きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ずっとここできみと」月村奎 (ディアプラス文庫)
幼馴染同士の一途な恋物語。
二人の恋が叶うまでと、二人の恋を周囲にカミングアウトするまでの二編。
後者が圧倒的に面白かった。
というか。
柾矢の家族の反応が想定外に突き抜けていて、
微笑ましいというか、あったかいというか。
その翌日、友人にもサラリと二人の関係を口にすることができた理玖。
良かったね。
他人の気持ちを勝手に慮ってはいけない。
見当違いな、悩まなくても良いことで悩む羽目になる。
でも、考えちゃうよね。
相手を傷つけたくないから。自分が傷つきたくないから。
関係が壊れてしまうのが怖いから。
だからきちんと想いを告げる言葉って大事。
「ずっとずっと、ずっと」
この言葉がとてもお似合いだと思える二人。
とてもかわいらしいお借り本。
幼馴染でBL……というかJUNEと言えば真っ先に浮かぶのは吉原さんの『幼馴染み』。
今の時代はそうでもないんだろうけど、当時は色々と衝撃的だったなぁ。
そもそも私が若かった(笑)
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「三国志 9~軍市の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
どこまでも潔く真っ直ぐであったが故に、調略に掬われた星。
「帰還できず」
この言葉に号泣。
逢わせてあげたかった、と思うのは、私の感傷。
ああ、だけど。
一人で逝かせてほしくなかった。
張魯の呪縛からようやく解き放たれた張衛。
いっそ張魯を切ってしまえと何度も思ったけど、遅きに失したということはない。
張衛に対する張魯の言葉に私も切ってしまえという思いは失せた。
上立つ者はそれぞれの立場での苦悩がある。
漸く解放された力。
張衛と馬超は良いコンビだと思う。
雪原に散った血の花。
蜀にいる者たちの胸の内を思うと、心底やるせない。
馬超がスカールとイメージが被るんだよね。
必然的に馬綝とリー・ファ。
好きにならずにいられない。(笑)
基本的のは読了直後に感想打ち込む派だけど、
これ、直後に打ったら恐ろしく感情的な感想になりそうだったので、
ちょっとクールダウンしてみました。
響く本って、再読でも心乱されるんだよね。
わかってても涙出る。
で、わかっててもこんちくしょう!ってなる。
曹操が苛烈さを失ってしまったことがちょっと残念。
とはいえ、私は劉備にも曹操にも孫権にも。
魅力を感じているわけではないのよね。
孫権に至ってはこんちくしょう!って思ってるから。←冷静さ、どこ?
「色悪作家と校正者の貞節」菅野彰 (ディアプラス文庫)
黙って手を引いて、道を指し示すことの方が楽な場合もある。
だけど、大吾はそれをしない。
正祐とまっすぐに向き合い、彼を一人の人間と尊重し、
その意思を持って選んでほしいと。
そう言える大人の男の余裕と懐のひろさがカッコいいわ。
生まれて初めての恋情に翻弄される正祐は、
理不尽を理不尽と知りつつ、ままならない感情に振り回される。
文学に関しては対等に語り合える二人でも、
恋愛に関してはまるで大人と子供。
そんな二人の距離感の詰め方と交わされる会話がとても心地よい。
私も時々言語機能が狂うので、ちょっと反省しました。
うん。気をつけよう。
言葉の通じない宇宙人かと思った宙人は、素直でまっすぐな子だった。
この子の一生懸命さって絆されるなぁ。
正祐のまわりをずっとぐるぐる空回っていてほしい。←(笑)
芥川の『奉教人の死』がとても気になったので、そのうちチャレンジしたい。
「雪の花」吉村昭 (新潮文庫)
それはワクチンであり、冷凍という保存方法があり、
空輸や電車という移送手段がある。
だけど、それらが見出され、整備されるまでは、
祈りや眉唾の療法しかなく、保存の効かないそれを、
一か八かで運ぶか、人から人へと植え付けていかなければならなかった。
現在の私たちの生活は、
先人たちの努力や献身によってなりたっているのだと、
改めて噛みしめると共に、切り開くまでの道のりの余りの理不尽さに憤りで震えた。
天然痘予防のために生涯を捧げ、
石をぶつけられても、福井の為に、という思いを最後まで捨てなかった良策。
彼の想いの強さと純真さに敬意を。
保守的で利己的な者たちの妨害や嫌がらせはどの時代でもあるんだな、と、
妙に納得してしまえると同時にイラッとする。
深い積雪の峠越えは鬼気迫るものがあった。
援助なしであそこまでやりきった良作に対して、
藩はすぐにでも支援するべきだったんだよ。
読友さんたちと行った秋田で、
解体新書の挿絵を描いた「小野田直武」を知ったことを思い出し、
なんとなくニヤニヤ。
色々調べていたらさるぼぼが赤い色をしている由来に行き当たり、
おお!となりました。
「不機嫌なシンデレラ」千地イチ (ショコラ文庫)
頑固でまっすぐな一生懸命さ。
不器用なんだけど、誠実。
目標に達するために惜しまない努力。
そういうのは、社会で生きていくための武器になる。
すべては、彼自身が頑張って手にした恋と仕事の成果。
最初はどうなることかと思ったけど、
だんだんオトコマエ度が増していく佐山の成長が頼もしい。
一方で大人のずるさと臆病さと諦めを抱えた安西。
生き方そのものが守りに入っていたように見える安西が、
佐山の成長に引きずられるように一皮剥けた様はセクシーで魅力的。
お互いがお互いにとっての王子様。
自社ブランドを着こなして颯爽と街を歩いて欲しい二人なのです。
人前でものを食べることのできない自分を忘れるくらい、
安西と過ごす時間が楽しかった。
そう告げた佐山に胸を突かれた。
お借りした本はとても貴重なサイン本でした!
