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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「群青 神尾シリーズ1」北方謙三 (集英社文庫)



海に別れを告げ、陸に上がった男は静かに自らの牙を研ぐ。
闘える身体を作り上げるために。
それが、彼を、或は誰かを守る武器にもなる。
理由もわからないまま巻き込まれた莫大な遺産の絡んだ殺人事件。
渦中で出逢った、母を亡くした少年。
明らかになる真相と引き換えに、流される多くの血。
海が、彼に優しい手を差し伸べてくれるのだと思ったけれども。
呑み込んだのは悲鳴。
やるせなさにギリギリと心を抉られるこの読後感。
きーたーかーたー!!と涙目で叫びたくなるんだけど。
これが北方。
だから読むのをやめられない。


副題。
秋月くんの成長物語。
ハードな練習についていけずに芋虫のように床を這いまわり、
殴られて道端で倒れ、あっちこっちから坊やと呼ばれるお金持ちの弁護士、25歳。
だけど、諦めずにトレーニングをこなし、
懸命に自らの役割をはたして、最後に決めたアッパーカット。お見事!
彼が私の心の癒しだったわ。

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「花の残像」夜光花 (ラヴァーズ文庫)



価値観の押し付けが果てしなく気持ち悪い。
自分にとって何が良くて何が悪いのか。
そんなことは自分で決める。
他人が判断して良かれと思うことを自分の知らないところで押し付けられ、
挙句の果てに、大切な人を奪われてしまうってどゆことよ!
と、うっかり憤ってしまった結果……
言葉が通じない人には太刀打ちできない。
だからストーカーってなくならないんだ、と。
思考が妙な方向に流れてしまった。
須王には敵と味方を見誤ってほしくない。
大丈夫そうだけど。
そして巴には諦めてほしくない。
大切な人と共に在るということを。
もやもやが解消されることを信じて次巻へ。

完結していると思って読み始めたら、
なぬ!?というところで続いていました。
やーん。
だからわかるように巻数表示してもらいたいんだってば!

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「ガラス玉演戯」ヘルマン・ヘッセ (Fukkan.com)



ヘッセの描く者たちの人生は、川を想起させる。
決して淀むことなく流れ続ける、澄みきった川。
そして彼らはその人生の中で生涯の友を得、或は師を得る。
それらはすべて、精神的な成長は生きている限りしつづけるものであり、
独りでは高みへと辿りつくことは困難であることを物語っている……気がする。
どこまでも謙虚に、そして滞ることなく自らの人生と向き合ったクネヒト。
晩年の彼が手にした自由、そして希望に満ち溢れた未来。
情景の描写が余りにも美しすぎて。
やるせなさに嗚咽が零れた。
こみあげる無常感。
だけど、それこそが偉人たちが繰り返してきた世の理。
だから、今を一生懸命生きたい。


20年前に太刀打ちできなかった本をこうして読み切ることができた幸せ。
だけど、理解しきれてはいないと思う。
だから、いつかまたこの物語を再読する。
もっとヘッセに近づくために。
高橋氏の翻訳。
最後の最後で奇天烈なものに出会いました。
「力士」
「りきし!?」と変な声出ちゃった。
原文はどんな単語だったんだろう?
【ガーディアン必読 64/1000】















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「凍る月~灰色の衝動~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)



組織の内情に更に踏込み、登場人物も増え、
物語は増々重厚さを増していく。
組織のトップ須王が、あら、とっても素敵。
獣人抹殺を唱えがら孤軍奮闘する訳ありな銀も魅力的。
光陽のことを警戒心がなさすぎと文句を言い続けた梁井だけど、
結局梁井も無条件に相手を信じたことが仇になり、手ひどい目にあってしまう。
うん。梁井もイロイロお馬鹿さん。
そういう隙というか甘さを抱えた非情に徹しきれない二人だからこそ、
殺しあうしかない獣人同士の関係を変えていくことができるのかな?
と思えてくる私も楽観的。
忍を手なづけることができたらちょっと楽しそう。←危険思想?(笑)


とりあえず今回の梁井はひどい目に遭うくらいの無神経なことを
光陽に対してしたと思うので、深く反省するといいと思うわ。
知れば知る程、みんなそれぞれ事情を抱えた一人の獣人で
目を離せない人が増えていってしまう。
完結するまでとっても楽しめそう♪


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「世界でいちばん美しい城、荘厳なる教会」



ピンタレストでお城や教会の写真を集めているのですが。
なんかもう、携帯画面でチマチマ見るんじゃなくて、
どどーんと広げて眺めたい!と思った時に出逢った本作品。
買ってよかった素晴らしい一冊。
写真の美しさは言わずもがななんだけど、
たとえばかつて読んだ本だったり、見た映画だったり、学習したことだったりが
彷彿とさせられて、とても良い刺激になりました。
簡潔に添えられた解説は、スッと頭に入るわかりやすさ。
立地の奇抜さ、建造物の壮大さ或は繊細さ、
自然の光の織り成す美しさ、人口の模様の緻密さ、様式美……
繰り返し眺めて何度もうっとりしたい。


もっと大きいサイズで見たい……
という欲求を突き詰めると、きっと現地に行きたい!ってなるのよね。
どれかひとつは、自分の目で見に行きたいなぁ。




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「凍る月~紅の契り~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)



