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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「弔愛~群れなす天使の歌声に~」鳩村衣杏(ガッシュ文庫)

過去、というよりも、生い立ちそのものに捕らわれた男たち。
ままならない過去に雁字搦めにされたまま身動きがとれず、
どこか諦めて、それでも足掻いている。
渇くことのない傷口から迸る、哀しみと苛立ち。
諦めて、それでも求めているものは、たぶん愛情。
あからさまな憂里の挑発。
そこで抱いちゃったらダメでしょ!と思ったわけですが……
いや、だからこそのろくでなしのダメ男なんだと、
妙なところで納得しました。
(←城上、嫌いじゃないです)
「闇に息する男たちの、愛を弔う哀歌」
果たして彼らの運命の行方は?
彼らの傷はただ黙って抱きしめたくなるようなやるせなさで膿んでいる。



内容(「BOOK」データベースより)

合言葉は「『天使の群れ』をウォッカで」―私立探偵の城上は、亡き親友の遺言で生き別れた彼の弟を捜すことになった。彼が死の間際に遺した3枚の写真と「天使の群れ」という言葉を追い、辿り着いたのはバー「ユーフォリア」。バーテンダーの憂里は、男を惑わす謎めいた笑みを浮かべ、「天使の群れ」と言う名のカクテルを出した。淫蕩に甘く、酩酊を誘う憂里に城上はある衝動を覚える。―この男を、壊したい。夜の果て、男たちのサスペンシヴ・ラブ、開幕。

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「ブラックダリア」ジェームス・エルロイ(文春文庫)



読み応え抜群の壮大な物語。
引き込まれ、魅了され、全力を使い切ったような読後の脱力感が心地良い。
発端はとある殺人事件だった。
浮き上がる点と点。
追い続ければ、それがひとつの線となり、思いもよらない事実が浮かび上がってくる。
そんな中、たくさんの人の人生が狂わされ、たくさんの命が失われた。
悪鬼のような所業を語る口で、家族への愛情を語る。
矛盾が当たり前のように同居する人間に戦慄を覚えた。
殴り合いから生まれた友情。
凄惨な事件の真相を追い続ける中で、いつしか築かれたバランスの良い正三角形。
欠点だらけの彼らの在り方が、私はとても好きだった。
そしてとても哀しかった。
彼らの積み重ねた嘘がやるせない。
私も彼らの平安を祈ろう。

エルロイは初読だったけど、かなりいい!とても好き!
まずはLA暗黒四部作を追いかけます。
読書の楽しみが増えました!


内容(「BOOK」データベースより)

1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は〈ブラック・ダリア事件〉と呼ばれるようになった―。“ロス暗黒史”4部作の、その1。

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「あなたをずっとずっとあいしてる」宮西達也(ポプラ社)



草食のマイアサウラが拾ったたまごは、なんと、肉食ティラノサウルスのたまご。
自分のたまごと一緒に大事にあたためて、
うまれてきたティラノサウルスに仰天して一度は捨てにいくけれども。
鳴き声を聞いてしまったらもうだめだよね。
抱き上げたティラノサウルスを自分の子供と一緒に分け隔てなく育てます。
そして、こころやさしく成長したティラノサウルスは、
奇跡的に自分の本当の父親に出逢い……
後半、泣き顔ばっかりの彼らの姿に切なくなります。
でも、感じられるのは溢れんばかりの愛情とやさしさ。
やっぱりこのシリーズ大好きです。

しばらくちびっこたちと一緒には読めそうもない本。
何故なら私が真っ先に泣いてしまうから。


内容(「BOOK」データベースより)

こころやさしいマイアサウラのおかあさんは、あるひ、たまごをひとつひろいました。じぶんのたまごといっしょに、たいせつにそだてていると、うまれてきたのは…。大人気のティラノサウルスシリーズ第4弾。

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「いつか時が汝を」北方謙三(徳間文庫)



どこまでもどこまでも渇いていて、ただ一点だけがひどく熱い。
端的に述べるなら、そんな物語だ。
ぐっと引き込まれる冒頭。
感覚に馴染んだ文体。
自らに課したルールをストイックなまでに守り通したシンゴ。
その仕事に関して、彼は誰よりもプロフェッショナルだった。
狂いのない時計のように正確に刻まれる彼の日常の中で、
クリスの存在だけが、イレギュラーだったように思える。
だが、彼がいてこそ、動き出した「時」。
「死ぬべき時人は死ぬ。死ぬべきでない時は、死にたがっても死なない」
この本に限らず、一貫して貫かれる北方の哲学。
手向けの花は白いバラを。
この表紙は秀逸だと思います。

