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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「月への吠えかた教えます」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)



再起をかけたラストチャンス。
そう心に決めてティムが移り住んだ町は、
犬に姿を変えることのできる人たちが暮らす町だった。
町の保安官・ランスとの誤解を生んだ出逢いからの
二人の風変わりな交流が微笑ましくてあたたかいながらも、
ティムの負った心の傷に胸が痛む。
言いそびれた真実。
それが、相手の不利益になるような隠し事になってしまったら、
露見した時に手痛いしっぺ返しを食らうことになる。
打ちひしがれたティムの姿が辛かったけど、
ランスの百聞は一見に如かずの在り様は、この上ない真実の告白だったと思う。
シリーズ第一作。次作にも期待大☆


もうちょっとライトなノリの話かと思いながら読み始めたら、
思いのほか深い話で思ってた以上に良かった。
「ホットな保安官」という表現とセクシーな胸毛描写がロマンス的で素敵。
このレーベルの既刊24冊に対してこれで既読が17冊。
ホントに外れがなくて安心して読めるわ。
未読の7冊は年内中に。
楽しみ!

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「しゃぼん玉」乃南アサ(新潮文庫)



人が人を変える。
人をダメにするのも、心根を入れ替えさせるのも、人。
腐りきった翔人を変えた、老齢の彼らと過ごす日々。
その日々がいくら穏やかに過ぎようとも、
過去はなかったことにはできない。
「行かなくていい」とは誰も言わなかった。
人生をやり直すためには、償わなければならないことを、誰もが知っている。
彼らは引きとめるのではなく、居場所があることを彼に知らしめる。
婆ちゃんの「待っちょる」
そして、シゲ爺の「行ってこい」
彼にとってはこれ以上の言葉はなかっただろう。
出逢いは、文字通り奇跡。
奇跡的に出会えた人たちとどう係るかは自分の在り様と努力。
大切にしたい。

祖母に会いたくなりました。
もう、絶対に会えないけど。
著者の作品で既読は『風紋』と『晩鐘』。
半端なく抉られるけど、とても好き。
今回の『しゃぼん玉』もとても良かった。
未読の既刊がたくさんあることが嬉しい作家さん。



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「夷狄を待ちながら」J・M・クッツェー (集英社文庫)



実体の掴めない夷狄に……というよりも、
帝国の治安警察に振り回される辺境の町の住人たち。
そして、退官した後の平穏な生活を願う初老の民政官もまた、
治安警察の在り様に振り回され、或は巻き込まれ、
彼自身の生活が崩壊していく。
意図せずして窮地へ追い込まれる怖さはいつの時代にもある。
謂れのない拷問を見て見ぬふりをしていればよかったのだろうか?
力を振り翳す者からの理不尽な危害を受けないためには、
目を瞑っていればよかったのか?
彼の立場を自分に置き換えた時のこの自問には、いつだって答えられない。
ラスト四行で押し迫る物悲しさが、何とも形容しがたい程やるせない。

読み始める前は『夷狄を待ちわびて』だと思っていたので、
異文化交流的なホンワリした話かと思いきや!
正しいタイトルは『夷狄を待ちながら』。
のっけからの拷問シーンに何ごと!?と、ガツンとやられました。
思い込みって怖いわ~~。←読む前にあらすじは読まない人です。
【ガーディアン必読 74/1000】


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「きみがいなけりゃ息もできない」円陣闇丸/榎田尤利 (ビーボーイコミックス)



ノベルズのコミックス化。
心情は小説の方がより鮮明に抉られるように伝わってくるけれども、
実際に動いている二人を視覚的に見られる楽しさが漫画にはある。
漫画には漫画の、小説には小説の良さがあって、
作品から受け止める印象はどちらも変わらない。
素晴らしい。
東海林の愛情を当たり前のように受け止めていた二木。
離れてみて痛いほどに突きつけられる彼の存在の大きさ。
無人の部屋のドアを叩くシーンはやっぱり泣ける。
「愛してる。だから自由にしてやる」
そんな想いを経てからの
東海林の涙のモノローグが半端なく感動的だった。良かったよ~~。

足元に巻きついて甘える27歳男子が可愛いってどんな異常事態!?
と思うわけだけど。
二木ならアリだな、と、思える不思議は東海林曰くの末期。








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「ダブルダディ」野原滋 (幻冬舎ルチル文庫)



別れるべくして別れる夫婦もある。
翔子が一番どうしようもないけど、暁彦にも非がないわけではない。
お互いに背中しか向けていなかった夫婦に愛情は生まれない。
翔子の琢己に対する態度が一番許せなかったかな。
子どもは大人の都合であんなふうに振り回して傷つけちゃいけない。
一方で、相手の良いところも悪いところも晒してまっすぐに向き合った恭介と暁彦。
一緒に過ごす時間が増える程、惹かれあっていく二人。
家族、愛情、そして恋人。
諦めてきたものの全てを手にした僥倖によかったね、と。
何と言っても琢己の可愛らしさに頬が緩みっぱなしのお借り本。
可愛かった!


