きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「コールドウォー DASPA 吉良大介 」榎本憲男(小学館文庫)
ただ楽しく読書がしたい時向けの本ではない。
専門的なこと、政治的なこと、現在の世界情勢が
わかりやすく噛み砕いて書かれているだけに、
スルリと頭に入ってくるからたちが悪い。
故に、読みながら考えさせられてしまう。
日本のこと。世界のこと。
これからのこと。
後半はエンタメの方に寄り、そこからは一気に読了。
真行寺が席を立った時に私も笑って腰砕け。
情報を仕入れることと、情報に惑わされないこと、
そして、自分で考え続けること。
あとは時々誰かとその考えを話すことと、
時には頭を空っぽにすることも必要かな。
そんなことを思いながらの読了。
巡査長真行寺弘道シリーズの『インフォデミック』を読んでから
本作を読むことをお勧めします。
作中でフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』に触れられていて、
そういえば昔読んだなぁ、と思って読書記録を引っ張り出してみたら……
なんかびっくりなことを発見しました。そこはつぶやき参照。(笑)
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「墨と雪2 下」かわい有美子 (リンクスロマンス)
共にそこに在ることがまるで当たり前のように、
自然に寄り添いあっている二人に祝福を。
篠口の身にふりかかったことは、忘れることはできないだろうけれども。
外に目を向けることができるようになっていく彼の様子に安堵し、
フラッシュバックする姿に胸が痛くなる。
それでも、献身的な黒澤の支えによって、少しずつ自分を取り戻していく篠口。
そして復帰した彼を迎え入れた職場の面々の対応には胸が熱くなった。
そのために黒澤の部屋は殺風景だったのか……と思いたくなる展開が良い。
犬のレイディに黒澤がのろけるシーンが好き。
大満足で読了。
描きおろしの小冊子が甘さMAXで幸せに浸れる。
デビュー作から追いかけている作家さん。
無理せず長く書き続けてもらいたい。
「墨と雪2 上」かわい有美子 (リンクスロマンス)
身勝手で残忍な犯罪に巻き込まれ、
心身ともに大きな傷を負った篠口の傍に黒澤がいてくれてよかったと。
つくづく思う。
一人では立ち上がることすらできなかったであろう大きな傷に、
ともすれば、黒澤の言う通り自分を壊そうとしてしまったかもしれない篠口。
そんな彼にやさしく寄り添いつづける黒澤。
曖昧な関係を長らくつづけながら、黒澤が篠口に対してどんな想いを抱いていたのか。
ひしひしと伝わってくる。
そして黒澤の過去も気になる。
丁寧に丁寧に描かれる再生の物語。
ゆっくりでいい。
ゆっくりでいいから、日常を取り戻していってほしい。
焼肉屋さんを経営している妹の友だちがお勧めするお肉の部位はカイノミ!
そんな話をしたばかりだったので、お肉のカイノミチョイスにタイムリ~♪と思ってみました。
「墨と雪」かわい有美子 (リンクスロマンス)
【再読】
ちょっとここで終わるってどういうことよ!?と吠えた初読時。
え?続きは?!という思いは再読でも変わらないけど、
今回は『墨と雪 2』がちゃんと手元にある安心感。
しかも上下巻。
読み応えがありよね、というわくわくが止まらない。
自分が知らない間に向けられる、粘着質な執着。
一方的なものだけに、防ぎようがないのが半端なく恐ろしい。
自由を奪われての暴力に対する恐怖は計り知れない。
あの奇妙な部屋を施工した業者の人がいるなら、通報しよう。
黒澤の篠口に向けた想いを明確に口にしたところで
本作は終了。
シビアな展開だったので、次は甘さを所望するわ。
ここまでで再読終了。
とても楽しかった。
そしていよいよ新刊に突入します!
