きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ユダの覚醒(上)」 (シグマフォースシリーズ3)ロリンズ(竹書房)
ユダ。
キリストを裏切ったイスカリオテのユダを思い描いたけれども。
生命体にとっての究極の裏切り者となる菌株。
それがユダ。
人類を死に至らしめる恐ろしいユダの菌株とは一体何なのか。
鍵となるのは東方見聞録から抹消された空白の出来事。
そしてギルドの裏切り者として追われるセイチャン。
知らずに始まっていたのは、ユダの病菌を悪用しようとするギルドとの攻防。
被害妄想的な性格と評されるグレイとペインターはこの危機をどう乗り越えるのか?
人食いカニの描写にぞぞぞぞぞっと。
ヘビに塗れるのもや嫌だけど、カニに塗れるのも嫌!
更なる裏切り者の存在に驚きつつ次巻へ。
分析・解説よりもアクションよりなので、
前二作よりもテンポよく読み進めることができる。
「偶然を疑え」
阿久津さんも言ってた、それ!と、変なところでテンションが上がった私は、
『機龍警察』が本当に大好きなのです。
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「Life is Beautiful」伊勢原ささら(花丸文庫)
悪いこと続きでしかなかった人生も、誰かと出会うことがきっかけで好転する。
これは再生の物語。
飛び降りるつもりで瑞生が向かった崖で出会ったのは図書館司書の文彦。
絶望し疲弊しきった人生から瑞生が新たな一歩を踏み出す物語かと思ったけど。
途中で感じた文彦のアンバランスさ。
文彦にとっても瑞生の存在は救いだった。
安穏を約束された鳥籠から瑞生が自らの意志で出ていくことを決意した時はガッツポーズ。
そうだよね。
飼われているだけじゃ生きている意味がない。
瑞生にとって図書館があったかい居心地の良い場所になっていく描写がとても良かった。
文章がとても綺麗な作家さん。
他の作品も気になってみました。
本文とは関係ないけど、
帯の「濡れ手にねこ」の漫画が妙にツボった。
地味だけど絶妙な嫌がらせ(笑)
「Stepbrother」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
関西から転勤してきたちょっと付き合いづらい上司・秋は、
彼の部下となった健輔の、父の再婚相手の息子だった。
優秀で辛辣で厳しくて無表情という会社で見せる顔と
家で見せるだらしなくて甘ったれな顔が極端に違った秋。
その境目がなくなった健輔に対する秋の戸惑いと、
会社での彼とのギャップが面白くて可愛い。
言動がどれだけ厳しくても、理不尽や間違いを強いることのない秋は
なんだかんだ課の人たちに理解され、受け入れられている。
でも彼はそのことに気付いてないんだろうね。
本格的に軌道に乗ったら良いチームになるだろうなぁ。
楽しく読了!したんだけど。
初読の時はこれ、手放しちゃってるんだよね。
「なんで?」が思い出せない。
本棚が飽和したのかな?
結局買い直したけど、改めて読めて良かった。
「マギの聖骨 下」 (シグマフォース シリーズ1)ロリンズ(竹書房)
そして過去の遺物は時の彼方に。
ロマンチックに過ぎる物語を展開していく面々の
驚異的なタフさに戦く。
どんな鍛え方をしたらあんなに強靭な肉体と精神を得ることができるのか。
そんな彼らとて、パーフェクトではない。
個々に欠けた部分を互いに補いあって、謎と悪に立ち向かっていく。
だからこその組織。
裏切りが横行する中で「自分の組織には絶対の信頼を置く」
司令官ペインターがカッコイイ。
古代世界の七不思議が結んだまさかの線。
その線に込められた意味。
この発想、すごいわ。
小難しい話はニュアンス理解で乗り切れば、極上のエンタメを楽しめる。
アレクサンドリア図書館。
古代最大にして最高の図書館。
あらゆる分野の知識を集約したその場所には計り知れないロマンがある。
やたらとグノーシス派の記述がでてきたおかげで
『グノーシスの薔薇』がチラチラと。
一度読んだら忘れられない強烈な本(笑)
「マギの聖骨 上」 (シグマフォース シリーズ1)ロリンズ(竹書房)
殺しの訓練を受けた科学者たち。
即ち、シグマフォース隊員たちが悪と謎に立ち向かい、全力で疾駆する物語。
めまぐるしい展開にこっちまで息切れしそうになりながらも
一気に読ませる筆力に圧倒される。
ドイツの大聖堂で起こった凄惨な殺人事件の謎を紐解いていけば
中世ヨーロッパ、果ては古代エジプトまでその因果は遡る。
ここまで来ると、もはやロマン。
裏切り者が潜む中での捜査で命の危機に晒されながら、
彼らはこの局面をどう打開するのか?
