きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「GIANT KILLING 49」ツジトモ (モーニング KC)
ブランの監督としての在り方が効果的な役割を果たし、
着実にまとまりつつある日本代表。
効果が結果として表れているところが頼もしい。
孤高のエース・花森が、椿と窪田の若い二人に
かつての自分と持田を重ねるシーンに涙目。
絶対的なエースですら進化する。
城西の期待を外さない優等生的な活躍も好き。
花形だけでは成り立たないのがサッカー。
土台をしっかりと支える役割を担う人も必要。
そして、中国代表にも個性的な監督がいたわ。
彼の言葉は奥が深い。
試合外の選手の姿が垣間見られる
巻末の「アジアカップの日々」がとっても楽しかった。
アジアカップも読んでいてとても楽しいんだけど、
ジーノ不在が続いてなんだか禁断症状気味になってきました。
そして、花森にだんだん愛着が湧いてきて困る。←何で?(笑)
リアルでは地元のチームがJ1残留を決めてほっと一息。
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「カンディード」ヴォルテール (光文社古典新訳文庫)
作中で繰り返し唱えられる最善説をあざ笑うかのような残虐非道な行い。
コミカルな表紙とは真逆の行為。なのに鬱々しさがない、軽妙な文体の不思議。
降りかかる災厄をスルリスルリとすり抜けて、カンディードは旅をする。
無一文から始まった旅はカカンボという友を得、たどり着いたのはエルドラド。
だが、彼らは安寧に落ち着くことなく、愛しい人のもとへと踵を返す。
不幸とは?幸せとは?最善とは?
繰り返し論じながら彼らが選択したのは、地にしっかりと足の着いた生活。
本編を踏まえた上で、一緒に収められた『リスボン大震災に寄せる詩』を読み、
気持ちが一気に引き締まる。
時間をおいて再読したい。
「働くことは私たちを三つの不幸(退屈と堕落と貧乏)から遠ざけてくれる」
説得力のある言葉。
「そんなひとでも自分が災難にまきこまれると途端に人間らしく泣きわめく」
だよね~、と納得の言葉。
綺麗事や説教めいたことを言っていられるのは他人事だと思ってるからって部分は絶対にある。
それにしても、18世紀の作品とは思えないのは、翻訳の妙なのかな?
出逢えてよかった作品は、読メ登録1234冊目でした。
【ガーディアン必読 75/1000】
「死者の囁き ~アドリアン・イングリッシュ 2~」 (モノクローム・ロマンス文庫)
「これが僕の生まれた形だ」
自分の性癖を揺らぐことなく肯定するアドリアンのまっすぐさが好き。
一方で、己の性癖を素直に受け入れられず、差別的な発言すら口にするジェイク。
肌を重ねることのない恋人同士。
未来に不安を覚えたアドリアンが逃避した先で巻き込まれた事件。
自らの意思で彼を追ってきたジェイク。
二人で生活していく中で、ジェイクの気持ちが次第に
アドリアンに傾倒していく様が微笑ましい。
そして初めてのセックス。
ジェイクがアドリアンに対してとてもやさしかったことが嬉しい。
……って、初読の感想にも書いてあったわ。
まだひと悶着ありそうな二人の関係。次巻へ。
再読。
1巻目と違ってびっくりするくらい内容を覚えていました。
そんな自分に拍手。(笑)
続きが気になって仕方ないのに、初読の私は何故ここで止まったんだろう?
間をあけると積んでしまうあるある。
一気読みバンザイ(笑)
「群雄―孤拳伝 3」今野敏 (中公文庫)
強さの持つ意味は?
何を持って強いと成す?
自分の欲する強さは?
彼が会得した強さとは?
「強さ」の受け止め方は人によって違う。
その体現の仕方も。
人殺しも辞さなかった蜂須賀が身に着けた深みと穏やかさ。
それによって手にした新たな境地は、緋田の存在があってこそ。
実戦経験のなかった松原が、守るべき人の為に振るった拳。
彼もまた、師匠の元でもっともっと強くなる。
そして、擬似的にでも母のぬくもりを知り、女の肌の優しさを知った剛が、
夕陽の美しさに心を震わせるシーンが印象的。
その感性がある限り、獣道に堕ちることはない。
剛もまた、二人と同じ道に辿りつこうとしている階。
それにしても……剛、自分の生い立ちを行く先々でよくしゃべるわ。
そして「人を殺した」と聞かされてもスルーな人たちの多い事。
まぁ、一筋縄ではいかない人たちの巣窟みたいな作品なので、いいのかな?
