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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「眠れない夜に見る夢は」深沢仁(東京創元社)

短編五篇。とても良かった。
やさしくてせつなくてあたたかい、大人の物語。
甘さと苦さの絶妙バランス。
関係性が一対一じゃない三篇が特にお気に入り。
そうやって人と関わらざるを得なかった事情はそれぞれで、
それでも懸命に前に進もうとする姿が愛おしい。
「なにも傷つけないように、おやすみ」
一人だったら間違うかもしれない。だけど、ストッパーになってくれる存在が傍らに在る。
それは幸い。
「明日世界は終わらない」やるせないトライアングル。幸せだった。過去形なのがやるせない。
「家族の事情」
三人で家族でいいじゃん。三人できっと幸せになれるよ。

お友だちからのお借り本だけど……これは手元に欲しいなぁ。



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「煉獄の獅子たち」深町秋生

対立する二者が存在する場合、
一方の主張と正義があれば、もう一方の主張と正義がある。
前作と対になる物語。
前作では多くを語られることのなかった勝一たちサイドの事情が垣間見えてくるわけだけど。
読み進めるうちに勝一に対して大きくなっていく違和感。
なんかしっくりこない。
その理由が判明するラストに戦慄。そして納得。
うまいなー。そして、返せ~~!
田舎弁の我妻は愛されキャラだと思う。
阿内が言ってることは、戦争を必要とする軍事産業と一緒だよね。
なんか俗っぽくてがっかりなので、ぶん殴りたくなってみました。←作品に感化されすぎ。

安全圏でぬくぬくとしてはおらず、前線に出てくるTOPはカッコいいと思います!
だから人がついてくる。




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「ヘルドッグス 煉獄の犬たち」深町秋生(角川文庫)

絶対に近寄りたくない家業を生業とし、
凄惨な暴力の世界に身を置き、手のみならず全身を血で汚していく男たち。
いやいやいや。
相容れない。
無理無理無理。
と、眉間に皺を寄せつつ読み進めるうちに……
他者に対してはあんなにも容赦がないのに、身内に対する情がとても深い彼らの
絆を、結束を、受け入れてしまっている自分がいる不思議。
これが阿内曰くの「私情」なのだろうか。
もはや「仕事」を大きく逸脱した領域に足を突っ込んだ兼高だけど、
結果的にはやりきったんだよね。
その代償は独りぼっち。
キリングマシーンに徹しきれなかった室岡がやるせない。



映画は見ていないんだけど配役はわかっていたので、終始ビジュアルは
兼高=岡田、室岡=坂口で脳内を躍動してくれました。
イメージぴったり。

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「いとしいとしという心 2」かわい有美子(ビーボーイノベルズ)

中編2編。
脅迫めいた言葉で意に沿わない行為を強いた相手に対して
笑って欲しいと願う資格はないよ。
そんな扱いを受けている相手の気持ちがいつか自分に向くってなんで思えるんだろう?
と、高校生編は苛々しっぱなし。
私、千秋に対して辛辣な自覚はあります。
自分の好きを押し付けて侑央の好きを勝手に踏みにじっている。
気持ちは自分のものなのに。
後半に描かれるのは、1巻の出来事からのその後の二人。
駆け引きめいた始まりではあったものの、
良い時間の重ね方をしているんだね、と思える関係性を築いていて、ほっとしての読了。




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「ツミデミック」一穂ミチ(光文社)

禍がそのきっかけの一因となったとしても、引き金を引くのは人間。
奈落へ転がり落ちるギリギリのところで踏みとどまることができるのも、人間。
他人を傷つけるのも、誰かを助けることができるのも人間。
パンデミック、災害、押し込み強盗、異国の戦争、集団自殺。
生活に紛れ込んだそれらの事象に呑み込まれ、絡み取られた人たちの物語。
短編6篇。
抱えた事情はそれぞれで、1篇1篇まったく違った趣の作品を読ませてくれる。
個人的に短編は好んで読まないんだけど、一穂さんの短編はスッと入ってくるだけではなく、
各々の作品の色で余韻が残る。



一穂さん登録60冊目。
久しぶりに一穂さんの文章を読むと、
あ~、帰ってきたなぁ、というホーム感を感じるんだよね。
なんか安心する。
独特な感情表現には相変わらず目を見張るものがあって、
記憶をかつお節に例えた言葉がめっちゃ刺さった。
うまいなーって。
積んでいる作品がまだ少しあるんだけど、
それらは既刊を再読してから読もうと思っているうちにうっかり失念してしまっていた残念さ。
気付かせてくれたお友だちに感謝。

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「いとしいとしという心」かわい有美子(ビーボーイノベルズ)

断ることはできたはず。
にもかかわらず、それを受けたのは個人の意思であり選択である。
だから、これはある意味、等価交換。
順調にキャリアを積み重ねてきた銀行勤務を辞して歴史ある実家の家業を千明が継いだのは、
長きに渡って想い続けた侑央を手に入れるため。
そして、侑央がその身を差し出したのは、恋した人が遺した旅館を守るため。
どちらも自覚的に行ったことだからこそ、漂うのは悲壮感ではなくやるせなさ。
どちらもちょっとずるくて、だけど胸の内に抱えた想いはまっすぐで真摯。
緊張しっぱなしな空気感が少し緩んでほっと息を吐き出したところで読了。
続き~~!


