きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ジェファーソンの密約(下)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
限られた時間の中で精一杯の知恵を振り絞り、文字通り身体を張って
未曽有の危機に瀕した国家を救った彼ら。
だけど、後味がとてつもなく悪い。
他者の命を散々に奪っておきながら、幸福の中で時間を止めた彼の身勝手。
任務を忠実にこなしたが故に、愛する家族が命を狙われる理不尽。
職を辞することを選んだ男。
失意の底にいる男。
だが、彼らは再び立ちあがるだろう。
対峙しなければならない敵がいる限り。
その敵が!
ラストの一行で思わず声が出る衝撃。
このシリーズ、面白さが失速しないなぁ、と思っていたけど、
ここにきてブーストで加速した感あり。
再読な訳だけど、明確に覚えているのがラストの一文だけっていう自分に驚き。
それだけラストが衝撃的だったと言えば、聞こえがいいのかな?
おかげで(?)楽しく読めました。
このシリーズの再読はこの巻で終了。
以降は未読の世界へ突入です。
再読の巻数より未読の巻数が多いってどういうことだろう?
よく積んだなぁ、私(笑)
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『子どもたちは制服を脱いで 毎日晴天! 13』菅野彰 (キャラ文庫)
よくぞここまで書いてくれたと。
寂しさと嬉しさとを噛みしめつつ、感動と感謝しかない13巻。←20年も読み続けているともはや親目線・笑。
いつまでも彼らはそのままその場所に在るものだと、思いこみたかったけれども。
タイトル通り制服を脱いだ勇太と真弓は
大河の手を離れ、秀の手を離れ、大人へとなっていく。
当たり前に守られてきた世界から、自分の脚で立つ世界へ。
四六時中一緒だった世界から、別々の世界へ。
戸惑いと迷いを滲ませながらも、それぞれが踏み出した一歩。
そうやって人は成長していくんだなぁ、と、つくづく感じいる。
勇太がホントカッコよくって感無量。
大河と勇太が洗面所で話すシーンがとても好き。
大河は真弓を勇太に、勇太は秀を大河に。
もう預けたのだと、互いに認め合うシーン。
ちょっと息抜き……のつもりが一気読みしてしまった。
ま、再読だからいいか。←理由にならない。
初読の時は、紙本で買ったのに、限定のSS目当てで電子まで買うなんて!
と意固地になっていましたが。
迷わずポチッとしてしまった。
ええ、限定のSS目当てで(笑)
「ヒトの世界の歩きかた」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)
人間に変身出来る犬(クイック)のローマンは、
クイック歴2年のジャーマンシェパードの成犬。
そんなローマンがマット(人)と出会い、恋をする。
犬から人間になって自らの身体と心の変化に困惑するローマンの心情が
リアルに書かれていて、とても可愛い。
人としてはまだ幼く稚いローマンの気持ちはまっすぐで好意を持った相手に対する想いを
隠すことも嘘をつくこともできない。
そんなローマンの柔らかな心情と、鍛え上げられた強靭でセクシーなボディとのアンバランスさも魅力。
謎めいたローマンに惹かれていくマットの心情も丁寧に描かれていて、素直に応援したくなる二人。
ラスト、幸せを噛みしめるシーンがとても良かった。
前作でメインだったランス(クイック)とティム(人)のカップルも健在。
ランスがものっすごく小姑っぽくなってたけど、
それも身内を守るための犬の防衛本能だと思えば納得。
ローマンの電話相談に渋々応じるランスの姿が愉快。
ティムの方がよっぽど柔軟だわ。
相棒を失った軍用犬・シェパードというワードで
読友さんたちから好評価だったロバート・クレイスの『容疑者』が俄然気になってきました。
そのうち読んでみよう♪
「逆説の日本史12 近世暁光編」井沢元彦(小学館文庫)
リメンバー関ヶ原。
なるほど。
この時の勝敗が後々の明治維新につながると思うと、
歴史は一本の線上に展開されていると、つくづく感じさせられる。
勝利も敗北も紙一重。
勝った人が正義。
だけど、家康以外の誰かが勝者だったら安定した治世が265年も続かなかった気がする家康の偉業。
それも、信長と秀吉の築いた基礎があってのことだと、改めて思う。
過去を知るからこそ未来に備えられる。
このシリーズを読んでくれば、途中で気になる天皇家と徳川家との係わり方。
そこは漏れなくしっかり述べられていました。
万世一系。
続いた比類なさを令和に噛みしめる。
実際に関ヶ原を巡って、竹矢来・馬防柵が復元されている笹尾山にも行っているので
情景が色々浮かんでなんだか感慨深い。
とは言え、当時の私は東軍と西軍の違いもよくわかっていなかったので、
機会があったら再訪したい。
■行った場所:名古屋城・関ヶ原・笹尾山・石田三成陣跡
■行きたい場所:岐阜城・伏見城・東叡山寛永寺
■読みたい本:『真田太平記』池波正太郎・『天皇という「世界の奇跡」を持つ日本』ケント・ギルバート
「花屋の店番 毎日晴天! 12」菅野彰 (キャラ文庫)
3編収録。
それぞれ悩みを抱えた人たちが、惑って自問して、周囲を巻き込みつつ悶々としているわけですが。
誰に対しても「話聞くで?」と言ってくれた勇太の成長に惚れ惚れ。
ホントイイ男になったわ。
一方の龍のグダグダさに呆気。
明信と一度距離を置くことによって、漸く共に歩く未来に目を向け始めることができた二人。
必要な逃避だったかな?と思える成り行きで良かった。
真弓は自分の進路問題から存在意義を見失って不安定に。
そんな時期はだれにでもあるよね。
浮上できたのは、愛情いっぱいに接してくれる人たちのおかげ。
そんな真弓の後を追い、それぞれの話を聞いた秀の告白に胸があたたかくなった。
挟まっていた特典のペーパーがとても楽しかった。
私、こうやって本に挟んでないと、ペーパーがあることを忘れちゃうのよね。
文庫とサイズの合わないペーパーはクリアファイルにしまってあるんだけど、
何を持っているのかが全く把握できていない残念さ。
今度一覧表作ろうかなぁ。
皆さん、どうやって管理してるんだろう?