色ボケした組長に従う和泉の苦悩がお気の毒。
次巻で完結。個人的には緋田センセと蜂須賀のこれからと、
松原の恋の行方がとっても気になるところです。
「隣人は恋人のはじまり」月村 奎(SHYノベルス)
愛情に餓えていた堂島の隣人は、
ソツなく振る舞える歯科医だった。
二人が近づくきっかけになった恋人代行の勘違い。
噛み合わないなりに会話が噛み合ってしまうのは、
小野の立ち回りが上手いせい。
そんな彼は甘やかし上手。
逆に人付き合いが苦手な堂島が果敢に懸命に策を弄する姿は
だんだん痛々しくすらなってくる。
小野に見事に誘導されて決まったリターンエースに思わず拍手。
自虐的で露悪的な言動が多い堂島だけど、
根はいい人だってことが、周りがわかってくれているところが嬉しい。
足りなかった愛情を小野に存分に与えてもらうといいと思うの。
堂島がいつか母親に会いに行ける日がくるといいと、
心から思ったお借り本。
宮村と篤史の安定した恋人っぷりに幸せのおすそ分けを存分にもらった気持になってみました。
月村さんの作品は気持ちがやさしくなります。
「きみはまだ恋を知らない」月村奎(SHY NOVELS)
「きみはまだ恋を知らない」からの「きみはもう愛を知っている」。
タイトル通りの流れを綺麗に描いた作品。
母親の影響で人と触れ合うことに嫌悪感を覚えるようになってしまった司。
そんな司にひと肌の心地よさと愛しあうことの幸せを教えた藤谷。
貧しいながらも母に愛されて育ってきた司。
身の回りのものに不自由せず育ってきたと思われた藤谷が抱えた孤独。
何が幸せなのか。何が不幸なのか。
外から見ただけではわからないものを人は抱えていると、改めて思い知らされる。
司の幸せの宝箱がとても微笑ましい。
もっともっと幸せになれるんだってことを藤谷は必ず伝えてくれるよね。
志水さんの挿絵がとても素敵なお借り本。
藤谷メッチャかっこいいわ。
勿論、ストーリー自体も楽しく読了☆
「漆黒―孤拳伝 2」今野敏 (中公文庫)
はき違えた強さの探求。
戦えば闘うほど失われていく人間らしさ。
読み進める程に自分の気持ちまでが殺伐としていって、
荒みきったところで一度本を閉じて、癒し補給。
剛を修羅に代えたのは蜂須賀。
だが、彼は戦いでの敗北と、緋田との運命的な出逢いによって人間らしさを取り戻すこととなる。
この気づきはとても良かった。
一方、山中でひたすら自己鍛錬に明け暮れる三人の男との出逢いによって、
剛も再び人間らしさを取り戻していく。
「強いだけではない男の存在」
剛と蜂須賀が変わるきっかけになったワード。
己の在り様を考えることも己の成長の大きな糧になる。
松原と劉の師弟関係。
李と宋の主従関係。
蜂須賀を変えた緋田。
剛を導く男たち。
人と人。
係わることで良い方向へと導かれ、或は変化していく関係が興味深い。
蜂須賀も剛もまだ「獣」から「人間」へと生まれ変わったばかり。
他の男たちも含め、この先どう成長していくのかが楽しみ。
「ドラッグ・チェイスシリーズ1 還流」 (モノクローム・ロマンス文庫)
過去の出来事によって心に傷を負った二人が、出逢って恋に落ちる物語。
受け攻めが固定化されないフレキシブルな関係ってやっぱり好きだわ。
スリリングな潜入捜査の描写にグイグイ引き込まれながら、
次第に明かされていく二人の過去に胸が苦しくなる。
そして、少しずつ近づいていく二人の距離感が、
警戒心剥き出しの野生動物が寄り添ってぬくもりを分かち合うようで何とも微笑ましい。
眠れない夜に傍にいてくれる人がいる。
間違った方向に揺れそうな時に引きとめてくれる人がいる。
そして、姿を消した時に探してくれる人がいる。
辛い過去を経験した二人だからこそ、幸せになってほしい。
シリーズ第一弾。
残念なことに続きはまだ翻訳されていないんですよね~。
英語の文章を楽しむ読解力はないので、翻訳されるのを心待ちにしています!
翻訳こんにゃくがとてもとても欲しい(笑)
「復讐―孤拳伝 1」今野敏 (中公文庫)
香港の暗黒街で、文字通り命懸けの日々を生き抜いてきた少年、剛。
彼を生き延びさせてきたものは、独学で身に着けた中国武術の一つ「崩拳」。
これが、彼のその後の人生に、大きくな影響を及ぼしていく。
字を読めなかった剛が文字を覚え、
人を倒すためだけの拳が、師を得て違う意味合いを帯び始める……
はずだったんだけど。
ちがう。
そっちじゃないんだよ!
と、言いたくなる方向へと彼を押しやるのは、運命なのか、彼自身なのか。
涙と流しながら横浜の待ちをふらつく剛のこれからが気になりつつ。
武術に関しては優等生な松原が一皮剥ける姿が見てみたいとも思った私です。
昨日「この辺りまで行ったら、あとは何処がおススメですか?」と聞かれたので、
「横浜に是非!」と横浜激推ししてきた私ですが。
奇しくも舞台は横浜。
自分がメッチャ行きたくなりました。
読友様からの頂き本。
わくわくしながら次巻へ。