きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「色めく夜の陰謀 共謀」沙野風結子 (ダリア文庫)
恋愛って一人でするもんじゃないんだよ?
圭祐を巻き込みたくないという想いから
トラブルを打ち明けず、抱え込んだ結果、
キリト自身が窮地に陥るいるという大ピンチに。
圭祐は自力で戦う力がある。
それがわかっているなら、隠すのではなく打ち明けるべきだったんじゃないかな。
とは、圭祐側に寄った私の言い分。
結果的にキリトを助け出すために一役買った圭祐はとてもかっこよかった。
沙野さんの書く攻でここまで精神的に未成熟な人は珍しいかも?
時間帯が合わなくても仕事を疎かにせず、
それでも会う時間を捻出しようとしてきた二人が好き。
と、感想を打ってみましたが☆
私もそれなりに大きな手術をすることをうっかり言いそびれたまま入院→
まぁ、連絡取れないのは手術日と翌日くらいだからバレないだろう→
タイミング悪くそんな相手から連絡があり、音信不通だと大騒ぎになる→
結果、手術がバレ、黙ってたおかげで絶交されかかる……という大騒ぎがあったことを思い出しました。
わぁ!黒歴史!
シリーズは次でとりあえず最終巻。
色々繋がってきたのでとても楽しみ♪
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「君の夢は もう見ない」五條瑛(集英社)
構成がうまいのか、筆力がありすぎるのか。
「手紙」と「聞き取り」を介して語られる彼らの生き様に問答無用で引き込まれる。
そして、圧倒的な存在感を放つ「火蛇」に引きずられるけれども。
作中で一番魅力的なのは「お風呂入ってくださいよ!」と
再三に渡って社員から言われ続ける仲上だ。
ぱっとしないおっさんを装いながらも、
彼の観察眼と着眼点、そして分析力は目を瞠るものがある。
第一線で活躍していたスパイだけのものはある。
そんな彼に心酔するチャン。
良い人、悪い人の定義って必要なくて、
自分が相手を好きか否か。
関係性なんて、ただそれだけでいい。
「サラマンドラ」と言えば「みんなのうた」。
思い出した瞬間にものすごく悲しい気分になっちゃう。
なんであんな淋しい歌作ったんだろう?
作中の火蛇は野心に溢れ、精力が漲っているけれども、
懸命に仲上にラブコールを送っても、色よい返事はもらえない。
「ひとりぼっち」という歌詞がぐるぐる回る。
「もう一度、俺と一緒に夢を見よう」
「君の夢はもう見ない」
妄想で一本話が書けそう(笑)
「甘やかな共謀」沙野風結子 (ダリア文庫)
自分を脅迫して強姦した相手を何故そう簡単に信じられると思うんだろう?
そもそもの人間性が疑われる行為なわけで、
それを理由にお前のことが信じられないと言われても、
それを責めたりそれで傷ついたりするのは筋違いだと思うよ、キリト。
オラオラぶりが霧散してうなだれた犬のようにおとなしくなった後の
巻き返しは頑張ったね。
不正を暴くため、と、キリトとの関係を割り切った圭祐の心情の変化は
追っていて楽しかったし、
気持ちが伴ってからの行動力はかっこよかった。
そして描き下ろしはオトコマエすぎたわ。
リバってくれてもいいんだけどなぁ。
『花シリーズ』からの鷹羽刑事の貫禄ある暴力団幹部っぷりに笑う。
それも順番に読んできてるから。
シリーズが関連しているとは知らずにうっかりここから読み始めそうになり、
読み始める直前で気づけたのはラッキーだったわ。
『花の堕ちる夜』→『花陰の囚人たち』→『千年の眠り花』→『甘やかな共謀』→『色めく夜の陰謀』→『花の迷い仔』
いつも読友さんたちに頼りっぱなしなので私もシリーズ順番に記載してみました。
ホント助かっています。ありがとう!
「迎撃せよ」福田和代 (角川文庫)
日本の平和は薄氷の上の平和なんだよなぁ、ということを、
思い出させられる瞬間がある。
本作読了後もそう。
何事も起こらなければ安泰だし、起こらないに越したことはない。
だけど、ひとたび事が起こってしまったら?
どうやって国を守るの?
そこはもっと真剣に考えるべきだし、法改正は必要だと思う。
気づけば事件の渦中に引きずり込まれた安濃の精神的な変化が小気味よかった。
周囲が全力で手助けしてくれるって、なかなか美味しいお姫様ポジション。←一児の父です・笑。
派手な展開ではないけど、人が事件と対峙するという意味でじっくり読ませてくれた作品。
防衛に関してもだし、
水資源のことも、他国による土地の買収のことも、
突き詰めるとぞわぞわっとしたうすら寒い思いしかこみあげてこないので、
思考シャットアウト……なダメパターン。
「獣はかくして交わる」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
光と闇。
コクミンとヒ・コクミン。
刑事と自称フリーライターの男。
全く異なる世界に身を置く二人が、同じ目的を果たすために手を結ぶ。
飼うか飼われるか、ではなく、飼って飼われる関係性がとても好き。
そして、二人ともおとなしく飼われるタマじゃないところがまた素敵。
たとえるなら、大型肉食獣のぶつかり合い。
警察、検察、闇組織。
三者が絡んだ諸々の根本的な決着は続刊以降まで持ち越し。
ゼロも鹿倉も男としての伸びしろはまだあると思うから、
今後どうなっていくかがとても楽しみ。
沙野さんの世界観と小山田さんのイラストはベストマッチ。ひたすら眼福。
部下のカワウソ。
粘着質な検事のカメレオン。
例えが絶妙。
このカメレオン。
ただの変態ではなさそうなので、スピンがあったらとても楽しそう。
そして、フレグランスを取り上げられたカワウソくんは、
代わりのものをちゃんと買ってもらえたのかしら?
