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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「蛇淫の血」沙野風結子 (ガッシュ文庫)



最初に芽生えた想いは恋なのか?と問われると、
素直に諾と言いづらい。
もっと濃密で、もっと切羽詰まった想いがそこにある。
角能と凪斗。
どちらにとっても運命を捻じ曲げてしまうほどの強烈な出逢い。
普通の大学生として生活してきた二十歳の凪斗が、
突然暴力団の組を継げ、と言われたところで無理がある。
その無理を可能にするための経緯が非常にエロティック。
終始漂うヒリヒリとした緊張感。淫猥な空気感。
凪斗が平穏を切り捨てた瞬間と、角能が永遠を誓った瞬間は
挿絵の効果もあって素晴らしさ倍増し。
生き辛い道を選択したとは思うけど、上りつめてほしいな。

角能の前職が良いスパイス。
前科持ちでもありきたりの極道じゃないところも良い。
運命に翻弄されてただ泣くのではなく、
抗って腹くくって欲しいモノを手に入れた凪斗の在り様はカッコイイ。
沙野さんも順調に(?)積んでいるので、シリーズ4冊手元にあります。
安心して読み進められますね~☆

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「オリエント急行の殺人」クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)



雪で立ち往生した列車の中で起きた殺人事件。
乗り合わせた人々との対話を通して名探偵ポワロは推理する。
この事件の真相を。
同じ車中劇でも移動する新幹線が舞台の
伊坂さんの『マリア・ビートル』が“動”ならこちらは完全に“静”。
登場人物たちがほぼ一貫して列車内に留まったまま、
ここまで面白く読ませる物語展開はさすがクリスティ。
そして、その対話の中から、それぞれの人物たちの
過去が浮かび上がり、物語はより深みを増していく。
付け合せた証言から露わになった嘘。
ポワロの推理にキャンキャン言っているおっさんズが
素人代表!的な感じで良い味出していました。


ポワロが取り出した毛先をカールするための焼きごて。
「口髭に使っているんです」
「毛先をカール」から毎朝使っているヘアアイロンを連想した私は
こてにそんな使い方があったことにびっくり。
今回、これが一番のびっくりだったかも。←事件全く関係ない(笑)

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「ぼくのワンピース(下)」山田睦月/菅野彰 (ウィングス・コミックス)



泣くな、と言われても、こみあげる涙を止めることは難しい。
ってか、私無理な気がする。
だけど、真人の言葉通り綺麗に笑った等。
二人で築いてきた7年間の繋がりの深さ……なのかな。
あんなふうに人生に影響を与えあえる関係ってそう簡単に築けない。
気付けば「ぼくの」から「ふたりの」に変わっていたワンピース。
等の自己肯定はとても嬉しかった。
ただ、傍らに真人がいないことが哀しい。
別離は不可避。
痛みも哀しみもすべて抱えて生きていく。
いつかやわらかでやさしい思い出に変わる日を信じて。
ものすごく印象深い作品になりました。

菅野さんの原作と山田さんの漫画。
これしかない!という素敵なコラボでした。
絶対に無理だけど、自分のお葬式を俯瞰して見てみたい。
私も華やかなのがいいなー。

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「ぼくのワンピース(上)」山田睦月/菅野彰 (ウィングス・コミックス)




華やかな告別式から始まる物語。
式に招かれた人たちは「最も派手で華やかな衣装」を身に纏い、
彼のことを語り、彼のことを思いながら、かつての自分を振り返る。
「自分とは何か?」
突きつけられる問いは簡単に答えが見出せるものなどではなく、
ひとたび迷子になってしまったら、思索の迷路を彷徨い歩くことになる。
考え続けることも、考えることを放棄することも各人の自由。
自分が最も楽に生きられる道を見出すことが出来ればそれでいい。
だけど、それが難しいんだよね。
常に泰然としていた真人が抱えていた大きな秘め事。
覚悟はできていても息を呑む。

前にも言ったけど、
2年生存率を考えざるを得ない状況になった時の私の心の安定剤は北方の『水滸伝』だった。
生きる時は生きる。死ぬ時は死ぬ。
自分にとっての生存率は0か100。
その達観の仕方がなんかすっごい落ち着いた。

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「東方美人2 千年王国」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



望んでその仕事を選択したわけではない。
にも拘らず、そして仕方がないと諦念を抱きながらも、
その任務に就き、優秀な成果をあげる。
そうせざるを得ない仕組みを作り上げたKGB。
やっぱり怖いわ。
ベルリンからイギリスを経由し、舞台はまさかのアフガンへ。
アレクセイと行動を共にするにつれ、変化を兆していくサエキの心情が
痛々しいんだけど、愛おしい。
アレクセイは一貫してぶれなかったなぁ。だからこその安心感。
ベルリンの壁の崩壊に合わせた見事な着地。
激動の時代を、そしてそこに生きる男たちを書き切った重厚な物語。
読み応えありました。


読みながら何度も頭を過ったのは『ツーリング・エクスプレス』
その中でもロシアン・エクスプレス。
そしたらラストがメッチャシンクロしていて、おぉ!となりました。
今年は桜をのんびりと鑑賞できるような状況ではなかったので、
来年は是非とも満開の桜を存分に鑑賞できますように!
見たい桜はまだまだたくさんあるのよ~~。


