を何度か反芻しました。
【ここからネタバレ】
諸悪の根源は男であって、言葉には罪はない。
それでも、弁舌巧みな男の言葉に拍手喝采を送りたくなった自分を、
後で罵りたくなるわけなのです。
ホント、イイこと言ってるだけに……ね。
こうやって人心を掌握していくんだわーと思うと、なんだかやるせない。
内容(「BOOK」データベースより)
ボストンの駐車場で夜間警備員として働く、若きイラク帰還兵メイヴン。ある晩、強盗に襲われた彼は、反撃のすえ相手を殺しかけてしまう。その翌日、メイヴンは一人の美しい女からある人物に連絡するよう伝言を受ける。メイヴンを待っていたのは元軍人だという謎めいた男ロイス。彼はメイヴンに自分のチームで働かないかと言ってきた。除隊後鬱屈した日々を送るメイヴンのような男たちを集め、麻薬組織を襲撃して街を浄化すること―それがロイスの“仕事”だった。戦場を思い起こさせる仲間たちとの絆と多額の報酬、すべては完璧に思えた。ある日歯車が狂いだし、街に血が流れ始めるまでは…。