きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ハイキュー!! 19」古舘春一
のびしろの多い子たちの進化は目覚ましい。
一試合の間に格段の成長を遂げる。
それは、突然に開花するものではなく、
これまで積み重ねてきた努力があるから。
そして、勝つために何をすべきか、必死で考えているから。
中でも、バレーに「ハマった」月島の覚醒には、鳥肌が立ちました。
あんなにクールだった彼が、今はとても熱い。
それは彼自身にとっても、チームにとっても好ましい変化。
烏野vs白鳥沢。
戦い方。考え方。
監督の言葉にも象徴されるように、まったく個性の違うチームどうしのぶつかりあい。
全力プレーの試合は白熱したまま、次巻へ!
噛み合っていない日向と影山の会話がおもしろい。
なんだかんだこの二人は良いコンビ。
そして、ラフ絵の岩ちゃんと及川さんにテンションが上がる私。
うん。やっぱりこの二人が大好きです。
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「香水 ある人殺しの物語」パトリック・ジュースキント(文春文庫)
彼の生み出す香りからは、色彩豊かな情景までもが
鮮明に脳裏に浮かんでくる。
人の感情すら自在に操作することのできる、香り。
そんな香りを意のままに生み出すことのできる、
稀有な才能を持って生まれたグルヌイユ。
香りに取りつかれ、香りを追い求め、そして香りに殉じた男の物語。
奇怪極まるその生き様は、醜悪で崇高で純粋で変質的。
視覚的に思い描けば、物語の最期は悪夢としか言いようがない。
だが、それすら、彼自身が望んだ結末。
思えば、彼の人生において、
彼自身の意に沿わぬことは何ひとつ起こってはいないのだ。
悪酔いしそうな物語。
革命当時のフランスの情景がしばらく脳裏から離れそうにありません。
内容(「BOOK」データベースより)
18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩める。異才はやがて香水調合師としてパリ中を陶然とさせる。さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに…欲望のほむらが燃えあがる。稀代の“匂いの魔術師”をめぐる大奇譚。
「進撃の巨人・18」諌山創(マガジンコミックス)
思いはひとつ。「僕たちの故郷へ」
それぞれが抱えた想いがある。
そして、それぞれにしかできないことがある。
一人ですべてを担う必要はない。
個と個がつながりあうことによって、より強大な力となる。
語り合った未来を現実のものとするためには、今を戦うしかない。
「知りたければ見に行けばいい。それが調査兵団だろう?」
エルヴィンの言葉にゾクゾクした。
機は熟した。
人々の熱い叫びに背を押され、ウォール・マリアへ。
人類と巨人。いざ、決戦の時。
ウォール・マリアを奪還した後になにがあるのか?
リヴァイの問いは果てしなく重い。
カルラの言葉がとても胸に響いた。
「だからこの子はもう偉いんです。この世界に生まれてきてくれたんですから」
エレンが愛されて育ったことがとてもよくわかる。
そして、エルヴィンとリヴァイの会話が個人的にはもう、
泣きそうになるくらいとっても胸苦しかったです。
地下室に何かがあるのかな?うわー、次巻もドキドキです!
内容紹介
王政を打倒し、旧体制派を一掃した調査兵団。新たに手に入れた光る鉱石とエレンの硬質化能力によりウォール・マリア奪還作戦への準備を着々と進める。一方、ライナーとベルトルトは獣の巨人と共に迎撃態勢を整え……!! そして決戦前夜、シャーディスが語るエレンの父・グリシャとの出逢い、そして「845年のあの日」の真実とは!?