歴史、宗教、化学、アクションそしてロマンスが絶妙に絡み合う、
何とも贅沢な物語なのです。→
ストーリー展開は大枠を覚えている程度だったので、
再読でもかなり新鮮に読み進めることができました。
そして、初読の時には持ち得なかった知識を今は持ち合わせていた自分にちょっと感動。
それはこの5~6年の間に私が見聞したことが、それなりにでも身についていたってことだよねぇ、と。
「猫はいつでも甘やかされる 」榎田尤利(SHYノベルズ)
大人の余裕があって、包容力があって、
時に叱ることもできるし、甘やかし上手で気配り上手。
そんな男が垣間見せた嫉妬と獣めいた情動。
きゃーー!ときめかないわけがない!←どストライク。
私の好みはさておき。
心に深い傷を負って日本に来たシュウ。
彼の日本嫌いと日本の高校生に対する嫌悪、父親との確執が
日本での出会いと体験を通して薄らいでいく様子がとても丁寧に描かれている。
ガチガチに纏った鎧を脱ぎ捨ててみれば、
なんとも甘ったれで危なっかしさを添えていたシュウ。
愛することと甘やかすことが直結する春彦にがっつり可愛がってもらうといいと思います。
「おとといきやがれ!このすっとこどっこい!」
この日本語を英語に「訳せ!」という無茶ぶりに笑う。
図抜けてよかった国語。
意外とよかった数学。
そして壊滅的な英語。
「つぶしがきかない……」
私のテスト結果に頭を抱えた担任の姿を思い出してみました。
わはははは。
受験は何とかなったから結果オーライ☆
「放蕩長屋の猫 」榎田尤利(SHY NOVELS)
アイツ、最低だよ。
あの人、やめときなよ。
周囲がどんなにそう言っても、自分の心が求めるなら、恋をするのはその人しかいない。
付き合うのは外野じゃなくて自分。
たとえ遊真がどんなにダメ人間だったとしても。
まひろの心は彼を選んだ。
選択権はまひろにあって、流されたわけでも強要されたわけでもなく、
自分の意志で遊真がいいと。
それにしても、遊真、バカだね。
バカだけど、嘘が透けて見える辺りや駆け引きができないところがまだ可愛げがある。
小狡く立ち回れる男だったら、多分まひろは許さなかったんじゃないかな?
四人でお好み焼きを食べる関係になれてよかったね。
ああ、でも私は春彦とまひろが一礼しあって背を向けたシーンで泣きそうになってしまった。
別に二人にくっついて欲しかったわけでもないんだけどなぁ。
紺野さんの絵が大好きなので、紺野さんの漫画が久々に読みたくなりました。
そのうち再読しよう。
その前に続編♪
「ロマンス作家は騙される」榎田尤利 (SHY NOVELS)
続刊は面白かった!
安定とはまだまだ程遠いながらも、作家としての生活を確立した羽根。
そんな羽根に対してあまりにも身勝手な理由から向けられた悪意。
その事件に向き合った羽根・千疋・神楽坂・ひかりちゃん・美空の態度と、
首謀者に対して言い放った彼らの言葉がとても好き。
そして羽根と神楽坂・千疋との関係は落ち着くべきところに落ち着いた感じかな。
まぁ、羽根がどちらもを選べない限り、この二人が羽根のまわりをウロウロするわけで、
そうすると二人の接点も増えていく。
その結果の愉快な会話と不審な行動がとても楽しい。
このままの関係でいってほしい三人なのです。
前巻『ハードボイルドに触れるな』の感想で千疋に対してウダウダ言ってたけど、
原因が分かった時点で気にならなくなってみました。
(正確には視界に入れないようにした・笑)
神楽坂と千疋のショットがもっと見たい。←
「ハードボイルドに触れるな」榎田尤利 (SHY NOVELS)
私にしてはとってもとっても珍しい現象なのですが。
感覚的に千疋がダメで……ダメでした。
作中の彼にダメなところはないんだけどなぁ。
むしろ、羽根にとってはプラスの影響しか与えてない。
続刊読んでないからなんともなんだけど、
多分羽根は千疋も神楽坂も選べない気がするのよね。
3人でハピエンは個人的には全然ありなんだけど、
千疋が……と、ぐるぐるしてしまった。
ごめん、千疋。
あ!以前、ウチの近所の整体師が猥褻で捕まったのと関係ある?
色々あったからそれでイメージ悪いとか!?
美空ちゃんと一緒で「怪しいじゃん!」と私も思ったからなぁ。
とばっちりだ!
なんかもう、感想になってないけど、これ以外書きようがなかった(笑)
千疋の例えがメフィスト先生ってところでメッチャテンションあがったんだけどなー。
メフィストにバンコランなんて!
イメージ悪いはずがないのに!!
ってか、千疋しか語ってないな、私。
ちゃんと続刊も読みます!
「白日」北方謙三 (小学館文庫)
彼がその村で費やした時は身の内のエネルギーを満たすために必要な時間。
漁も、ルアー作りも、料理も。
船も三科も、一夜限りの女も令子という存在も。
全てが糧となり得るものだった。
彼が再び鑿を手にするために。
小手先ではなく、魂で作品を創造する芸術家が向き合うのは己の内面。
吐き出すのは自らの魂。
他人の才に打ちのめされた芸術家が再び創作に携わるとき。
彼が生み出す作品はより凄みを増し、他者を圧倒するほどの情念が籠り、魂が宿る。
全てを吐き出した芸術家は再び沈黙の時を過ごす。
いつかまた、その手に鑿を握る瞬間が訪れるまで。
北方仲間の読友さんたちご推薦作品。
うん。
期待通り面白かった!
グイグイ引き込まれたよ。
三科の家がとても気になった。
外装は市販の安物で、内装にお金をかけた建物。
それだけでもそそられるのに、
東側の壁面が本棚で全部本で埋まってるって!
素敵すぎる。
良いルアーの根拠が「俺が食らいつきたくなった」っていうのがイイね。