きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ミステイク」水壬楓子(リンクスロマンス)
個人的に清家は私のタイプではないわけですが。
そんな私でも、清家のまっすぐな想いに、
これはもうほだされるしかないよねぇ、と頷いてしまった。
想いがかなってよかったね、というより、
ああ、これだったらもう、気持ちが持っていかれるよね、という納得感。
あんな気持ちをぶつけられたら……うん。幸せだと思う(笑)
真城の女王様っぷりもいっそ小気味よくていい。
この先、清家は真城との恋愛でどんどんいい男に育っていきそうな予感☆
内容(「BOOK」データベースより)
人材派遣会社『エスコート』のボディガード部門に所属する真城は、派遣先でかつての後輩・清家と再会し、その美貌を歪ませる。5年前―SPだった真城は、恋人だった上司の男から突然「結婚」という裏切りを受け、当てつけに清家を誘った。しかし、ひたむきな清家の想いを利用したことが苦しく、清家の前から姿を消したのだ。再会の夜、清家の冷たい眼差しに胸を痛める真城に、清家はむさぼるようなキスを仕掛けてきて…。
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「武装酒場」樋口明雄(ハルキ文庫)
【おれの奢りだ。好き勝手やりな】
笑いすぎてお腹痛い……
たかが酔っ払い。されど酔っ払い。
それぞれに事情を抱えた居酒屋「善次郎」の常連客達。
その日店に足を運んだ彼らは、ほんの些細なきっかけにより、
拳銃、手榴弾、果ては不発弾を抱えた立てこもり事件を引き起こしてしまう。
(本人たちに自覚なし)
「奴らはなぜそんなことを!?」叫ぶ警察。
だが、酔っぱらいの心理は論理的には説明がつくものではなくて……
「飲んで騒ぐことじゃないですか?」
冷静な返しがいたたまれない(苦笑)
すべてを引き受けた店主、善次郎の漢気が果てしなくかっこよすぎる。
そして7年後……
いやぁ、ホント笑った。無条件に面白い本だったわ。
内容(「BOOK」データベースより)
阿佐ヶ谷のガード下にある居酒屋「善次郎」。妻を絞め殺したと思いこんだ男、借金の取り立てから追われる男、その他、様々な窮地に立たされた常連客たちが、己の苦境から現実逃避するために、偶然この店に集まってしまった。一方、別の事件で警察が「善次郎」の向かいの店にパトカーで出動。サイレンの音を聞いた常連客たちは、それぞれが自分を捕まえにきたと思いこみ、事態は立て篭もり事件にエスカレートしてしまうのだが…。抱腹絶倒のスラップスティック小説の金寺塔、待望の文庫化。
「ディール」水壬楓子(リンクスロマンス)
とても好きな話だった。
一見共依存のような関係でも、実は依存しているのは延清の方。
束縛されることに甘んじているように見える律の方が自立している。
でも、律は籠の中から飛び出すことを、自らの意志で選ばない。
それは、飼われることに甘んじたわけではなく、延清に寄り添うことを選んだから。
辛い過去を持つ、不器用な二人の、距離感の探り合いがとてもいい。
特に延清。
愛情を知らずに育った彼が、律への想いに戸惑い、混乱し、自覚していく様子が
すごくよかった。
この先の彼らの話も読んでみたいなぁ……
内容(「BOOK」データベースより)
人材派遣会社『エスコート』で秘書を務める19歳の律は、ボディガード部門のトップ・ガードである延清と暮らしている。しかし、数えきれないほど抱かれていても、延清は「恋人」ではなく、「飼い主」だった。出会いは九ヵ月前。公園の片隅、見知らぬ男たちに襲われていた律を、身体を取引材料として延清が気まぐれに助けた日から、二人の関係は始まり―。
「エスコート」水壬楓子(リンクスロマンス)
クライアントに対する態度も、仕事に対する姿勢も
なんて生意気な子共だろうと思っていたユカリだけれども。
何故か最後には志岐や真城と一緒に完全な保護者目線になってしまっていました(笑)
仕事に対して甘いこと言っている子はリアルに働いている身としては説教したくもなるわけだけど、
ああいうカラクリがあったのなら納得。
見習える先輩たちがたくさんいるわけだから、
ユカリには社会人としてちゃんと成長していってもらいたいなーと。
個人的には志岐さんの大人の男の色気がとっても素敵。
他の同級生たちの話が気になるのでシリーズ揃えちゃいます!