「夢のころ、夢の町で。 毎日晴天!11」菅野彰 (キャラ文庫)
与えることも与えられることも知らなかった秀と勇太。
泥沼のような日常から秀が勇太を引っ張り出し、
穏やかな日々が続くと思いたかったけれども。
二人ともが幼く、欠けているものが大きかった。
時々語られていた彼らの過去をここではっきりと突きつけられ、
胸が軋みまくって落涙。
距離感がわからず、失いたくない想いが先に立ち、
本音を言い合えないまま深くなってしまった溝。
逃避した勇太が手を出したモノに対する代償は
壮絶なものだったけれども。
そこから抜け出した彼の気づきがとても哀しい。
それほどまでに深かった秀の深淵。
だから、大河の存在に安堵する。
人との出逢いは奇跡。
繋がりを持ち続けるには、努力と歩み寄りが必要。
そうやって手にする幸いがある。
彼らの夢がずっと続いていきますように。
「ジェファーソンの密約(上)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
アメリカ建国の歴史の裏に隠された謎に迫る今作は、
アメリカ・アイスランド・日本が舞台。
お馴染の表記の中に「日本 岐阜県」の文字を見つけて心が跳ねる。
おお!日本が舞台の一つになっている!と。
今回彼らが直面した事態は世界を滅亡させかねない危機で、
さらに宿敵の存在がチラついて不穏な気配しかない。
そして、騒動の一端を担い、命を狙われて助けを求めておきながら、
救いの手を差し伸べてくれた人の言いつけを守らなかった彼女には
馬鹿なの?という言葉しかない。
ハイスピードな展開は相変わらず。
事件解決と全ての謎解きは次巻へ!
調べものをする過程で知ったスーパーカミオカンデの一般公開!
とても惹かれる。
もう申し込み終わっちゃってたけど。
歴史・科学・アクション・恋愛に介護まで絡んできたけど、
お腹いっぱい感がないのがすごい。
「明日晴れても 毎日晴天!10」菅野彰 (キャラ文庫)
母親に存在を見捨てられた昴と、母親の異常な執着に雁字搦めになった晴。
惹かれあった二人は、だけど、一人では生きる術を持たない子供で。
子供であるが故の悲痛な叫びに胸が苦しくなる。
「幸せなまま殺してあげられたら」っていう発想が辛くて、涙出るわ。ホントに。
昴の暴力は容認できないけど、
その理由が明かされていくにつれ、
闇が深いのは晴の方だと思えてしまう。
そんな二人の力になろうと必死になった達也もやっぱり子供で、
無力感に打ちひしがれる。
あらん限りの力を振り絞って
親の呪縛から飛び出した子供たちに幸あらんことを切に願う。
ジワジワ込み上げてくる想いを反芻して泣く。
私は達也と同じくのびのびと育ててもらったから。
どんな困難に陥っても親は絶対に味方してくれるって信じられるから。
晴と昴を抱きしめたくてたまらない。
甥っ子ちゃんや姪っ子ちゃんたちとたくさんハグして手を繋いで遊んできたように。
「夜と霧 -新版-」ヴィクトール・E・フランクル(みすず書房)
冒頭部から、この本を記した著者の想いと覚悟が伝わってきて、居住まいを正す。
どんな苦難の中にあっても耐えられるのは、その苦難がいつか終わると信じられるから。
もしくは、そこから抜け出せると信じることができるから。
飢えと寒さといつ命を落とすかわからない恐怖に苛まれる状況が、
いつ果てるともわからなかったら?
心が死んでしまいそう。
それでも、生きている限り付き纏う問い。
「わたしたちは、何故生きているのか?」
私はその問いに自分なりの答えを持っている。
だけど、彼らと同じ状況下に置かれたとき、絶望に囚われることなく在ることができるのか。
答えることはできない。
自分がそちら側に立つことは絶対にないと、思い込んでいる傲慢。
人を同じ人として認識していないからこそ向けることのできる残虐性。
トップダウンでの命令系統に逆らうことのできない恐怖。
どうしてこんなことができるのだろう?と今までいろいろ考えさせられてきたけれども。
著者のはあまりにも明確だった。
「この世には二つの種族しかいない。まともな人間と、まともではない人間と」
「月への吠えかた教えます」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)
新刊前の再読。
甘さと切なさと楽しさがバランスよくミックスされていて
無難におススメできる作品だと思う。
「人間に変身できる力を持った犬」というところがポイントで、
いざ!という時の咄嗟の反応が犬過ぎて、
初読の時はこんなに笑ったかしら?というくらい、笑ってしまった。
(笑うシーンかどうかは謎だけど)
ランスってばティムのことが大好きなのね。
リリーの思い込みによる親切の押しつけは有難迷惑でしかないけど、
こういう人とは距離を置いてつきあっていくしかなかないのよね、と諦めの境地。
後戻りができない状態まで追い込まれて辿りついた場所で、
居場所とパートナーを得ることができたティム。
良かったね。
次巻はジャーマンシェパードのローマンの物語。
硬派でカッコイイ!と勝手に思い込んでたんだけど、
予告の帯の煽りを見る限り……??
そして、ジャーマンシェパード(童貞)の表記って必要?と笑ってしまった。
楽しみ☆