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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「聖の青春」大崎善生(講談社文庫)



いつから人は、自分が死ぬことを意識するようになるのだろう?
意識した瞬間から、自分の生き様は変わるのだろうか?
重い病気を抱え、幼少期から死が身近にあった彼。
棋士を目指すことに対する両親の理解と支え、良き師匠との出逢い。
彼の目標となり、高みへと誘う将棋界の棋士たち。
多くの人に支えられ、全力で生ききった「村山聖」という棋士の29年。
在るがままの自分を受け入れる強さ。
目指した道を着実に極めようとする強さ。
そんな彼の強さが胸に刺さる。
どの瞬間に死んでも、多分、悔いは残る。
全力、とは言えなくても、それなりにやりきったって言える自分でありたい。

あとがきに寄せられた父、伸一氏のまっすぐな言葉が胸に沁みました。
自分がしんどい時って家族にきつくあたりがちになるよなぁ、と、ちょっと反省。
読了後『3月のライオン』ではなく、何故か『ヒカルの碁』が無性に読みたくなりました。
←すぐ出せるところにあるから危険。


内容紹介

重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指す弟子のために、師匠は彼のパンツをも洗った。弟子の名前は村山聖(さとし)。享年29。将棋界の最高峰A級に在籍したままの逝去だった。名人への夢半ばで倒れた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞作(講談社文庫)

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「神々の憂鬱~暁の天使たち2」茅田砂胡(C・NOVELS)



科学技術の発達した世界と、魔法や超常現象の飛び交う世界の見事な融合。
私たちの感覚で「あたりまえの事象」を、別な視点から説明する言葉の巧みなこと。
面白いなぁ、と思う。
リィの育ての親のシルヴィと生みの親のアーサーの会話はとても良かった。
そして、リィからのアーサーに対する抱擁と言葉でアーサーと一緒に涙ぐんだはずなのに……
直後で吹き出してしまうところはさすがです、茅田さん。
「目指せ一般市民」という言葉がどうにも胡散臭い四人組。
確実に逸脱するでしょ?という方向で期待しています。
最後の最後で落とされた爆弾に、ここで来た!とテンションあげつつ次巻へ。

最後の爆弾の落とし方が本当に上手い。
どうしても「つ、続き~~!」と唸ってしまうのは、このシリーズではお約束。
作中でウォルについて言及してくれたのが、とてもとても嬉しかった。
場所が変わってもブレない彼らの在り様が好き。


内容(「BOOK」データベースより)

異世界から来たシェラにとって“この世界”は魔法に満ちていた。科学という“誰にも平等に使える魔法”が、人の代わりに何でもやってくれる。しかしシェラは知っていた。“限られた者たちにしか使えない魔法”の存在を。―魔法惑星ボンジュイの存在を。ついに黄金の太陽リィと銀の月シェラ、そして闇のルウの3人が集う。この世界―宇宙に何が起きるのか

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「進撃の巨人 21」諫山創(マガジンコミックス)



私にとってはとてもとても辛い選択だった。
地獄からの解放と、背負う新たな使命。
「後悔させるな」
その決断に、その行為に。これから起こりうることに。
誰もが自らの責任を負い、誰のせいにもしてはいない。
だからこそ、それは誰に対しても、重い言葉だ。
エルヴィンの果たした約束が、リヴァイを縛る。
彼をその先へと駆り立てる。
彼らにしか分かち合えない絆がそこにある。
数多の犠牲を払って辿りついた地下室。
そこで紐解かれる事象には
「人類の歴史は戦いの歴史」という言葉を想起させられた。
身を削りながら近づきつつも、真実はまだ遠い。
次巻。早く!!

わかっていたから、買ってから頁を開くまでにずいぶん時間がかかってしまった。
だからって、描かれている内容が変わる訳じゃないのにねー。
彼が切望した真実を、しっかりと見届けます!
だから、安らかに。(涙)

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「嵐を呼ぶ台風 ~許可証をください!3」烏城あきら(シャレード文庫)



地に足の着いたお仕事小説であり、恋愛小説。
「ダメなところまで来てしまった」二人の心は
揺れに揺れているわけですが、そういう揺らぎは恋愛の醍醐味。
汗にまみれ、水にまみれて働く姿はとてもかっこよく、
仕事中にも相手を前にして蠢く情動が艶っぽく……楽しく読了。
男同士であること、長男であること。
そういうことをちゃんと真剣に受け止めて考える弘のまっすぐさが好き。
そして彼の出した結論にぐっときました。
ああ、やっぱりカッコいい。
無駄なところに器用さを発揮する前原がなんだかおかしくて……(笑)
今回垣間見えた前原の苦悩する姿が色っぽくて、個人的に萌ポイントでした。

水不足対策に対して「もっと早くにやっておけば」と言った弘に対して
「もっと早くに、ではなくて、やってて良かった、
ギリギリ間に合った!って考えるもんですよ」
と返した矢野の考え方はとても大事。
そして、間に合わなかった時のことをきちんと考えて手を打っていた彼に脱帽です。
うん。
仕事ってそうやってするものだよね。
ジュウゴウさんをサラリと汲み取ったところはさすが弘の父親。
烏城さん。他の本も気になってきました。
これは作家買い!?←する気満々(笑)