内容(「BOOK」データベースより)
「こんな男のガードにつくのか?」―時間に遅れて現れた依頼人に、ユカリは息を飲んだ。人材派遣会社『エスコート』のボディガードセクションに所属するユカリは、クリスマス・イブに莫大な遺産を継ぐ志岐由柾という男の護衛に任命された。初めての大きな仕事に気合十分なユカリだったが、ユカリを子供扱いする、ぞんざいで非協力的な態度の志岐に不安と反感を抱く。遺産相続日までの二週間、二人は生活をともにするのだが―。
「ブライト・プリズン~学園の美しき生贄~」犬飼のの(ホワイトハート)
初読みの作家さんですが、ものすごく好みのお話でした。
設定もキャラもしっかりと作り込まれていて、世界観にブレがない。
宗教団体の管理する世間から隔離された学園という
とても特殊な世界で生活する彼らの日常と葛藤と苦悩がいっそリアルなほどに伝わってきて、
酸欠になるかと思うくらい夢中になって頁を捲ってしまいました。←馬鹿?(笑)
独善的かと思った常盤が実はどこまでも相手を思いやれる懐広い男で、
その常盤と結ばれる薔もしっかりと自分の矜持を貫いて凛として生きている。
鷹揚な表情の下に隠した楓雅の苦悩や、運命を受け入れてしたたかに生きる杏樹。
そして最後の最後で目を剥きそうになった爆弾が投下され……続刊急いで買わなくちゃ!
内容(「BOOK」データベースより)
深い森に囲まれた全寮制の王鱗学園で暮らす十八歳の薔は、様々な特権が与えられるという神子候補の一人に選出されてしまう。神子を決める儀式とは男に身を任せることで、その相手は日頃から敵愾心を抱いている学園管理部隊の隊長・常盤だった。抵抗する薔に突如、意外な事実を明かす常盤。彼の秘密を知り、次第に惹かれるようになる薔。隔絶された世界で生きる無垢な少年たちは、過酷な愛に溺れてゆく―。学園ファンタジーBL。
「デッド・オア・アライヴ」薬丸岳他(講談社文庫)
同じ時間、同じ場所を舞台にした、生死の危機をテーマにした7人の作家によるアンソロジー。
実はアンソロという形態自体が初読みだったわけですが、
作品同士がさりげなくリンクしていたり、ホテルの写真をふんだんに使った装丁だったり
アンソロならではのお楽しみがあったことと、
初読みの作家さんでほかの作品も!と思える方に出会えたりと、色々な意味で面白い本でした。
もちろん作品自体も十分に楽しませていただきました!
薬丸作品は人の心理の描き方がやるせない。夏目の優しさは相変わらず。
竹吉作品はおじ様の立ち回りが痛快で素敵。
高野作品は歴史をうまくなぞっての着地点はお見事。
鏑木作品はなんていうか……秀逸。ドキドキしながら読みました。
内容(「BOOK」データベースより)
7人の江戸川乱歩賞作家への挑戦状。「2013年9月7日正午。主要人物が帝国ホテルにいる短編ミステリーを執筆せよ。テーマはデッド・オア・アライヴ、生死の危機」。挑むは薬丸岳、竹吉優輔、高野史緒、横関大、遠藤武文、翔田寛、鏑木蓮。命懸けの謎に溢れたこの世界は天国か地獄か。豪華競作アンソロジー!
「千年ジュリエット」初野晴(角川文庫)
【世の中は数限りない不公平でできている】
相変わらず賑やかな日常の中にサラリとした痛みや重たい現実が描かれる物語。
「エデンの谷」で描かれた、孫娘に対する祖父の最大限の愛情。
解読された遺言には笑ってしまった。
「千年ジュリエット」
楽しそうに語らう五色の虹のジュリエットたちが抱えたものの重さに切なくなりながらも、
生きることから逃げちゃいけないんだな、と、改めて思わされた。
五色の虹バッチを受け取ったトモちゃんはもう、部屋の中に引きこもることはないだろう。
人は有限であるが故に、様々な想いを受け継いで、
次の世代へと繋いでいくんだなぁ、と思いました。
しばらく浸っていたい読後感が心地よい物語。
内容(「BOOK」データベースより)
清水南高校、文化祭間近、晴れの舞台を前に、吹奏楽部の元気少女・穂村チカと、残念系美少年の上条ハルタも、練習に力が入る。そんな中、チカとハルタの憧れのひと、草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と、先生が共有する謎とは?(「エデンの谷」)ほか、文化祭で巻き起こる、笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか?青春ミステリの必読書、“ハルチカ”シリーズ第4弾!