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「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ1 黙示録の種子 下」 (竹書房文庫)



「頼みたいことがある」「いいですよ」
そんな程度のやりとりで成立した依頼だったけれども。
いざ取り掛かってみれば世界中を飛び回る羽目になった上、
何度も狙撃主に狙われる命懸けの任務。
学術的な謎解きとアクションの二本柱は相変わらずだけど、
今回はタッカーと相棒犬ケインのワンチームが満身創痍で頑張りきった。
タッカーから発せられた命令に、え? そこまで? と思ったけど、
ケインがその意味を理解していなかったことにほっとする。
敵方がわりとあっさり倒されていった感じはするけれども、
ラスト、粋な計らいがダブルで続いて、読後感は上々。



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「東方美人」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



東西冷戦下のソビエト。
ベルリンの壁が存在したドイツ。
各々が終焉を間近に迎えた1980年代が舞台。
ヒリヒリとした緊張を孕んで展開していく
重厚感のある物語にのめり込む。
KGBの諜報員の仕事の殺伐とした感じと孤独感がひしひしと伝わってきて薄ら寒くなる。
後出しみたいに縛り事が出てきて、気づけば故郷に帰れない。
家族にも会えない。
私、絶対無理。
組織のことを多くは知らずに任務についたアレクセイと、
諜報員として有能でありつつ孤独の淵に在ったサエキ。
この二人の距離感の縮まり方がとても良い。
お互いに出逢えたことを尊ぶ二人の行く末は?


『チャイルド44』に始まるレオ・デミドフ三部作を読んだ時の
鬱々とした気持ちを思い出したわ~。
スターリン時代のソビエトを描いた作品で、感想の中で私
「この時代のこの国で生き抜ける気がしない」と再三言ってたけど、
その思いはこっちの時代でも変わらず。
この物語はベルリンの壁崩壊で終わるのか、ソ連の解体で終わるのか。
ものっすごくわくわくしながら次巻へ。





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「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ1 黙示録の種子 上」 (竹書房文庫)



元米軍兵士のタッカーと、元軍用犬のケイン。
互いを「相棒」と認識しあう一人と一匹の物語。
シェパードのケインの利口さとその活躍っぷりにひたすら目を瞠る。
そしてタッカーに対するケインの愛情深さに目尻が下がる。
時折混じるケイン視点の描写がリアルで、
頑張っているケインをとてもとてもモフりたい。
……と、緊迫感のないことを想いつつ。
渦中の人達は命からがらの危機を逃れつつ、
なんとか目的地へ辿りつこうと必死の大移動。
何がヤバくて追われているのかはタイトルの通り。
広げた大風呂敷を畳むのは下巻にて。


友だちのおうちの子が「カイン」という名前のシェパードなんだけど、
ものすごーーい甘えっこ(笑)
それはそれでその子の個性。
シグマフォースシリーズ外伝。
物語の構成は本編と同じだけど、本編より読みやすい気がする。






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「不愉快犯」木内一裕 (講談社文庫)



どんな役割を振るのであれ、他者を介在させた時点で「完全犯罪」が成立する確率って
格段に減ると思うんだよね。
自分で完全にコントロールできない不確定要素はあってはならない。
自己完結できなかった時点で、彼の目論見が成立する確率は100%を切った。
自己陶酔した彼のマスターべーションみたいな犯罪語りが、言ってみれば「不愉快」なので、
読み切れない事態にぶち当たった彼が混乱するに至って、
そううまくいくわけがない、とほくそ笑む。
個人的にはノボルが青臭く爆発したシーンが好き。
人情味あふれる良いデカになると思うよ。
でも一番はここでも佐藤推し。

『デッドボール』と同一キャラ。
ん? 何で? パロ?? 使いまわし?? と混乱。
気付いた瞬間から二次創作っぽく感じられたのが残念かな。
そして、「吉野家で食事をして」を「よしのけで食事をして」と読み、
「え? 吉野さんってどこで出てきた!?」と混乱。
読んでる途中で戻ることってほとんどないんだけど、
さすがにちょっと戻って「よしのや」と理解。
びっくりしたー。

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「玉の輿新調しました: 玉の輿ご用意しました3」栗城偲 (キャラ文庫)



自分の将来の在り様について。
高校生も悩むし、大人だってもちろん悩む。
青依、印南、そして印南の甥の誉。
三者三様に葛藤しつつも、みんなそれぞれ自分なりの答えを見つけ出す。
誰に責任を押し付けることもできない、自分で努力して歩む道を。
巻数を重ねるごとに濃密になっていっている濡れ場から
二人の関係性の深まりが伺えてうまいなーと勝手に解釈。
物事の進行も各々の心理もとても丁寧にリアルに描写されているから
一緒に一喜一憂しながら納得してしまう。
満足したところで人の成長は止まる。
奮闘する彼らの今後に期待を寄せて、シリーズ楽しく読了。


個人的に諸星も気に入っているので再登場にホクホク。
それにしても諸星光って……ローラースケートはいたアイドルグループ
しか連想できない。←年代。
シリーズ番外編入手を試みつつ、栗城さんの他作品にも手を出してみようと思います♪
楽しみ。

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