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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ハンサムは嫌い」榎田尤利(SHY NOVELS)



『ハンサムは嫌い』
ダメ人間だった真壁が由比との出逢いでイイ男に変貌を遂げていく。
一人の人間との出逢いと環境の変化で、人はここまで変われるんだなぁ、という感動ひとしお。
真壁の周囲からの声に耳を傾ける素直さと柔軟性も素敵。
そして「誰があたしを嫌っても、あたしがあたしを認めてりゃいいっていう覚悟」
という玉助の言葉にはただ頷くしかない。
『無作法な紳士』
こちらはお坊ちゃまだった桜彦が雪山で炭を作る克郎と出会い、
人として成長していく物語。
野性味あふれる克郎の魅力が半端ない。
ワイルドでやさしいって素晴らしい。


完全に理解できているかどうかはおいといて、
個人的に津軽弁はとっても耳馴染の良い響きだったりします。



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「もしも俺たちが天使なら」伊岡瞬 (幻冬舎文庫)



スマートな詐欺師、探偵稼業の元刑事、腕っ節の強いヒモ男。
「神様のいたずら」によって引き合わされた三人が織り成す三重奏。
バラバラに奏でられていた音が
少しずつまとまり、反発して不協和音を奏で、一つの目的の為にまとまっていく。
水面下で進行する不穏な事態を阻止しようと大きな絵図を描き、
綺麗にまとめあげたコンダクターの手腕はお見事。
それぞれ過去に事情を抱えた三人が
苦境に陥りかけた人たちのために(一部自分のメンツのために・笑)
現状をどうにかしようと奔走する姿に前のめりになり、
何かを乗り越えたであろう彼らの姿に清々しく読了。


スワンボートを漕いでいるイケメン二人を想像して思わず笑顔。
映画「俺たちは天使じゃない」は楽しく聴済み……
なんだけど、ハンフリー・ボガート版だったのか、ロバート・デ・ニーロ版だったのか
イマイチはっきりしないポンコツな記憶。

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「新婚さんはスパダリ同士!」小中大豆 (幻冬舎ルチル文庫)



スパダリどこ行った!?と、突っ込みつつ読了(笑)。
拗らせまくった両片想い。
あんな狂おしい想いを胸に抱いたまま一緒に暮らすって
泣けてくるくらい切ない。
しかもお互いにって!
言葉にして確認すればはっきりするかもしれないけど、怖くてできない。
30代男子、頑張って!
……と言いつつ、不用意な一言で今の関係を壊すのが怖い気持ちも、
わからなくはない。
多分色々限界だったんだね。
「嘘」という綻びから本音を囲っていた壁が決壊し、迸る本音。
真っ正直に向き合った二人は、甘さ増し増しのラブっぷりを見せつけてくれました。


指輪の出来をバッサリ切った母がとても好き。
プロポーズのつもりで指輪を作っていた馨に「誕生日12月だけど」って言う冬人もど天然。
そして、小声でこっそり独り言。
これ、リバ読みたい。
ネコな馨が見てみたい。 ( ´艸`)

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「調律師」熊谷達也(文春文庫)



亡くなった妻・絵梨子を想い続ける鳴瀬に対して
「私をお姉ちゃんだと思って」と言った
由梨子の言葉に「何言ってるんだろう?この人」と漲った反発。
姉に対しても鳴瀬に対しても、そして自分に対しても失礼だ。
イラッとしながら読み続けたわけですが。
心の枷を解くのは、その枷の原因となった当人。
鳴瀬の立ち直りの様を描いた描写は見事だった。
鍵盤から立ち昇る香りから想起させられる弾む音・濁る音・嬉しい音等々。
脳内で溢れる音の世界に浸るのは心地よかった。
章ごとに綴られる、ピアノの音と鳴瀬と弾き手の関係がとてもやさしい作品だった。


ノンフィクションやドキュメントとしての震災関連本は
積極的に読んでいきたい。
だけど、物語世界に差し挟まれると、楽しく読んでいる作中から
グラグラ揺れた現実世界に引き戻されるから個人的にはまだ触れたくない。
トラウマっているわけではないけど、そんな気分になるんだなぁ、と改めて思った。
でも「書く」というスキルや感性を持っている作家さんには
是非描いていってもらいたい。というのも本音。



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「やさしいSの育て方」榎田尤利(SHY NOVELS)



年の差20歳。
優しくて感受性が豊かすぎる恋愛初心者な栄田と
ストイックな外見とは裏腹にM奴隷としてのプレイを楽しむ宮。
この二人で一体どうなることかと思ったけど、
ある種の芸術が次第に完成されていく様を目の当たりにしたような読後にうっとり。
メイクラブのセックスとセッション(プレイ)の違いを理解した上での、
快楽の追求としてのSM。
栄田によって生み出される「初めて」の感覚に翻弄される宮が艶っぽい。
自分好みのSを育てると、かつての支配者に宣言した宮。
5年後の二人が見て見たいなぁ。
とても素敵な恋人兼パートナーになっていそう。

王の言っていることがいちいち奥が深くて頷いてしまう。
打算も計算もない栄田の言葉が、いちいち宮の想定外なところが面白い。
そういうところも、惹かれる一因になったんだろうなぁ。
Mに育てられたS。
栄田がピュアなだけに、その完成系が余計に気になる。
宮の為にスキルアップしつつも、タイトル通りの優しいSに育つんだろうなぁ。

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「おやすみ動物園---眠る前に見たい動物たちの寝顔」たちばなれんじ