「さよなら一顆」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
未来は予測不可。
自分の気持ちの行方すら、今の自分にはわからない。
どこにでもいる、ごく普通の社会人男子が二人。
出逢い、互いを知りたいと思い、そして、恋に落ちる。
特別劇的なエピソードは何もなく、ありふれた日常の中で静かに進行していく恋。
人との距離感の計り方がわからなかった比呂が、榛名と話すことによって
懸命に他人と対話しようと試みる。
嫉妬とかめんどくさいしありえないし、というスタンスだった榛名が、
比呂を深く知るにつれ、独占欲を知ることになる。
会話を重ねるごとに寄り添っていく二人の想い。
そんな二人の会話がとても好き。
今回は会話の応酬で読ませる物語だったような気がします。
静かな物語だけど、なんだか印象深かったです。
これ、再読したらよりジワッときそうだわ。
内容(「BOOK」データベースより)
それは7月3日、涙の日と言われる日だった。中古貴金属買取店に勤める座波は、閉店間祭に婚約指輪を売りにきた男性客に気まぐれに夏みかんを振る舞った。無表情で淡々としていた男がふいに「おいしい」と言って涙をこぼし、その出来事は妙に印象に残った。だが数日後、ホテル街で女にひっぱたかれた場面を、伴の客・矢神に目撃され…?愛を見失った男と心を見失った男の、センチメンタル・グラフィティ。
「本当の戦争の話をしよう」ティム・オブライエン(文春文庫)
連なるいくつもの短編で綴られるのは、戦場での若き兵士たちの日常。
故国から遠く離れたヴェトナムの地で、
友と笑いあい、ジョークを交わし、彼女の話をする。
けれども、そこには地雷があり、砲撃があり、ふいに訪れる死がある。
逃げ出したくなるような恐怖心を押し隠しての行軍。
友の死に責任を感じ、殺した男の死を背負い、
帰国しても、彼らの心の片隅に常に在りつづける戦場。
個人的には『レイニー河で』が秀逸。
徴兵に怯えるティムをただ黙って見守り続けたエルロイの存在は大きかった。
何のための戦いだったのか?
それを問うことは一切なく、本書はただ、兵士たちの日常を語り続ける。
だからこそ、死についてい考えさせられ、じわじわとこみあげる想いがある。
生きて帰ることこそが、彼らの重要な任務。
そう思うことは、感傷だろうか?
内容(「BOOK」データベースより)
日ざかりの小道で呆然と、「私が殺した男」を見つめる兵士、木陰から一歩踏み出したとたん、まるでセメント袋のように倒れた兵士、祭の午後、故郷の町をあてどなく車を走らせる帰還兵…。ヴェトナムの・本当の・戦争の・話とは?O・ヘンリー賞を受賞した「ゴースト・ソルジャーズ」をはじめ、心を揺さぶる、衝撃の短編小説集。胸の内に「戦争」を抱えたすべての人におくる22の物語。
「疾走・下」重松清(角川文庫)
【あなたは生きてください。
自分の生を一生懸命に生きて、他人の生を、慈しんでください】
「ひとり」を厭うた少年は、つながりを求めて受話器に手を伸ばす。
声がききたかっただけ。寂しかっただけ。抱きしめてほしかっただけ。
彼女たちもその呼びかけに応える。
たぶん、彼女たちも寂しかったのだ。
けれども……
その逢瀬が、新たな負の連鎖を呼び込んでしまう。
マイナスとマイナスで、さらなるマイナス。
人生はこんなにもままならない。
「逃がすために。守るために」
それが、少年の最期の願い。
最後に届いたメッセージは間に合ったのだと。
彼が微笑んで逝けたことが、せめてもの救いなのだと。
そう、思いたい。
僅か15歳の少年が、全てを背負わなければいけなかったことが、やるせない。
守ってあげられるのは親だけだったのに。
親もまた傷つき、疲弊し、自分自身を奮い立たせる術を持ち合わせてはいなかった。
最後まで傍観者に徹した語り部は、あくまでも見守るしかない他人。
雄二に会わせる事さえしなければ、と思うのは、私だけかな?
内容(「BOOK」データベースより)
誰か一緒に生きてください―。犯罪者の弟としてクラスで孤立を深め、やがて一家離散の憂き目に遭ったシュウジは、故郷を出て、ひとり東京へ向かうことを決意。途中に立ち寄った大阪で地獄のようなときを過ごす。孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人―。人とつながりたい…。ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた少年の軌跡。比類なき感動のクライマックスが待ち受ける、現代の黙示録、ついに完結。
「あひるの空 42」日向武史(マガジンコミックス)
どこまで走れば、そして、どこまで跳べば限界なのだろう?
