きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅴ」 香月美夜
今回は王族めんどくさっ!
問題事に対して自力でどうにか対処するのではなく、
誰かにど~にかして~!と、丸投げ。
それも、お願いするのではなく、やってもらって当たり前な上から目線。
そんな理不尽とガッツリ戦ったローゼマインの立ち回りはお見事。
ポンコツ王子に対するアドルフィーネの心の中での毒舌も小気味よい。
とはいえ、そんな苦労、しなくて済むに越したことはないのに。
ローゼマインの関わる世界が平民→貴族→王族と広がっていき、物語も佳境。
裏で暗躍している気持ち悪い人たちが完膚なきまで叩きのめされることを期待する。
レビューを書くより続きが読みたい!と思いつつ、
一冊一冊整理していかないと混乱するのがわかっているので
読む手を止めての打ち込み。
盛大なネタバレを喰らっているので(Twitterの弊害・笑)物語の着地点はわかっているけど、
ここからどう展開したらそこに行きつくのか楽しみで仕方ない。
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「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅳ」 香月美夜
「派閥」の存在が本当にめんどくさい。
エーレンフェストをどう守るのか。
老人たちは恨みつらみが凝り固まりすぎて害にしかならず、
肝心の領主は頼りにならない。
なので、子どもたちが子どもたちなりに考え、
どう行動したらよいのか考える。頼もしいなぁ。
「情報」ってつくづく大事。
正しく伝わった情報は強大な武器になる。
そして歪められた情報は大きな足枷に。
ヴィルフリートにはポンコツで終わって欲しくないのでここが正念場。
自分にとって真の側近は誰なのか。
エピローグは光明と捉えていいのかな?
特典のルッツとトゥーリのssがとても好き。
ヴィルフリートが好きなわけじゃないけど、
この子には「ちゃんとまわり見て!自分で考えて!」と、
真っ当な方向に進んでもらいたい。
「第二夫人」を「役職」と言い切って志願したブリュンヒルデには大あっぱれ。
「検事の本懐」柚月裕子 (宝島社文庫)
短編5作。
罪を犯すのが人間なら、その罪を明るみにし、裁くのもまた人間。
裁く過程や手段を間違えるのならまだしも、
意図的に事実を捻じ曲げたり、捜査を妨害しようとすることはあってはならない。
佐方を描く物語でありながら、
主体を佐方以外の他者に置いて描かれる物語。
だからこそ伝わる佐方の検事としての在り様は、凛として潔い。
そして、佐方の父、陽世の生き様は私にはとても真似できない。
父の真実が佐方に伝わって良かったと、心底思う。
それにしても……他人を貶めたり陥れたりすることに
躍起になりながら仕事して、日々楽しいのかなぁ?
楽しくないよー。
「事実がどうだったかなんて、この際問題じゃないんだよ」
検察のセリフとしてはありえない……と思わない人もいるのかな?
びっくりだわ。
事件の報道は日々あがってくる。
その度に思う。
「なんでこんなことしたのかな?」と。
だけど、その「なんで」を私が知ることはない。
でも、時に気になる「なんで」。
「春になるまで待っててね」伊達きよ(幻冬舎コミックス)
冬眠期を迎えた熊獣人ディビスとリス獣人リックが
居心地のよい暖かな部屋で
睡眠と半覚醒を繰り返しながら
互いのぬくもりを分け合って
ひとつのベッドでくっつきながらひたすらスヤスヤゴロゴロぬくぬく……
何この可愛い生き物!
頁を捲っても捲ってもその可愛さにほっこりする癒ししかない。
そして保存食のぎっしり詰まったディックの食糧貯蔵庫が魅力的。
ついでにお宝本のずらりと並んだ書庫があったら
私もそこで冬眠休暇を取ってぬくぬくしたい。
細かいことは突っ込み不要なお借り本。
冬の寒さを吹き飛ばしてほっこりする癒し力でした。
ディビスの想いと押しに流されるのではなく、
きちんと自分で考えて着地したリックの結論は好印象。
それにしても一瞬ですべてが灰になる火事怖い。
色々気をつけよう。
「最後の証人」柚月裕子 (宝島社文庫)
文庫最新刊を読むにあたって、佐方のことを復習しておきましょう、
という理由で再読。
読み始めるまでは「どんな話だったかしら?」とわくわくしてたんだけど、
プロローグだけで事件の全容や犯人を全部思い出してしまった悲しみ……いや、
読んだことがしっかり身についていたってことで喜ばしいことのはず。
でもやっぱりサスペンスやミステリーはまっさらな状態で読んだ方が断然おもしろい。
(持論です)
何度読んでも一市民が警察や検察からよってたかってこの状態に置かれたら
泣き寝入りしかない。
それが罷り通る世の中は間違っている。
「医師が話を急ぐということはどういう意味をもつことなのか」
うん。
私も知ってる。
電話で「すぐきてね」と呼び出されて良い結果だったことは一度もなかったww
だから主治医の先生から事務方を通さずに携帯に直電がかかってきたときは
いよいよヤバいんじゃないかってドキッとしたけど、
「びっくりさせると悪いから最初に言っておこうかと思って」という前置きの
診察室に行ってからでもまったく問題ない他愛のない用件でした。