余白部分に物語を書き込みたくなる。
穏やかな眠りの中に在る、彼らはどんな夢を見ているのかしら?
「サバンナの掃除人」と言われるハイエナも寝顔は無邪気だ。
「人の夢を喰って生きる」と言われるバクも幸せな夢を見ている。
フラミンゴは眠るときも一本足。
シロフクロウは素敵な笑顔。何がそんなに楽しいのかしら?
ゴールデンターキン。キミとは初めて出逢ったわ。
ヤギさん、歌を口ずさんでいそうね。
無防備な姿で眠る動物たち。
おやすみなさい。
また明日。
眠りは明日への活力。
彼らも皆様も、そして私も。
向かえる明日が幸せな一日でありますように。

夏休みに遊びにくる姪っ子ちゃんたち用に購入。
何故か私が癒されました。
どうしよう。
物語を書き込みしたくてたまらない(笑)

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「心乱される」英田サキ (講談社X文庫ホワイトハート(BL))



終始イラッとしながら読みつづけた前半。
でも、このままそっちの方にいったら本をぶん投げるわよっ!
と思う方向には絶対に舵を切らない英田さん。
そういうところは安心して読める。
そのうちそのイラッと具合にだんだん嵌りこんでいってしまい、
気付けば彼らと一緒に心乱されつつ、
結果、主役カプそっちのけで大宮カッコイイ!!と狂喜したまま読了。
私だったら絶対に大宮を選ぶわ。←聞かれてない。
読み方色々間違ってる気がするけど気にしない。
大宮の存在なくしては成就し得なかった恋の物語。
二人が手に入れた新しい家族の形。お幸せに☆


他人の口から大事な人の耳に入って修羅場になる秘め事は、
絶対に自分の口から話すべし。
墓場まで持っていける秘め事は、自分の罪悪感からは軽々しく口にすべからず。
蛇足になっちゃいますが。
歳上の受が年下の攻に向ける「おいで」というちょっと余裕なセリフが私大好きです。


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「機龍警察 自爆条項〔完全版〕」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)



近頃の梅雨空と同じどんよりとした鈍色に覆われた、
ライザの過去と現在の虚無と共に進行する物語。
自分で選んだテロリストとしての生き方。
そこからの逸脱。
選びはしたが、望んだ道ではない。
過去の呪わしい出来事を現在を生きる者が贖わなければいけない
理不尽がやるせない。
暗鬱とした想いに呑み込まれたまま迎えた最終章。
世界が一気に震撼する。
色のない世界を染めたのは、
あまりにも鮮烈な殺戮と破壊。
ここで生きる「ジャム」のジンクス。
度重なる不運はこの日の為。
プロットのうまさに震えが走る。
そして、彼らの負った責務の重さに。

一度読み始めたら、頁を捲る手が止まらなくなる作品。
情報操作による事件の誘導。
リアルにどこかで起こっていそうで薄ら寒い。

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「サイメシスの迷宮 逃亡の代償」アイダサキ (講談社タイガ)



鳥肌が立つような得体のしれなさと粘ついた悪意が、
心の底から気味が悪い。
一巻を読み終わった時よりも薄気味悪さがグレードアップしているのは、
ヤツの影がより近く、より濃くなったせい。
羽吹が再び悪意に絡め取られることがありませんように。
と、願いたいところだけど、そうはいかないんだろうなぁ。
今作で起こった事件は、本当にやりきれない。
被害者や周囲がより深く傷ついたり後悔したりする環境(社会?)は、
どうにかしていかないといけない問題なんだと思う。
頑なだった羽吹が神尾の意見に耳をかたむけ始めたのは良い兆候。
この先に待ち受けるであろう事件に立ち向かうためにも、
信頼できるバディの存在は絶対に必要。



「もしも気づかないうちに、偽物の記憶が紛れ込んでいたら?」
これ、羽吹じゃなくてもぞっとする。
錯覚することは誰だってあるだろう。
間違えて覚えていることもある。
だけど、意図的に偽の記憶を刷り込まれたら?
怖いわ~

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「夜中に犬に起こった奇妙な事件」マーク・ハッドン (ハヤカワepi文庫)



彼は知りたかっただけ。
誰が犬を殺したのか。
その事件の真相を知ろうとして明るみに出てしまったのは、
秘匿された別の事柄の真実。
それは、彼を打ちのめすのに十分なものだったし、
彼の父親にとっても気の毒なものでもあった。
大人の都合で振り回されるのは子ども。
だけど、子どもも大人の事情や複雑な心情を理解することはできない。
すべてにおいて正しい人はいなくて、
みんなが抱えた事情の中で懸命に頑張っている。
(彼の母親には私はどうしたって共感はできない)
日記めいた形式で綴られる、彼の観ている世界。
大冒険をやり遂げた彼の世界がこれからどう広がっていくのか。
父親とのプロジェクトが首尾よく進行することを願う。



軽い気持ちで読み始めたら、思いのほか深い話で、色々考えさせられました。
ここからはネタバレになるので、目を通される方はご注意くださいね。
その成長がどうしても見たくて。
離婚した元旦那に引き取られた娘に会いに行った私の友だち。
ところが、娘さんは母親は亡くなったと伝えられていて……というリアル話。
元旦那は再婚を考えていた女性にも同じ嘘をついていたらしく、結局再婚自体が破談。
ついていい嘘とついちゃダメな嘘がある。
【ガーディアン必読 71/1000】

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