京都行きたいなー。
三度行ったけど、落ち着いて観光できたことが一度もないという
なかなか残念な巡り合わせ。
一度目は仕事の合間だったので清水にバタバタ行っただけ。
二度目は体調不良で一日ホテルから動けず。(連泊だったことだけが幸い。笑)
三度目は色々あってランチのお豆腐懐石急遽キャンセル。竹林にも行けず……
今度行った時こそちゃんと観光したい。

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「夢にも逢いみん」かわい有美子(リンクスロマンス)

かわいさんの描く平安(調←ご本人談)絵巻。
世界観の美麗さや雅な言葉使い美しさは相変わらず盤石。
あとがきでかわいさんが「デレとデレがこじれると」とおっしゃっておりますが、
私的な感覚では拗れているデレは一方のみ。
で、私その一方である桂の宮の思考パターン駄目だわ。
尉惟は桂の宮ファーストなのになんで疑う?
で、なんでそこで尉惟を呼ばない?ってところで最高潮に相容れず、苛々。
むー。
尉惟はカッコいいし、兵部卿の宮もこっそりお気に入り。
作品自体は面白かったものの、桂の宮と私との相性がどうにもこうにも悪かった。

わー、ごめんなさいな感想。
……と思ったら、読友さんのレビューで「(桂の宮に)我を忘れるくらいムカムカしてしまった」という一文をみつけて思わず噴いたよね。
そんな読友さんのこの作品に対する評価は「超よかった」であることは付け加えておきます。(笑)

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「スパイに死を 県警外事課 クルス機関」柏木伸介(宝島社文庫)

後半の大味な展開に一瞬飽きかけて、ラストは驚きの持ち直し。
ぐっと引き込まれて読み切ったシリーズ三作目。
意図した殺人と、偶発的な殺人。
そこから引き起こされる騙し騙されの狂騒曲。
捜査に来栖が加わってしまったが為に、思惑通りに事が運べなかった人たち多数。
来栖をサイコパス呼ばわりしている警察関係者側も、実は相当イカれてる。
「誰も信じるな」と言いつつ、独りでは戦えないわけで。
駆け引き裏読みブラフにディスインフォメーション。
頭脳戦かと思いきや、挙句の果ての銃撃戦。
私に諜報機関は務まらない。←リクルートされてない。
「誰のために 何のために」
政治を司る人たちに対するこの問いは重い。

この作品が書かれたときは、
まさか本当に要人が暗殺されることになるとは思いもしなかっただろうなぁ。
そして北朝鮮やスパイと言うワードに引っ張られて五條さんの小説が読みたくなったけど、もう新作を書かれることはないと思うと残念。(既刊コンプ済)
せめて『ソウル・キャッツアイ』を読める日が来ることをまだ諦めたくない。









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「月の旋律、暁の風」かわい有美子(リンクスロマンス)

ルカとシャハルの出会いは、ルカを救い、そしてシャハルを救う。
シャハルに対するルカの無欲さとまっすぐさの延長上にある思慕がとても尊い。
自らの目的の為にルカを傍に置いたシャハルだけど、
いつしか芽生えたルカへの真摯な想い。
それが迸る瞬間にぐっとくる。
そして、ルカの願いとシャハルの願いが合致する見事な着地。
おしゃべりな鸚鵡デュークと人型にもなれる黒豹アイオスの存在も良き。
物語の終わりは、新しい冒険の始まり。
仲間たちと共に目指す希望に満ちた果てのない旅への一歩。
わくわくするようなエンド。
楽しく読了。

「三つのしもべ」と言われて私が連想するのは
犬・猿・雉。
まぁ、しもべっていうよりお供?(笑)
今の時代だと「仲間」って言わないといけないのかな。
物語世界のきびだんごがとっても美味しそうで
めっちゃ楽しみにして食べたんだけど、
私の好みではなかった時のがっかり感。
うーん。
こればっかりは好みだから仕方ない。


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「闇滴りし」かわい有美子 パレット文庫

かわいさんの筆力で描かれる平安時代。
廃嫡の皇子。陰陽師に妖。辣腕の武官。
作品世界の雰囲気は抜群に良いし、一癖も二癖もある登場人物たちにも惹きつけられる。
何より作品自体がおもしろい。
とってもおもしろいのにーー!
そして、これから色々展開してくはずなのにーー!
残念ながら未完でがっくり。
笠井さんの挿絵も素敵で申し分ないのになぁ。
意味深な龍の宮のつぶやきが、解かれぬ謎が、もやもやと気になる読後。
20年前の作品なので続きは無理よね。

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