先生、俺チョーいいことした!みたいに鼻高々だったけど、こっちはドキドキだったよ。
「薔薇色じゃない」凪良ゆう(幻冬舎コミックス)
諍いの理由。
すれ違いの過程。
細々としたことが本当にリアルで胸に刺さる。
だからこそ、苛立ちを覚え、哀しくなり、理不尽だと思いながらも嬉しくなる。
決定的なのがタイミング。
分岐点でのタイミングの良し悪しってホントにあるよねーと思う。
それが悪い方に振れた場合、良い方に振り返せるかは自分の頑張り次第。
諦めてしまった瞬間、どうにもならなくなる。
20歳で出会い、そこから積み重ねた15年の時。
「本当に嫌だったら付き合いはつづかない」
久我のこの一言に尽きると思う。
年齢を重ね思いやることのできるようになった相手の気持ち。
掴み取った幸せを手放すことがありませんように。
行きつけの店っていいな、と思ったお借り本。
大将、ナイスアシスト。
でも結局はおうちごはんが一番好き。
そう思える環境だったことに感謝。
「すべての美しい馬」コ―マック・マッカーシー (ハヤカワepi文庫)
再読ながら、齢16歳の少年が、こんなふうに生きられるのかと。
その生き様に、あの過酷な状況を生き抜けたことに圧倒される。
けれども。
北畠顕家が駆け抜けた人生も20年。(『破軍の星』参照)
年齢じゃないんだよね。
例え、運命に翻弄されようとも、
何を抱え、何を捨て、何を貫いて生きるのか。
それらは自らの意思で選択することが出来る。
だから、彼の生き様が胸に刺さる。
馬と友と。信頼と正義と。
自らの信念を潔いほどまっすぐに貫きとおした少年は、
いつしか一人の男として乾いた大地を踏みしめる。
再び故郷をあとにするために。
『国境三部作』の未読の二作を読むにあたって、一作目を再読。
読むのは六年ぶり。
初読の時よりも彼らとの距離がぐっと近づいた気がするのは、
再読だからなのか、その間の私の成長なのか。
読むべき時が来たから、読む気になったんだろうなぁ。
と、メッチャ楽しみだったのに!
あとがきーー!
そう。私が後書きを好んで読みたくない理由は、時に続刊のネタバレや結末を示唆するような
内容を書く人がいるから。
記憶リセット!
【ガーディアン必読 再読/1000冊】
「昭和ララバイ 昭和小説アンソロジー」 (集英社オレンジ文庫)
一穂さん目当てで購入した昭和小説アンソロジー。
他の三人の作家さんは初読だったけど、期待以上に面白くてご満悦。
表紙を見てある程度のものが「わかるわかる」と思う皆様は同年代。(笑)
ひとくくりに「昭和」と言ってもなんせ64年。
それはいろいろなことがあるよね。
戦争が絡めば命について考えさせられ、
全共闘の時代は今では全く想像つかないよなぁ、と思い。
バブル期に至ってはわかるわかるわかるわー、の連続。
取り上げたテーマ的に異彩を放っていたのは一穂さんかな。
ほっこりしんみり終わるのかと思ったらガツンと来た終幕。
大学の試験期間中。
受講していた講義の試験を受けにいったらバリケード封鎖をしていて目が点になった思い出。
その時ですら思ったわ。
「え?イマドキ!?」って。
そして「バリケードが解除され次第、試験を行います。帰らないでください」とのアナウンスに、
「いつだよ!」と同時に「一日粘る根性見せて!そしたら帰るから」と思ったのは試験待ちの全員の同意。
わー、懐かしい。
ジュリアナもマハラジャもリアルで行けたのは貴重な体験。
でもボディコンは着てないよ(笑)
「恋愛前夜」凪良ゆう (キャラ文庫)
キミが好き。
ずっと一緒にいたい。
だけど、その「好き」の意味合いが違っていたら?
とてもいたたまれない。
幼馴染のトキオとナツメ。
幼い頃からずっと一緒に過ごしてきて、いつしか意味合いの違ってしまった想い。
離れることを決意し、それから二年後の再会。
その間、現実的だったのはトキオの方で、楽観的に過ぎたナツメ。
ヤコ先生の立ち位置、辛いなぁ。
再会しなかったら動き出すことのなかった想い。
だけど、再び出会ってしまった二人。
心理的な描写が丁寧に描かれていて、一緒になって切なくなってしまった。
二人とも、ヤコ先生を拝みやがれなお借り本。
幸せにね。
ネームが出来ずにモダモダしてる時間も
お仕事時間なんですよーと思う。
結果、締め切りに「間に合えばいい」とも思うけど、
周りはヒヤヒヤだよね。
ナツメがとても良い子だったけど、
輪をかけてヤコ先生もイイ人だった。
「彼女が最後に見たものは」まさきとしか (小学館文庫)
何をもって幸せとするのか。
それは百人百様だということを、改めて思う。
私には決してなぞることのできない彼女の幸せの在り様に涙が零れた。
そしてその覚悟に圧倒される。
一見すると幸せな家族。
だけど家庭内に抱える外に見えない歪が怖い。
そうやって子どもが壊されていく。
名前も知らない彼らが彼女のために尽力した。
理由はそれぞれだけれども、その想いがあたたかい。
彼女には全部伝わっていた。
たぶん。
間違いなく。
二作目になった三ツ矢と田所コンビのやりとりがとても愉快。
そして十重二重に絡み合う人々の人生模様が圧巻の読み応え。
自分だったら、死ぬ間際に思い浮かべる言葉は「楽しかった」が理想。
それにしても……積読を減らす!と誓った年始早々に、他作品も読みたくなる作家さんに出会ってしまったのは幸せ……なのかな?(笑)