運命を首肯し、或は嫌悪し、それでも
自らの人生を受け止めてまっすぐに生きている人たちが
みんな魅力的。
梁井の愚直な不器用さは愛おしいし、
一癖ある黒澤はメッチャ憎めないし、
何より人間でも獣人と戦える執事、アレックスが特大級でカッコよかった!
なんなの、あのスペックの高さ!
戦うことしか知らなかった獣人たちに対して、
共存を訴える光陽が与える影響って半端ない。
えげつない組織の一部が明らかになり、
これから彼らとどう係っていくのかが気になるところ。
黒澤の自己肯定は見習いたい。
自分で自分を認めてあげないと、息苦しくて仕方ないと思うから。


光陽が口にした無自覚の殺し文句は萌えた。
あれじゃあ梁井も歯軋りしつつも抱きしめるしかないよね。
黒澤のその後がものすごーーく気になるんですけどーーー!!!






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「凍る月~漆黒の情人~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)



情報は身を守る盾にも武器にもなる。
真に我が子を守りたかったのなら、
早い時期に本当のことを教えるべきだったのでは?と思いつつ、
温室育ち故の素直さとまっすぐさが、光陽の武器なのだと思い直す。
獣人と餌。
共依存のはずなのに、なんだかイヤな言い方だな~と思っていたけど、
梁井の発したこの関係性を表す言葉に納得。
自分本位で一方的な梁井の発言に最初はイラッとし、
でもその直後の彼のフォローや、発した言葉を悔いる言葉に
結果的に絆されるというか、許してしまうというか。
狡い大人。
彼の芯が一本通った生き様はとてもカッコイイと思う。
次巻も楽しみ。


「商業的にNGなことが多くて、ぬるい感じになってしまった」とあとがきにありますが。
私、全力のバトルが読みたかった~!
とは言え。
さすが夜光さん。読み応えバッチリのアクションバトルです。
とりあえずすべてのBL作品に言いたい。
連作や続き物には是非巻数を!
ちゃんと最初から並べていたはずなんだけど、いつの間にか1作目と2作目が入れ替わっていて、
はりきって2作目から読み始めて?????となりました。←すぐに気付いたけどね(笑)


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「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ (草思社文庫)



短編4編収録。
「少年の日の思い出」は岡田氏訳(『蝶』に「クジャクヤママユ」として収録)で、「ラテン語学生」「美しきかな青春」は高橋氏訳(『青春はうるわし』に収録)で読了。感想投稿済み。
「大旋風」
彼女の愛情を受け入れられなかった理由に彼のプライドと矜持があるなら、
若さゆえの早計かな?とも思えるけど、
単に彼女が好みではなかっただけなら、まぁ、仕方ないわね。
全体的にちょっと現代に寄ったヘッセを読んでいる気分になったのは、
訳者だけではなく、装丁の違いに寄るところが大きいと思う。
それでも、漂う透明感と情景描写の秀逸さは変わらず。


「少年は散歩などしない」
この一文がとても印象的。
そうか。
彼らの行動にはいつだって何某かの意味がある。

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「わが愛しのホームズ」ローズ・ピアシー (モノクローム・ロマンス文庫)




ホームズのパスティーシュ。
「極秘捜査」から「最後の事件」へつづく2篇を収録。
ものっっすごい良かった!
前半に漂うストイックな背徳感と、決して口にすることのできない禁断の想い。
やるせなさと諦念とがじわじわと押し寄せて、
『四つの署名』でのワトソンの決断にこんな裏があったとは!
と、切なくなります。
そして後半は忍び寄る悪意に翻弄される怒涛の展開。
散りばめられた彼らの想いを汲み取るたびに泣きたくなって、
最後の最後で……わぁ、そこは是非読んでみてください。
原書もすばらしいのでしょうが、柿沼さんの翻訳が
原作の雰囲気を踏襲していて素晴らしい。


私、ルパン派!とずっと言い続けてるけど、
うっかり鞍替えしそうになりました。←しないけど、でもよろめきそう(笑)
JUNEに傾倒してきた方々には手放しでおススメ。
こういう雰囲気、たまらなく好き。
可能であれば、事前に『四つの署名』を読まれることをお薦めします。
『最後の事件』はWikiでさらっと内容を摑んでおくと、捕捉になります。



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「四つの署名」コナン・ドイル (新潮文庫)



扱っているのは殺人事件なんだけど、
全編にわたって漂うおおらかさというか、のほほんとした感じがすごい。
ヒマをもてあましてコカインをキメちゃうって、
今だったら捕まっちゃいます!
謀をする人たちが意外と簡単に人を信じちゃうのも
根っこは単純なのね、という微笑ましさすら感じる始末。
笑ってばかりもいられないのは、
イギリス人からの視点によるインド人の描写が
何だか差別的に感じこと。
これは作品が書かれた時代性なのかな?
事件に巻き込まれた(首を突っ込んだ?)彼らが
終始楽しそうだから、まぁ、いいか、と、
妙なところで納得して読了。

西欧の植民地支配が現代社会に与えた影響は……
とか、根深い方向に思考が飛びそうになったので、
物語へと軌道修正。
「(自分が乗っている)船が焼けてもいいからつかまえろ!」という
ホームズの無茶ぶりに笑った。【ガーディアン必読 63/1000】

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