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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「デルフィニア戦記第一部 放浪の騎士3」茅田砂胡(中公文庫)

抱えた痛み、憎しみ、そして怒り。
同じような体験をした者同士だからこそ、わかりあえることがある。
ウォルとリィの絆の深さはそういうところにも起因するのだとしみじみ思う。
終始ヒリヒリする展開。
望んだわけではなかった王冠。
そのために失われた命。
リィを介して想いを伝えることはできたけれども。
彼らの声なき慟哭が刺さる。
ここにきて「新たな事実」として提示されたことに国王軍の中には動揺が走るけれども。
揺らがないで欲しいと思った人たちの決意は固くて、そこに安堵する。
「王冠より欲しいものは?」
答えがわかっていて問いかける少女が頼もしい。







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「償いの雪が降る」アレン・エスケンス(創元推理文庫)

事の発端は大学の課題から。
他者の人生に足を踏み入れたジョーは、過去の事件の真相を紐解くと同時に、
そこから派生した現在の事件に巻き込まれていく。
いや、自ら首を突っ込んだというべきか。
若さ故の無謀。
だけど彼は咄嗟の危機回避能力に秀でていて、その立ち回り方に目を見張る。
ジョーの他人との向き合い方がとても良い。
嘘がなく、真摯で思いやりがある。
そして、彼自身も自身を苛む過去を抱えていたからこそ、たどり着くことのできた真実。
彼との出会いは、独りの老人を安らかな死へと誘うことになる。
折しも季節は冬。
彼らに想いを馳せながら、本を閉じる。


またせたね、エスケンス。
やっと読めたよ。
←何目線だよって感じだけど。(笑)
めっちゃ気になって彼の作品を集めて、本棚に積んでたら年が変わってしまった。
読めてよかった。
絶賛していた読友さんたちに感謝。

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「デルフィニア戦記第一部 放浪の騎士2」茅田砂胡(中公文庫)

人から「化け物」と呼ばれてきたリィを
奇異の目で見ることなく「友人」として傍に置くウォル。
彼を主君と仰ぐ人たちがリィを受け入れるのは、
ウォルのその在り様によるところが大きいよね。
だからリィはウォルに力を貸す。
心強い関係性。
たった二人から始まった旅路は、思いがけない幼馴染との再会を果たし、
軍勢を従えるまでの集団に。
王様が前線に身を晒すのは本来は褒められたことじゃないけど、
あの状況で加勢しに来たウォル良いね。
だから人はついてくる。
王都にいるベル―ゼンの腹の底が見えないことが不気味。




少女らしい華奢な体躯のリィが筋肉質の大男を受け止めるシーン好き。
身体を丸めてお姫様抱っこされているウォルを想像すると笑える。
笑えるお姫様抱っこと言えば私的にはタイバニ。
めっちゃ楽しく観てた。

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「デルフィニア戦記第一部 放浪の騎士1」茅田砂胡(中公文庫)

ノベルズ版では登録済み。今回は文庫版で改めて再読。
一回読んだだけだと細かいところまでは覚えていられないのねーと、ちょっと残念に思う気持ちと、記憶が定かではない部分はワクワクしながら読み進めることができるお楽しみ感とが混在中。
自国を追われた国王ウォルと、異世界から飛ばされてきたリィの出会いから始まる物語。
「素直に相手を評価し、称賛するだけの柔軟な精神力」
これを備えている者が上に立つことの心強いこと。
リィに対するウォルの態度はもちろん、
彼を主君と抱くナシアスやガレンスたちの態度も素晴らしい。
世界観説明っぽくなっている箇所が見受けられるのはご愛敬。
ワクワクする物語の始まり。


ノベルズ版は今は手元にないので、姪っ子ちゃんにレンタルするために文庫版でそろえてしまった……というのは建前で、本音は私が再読したかっただけです。(笑)
文庫版は挿絵がないのが残念だけど、私の脳内では沖さんの描く彼らが生き生きと動き回っています。
で、そのビジュアルを姪っ子ちゃんと共有するために画集を購入……と言うのは建前で、本音は私が愛でたかっただけです。(笑)





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「賢者と寵愛の翼」榎田尤利(リブレ)

ぶち当たった困難は助力を乞いつつも自力で解決するしかない。
信仰は心を楽にしてくれるかもしれないけど、現状をどうにかしてくれるものではない。
だからユーエンは彼ら国の未来をどうにか救おうと自ら動くのだし、
明晰たちもそれに協力する。
正直、人々の滅亡を予見しつつ何もしない(できない?)ニウライ、
クソくらえ、と思うのだけれども。
秩序みたいな人には信仰の対象は必要なんだろうなぁ。
自らの生活圏から出ることで、岩山の民や森の民と交流を持つことになるユーエン。
それは確実のこの先に活きていく。
タウのおかげで途中の不穏を吹き飛ばす爽快な読後感。
続編が楽しみ。


墨づくりはDASHに学べ。
白炭作ってたよね。
太一、頑張ってた。
でも彼らは水の浄化ではなく美味しいご飯を炊いて食べていた気が……
ウナギも贅沢に炭火で焼いて食べていた気が……(笑)
水問題は日本政府はもっと真剣に考えるべきだし、
真摯に向き合わないと時既に遅しって事態になりかねない。
わかってるのかな?
とりあえず私は滑り込みで今年のミッションコンプリート。
榎田さん既刊全登録完了。

