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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「毒を喰らわば皿まで~その林檎は齧るな~」十河(アルファポリス)



前作が復讐劇なら、今作は冒険譚。
骨太な構成がとても楽しかったお借り本。
辞したにもかかわらずあちこちから頼られる元宰相アンドリムの頭脳の明晰さと腹黒さは健在。
彼の番である騎士団長ヨルガの腕っぷしの強さは更にバージョンアップしている気がする。
そして二人の結びつきの深さよ。
二人の間で紡がれる言葉に込められた想いに、何度も胸を突かれる。
アンドリムがヨルガに対する胸の内を吐露するシーンが最高潮。
毒の林檎を齧らざるを得ない状況に追い込まれたシラユキ。
そうまでしてアンドリムがその国を守ろうとした理由に、ああ、と。
壮大な愛の物語。

前作も今作も本当に楽しかった。
こういう個性と言うか独創性、大事にしてもらいたい。
web上で連載中の番外編があるんですねー。
書籍化が楽しみ♡←気が早い?(笑)

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「毒を喰らわば皿まで」十河(アルファポリス)



ヒールに徹した愛されキャラ・アラフォーの宰相アンドリムが最高に魅力的なお借り本。
パーティーの始まりはたったの三人。
周囲は全て敵という崖っぷち寸前の状況からの起死回生。
正攻法ではない手段ながらも、周囲の者たちを気づけば味方につけて行く手腕はお見事。
とはいえ、アンドリムはダークヒーローなので真の目的は国の滅亡を願う復讐劇。
アンドリムを殺したいほど憎んでいた正統派の騎士団長ヨルガが、彼に懸想していく様が面白い。
結局、自らの命運をヨルガの手に委ねるアンドリム。
この決定的なシーン好きだなぁ。
王道?ナニソレ?展開が本当に楽しかった。→

自分で買おうと思ってカートに入れてたら
友だちが持っていたのでお借りしましたが。
買おうと思っただけあって、メッチャ楽しかった。
「絶対好きだと思う」と友だちに言われたけど、まさにその通り(笑)
日付が変わっても読み終わるまで寝れなかった。←平日


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「贖罪」イアン・マキューアン (新潮文庫)



静かなる良作。
安堵した後に突き付けれらた真実が苦しくて。
声を上げて泣いてしまった。
第一部で描かれるのは群像劇。
同じ物事を語るにしても、見る視点が違えば捉え方も違う。
真実とすれ違い、ねじ曲がって捉えられていく過程が恐ろしい。
その時彼女が声をあげたことによって奪われてしまった彼らの未来。
続く第二部。そして第三部。
恋人たちの繋がりが潰えなかったことがただ、嬉しい。
その一方で、取り返しのつかない罪は存在するのだと切実に思う。
ちょっと待って、と、反射的に読み返してしまった最終章。
贖罪。
その言葉の持つ意味が、読了後に重くのしかかってくる。



こういう出会いがあるからガーディアン読みがやめられない。
イアン・マキューアン。
他の作品も追いかけたい作家です。
まずは集めるところから。
【ガーディアン必読113/1000冊】

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「融愛 ~Melt Down~ 」沙野風結子(SHY文庫)



兄・海里に対する想いを心の奥底に押し込めて封じて蓋をし、
その想いの片鱗も見せまいとしてきた翼久。
弟・翼久の想いにも自分の深層心理に潜む想いにも気づかず、
弟を思いやりながら生きてきた海里。
親に捨てられ、二人きりで身を寄せ合って生きてきた兄弟。
そんな二人の間にたった一人の他者が介在することで、激変を来す日常。
血を分けた兄弟間での葛藤を繰り返し、
すれ違いに絶望し、孕んだ狂気や情欲に翻弄されながらも、
辿り着いたのは穏やかな愛。
文庫描き下ろしの短編までできれいに完結する物語。
個人的に弟の電話を兄が奪うシーンがお気に入り。

会社携帯をなくした!と大騒ぎで電話してきた殿方一名。
携帯紛失時の位置情報を取得した結果、
隣県のIC入口付近に落ちていることが判明。
PCの地図上にここにあるよ!ってちゃんと表示されて、すごーい!となりました。
その付近で車を止めて電話して、車の屋根に携帯を置いたまま出発したそうな。
ちなみにこの方、屋根にお財布を乗せたまま走って紛失したり、
社外秘の書類乗せたまま走ってなぜか警察に届けられてたり、と前科色々。
背が高いとそういうことになるのねー、と、
車の屋根の上に物を置くことのできないサイズの私は思うのでありました。

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「籠蝶は花を恋う」沙野風結子 (ダリア文庫)



最初の出逢いは吉原で。
それは、切ないまでの誤解とすれ違い。
秘めたまま、それでも一途に抱え続けた想い。
たったひとり、あなた(おまえ)だけ。
やーん。ザ・純愛。
と思って読んでいたら、後書きで沙野さんは王道とおっしゃっていました。
確かに。
お堅いだけかと思っていた、
ロッテンマイヤーさん的立ち位置の中津が最後デレたのも良かった。
何より、紆余曲折あっても貫き通した鼎と詩央の想いが尊い。
詩央を息子として迎えた月舘さんちは跡取り大丈夫?と思わなくもないけど、
そこは鼎がうまくやってくれる気がする。

浪漫だわ~、と思ったところから……→「浪漫飛行」聴きたい→大正浪漫→『はいからさんが通る』読みたい→でもそんな時間ない。と、現実を直視したところに着地してみました。(笑)