人気(ひとけ)のまったくない湖畔のキャンプ場。
イナゴを捕まえたのはてっきり食用だと思っていたわけですが……
そうですか。釣り餌でしたか。
ちなみに会社でその話をしたら
「え?イナゴを食べるのは魚の方なんですか!?」と返ってきて安心しました(笑)
いや、イナゴの話がしたいわけじゃなく。
お友達からのプレゼント本。ありがとうございました♪


内容(「BOOK」データベースより)

アメリカ南西部。綿の実が弾け、夏の雪が降る田舎町。時計修理を請け負い、釣りとバラ作りを楽しみに静かな日々を送る私は、年に一度、特殊な仕事を引き受ける。過去を引きずりながら異国の町で暮らす男の生き様。珠玉のハードボイルド。

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「AWAY DEADLOCK番外編2」英田サキ(キャラ文庫)



幸せな読後感。
途中で切なくなったり、涙ぐんだりもしたけれども、
結局はとても満ち足りた気持ちで読了しました。
それぞれがそれぞれの人生を着実に歩いている姿を、
こうして垣間見れたことがとてもうれしい。
独りではなく、互いのパートナーと一緒に、
時に喧嘩したりしながらも、愛を確かめ合って、寄り添いあう。
出会えたこと自体が、ヨシュアの言葉を借りれば「愛の奇跡」。
「結婚式を挙げたいなら、俺ともう一度すればいいさ」
ロブの父親トニーが、ロブの母親べリンダに言ったこの台詞が本当に素敵。
みんなみんな、お幸せに!

トータルで7冊。
素晴らしく読み応えのあるシリーズでした。
この幸せな読後感の中を、今しばらく心地よく浮遊していたい感じです。


内容(「BOOK」データベースより)

シリーズ完結後、それぞれ人生の岐路に立たされるDEADLOCKキャラクターたち―晴れて結婚式を挙げることになったロブとヨシュア。祝福する周囲とは裏腹に、当のヨシュアは不安を抱え…!?いっぽう順調に愛を育んでいたユウトとディックも、事故でディックが記憶喪失になったことから、二人の絆の危機…!?高階佑による漫画と書き下ろし小説も収録!!大ボリュームの番外編、第二弾!!

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「STAY DEADLOCK番外編1」英田サキ(キャラ文庫)



相手のことが好きで。大好きで。
その愛情故に泣ける関係が、とても素敵。
深く愛し合っている二人を知っているからこそ、
まだ想いを通わせる前の苦悩を改めて突きつけられると、
苦しくて泣きたくなる。
ディックの孤独と喪失感が半端ないけど、
だからこそ、それを補って余りある幸せをユウトと一緒に築いていってほしいなーと。
ディックとユウト。
ロブとヨシュア。
それぞれの日常がとてもリアルに微笑ましく描かれていて、
何度も読み返したくなる。
言いたいことを言い合って、くだらないことでケンカして。
でもちゃんと仲直りができる。
だから「ひとりで全部結論付けるな」というユウトの言葉をディックは順守してほしい。
「俺の隣がお前の生きる場所だ」
心の底からお幸せに!

本編とスピンオフはお借りして読んで、全サ目的で今回は購入したけど、
とりあえず早々に全巻そろえてしまおうと思います。
やっぱりこの話、大好き!

内容(「BOOK」データベースより)

シリーズ完結後もますます広がるDEADLOCKワールド―ロス市警刑事のユウトと、警備会社のボディガードとなったディックはLAで二人暮らしをスタート。ロブとヨシュアの愛も深まり、パコがトーニャに告白!!新たなカップの兆し…!?完結後に発表された番外編を一挙収録!!それぞれの人生を歩み始めたDEADLOCKキャラクターたちのその後。高階佑による漫画も収録。

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「友罪」薬丸岳(集英社文庫)