「ワシらに未来があるとは思わんでください」
この試合に勝たなければ次はない。
だからこそ、刹那に賭けるトビの言葉。
「受け入れてなるものか」
指導者として、空パパの言葉は正しい。
負けたら終わり。
単純な決め事の中で戦っている彼らにとって、
一試合一試合の持つ意味は、とてつもなく重い。
この時が続けばいい、と、どれほど切に願っても、
決着の時は必ず来る。
何がどう動いても、結果が実力。
でも、後から振り返った時、必ずそこで得た何かに気付くはず。
キラキラした彼らがとても眩しいです。
「満足したら人間フィニッシュなんだよ」
太郎ちゃんの言葉にこんなにも頷く日がくるとは(笑)
何ごとにおいても、そこで満足してしまわなければ、
どこまでも成長していくことができるのだと、私は思います。
「疾走・上」重松清(角川文庫)
【あの頃には二度と戻れない。
すべてがあの頃とは変わってしまった】
知らず、泥沼に嵌りこんでいくような負の連鎖。
絡みつくような悪意。崩壊する家族。
こうなる未来を止めることのできる術があったのだとしたら。
シュウイチに対する両親の態度にあったかもしれない。
だが、親だという理由だけでは強く在ることができない人もいる。
そして、あるがままの自分を受け入れることができなかったのは、シューイチの弱さだ。
思い詰めたシュウジを引き留めたのは、あまりにも日常的な情景。
その日常が叩き壊されてしまったことが、なんだかやるせない。
その目に宿った闇。
願った方向とは真逆へと向かってしまったシュウジの人生。
息苦しさを引きずったまま、下巻へ。
「孤立」「孤独」「孤高」この定義にはなるほど、と、納得。
既視感を感じた語り口調。
何かと思ったら丸山健二の『争いの樹の下で』を彷彿とさせられました。
誰の視点なのか、下巻で明らかになるのかな?
内容(「BOOK」データベースより)
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。
「薔薇の血族」夜光花(SHY NOVELS)
「修羅の道」
最後の頁まで読み切って、その言葉の持つ重さにゾクリとする。
対峙しなければならない強大な敵。
見えない裏切り者の存在。
驚くべき出生の秘密。
と、問題は山積。
薔薇騎士の総帥には興味がない。それが、啓の本音。
だが、自分と価値観の違う人を認められない者はどこの世界にもいる。
不死者との戦いだけでも大変なのに、
話の通じない権力欲に凝り固まった人間に足をひっぱられるのはやりきれない。
レヴィンとラウルの間で惑う啓。
二人に惹かれる。でも、それが愛情かどうかはわからない。
自分の気持ちに正直なところはとても好ましいけれども、
こっちはなんだかとってもやきもきします。
どちらと想いを寄り添わせるのか。
気になりすぎて最終巻に手を伸ばしたい衝動に駆られますが、そこはぐっと我慢。
大人しく次巻にいきます。
内容(「BOOK」データベースより)
十八歳になった夏、自分の運命を知った高校生の相馬啓は、一見平穏な日々を送っていた。けれど、敵の存在がある限り、薔薇騎士である啓の未来には闘いが待っていた。薔薇騎士のそばには、常に守護者の存在がある。守る者と、守られる者。両者は惹かれ合うことが運命づけられていた。啓には父親の元守護者であり、幼い頃から自分を守り続けてくれたレヴィンに、新たな守護者であるラウルという、ふたりの守護者がいる。冷静なレヴィンに、情熱のラウル。惹かれ合うこの感情は恋なのか、それとも…薔薇を持つ男たちの運命は複雑に絡み合い―。
「楽園のカンヴァス」原田マハ(新潮文庫)
【アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。
アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ】
絵画は自らを語らない。
けれども、その絵画に込められた想いがある。
その想いがそれを汲み取った者の気持ちを揺さぶり、
時に、その者の人生を変える。
「夢をみた」
一枚の絵画に込められた謎と、その謎に翻弄される人々。
そして、語られる一人の画家の人生。
と同時に、それは、彼の周囲にいた人々の人生をも語っていたのだ。
ルソーに固執したバイラー。
その理由が明らかになった時、胸が震えました。
そんな人生も、あるのだと。
彼らの人生の物語は終幕を迎えたけれども。
ティムと織江の人生はまだこれから。
二人のカンヴァスに描かれる物語は、どんな色を織り成すのかしら?
「四百年もまえの絵が自分の目の前にある、ということは、単純に「すごい」ことだ」
一番共感したのは実はこの一文。
ルーブルで教科書の中でしか見たことのなかったレンブラントの絵を間近で見た時、
涙が溢れて仕方がありませんでした。
その理由がまさにそれ。
数百年の時間を越えて、いま、この場所に在る絵画を見ることのできる感動に、
ただ打ち震えました。
内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。