内容(「BOOK」データベースより)

八月、喜美津化学はかつてない渇水に見舞われ、製品が納期に間に合わないかもしれないという危機に直面していた。前原が試作していた冷却器まで持ち出し、盆休み返上で生産を試みる製造部の面々。しかし品証の弘に手伝えることはなく、自宅で通常通りの夏期休暇を取ることに。そこへ工場に詰めているはずの前原が現れ、好き放題した挙げ句、弘を手製の拘束具でベッドへ繋いで消えてしまう。驚き慌てる弘のもとへ、北海道にいるはずの両親が突如乗り込んできて…。書き下ろしは台風一過の朝、パワーアップした拘束具によって再びピンチを迎えた弘のその後。二人の関係にも展開が?「働く男」の真骨頂、好評シリーズ第三弾。

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「64(ロクヨン)下巻」横山秀夫(文春文庫)



多分、彼はその場所に在ることを選ぶのだと、確信を持っていたので。
「おれの職場はここだ」と言い切った三上と記者クラブとのやりとりは鳥肌モノだった。
意に沿わない仕事と真っ向から向き合い、
その仕事を自分の職務とした三上。
身内であるなしに係らず、彼には人がついていく。
やりがいのある仕事は自ら掴み取るものなのだと、教えられた気がした。
そんな三上の思い描いた未来の時。
互いに認め合った松岡と三上の「その時」の姿を思い浮かべながら、本を閉じた。
一社会人として。
仕事をする上での自分の在り方を、ここにきて改めて己に問いかけながらの読書でした。

犯人に行きついた男の人生が、とてもやるせない。
「事件」は当事者以外の者にとっては「他人事」なのだと。
痛感させられた気がしたけれども。
多分、それは何に対しても当てはまるのかな。
自分に係ること以外はすべて他人事。
だからこそ、やさしさと思いやりと誠実さって大事な気がする。
一連の騒動を通じての広報室の面々の成長ぶりが素晴らしかった。
張り切って他の「D県警シリーズを」と思ったら、他は短編集なんですね~。
横山氏は新しい本に手を出す前に、
まだ感想をUPしていない手持ちの本を再読することにします。                                                                                                                                                                                                    
内容(「BOOK」データベースより)

記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件が―。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。

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「64(ロクヨン)上巻」横山秀夫(文春文庫)




「仕事だから」という理由で、人はどこまで自らを殺すことができるのか。
組織に属する以上、上からの命令は絶対。
守るべき家族がいる者は、安易に叛旗を翻すこともできない。
立場も役割も自分自身で決められない以上、
それは「服従」ではなく「任務」だと。
どこまで割り切ることができるのだろう?
感情が納得できない仕事はキツい。
ましてや、三上はプライベートでも心痛を抱えている。
それでも、懸命に職務を全うしようとする三上。
同時に進行する様々な事象。
利害の絡んだ人々の思惑。
それらすべてがどのように交差し、どんな結末へと向かうのか。
終始緊張感を孕んだまま、下巻へ。


会社が仲良し倶楽部じゃないことは重々承知しておりますが。
人間関係がこんなにドロドロしていて、
みんなが意地悪そうな職場……キツイ。
息が詰まりそう。
でも、家に帰ればそれぞれが「家族」の顔をしてるんですよねー。
そういうのも垣間見えちゃうから、色々リアルに迫ってきてやりきれなくなります。
続が気になるので、ワンクッション置かずにこのまま下巻に飛び込みます。


内容(「BOOK」データベースより)

元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。


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「暁の天使たち」茅田砂胡(C-NOVELS)



一冊まるごと使っての序章。
世界が変わっても、立場が変わっても。
彼らはやっぱり私の知っている彼らだったことが嬉しい。
走り回って、全力でやりあって。
素直に感情のままにぶつかり合う。
前半の大人しさを吹き飛ばすかのような後半の暴れっぷりが
ものすごく楽しく感じられたのは、「あの世界」でそうだったような
全力の殺し合いじゃないからかな?
『デルフィニア戦記』と『スカーレット・ウィザード』を読んでいることが前提の物語。
でも、そういうのもアリかな?と。
彼らと一緒に私も「この世界」での物語を楽しもうと思います。

ゆっくり読もうと思っていたのに、一気に読み切ってしまった。
茅田さん、読み始めたら止まらないですよね~。
さすがに『デル戦』から再読をしていたら日が暮れるどころじゃないので、
自分の感想とWikiのお世話になって物語世界の復習。
記憶が一気にほどける瞬間が楽しい。
ああ、私、ウォルが本当に大好きだったんだわ、と、思い出しました。
ケリーも大好き。ふふ。一貫してますねー。
でもほっとけないのはヴァンツァー。
ワクワクしながら次巻へ☆


内容(「BOOK」データベースより)

デイジー・ローズはお気に入りの薔薇園で3人の天使に出逢った。菫の瞳と輝く銀の髪の、すさまじく丁寧で礼儀正しい天使。宝石のような緑の瞳と太陽の光を浴び黄金に光る髪で、恐ろしく口も態度も悪い天使。そしてもうひとり、黒い天使に―。