人と人。
出会った時から始まる繋がり。
人となりを知れば、情が移る。
相手がどんな過去を背負っていても
知らなければ、過去は現在に干渉しない。
けれども。
殺されてしまった人たちには、その先の人生はないことを忘れてはならない。
彼らを失った人たちの悲しみも、永遠に癒されない。
己が犯した罪から目を背け、逃げることは許されない。
贖罪は生涯しつづけなければいけない。
心情的に殺人者を忌避することは致し方ないことだろう。
だが、それよりも罪深いのは裏切り。
そして、さらに忌まわしいのは関係のない興味本位の者たちによる、プライバシーの侵害。

「あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?」
その問いに関する答えは、実際に当事者になってみなければわからない。
結局は当人同士の“関係性”に依ってしか判断できないものだろう。
問いかけられることすべてが、終始重くて苦しかった。
まともに向き合うのが辛かったので、感情を遮断して読むしかなかった。
それにしても益田……


内容(「BOOK」データベースより)

あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。

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「潮騒」三島由紀夫(新潮文庫)



【正しいものが、黙っていても必定勝つのや】

煌めく陽の光。海の匂い。そして、海の奏でる潮騒。
余計な物の一切を削ぎ落としたかのような島での暮らし。
その中で育まれた若い二人の恋は、文字通りの純愛。
一途で誇らしげで、濁りがないから美しい。
下世話な噂をされても、逢瀬を禁じられても。
彼らはどこまでも凛として、胸を張っていた。
出過ぎず、出しゃばらず。
それでも息子の恋を案じる母の心遣いもあたたかかった。
盲目的に突っ走ることなく、周囲に理解を得ながら
ゆっくりと育まれていった恋。
青年から成年へ。
とても自然に、そして見事に変貌を遂げた瞬間のように感じられる幕引きがいい。

情景描写がとても美しく、登場人物たちが生命力に満ち溢れている。
海女たちが行商からお買い物をするシーンは、とても共感できます!
とりあえず蜂はとても良い働きをしたと思います。

内容紹介

文明から孤絶した、海青い南の小島――潮騒と磯の香りと明るい太陽の下に、海神の恩寵あつい若くたくましい漁夫と、美しい乙女が奏でる清純で官能的な恋の牧歌。人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致をたもちえていた古代ギリシア的人間像に対する憧れが、著者を新たな冒険へと駆りたて、裸の肉体と肉体がぶつかり合う端整な美しさに輝く名作が生れた。

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「美しさと哀しみと」川端康成(中公文庫)



【そう言うけれど、家庭ってけっこう堅固なものよ】

日本語の美しさにぐっと引きつけられる。
濡れ場ですら上品に書き上げるその語彙力と筆力には、
魅せられるわけですが、
余計な事しかしなかった不倫男とちょっと大丈夫?という変質的な女に
どうしても感情移入ができずに読了。
身勝手な思い込みで暴走したけい子には嫌悪感しかなかったし、
彼女の危うさと妖しさに気付いていながらも、
窘めることのできなかったいい年した大人たちにも、悲劇の責任はある。
大木と音子が恋に落ちた経緯がわかれば、
受け止め方はもう少し違ったのかなぁ、とは思いますが、
結果ありきだと、どうしたって大木の常識に疑問を抱かざるを得ない。

頑張っていいとこ探しをしようとしたけど、できなかった敗北感。
この憤り感満載の読後感がイヤで、この時代の作品は避けてたんだけど、
苦手分野はやっぱり苦手ってことかなぁ。
脱毛クリームっていったいいつから存在するのかしら?と思って調べたら
なんと、紀元前4000年からの歴史があったんですねー。
雑学一つ増えました。

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「しろくまのパンツ}



パンツをなくしたしろくまさん。
ねずみくんと一緒にパンツ探し。
最初に見つけたパンツは誰のかしら?
ここでこの本の楽しみ方が決まります。
ページを捲ってワクワクしながらのパンツ探し。
カラフルパンツのオシャレさんや、食べるの大好きおデブさん。
お花模様のおチビちゃんに、アイラブネズミは……きゃー!逃げてー。
そして、え!あなたもパンツ履いてるんですか!?
という、まさかの穴だらけのパンツ。
それ、脱ぎ着が大変!
あら?肝心のしろくまさんのパンツは?
まさかのオチに爆笑。
そして最初に戻ってみると、思わずニヤリとしてしまいます。
面白いのは作者の発想力に依るんだろうなぁ、と、一人納得。
遊び心満載の絵本でした。

内容(「BOOK」データベースより)

しろくまさんのパンツがなくなっちゃった。いったいどんなパンツかな?―。

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