たどり着くまでとても長かった。
「Zwei」かわい有美子 (リンクスロマンス)
【再読】
およそ10年ぶりに再会したかつての同級生との
しっとりと進展していく大人の恋。
10代のころにはどうにも進展することのなかった思慕の情。
30を過ぎた今だからこそ、動き出したた想い。
分別ある大人だからこそ、抱える諦念。そして切なさ。
二人の恋愛模様と警察内部の事件の深刻さとのバランスも絶妙で、
読後の充実感が半端ない。
どう想像したって笑えるトナカイとの絡みから、
あんな的確なアドバイスをもらえるとは思わなかったわ。
峯神の過去を知るからこそ感じられる言葉の重みはシリーズ読みの特典。
書きおろしに感無量
厳島神社、私も好き好き。
何度行ってもまた行きたい。
弥山の上から初日の出!拝んでみたい。
どう考えても無理そうだけど。
「岳飛伝 5 紅星の章」北方謙三 (集英社文庫)
「生きる覚悟をしろ」と部下に諭しつつ。
兵を死なせても戦いの道を選ぶ。
その矛盾。
それが退路を断たれての唯一の道だったのであれば納得できた。
けれども。
「愉しい戦」
その言葉には釈然としないものが残ってしまった。
そして。
ついに潰えてしまった一つの命。
「心に梁山泊がある者が、梁山泊を作る」
いまや、大陸に散った漢たちがいる。
彼らの在るところに梁山泊在り。
そうであるならば、なんと広範囲に梁山泊が在ることか。
私にとってはいまだにこの作品は『岳飛伝』ではなく『梁山泊』の物語なのである。
どこかで転じるのか?
交易の日本の拠点となっている十三湊。
その十三湊遺跡、調べてみると、行けなくはない場所だったので、いつか訪ねてみたいなぁ。
「長い間幻の港町とされてきた」というだけでわくわくする。
藤原基衡と秀衡の登場には北の民としてはおお!となりました。
平泉……十三湊からは意外と遠いけど、大陸の広さに比べたらどうってことないんだろうなぁ。
「GIANT KILLING(60)」ツジトモ (モーニング KC)
磐田戦決着。
試合の結果もさることながら、それ以上に大きかったのは椿の躍進。
そして何やらとても楽しそうな(本人たちは必死)名古屋と大阪の試合。
この試合、がっつり描いて欲しかったなぁ
……と思ったら、表紙に対戦相手だった磐田より大阪と名古屋の人たち出張っていたよ(笑)
シーズン終盤には来シーズンの契約の話が当然出てきて、
出る人残る人が徐々に決まっていくのはとてもリアル。
そんな中で気になる椿の動向。
だから彼の吐露した胸の内に熱くなった。
ホントに成長したなぁ。
残り試合もあと僅か。
「必ずタイトルを獲れ」
その通りだよ!
今シーズンが開幕したJリーグ。
ウチのチームの出だしはまずまず。
一年後、再びJ1に復帰してくれていることを願って。
がんばれー!
なんかコッシー、若返っている気が?
「AGAIN DEADLOCK番外編3」英田サキ (キャラ文庫)
シリーズも15周年になれば、世界観は盤石。
長らく続く作品の安定感と読み心地の良さったら半端ない。
小冊子やペーパー、アンソロ収録作品を一冊にまとめた番外編。
持っているものが多々あっても、
やはりこうして一冊になったものを手に取ることができるのは嬉しい。
葛藤や煩悶を乗り越え、共に時を歩みつづける4組の恋人たち。
他愛のない日常を描いているからこそ、
いつも通りの彼らに加えて、今まで見ることのなかった彼らの表情を
垣間見ることができる至福の読書時間。
愛し合う想いに微塵の揺るぎもない姿がとても素敵。
大満足で読了。
シーフードガンボ、ポジョデモーレ……どんな料理か全く想像できなくて、
レシピ調べちゃったよね。食べてみたくて。
どちらも家庭料理なだけあって自作できそうなので試してみたい。
「インフォデミック-巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)
自由を主張する権利は誰にでもある。
けれども。
社会生活を営む以上、たとえ窮屈に感じても守らなければいけないルールがある。
そして。
快適で安全な生活と引き換えに、どこまでの管理を受け入れるのか。
……というより、そのシステムと運用する側にどこまでの信頼がおけるのか?ということを問いたくなる。
コロナを巡るトラブルが主体の話かと思ったけれどもそうではなく、
突き付けられたテーマは途方もなく大きかった。
考えたって正解はわからない。
わからないながらも考えないといけない局面だということは理解できる。
難しいね。
コロナウィルスとはなんぞや?
その問いに対しての本書の冒頭でなされた説明は
とてもとてもわかりやすかった。
とある出来事を真行寺側からの視点で描かれるのが本作。
そして吉良側の視点で描かれるのが『コールドウォー DASPA吉良大介』。
本作だけ読むと、問題解決に必死で動いていた真行寺が少しお気の毒な気がする。
吉良たちは何を思いながら動いていたのか?
足りてないものを補うために、そちらも読まねば。