「空想オルガン」初野晴(角川文庫)
【俺たちは金を奪っているんじゃない。 親のこころを奪っているんだ】
「胸を張れ。顔を上げろ。諦めるんじゃないぞ」
幾通りもの選択肢のある高校生たちの未来。
躓いても挫折しても遠回りしても、彼らには辛い今を支えあう仲間がいて、
希望に満ちた未来がある。
自分にできることを懸命にやりながら、仲間たちを思いやる彼らの姿は
本当にキラキラしていて素敵だ。
吹奏楽で東海大会まで出場できた彼らの物語に添うように、今巻から登場した一人の大人がいる。
家族と縁を切り、自分を救ってくれた友人を亡くした彼は、
こんなはずじゃなかった、というどうしようもない現状で諦念したように足掻きながらも、
友達の母を救い、自分を思いやる知人の一面を垣間見、失ったと思っていた肉親の想いを知った。
彼の物語は泣けて仕方がなかった。
今作は全編にわたって家族の愛情が溢れているストーリーだったと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
穂村チカは、憧れの草壁先生の指導のもと、吹奏楽の“甲子園”普門館を夢見る高校2年生。同じく先生に憧れている、幼なじみの上条ハルタと、恋のさやあて(?)を繰り広げながらも、夏の大会はもう目前。そんな中、どうも様子がおかしいハルタが、厄介な事件を持ち込んで…!?色とりどりの日常の謎に、頭脳明晰&残念系美少年ハルタと、元気少女のチカが立ち向かう!絶対に面白い青春ミステリ、“ハルチカ”シリーズ第3弾。
「戦艦武蔵」吉村昭(新潮文庫)
この本に描かれている歴史を経て今の日本がある、と思うと、
手にした本の重みがずっしりと増すような気がする。
全長260メートルもの船を秘密裏に作る方法を模索して編み出し、
係わる工員たちのほとんどにその全容を知らせず、己に振り分けられた任務に邁進させる。
そうやって作り上げられた戦艦武蔵。
艦の製作の開始から完成までの事象が克明に、そして淡々とつづられる文章には、ただ圧倒される。
多くの時間とお金、そして人の手を費やして四年という年月をかけて作った船が、
千人以上の人々の命と共に海に沈められてしまう悲痛な現実。
辛うじて生き延びた人たちに対するその後の海軍の処遇があまりにも理不尽だと思った。
内容(「BOOK」データベースより)
日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」―厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か?非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか?本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。
「吐息はやさしく支配する」崎谷はるひ(ルチル文庫)
素肌にファーの表紙と、ベッドシーンから始まる本文から
いったいどんな内容なのかと思いましたが……
うん。
健児のまっとうな仕事人っぷりと情の深さとやさしさにぐっときました。
ストーカーやら何やらずいぶんな思いをしてきただろうに、明るく突き抜けた感じの和似。
それでも、夢遊病になったり、不眠になったり。
気持ちが傷ついていないわけではないわけで……
見た目の華やかさに惑わされず、素の和衣をちゃんと見てくれて、
愛してくれる健児に出会ってよかったなぁ、と思いました。
あたりまえのことをあたりまえに。
全力で和衣を大事にする健児は、やっぱり相当カッコいいです☆←本編からの健児ビイキ(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
“なんでも屋・アノニム”で働く笹塚健児は、四つ年上のカフェ&デリの雇われ店長・芳野和以とセフレの関係。元モデルで派手な美形の和以は“アノニム”所長の義弟だったが、それを知らず健児は誘われ関係を持った。ある日和以より護衛と調査の依頼が。彼の家から盗聴器を見つけたことで、健児は仕方なく和以を自宅へ匿い、同居生活を始めるが!?―。