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「慰安旅行に連れてって!許可証をください!2」烏城あきら(シャレード文庫)



全力で働く方々のお仕事BL。
軽く社員旅行に行く話かと思ったら、タイトルの意味が重い。
重いながらも、ラブがあってキュンがあって笑いがあって。
何より、操業停止にさせるまいと、汚水の原因究明に懸命に励む彼らの姿がとてもカッコイイ。
労を厭わず、率先して現場を動かす前原に
「負けたくない」と叫んだ阿久津。
阿久津の打ち出した提案に対して「っくそ!」と闘志を燃やす前原。
この二人、切磋琢磨しながらホント、イイ仕事していきそうですね~。
前原の仕事ぶりと肉食っぷりが相変わらずカッコイイ。
そして、受け身なだけじゃない阿久津もまたカッコイイのです。

阿久津のストレス解消に思いっきり爆笑。
彼の才能(?)は仇名付けだけじゃなかったのね~。
「藤井部長(仮名)」のことを影ながら「藤ブー」と呼んでいたウチの主任。
会社の人の結婚式の席でしたたかに酔っ払い、ご本人に向かって「藤ブー」を連呼してて、
周囲の私たちが青ざめた珍事。
余計なあだ名はつけない方が賢明かも(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

喜美津化学五年に一度のビッグイベント、慰安旅行の幹事を任された弘だが、工場排水の水質悪化というアクシデントに見舞われ、その対応で寝る間もないほどの忙しさに追われることに。さらには将来のために大学の通信課程を受けるよう前原を説得して欲しいと、会社から頼まれごとまでされてしまう。しかし、前原が漏らしたとある一言がきっかけで、弘は「君とはもう寝ない」と宣言し、絶縁状態に!?地方の化学薬品工場を舞台に、四大卒のホープ、品証の弘と製造部の若頭、前原が繰り広げる、濃密&おとぼけワーキングデイズ。ボリュームたっぷりの書き下ろしつき、好評シリーズ第二弾。

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「ファイト・クラブ」〔新版〕パラニューク (ハヤカワ文庫NV)



出逢うはずのない二人の出逢い。
いつしか生じる支配と服従。束縛と依存。
盲目的な崇拝の根底にあるものは、徹底的な自己破壊のはずだった。
だが、内に向けられていたはずの破壊衝動が外に向けられていると気づいた時。
後戻りなどできない程雁字搦めに縛られた現状に気付いた時。
生じた彼の驚愕と戦慄は、私のものでもある。
到底理解し得ない彼の歪み。
その歪みが生み出したものに追随する者が増え、
いつしか制御不能になっていく様は、在り得ないことではなくてゾワリとする。
例え生き方を変えるにしても。破壊せずに前進する術を模索したい。

何度か読もうとして手に取って開いて、なんとなく頁を閉じて……を繰り返した本。
私にしては珍しい。
読み終わってみれば、上手いなーと、うならずにはいられない構成でした。
読み進めるうちに途切れ途切れに脳裏に浮かぶ映像。
で、思い出しました。
私、映画を断片的に見ているんですね。
断片的なのは部屋で他のことをやりながら片手間に見ていたから。
誰に薦められたのかまで思い出しました。
記憶って連鎖して蘇るんですよね~。


内容(「BOOK」データベースより)

おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する―人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。

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「制裁」 ルースルンド&ヘルストレム(ランダムハウス講談社文庫)



読後のやりきれなさが半端ない。
でも、こんな重苦しい余韻が残る話は好き。
バッシング覚悟で
正しい裁判を執り行おうとしたオーゲスタムこそ英雄だと思った。
フレドリックのしたことを間違いだとは言いたくないし、
心情的には彼の行動に寄り添える。
だけど、社会の中に在る以上、彼は悲劇の英雄にしかなり得ない。
人は法に縛られる。
はみ出した世界に秩序はない。
便乗した馬鹿たちが皮肉にもそれを証明している。
だから、納得はしている。
だけど、感情的にはどうしたってやるせなくなってしまうのです。


同害報復を実行する組織の話を思い出した。
自らの欲望のために少女たちをレイプしたルンドこそ、
彼女たちと全く同じ目にあってみるといい。
目に目を。
まぁ、あくまでも物語世界的な話ですけど。
オスカーションの秘密って何かしら?何かしら?と思っていたわけですが。
うっそー!?となる秘密でした。腐的にちょっとテンションあがります。
次作は「ボックス21」
うまく入手できるかしら?

内容(「BOOK」データベースより)

スウェーデンのとある町。古いアパートの地下室で、二人の少女の死体が発見された。凄惨な強姦殺人事件に人々は震え上がるが、ほどなく犯人は逮捕された。それから四年後―。作家のフレドリックは、テレビのニュースに映った脱走犯の顔を見てパニックに陥った。娘を幼稚園に送ったときに入口で挨拶を交わした男だったのだ!娘の無事を必死に願うフレドリックだったが…。グラスニッケル賞最優秀北欧犯罪小説賞受賞作。

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