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「賢者とマドレーヌ」榎田尤利(リブレ)

綴られるその世界に最初から最後まで気を抜くところなく、
ひたすら物語に没入して読了。
おもしろかった。
語られる倫理観や生死観は相変わらずシビアで深い。
架空の生き物たちの姿が生き生きと脳裏に浮かぶその筆力は素晴らしいし、
何より、作中で描かれる人物たちのがとても魅力的。
あ、べた褒め。
感情を動かすことのなかった風読みがその感情を解き放っていく様も良かったし、
ルドゥラの生命力あふれる様に惹き寄せられる。
個人的には口の悪い明晰がお気に入り。
決めつけられた未来に抗う彼らの姿を見てみたい。
だから続編があることが嬉しい。

惜しい。
これが一般書のファンタジーだったら姪っ子ちゃんに貸すのにー!
でも私はBL超ウェルカムなので、姪っ子ちゃんに貸せなくても無問題。
彼女が自らBLの沼に飛び込んできた暁には貸し出ししてさしあげましょう。←何目線?(笑)
文善さんのイラストが世界観と絶妙にマッチしていて、
想像力の翼がさらに広がりました。

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「Fetish~EGOIST3~」かわい有美子(クロスノベルズ)

旧版掲載作品(一部削除)に書き下ろし3篇を加えての新装版。
大人数の男子がガヤガヤ馬鹿騒ぎしている描写ってかわいさん、ホントうまい。
そういう時は豪快だったりむさくるしかったりするのが伝わってきて楽しいんだけど、
胸にぐっと迫るような繊細な情景描写や感情表現もホントうまくて。
凄いなーと改めて思ってみました。
旧版から掲載順がガラッと変わっていて、担当さんがどういう意図で変えたのか興味津々。
最初は臆病でおどおどしっぱなしの白井が
古谷との出会いを経て、芯の強いしなやかさを開花させていく様が描かれたシリーズ。
楽しく読了。

これでかわいさんの作品登録はコンプリート。
この先もまだまだたくさんの作品を読ませてもらえることを期待しつつ、追いかけますよ~☆彡

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「Fetish」かわいゆみこ(b-boyノベルズ)

本編終了後から数年後の二人だったり、まだ出会う前のそれぞれだったり。
時間を行きつ戻りつしつつの短編集。
付き合うようになってからどんどん雰囲気がやわらかく穏やかになっていく二人の向き合い方がとても好き。
それはお互いにとってとても幸せな変化。
なんなら、犬も雰囲気やわらかくなってるし。(笑)
最後の短編「ソーダガラスの微熱」では、白井は大きな決断をするけれども。
二人が交わした言葉が心強い。
彼が寂しいとつぶやくことは、もう、ないよね。
そして、古谷が以前のように苛つくこともない。
そう思えることが嬉しい読後。



ルミナリエ。
観に行ってみたいなぁ。
でも、12月は仕事の日程的に無理なんだよなあ。と思いつつ調べてみたら。
あれ?1月から開催に変わってる?
え?この日程なら行けちゃうよ?
え?来年は無理だけど、再来年行っちゃう??と、割と本気で思ってみました。

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「EGOISTE2」かわいゆみこ(b-boyノベルズ)

こんな救いの求め方があったんだなぁ、と切なくなり、
こんな慰め方があったんだなぁ、と、その後の始末のつけ方までを含めて感心する。
でもそれは、行きずりの間柄では成り立たなくて、
構築してきた関係性と信頼があったからこそ、壊れなかった絆。
言葉ってとてもとても大事。
口にしなければ伝わらないことは多分にある。
だから、不安を口にしあえる関係性を築くことって大事。
白井の育った環境は本当に荊の道だったけど、
これからは周囲の愛情や好意をしっかりと受け止めて生きていって欲しい。
愛情表現が不得手な古谷と一緒に。

阪神淡路大震災の
少し後に出張で神戸に行った時、3階がつぶれてしまった建物がまだそのままになっていた街の様子に愕然とし、その後の復興のスピードの速さに人間の持つ底力を感じた。
その後、よもや自分が東日本大震災に見舞われるとは思っていなかったけれども。
災害はいつだって突然訪れる。
一度経験した身としては、備えも、その後どうするべきかも、ある程度学んではいる。
けれども。
それを活かす日は二度とこなくていい。

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「EGOISTE」かわいゆみこ(b-boyノベルズ)

かわいさんのデビュー作は私的かわいさんの原点回帰。
発売日に張り切って買いに行って、ちょっと常軌を逸した関係の構築の仕方に
ドキドキしながら読んで。
20年以上経った今読んでもやっぱりドキドキしながら読んでしまう、大好き作品。
白井が欠けていたものを埋めたのが古谷であり、
古谷が欠けていたものを埋めたのが白井だった。
……はずなんだけど。
まさかの逃走。
受動的じゃダメなんだよね。
このまま続いたとしても、どこかで破綻したかもしれない。
自分で追いかけて、自分で選んだ。
そこには二人の意思がある。
だから絆は強い。
大満足で読了。

菅野さん、かわいさん、榎田さん、の御三方が、
デビュー作をリアルタイムで読んでいて、且つ、読み続けて全作品コンプしている作家さん。
調べてみると、それぞれ順番に1995年、1996年、2000年。
綺麗な保存状態で手元にある本を見て、
日に当たらないように保管していることに加えて
『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』で読んだ紙づくりに関する内容をい思い出してみました。







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