私も好きブランドで働きたい!
稀にバイトのスタッフさんを募集してるんだよね。
ウチの会社が副業オッケーなら迷わず手を挙げるんだけどなぁ。
「三国志 8~水府の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
周瑜の死を惜しんだ曹操の株が私の中で一瞬上がり、
荀彧の死に纏わる思いの吐露で、あ、気のせいだった、と思った8巻。
荀彧に裏切られたと思うのは、都合がいいんじゃないかな。
信じてもらえないような扱いをしてきた結果なのだから。
多くの者が戦いで命を落としていく中、
ひたひたと迫る病と向き合わざるをえなかった周瑜。
緩慢に近づいてくる死。
彼の心にゆらめきつづけた切なさがやるせない。
俺は俺。おまえはおまえ。
出自は関係ないと、いいきれる馬超がカッコいい。
戦を繰り返し、時代は移り変わっていく。
頼もしい軍師の元、いよいよ天下三分へ。
劉備の……というよりも、北方の孫夫人に対する扱いが、ものすごーく嫌だわ。
一方で、張飛と薫香の関係はとても微笑ましい。
張飛の野戦料理。とてもとてもおいしそう。
李逵の料理を思い出す。
そうすると、解珍の秘伝のタレ……と続々出てくる食べたいもの。
読んでるのは『三国志』だけど、やっぱり『水滸伝』好きだわーと、改めて思った。
「眠り王子にキスを」月村奎(SHY NOVELS)
独善的ではない宮村の強引さが、とてもあたかくてやさしい。
傷つきすぎて自虐的になってしまった堀が前に進むために必要だったものなんだろうな。
そして、家族から心無い扱いを受け続けてきた堀を受け入れてくれた宮村の母の懐の広さが沁みる。
「好きだから」の後に続く堀の否定的な言葉がとても切ない。
そんな風に堀に思わせてしまったのは、彼の家族。
罪悪感に塗れた堀と一緒になって泣き、一緒になって安堵した。
封じられた恋心は王子様のキスで解放される。
宮村も彼の家族も、堀を傷つけることはないと、思えることが嬉しい。
たくさん愛して愛されて。お幸せにね。
アラサー男子がとてもとても素敵な恋愛をしていました!
と、声を大にして言いたいお借り本。
「三国志 7~諸王の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
赤壁だから、ではなく。
周瑜だから。
この巻はとても思入れ深い。
そして、孔明。
二人の出逢いのシーンは、何度読んでも震える。
側近である生き様を貫いてきた周瑜に、
覇者たる想いを想起させる漣を起こした孔明。
「あなたが私のそばにいれば」
絶対に在り得ない現実に想いを馳せては、泣きそうになる私。
大軍で敗北を喫した曹操。
勢いを増す孫権。
着々と地盤を固めていく劉備。
安息とは程遠い日々の中でも、時折差し挟まれる日常の場面にどこかほっとする。
それぞれの陣営の特徴がはっきりわかって面白い。
そして、彼らは再び戦場へ。
周瑜の病を案じた曹操に、イイヤツじゃん、と呟きたくなったあたり、
私、以前より周瑜の好き度が増している気がする。
次巻、絶対泣く……読みたくないなぁ。読むけど。
馬超の飄々とした雰囲気が好き。
赤兎の子も赤兎。
紛らわしいわ(笑)
「GIANT KILLING 48」ツジトモ (モーニング KC)
現状に満足しない。
常に上のレベルを目指す。
その姿勢は尊敬に値する……と思いかけたけど、
世界ランク一位ってわけじゃないからね。
そんなのは当たり前。
だけど、実際にやろうと思えばとても大変なことだ。
ブランの采配の元、勝利を積み重ねようと邁進する日本代表。
選手たちがそれぞれの仕事を果たしていく中で、
花森の孤独が痛々しい。
どこまでも大きな持田の喪失。
それでも、前線に立つ者は、全力で戦いつづけなければいけない。
花森には、日本代表の10番で在り続けてほしい。
いつか持田と同じピッチに立てるといいね。
笑顔で怒るブラン。怖いわ~(笑)
本誌を読むのをやめてしまったので、この先の展開がわからない。
次巻がとてもとても楽しみ。
花森が「孤高の10番」ではなくなるといいな。
周りには皆がいる。
まぁ、素直に認めないと思うけど、気付いてほしい。
「恋してる、生きていく」夕映月子 (ディアプラス文庫)
穂高が好青年過ぎて眩しい。
梓に対するやさしさと思いやりとが、彼の言葉や行動の端々から滲んでいる。
そんな穂高のために「生きる」こととまっすぐに向き合う決意をする梓。
生きる術がそこにあるなら、貪欲に手を伸ばすべきだと、私は思う。
真摯な想いを抱く二人の、とても素敵なピュア・ラブ。
「世界はこんなにもきれいだ」
そう感じて泣ける感受性は、とても素敵。
新しい世界を与えてくれる相手の存在は、人生すら変えてしまう。
どこまでも優しい雰囲気に包まれて読了。
薬指を噛む、というシチュがとてもとても好きなので。
キャーー☆となったお借り本。
蔵王の山頂で見上げた星空の美しさに、
何故か泣けて泣けて……
「何で泣いるの?」と聞かれても「星が綺麗だから」としか答えられなかった思い出。
妙義山の駐車場で星空を見上げていた時は、
真っ暗闇の中から突然聞こえてきたハッハッハッハッという荒い息使いに戦慄。
恐怖に戦いた瞬間、足元に触れたモフッとした温かい感触。
悲鳴をあげそうになったけど、
同じく駐車場に車を停めていた飼い主さんの手からスルッと抜けてきたワンちゃんでした。
見えないって怖いわ~