気になる……
『北斗の拳』と言われれば、反射的に思い浮かべるのはサウザーです!
「キル・ゾーン6 赤と黒」須賀しのぶ(コバルト文庫)
血を流し、歯を食いしばり、己の肉体を極限まで駆使して戦って、
どうにか生き延びる。
そんな戦いの渦中にある彼らの中に紛れ込んだ人ならざる者。
人知を超えたモンスターを相手にはまともな戦闘なんてできないことを思い知らされる。
その力をキャッスルの元に帰るためだけに駆使した傷だらけのラファエルの姿が痛々しい。
そう、これは人間の物語。
痛みを抱え、人を愛し、地に足を付けて足掻く人たちの物語。
だから怪獣大決戦にはならないはず。
そして、足の手術を終えて戻ったエイゼンの姿に安堵。
荒れたキャッスルに対する対峙の仕方はお見事。
『ブルー・ブラッド』はノーチェックだったけど、
こちらも集めるべき?
リンク作品は読まねば!という使命感に駆られるのは、本読みあるある(笑)
「千年の眠り花」沙野風結子 (ダリア文庫)
「寄り添っている相手からは価値観の影響を受けて当たり前」
とは、鷹羽の言。
その通りだと思うから、ズシリと重い。
蒼の変化が悲しかったから。
蒼がその手を血で汚すことになったのは、零飛の傍に在り続けるため。
蒼が踏み込んだ黒社会で愛する人を守るために必要だった決意。
当の零飛は悪趣味に拍車がかかって、ちょっとどうなの!?って言いたいけど、
なんか最後はうっかり絆されそうになってしまった。
零飛は間違いなく蒼の想いを受け取っていたから。
変わるための第一歩を踏み出したから。
とはいえ、そこにたどり着くまでに巻き込まれた人たちはホントに大迷惑だよね。
前作で相性悪いかな?と思った鷹羽の印象は好転。
良いことだ。
それにしても……斎の行方不明を会社(警察)側にどう説明してるんだろう?
「慈雨」柚月裕子 (集英社文庫)
退職した刑事が妻と共に辿るお遍路の旅。
語られるのは彼らの旅の行程、現在と過去の幼女誘拐殺人事件の顛末、
そして彼自身の、或いは関わりあいを持った人々の人生。
彼らと共にお遍路を辿りながら、
漣のように訪れるそれらの事象に引き込まれていく。
巡礼の旅は自己の内面と向き合う旅でもある。
贖罪につながる悔恨を抱えた神場にとっては苦しい旅路。
そんな彼に寄り添った香代子の存在が大きな癒し。
この夫婦、素敵だなぁ。
事件解決に奔走した緒方の姿も好感が持てる。
だから娘さんの恋は案ずることはない。
あなた方の背中を見て育ってきた子なんだから。
かつて訪れた四国の風景を懐かしく思い出しながら読み進めました。
四国には2度行く機会があったけど、どっちも楽しかった。
「空が広い」と言う描写に納得。
この作品を読みながらまた行きたいという思いが沸々と。
私が「逆打ち」から連想するのは『死国』ではなく『炎の蜃気楼』。
感想あげるのが途中で止まっているけど、いつか再開したい。
「魂の岸辺」北方謙三 (集英社文庫)
猿なの?いや、それは猿に失礼かしら?
と思ったところがスタートライン。
そこから少年は見事な成長を遂げたけれども。
その成長に少なからぬ影響を与えた男は、
馬鹿なの?と思ったところがゴールライン。
必ずしもそれしか選択肢がなかったわけではないはずだ。
なんだか悔しいなぁ。
中学生にしてはヘビーな悩み事に翻弄された子どもたち。
理不尽な圧力に屈するまいと戦った大人たち。
背伸びしつつも、周一が周囲の愛情をきちんと受け止められる子どもで良かった。
多くを語らない言葉から、何が起こったのかを推測させる。
そんな文章が冴え渡っていた。
「あのナイフはあんたから買ったんだよ」
この件がとても好き。
再び男と対峙する時、既に青年となった少年は腕を鍛え上げているのだろう。
そんな二人が酒を酌み交わす姿を想像すると口角が緩む。
「花陰の囚人たち」沙野風結子 (ダリア文庫)
こんな脇が甘々な潜入捜査やってたらバレるよね?
身バレしてるから取引ぶち壊した後に命狙われるかもしれないよね?
そもそも!
前作の零飛のイメージがあるから、今作の彼はただ悪役ぶってるようにしか見えない。
彼が本気だったら、刑事二人、生きてあの屋敷から出れないよね?
と、余計なことをぐるぐるした結果、作中に入り込めなかった私の負けだわ。←何と戦ってる!?
暗に「付き合おう」と言っている鷹羽の意図が全く読めなかった斎、イイね。
そして「俺を欲しがれ」と斎に言った鷹羽に「お前が欲しがれ!」と嚙みつきたくなってみた。
ん?相性合わないのはもしかして鷹羽?
……と、グダグダ言ってる割には、最後まで一気読み。
沙野さんの文章は好き。
そして、後書きのイラストは必見。
パンダの刺青がかっこよく決まってる人って他にいない気がする。