きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「断鎖(Escape)」五條瑛 (双葉文庫)
「革命を起こさないか、この国に」
冒頭のこの言葉が、強烈に印象的な言葉として脳裏に残るのは、
誰がその言葉を口にしているのか、わかっているからだろう。
シリーズ一作目。
それぞれの事情、それぞれの思惑を持った人間たちが
多種多様に絡み合い、自ら首を突っ込み、あるいは巻き込まれていく。
柵を、過去を、憎しみを断ち切るにはどうしたらいいのか?
答えは一つではなく、人それぞれ。
大川が纏った執着に唖然とし、それが断ち切られたことを願う。
そして、裏社会に身を置きながらも人の好さを損なわれなかった
亮司のたどり着いた答えに安堵する。
「革命を起こさないか、この国に」
プロローグでのその言葉がどんな状況で囁かれたのかが知れるエピローグにゾクゾクする。
「R/VOLUTION」の「E」から始まる物語。最後に「R」がくる意図は?
続きを読まない選択肢はない。
本編の感想は単行本で投稿済み。
https://bookmeter.com/reviews/107408528
文庫にはご褒美的な書下ろしの短編が収録……されているとなれば、
こちらも揃えないわけにはいきません。
事件後の亮司がはじめた新しい生活の準備。
そこには当然のようにサーシャがいて、色々な意味でわくわくする。
過酷な体験をし、人間的に一回り以上大きくなった亮司が今後どんな役割を担っていくのか?
とても楽しみ。
そして衝動的に真紅の薔薇を飾りたくなって困る読後。
PR
「蒼空の絆」かわい有美子 (リンクスロマンス)
たとえ、自分の命が潰えたとしても。
君には生きていてもらいたい。
自分がそう思うのなら。
相手だって同じことを思っている。
だから、どちらかを置いていくという選択肢はあり得ない。
共に歩むきことができる選択肢があるのなら、迷わずその道を選ぶといい。
そもそもが、幼少期からの深い絆を持つ二人。
エーリヒに忠誠を誓ったアルフレートの献身と、ストイックさの陰に潜んでいた激情が良い。
そして荷家さんの『ザイオンの小枝』がとてもとても好きな私としては、
稲荷家さん!軍服!キターーー!という感じで、ものっすごくテンションあがった。
楽しめるのはフィクションだから。
先日トップガンを観てきた時も思ったけど、
リアルでは戦闘機乗りという職業はなくなればいい。
そもそも戦争自体がなくなればいいというのが大前提だけど。
どうしても戦闘機を動かすなら、AIで。
空で命が奪われることがありませんように。
「岳飛伝 17 星斗の章」北方健三 (集英社文庫)
「ほかに何が見えますか?」「湖寨が」
やばい。泣きそう……と思ったら、作中で語ってた人も泣きそうになっていました。
ですよねー。
やっぱり原点はそこにある。という思いが込みあげて感無量。
なんでそこまでして戦わないといけないのかな?と思いつつ。
それ以外の選択肢を持ち得なかった漢たち。
いや、今回梁山泊は無理やり引きずり込まれた戦いだった。
それでも軍人の彼らも文官の彼らもよく戦ったと思う。
岳飛も全力以上のものを出し切った。
そして、三つ巴の戦いから弾き出された男が、次の物語を繋いでいく。
私の生死感の核となっている物語は、豪傑の笑いで終幕。
程雲はサッカーで例えるならドイツっぽい。
童貫はフランス。
兀朮は私の中では童貫より格下なんだけど、雰囲気的にはブラジル。
と、最後の最後で意味不明なことをぼんやりと思う。
思えば2006年からの付き合いだったシリーズ『大水滸伝』。
いつかまた、彼らの人生を最初から辿りたい。
「岳飛伝 13 蒼波の章」北方謙三 (集英社文庫)
金国の戦いを臨む姿勢にどうしても納得がいかず。
自国におとなしくひっこんどけよ、と思ってしまう。
誰も戦うことなんて望んでないんだよ?
史進が王母の墓の前に立つシーンでは思わず涙が溢れてしまった。
そしてやっと心の赴くままに北に向かったのに、間に合わなかった李俊。
10日のすれ違いがやるせない。
最古参の二人が全力以上の力を出して戦いに挑み、
二世たちも守るべきものを守るために戦いに向かう。
金、大迷惑。
そして兀朮の口から「剣」に纏わる言葉が。
それぞれの国、それぞれの立ち位置にいる彼らがこの先どう動くのか。
ドキドキしながら次巻へ。
骨郎(猿)がハードボイルドに思えてきて、
そのうちなんかキザなセリフを語り出しそうなんですけどー。←語りません。(笑)
「みやぎから、」佐藤健、神木隆之介(NHK出版)
健くんと神木くんが旅をした宮城が、
たくさんの写真と出会った人たちとの対話で綴られている。
震災抜きに東北を語ることはできない。
だけど、東北は立ち止まってはいないんだと。
あの地震からちゃんと前に向かって進んでいるんだと。
そんな力強さを感じることができる一冊。
マイナスイメージの3Kを「カッコよくて・稼げて・革新的なことをする」と謳い、
漁業を活気づけようとしている長谷川さんの言葉が目から鱗。
馴染みの深い場所も多々あって、また行きたくなったり、
逆に訪れたことのなかった場所に興味津々になったり。
うん。何度でも行くよ。
だるまの目入れって一度やってみたいなーと思ってるんだよね。
夏にちびっ子たちと一緒にやってみようかなぁ。
でもだるまを飾るのにふさわしい場所がない気がする(笑)
獲れたてを食べて魚介の苦手を克服したという話にはわかりみしかない。
私も食べられなかった牡蛎が、食べられるようになりました♡
「傭兵の男が女神と呼ばれる世界 (3)」野原耳子 (アンダルシュノベルズ)
ラストは無難にまとめてきたなぁ、と思うものの、
そこまでに至るまでの展開は思った以上に壮大で、面白かった。
状況描写もさることながら、
「今」に至るまでの個々の心情や過去の経験等が丁寧に描かれていて、
納得したり理不尽を感じたり。
個々の抱えた問題を乗り越えた彼らの
人間的な成長が垣間見れたのも良かった。
根本的なところでは神の信託等々に左右される世界でありながら、
思い惑い、そして決断するのは人間である彼ら自身であったからこそ、
ハラハラドキドキしながら楽しく読了。
2/3が本編で、残り1/3はお遊び的な番外編。
個人的にはカプ固定じゃなきゃイヤ!というわけでもないけど、
IFストーリーをここに同録されると余韻ぶち壊しになるので、
これはなくてもよかった。
さすがに節操なさすぎ。