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「世界の半分」かわい有美子(SHY NOVELS)



葛西さんの描く繊細で美しいイラストと
かわいさんの紡ぐ異国情緒漂う世界との
見事なマリアージュにうっとり。
王子であるカイの故郷を滅ぼした強国の皇子エルヴァン。
王女に扮したカイがエルヴァンの元へ引き渡された時から、
二人で歩む時が進み始める。
多くを語らなかったエルヴァンの優しさと
その生い立ちの苦悩が垣間見えてくるにつれ、
彼に対する好感度が上がる上がる。(笑)
彼のカイに対する振る舞いも素晴らしい。
己の運命を諦観していたエルヴァンだれども。
カイと共に生きる未来を手に入れて欲しい。
そう願いながらの読了。

読み始めはエルヴァンがエルヴィンに読めて仕方なかったのは
明らかに『進撃の巨人』の影響。



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「銀の雫の降る都」かわい有美子 (リンクスロマンス)



陽光を浴びて美しく輝く青い海。
やさしく肌をなぞる心地よい風。
揺らめく布の薄く軽やかな質感。
緻密に綴られる描写に、あたかもその場に佇んでいるかのような気持ちになる。
発達度合いの全く異なる文明の混在したその世界で、
静かにゆっくりと育まれていく穏やかな愛。
降り注ぐ光のように惜しみなく与えられるユーリスの愛情に、
愛を知らなかったカレルの頑なで寂しい心が、解きほぐされていく。
とてもやさしくて暖かさに満ちた物語。
だけど抗えない運命に切なくなる。
私的には銀色のカードはいつまでもユーリスの胸で揺れていればハピエン。
あああああ、惜しいっ!となりました。

ホント、惜しい。
そうじゃないの。
一度きりの人生はやりなおしがきかないの。
だからこそ、最近沙野さんの作品のレビューでも言及したばっかりだけど、
キャッツアイのトシのラストのセリフなの。
まぁ、個人的な見解ではありますが、そうじゃないんだよー。
ラスト直前までがとてもとても良かっただけに残念。
目標達成率99.8%で「もうそれ以上は無理」と思ったときのことを思い出しました。

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「しずく石町の法律家は狼と眠る」菅野彰 (角川文庫)



読後にじわじわこみあげる種々の感情を大事にしたい。
言葉の選び方、行間に滲む感情、日常を足掻きながら生きる人々の想い。
何もかもが菅野さんらしくて、痛いんだけど、心地よい。
征夷大将軍・坂上田村麻呂、弥勒菩薩、阿弖流為、現代社会の弁護士、公認不正検査士、ニホンオオカミ。
どう考えても相容れなさそうな者たちの全てが無理なく混在し、進行する物語。
コミカルな部分も含みつつ、けれど、生きることの意味を真摯に問われ、
更には震災後の被災地の在り方すら考えさせれらる。
田村麻呂と空良と風火。
彼らの在り様が少し物哀しくて、だけど微笑ましくて、とても好き。

とりあえず。
積んである高橋克彦氏の『炎立つ』と、『火怨』を入手して読むべし。
と、改めて思わされる作品でした。
今年は無理だから来年かな。←来年回しにしている作品が多数ありすぎて。一度整理せねば。
そしてこの作品も繰り返し読みたい。

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「疵物の戀」沙野風結子(キャラ文庫)



前編と後編で一冊の構成。
沙野さん曰くの「冒険的展開」の後編が、半端なく良かった。
警護対象となった研究者・真智と、彼を警護するSP・玖島の13年ぶりの再会愛。
好意を寄せあっていた二人なのに、13年前の境遇の捉え方が見事に違っていたが故の訣別。
でも多分、あのまま一緒にいたらだめになっていた気がする。
国家をざわつかせたプロジェクトを生み出すに至った真智の想いが切ない。
そのプロジェクトが故に二人は再会し、そのプロジェクトに翻弄された恋心。
二人共に在るための決断は、あまりにもやるせないものだった。
だからこそ、共に生きる二人の幸せを希う。

二人のその後が描かれた電子の書き下ろし番外編『疵物の幸福』が気になる。
とっても気になる。うわーん。そういうのは紙本にも収録して欲しいなぁ。
【以下、知っている人にとってはネタバレ】……………
キャッツアイのラストシーンが脳内を過ったエンド。
トシのあのセリフは永遠の名セリフだと思うわ。

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「上海血華」沙野風結子 (ラヴァーズ文庫GREED)



たとえば淋が自分の幸せだけを考えたのならば。
もっと楽に生きられたんだと思う。
けれども。
彼が重きを置いたのは殺された兄の復讐。
それを果たしたところで幸せになんてなれないことは、
先の未来が思い描けなかった時点で思い描けたであろうに。
自分を責め、兄の仇を憎み、意に反した行為を強要される中で生じた複雑な愛情。
兄を殺した英冥が自分の命を救った相手でもあったことが
二律背反を生じた一因。
故に殺すことと愛することが矛盾なく両立する……のかな。
いつか、愛の方が勝ればいいな、と思いつつの読了。


英冥サイドの心情がもう少し掘り下げられていたらもっとのめり込めた気がする。
設定は好みなだけに、ちょっと残念。
そして自分がそこまで誰かを憎んだことがないからか、
淋の想いに同調できなかったのも、残念。

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