ウチの姪っ子ちゃんたちもお風呂を出たら「あがりましたよー」と叫ぶの。
メッチャ可愛いの。
そして、ドライヤーを手にいそいそと駆けつける私。
お風呂上りの彼女たちにパジャマを着せて、髪を乾かして。
寝るまで一緒に遊ぶのが私の役割。
ああ、会いたくなってきた。



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「砂の器〈下〉」松本清張 (新潮文庫)




読後にタイトルを呟いてみる。
「砂の器」。
なるほどね。
現在の自分に確固たる自信があるなら、
どんな過去があっても築いてきたものは揺るがないんじゃない?
と、思うわけだけど、
当時の社会的では差別されかねない出自であり、
それを葬り去る為の偽りの土台であるのなら、
死に物狂いで秘密を守ろうとするしかないんだろうなぁ。
地道な捜査をコツコツと積み重ねる今西や吉村の在り様は
時代に関係なく見習うべき姿だと思う。
今西の妻は素敵な奥さんだった。
終始一貫して漂う昭和感。
だけど、平成が終わろうとしている今の時代に読んでも十分に面白い。


彼の視点で語られる、彼の半生というものにふと興味を覚えた。
良くも悪くもギラついたエネルギーに満ち溢れたものに違いない。
彼女たちの不幸は、
自分しか大事にできない男に惚れたが故の不幸。
なんだかいたたまれない。
そして、解説で積んである『赤と黒』の内容、割としっかり書かれちゃってますけどー!
どーー!!
一週間もしたら忘れるだろうけど、他の本のネタばらしはやめようね。
びっくるするから。



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「いつも王子様が」木下けい子/月村奎 (HertZ&CRAFT)



可愛らしい表紙からは想像できないような、
意地悪な王子様がいらっしゃいました。
この王子様、意地悪なのに、カッコいい。
いや、意地悪だからカッコイイの?
あ、これヒナ視点だわ。
一見するといじられっぱなしのヒナだけど、
言いたいことはちゃんと主張している芯の強さがある。
実は一方的じゃない力関係がいい。
堀を間に挟んでの痴話喧嘩(笑)は愉快だった。
そして、王子様・佐原が、実は嫉妬心丸出しの執着攻ってとても素敵。
意地悪王子様がヒナに泡くって振り回される日がいつか来るに違いないと、
ニヤニヤしながら読了したお借り本。

『眠り王子にキスを』のスピン。
描き下ろしでそちらの二人のイチャラブが読めるので、お得な気分。

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「砂の器〈上〉」松本清張 (新潮文庫)



漂う昭和感がとても心地よい。
頁を捲りながら北へ南へ。
具体的な地名に、
実際自分が旅をしてまわった土地を懐古する楽しさがあった。
旅もまた、時代による交通手段の違いから醸し出されるレトロ感が味わい深い。
……とまぁ、旅本の感想みたいになっておりますが。
ジャンルは所謂推理小説。
手掛りのほとんどない殺人事件の真相に辿りつこうと、
地道な捜査を懸命に続ける今西。
犯人その人よりも「仏のような善人」がなんで殺されたんだろう?
ということの方が、今の所気になるかな。
新進気鋭を気取る若者たちがこの事件とどう係ってくるのか。
わくわくしながら次巻へ。

会社を一歩出たら仕事のことはすべて忘れる!という生活を送っている私には、
今西のように日常のふとしたことから事件のインスピレーションを得たりすることは
絶対にできないんだろうなぁ、と、思ってみました。

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「三国志13 ~極北の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



孔明の背負ったものの重さと孤独感が痛々しく押し迫る最終巻。
同じ夢を抱いた者たちは、いまは誰もいない。
果てのない孤独の中で、生き急いだ孔明。
最期の笑顔のなかに、どんな想いが込められていたのか。
劉備、関羽、張飛、そして趙雲。
懐かしい闇の中で孔明が彼らと再び再会できたことを願ってやまない。
もう十分頑張ったよ。
司馬懿もよく頑張った。
私的にはイラッとする頑張りでも、ああいう戦いができるのも才能。
戦いの中で生きた漢たちの物語。
だからこそ、最後に語られる、山中で穏やかに暮らす馬超たちの姿がとても尊い。
馬駿白が歩む未来に明るい光が降り注ぐことを。

……というわけで、登場人物たちに魅了されながら、北方三国志読了!
吉川英治の三国志は挫折。江森備の私説三国志と北方三国志はどはまりしながら読了。
私的には北方版が正史だと思い定めております(笑)
そして、北方の描く一貫した生死感がとても好き。

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「HARD TIME: DEADLOCK外伝」英田サキ (キャラ文庫)



単行本既読で所持。
描き下ろし目当てでこちらも購入。
最近は恋人としてとても安定した二人の姿ばかりを見ていたおかげか、
出逢ったころの刺々しくて、初々しいダグとルイスが逆に新鮮。
ああ、こういう苦悩と葛藤を経て、この二人の今があるのね、
と言うことを再認識した、なんだか感慨深い再読。
描き下ろしは前月に出た『PROMISING 』とリンクしていて、
まとめて読むとお得な気分。
そして、単行本では聞けなかったダグからルイスへの永遠の愛の誓いの言葉に歓喜。
ルイスへの深い思いが自然と溢れた感じが最高に良かった。



ペーパーは大事にファイリングをしてしまっているせいで、
読友さんの感想を拝見するまで持っていることを忘れていました!
ダメじゃん!
これ、みんなどうやって保管してるんだろう?
折って本の間に挟んじゃいますか?
その方が忘れないかなぁ。

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