きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「夜市」恒川光太郎(角川ホラー文庫)
選ばれた者のみが訪う、なんとも不思議な趣を醸し出す市場。
覚悟を持ってその場を訪れた祐司の諦念が、とてもやるせない。
苦難を生き抜いた男の「約束は果たされた」の言葉に胸が締め付けられた。
そこに在るには純粋さを損なわない魂。
美しい言葉で紡がれる物語。なのに、とても切なくて、ホロリと涙が零れた「夜市」。
そして「風の古道」
静かにそこに在るレンという男の存在があまりにも印象的。
彼の背負った「宿命」とも言える業が、物悲しい。
友だちのために懸命に手を尽くそうとする少年のけなげな想い。
「また会おう」
果たされることのない約束のように思えてならなかった。
「一つを選べば他の風景を見ることは叶わない」
これは真理だなぁと。
人生の中で選択を迫られる場面はいくつもある。
二編の幻想的な世界に魅了され、読後に零れるのは溜息。
今しばらくこの世界に浸っていたいと、願ってしまう。
内容紹介
何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した裕司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた――。
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「天使たちの華劇~暁の天使たち外伝2」茅田砂胡(C・NOVELS)
『暁の天使たち』の日常の幕間的エピソードを描いた4編。
Q論文の単位取得のためにセックスを強要されたらどうするか?
A取引に応じて単位をもらった後に教授を抹殺してしてしまう。
これが自称「一般市民」の発想。
こんな調子の、一般常識とはことごとくかけ離れた彼らの織り成す日常は、
大変愉快に進行します。
メイド服姿のリィとケリーの挿絵は眼福。
この章のタイトルは「ヴァレンタイン卿の災難」だけど、
最後の最後に息子から幸せな言葉を投げかけてもらえたと思うわ。
書いている作者が楽しかったんだろうなぁ、と思える4編。
私もとっても楽しませていただきました。
この外伝の副題「(努力は認めるけど)一般市民への遠い道のり」でいいと思った(笑)
ここで『暁の天使たち』のシリーズは完結。
次は……『クラッシュ・ブレイズ』で全16巻。
ちょっと間をあけてから、彼らとの再会を楽しみにすることにします。
内容(「BOOK」データベースより)
黒い天使がセントラル星系を崩壊させかねない災厄を起こしていた一方で、彼らは平穏で地道な一般市民的(天使及びゾンビ主観において、ではあるが)学園生活を送っていた!渾身の作の小論文に『不可』を出されヴァンツァーは落第の危機に。教授の特殊な趣味を知って行動を起こす彼らの活躍を描いた「一般市民のすすめ」など中・短篇4作を収録した外伝2。
「舞闘会の華麗なる終演~暁の天使たち外伝1」茅田砂胡(C・NOVELS)
己の信念や感情を偽ることなく生きる人たちの
嘘のなさとまっすぐさが好き。
「一般市民」だったら曲げたり妥協せざるを得ないところでも、
貫いてしまえる彼らの強さと潔さが痛快。
突然いなくなってしまった母親への思慕を抱き続け、
彼女を探しに宇宙に飛び立とうとした少年がひとり。
そんな彼をどうにか思いとどまらせようと、
人外生物たちの一芝居。
見事なエンディングで少年の親離れと新たなる旅立ちの日……と思いきや。
違った方向に燃え上がった想い。
勝ち目も実りもないと思うわ。
人外生物の方々に振り回されつつも、しっかり馴染んでしまっているダンがやっぱり好き。
「口は災いの元」に大笑いでした。
リィとレティシアの獣めいた関係性がとてもいい。
そして、ジンジャーの勘の良さも人外レベル。
親にとって子共はいくつになっても子供なのねー、と、
しみじみと実感した本巻。
でも私、お尻ペンペンされた記憶はないわ~(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
リィ捨て身の攻撃でルウの暴走は抑えられた。セントラル宙域の壊滅は免れたのである。しかし脱出を急ぐ一行の前にふたたび“悪しきもの”が立ち塞がり、執拗にルウに迫るのだった!『天使の舞闘会』で語られなかった脱出劇の顛末を描く『嵐の後』。さらにダンの息子ジェムが、母親のルウを探しに行くと言い出して大騒動になる『宇宙一不幸な男』の2篇を収録した外伝。
「ラグビーの情景」藤島大(ベースボールマガジン社)
ラグビー初心者ながらも、
共感を覚える言葉が多々あったのは、
チームスポーツの神髄は、どのスポーツにも共通しているものなのだと実感できるから。
不屈の闘志は「諦めない」こと。
諦めたら何も成し得ない。
一歩先んじるためには「学んだ先の工夫」が必要。
当たり前のことだけど、それを常に己に化すのは難しい。
それらは、スポーツに限らず、実社会でも生きてくる。
この本を読んでいる話をしたおかげで、
四半世紀の付き合いになる友だちが毎年ラグビーの大学選手権を
家族でテレビ観戦をしていることを初めて知りました。
想定外のおもしろさがあるから読書って楽しい。
この本を読もうと思ったきっかけはラグビー漫画を読んだこと。
野球・サッカー・テニス・バレー・バレエ・バスケ・フィギュアスケート・
陸上・剣道・柔道・空手・ボクシング・自転車・バイク。
振り返ってみると数々のスポーツ漫画を読んできたけど、ラグビー漫画は初☆
本棚飽和してるけど、楽しみ♪
「天使の舞闘会~暁の天使たち6」茅田砂胡(C・NOVELS)
進行する物語のスケールの大きさにわくわく感が止まらず一気読み。
デル戦を彷彿とさせるリィをはじめとする彼らの姿に、
私、感動に打ち震えました。
そして、多くを語らずとも理解しあっているケリーとジャスミン。
やっぱりこの二人は並び立ってこそ!
とは言え、楽しいばかりではなく、物語はとてもシビアに展開。
裏切りを糾弾するガイアとリィの言葉にはうなだれるしかない。
避けられなかったルゥとリィの一騎打ち。
この子たちの絆は固いんだけど、とても危うい諸刃の剣。
誰もかれもが相手を「非常識」だと形容する
華麗なる人々の舞闘会は今しばらく続きます。次巻へ☆
「夫婦喧嘩は後で思う存分、寝室でやってくれ」
生死のかかった深刻な場面でのリィのこの台詞、ものっすごいツボでした。
こいうの出されると、デル戦読みたくなるんだよね。
久しぶりにメールをやり取りした友達が「週末デル戦の舞台見てくるよ!」と。
タイミングだなーと思います。
どうだったか話をきかせてもらうの楽しみ♪
内容(「BOOK」データベースより)
リィの身体が光る。黄金の髪は輝き、額には第三の眼のごとき濃緑の宝石をはめ込んだ銀細工の輪。腰に剣を佩くその姿は―シェラのよく知る第一級の戦士の雄姿だった。「おまえが迎えに来てくれ」という一言をシェラに残して、リィは暴走するルウの元に跳ぶ。たとえ二人の再会が死を意味したとしても…。暁の天使たち、完結篇。
「レ・ミゼラブル 下」ヴィクトル・ユゴー(角川文庫)
激動の時代に生きた人々の物語。
19世紀を生きた著者が願った通りの平穏な未来が、
今、この世界にないことが些か残念だと思うと同時に
人間の刻む歴史はそんなものだと思う自分もいる。
一人の男と係わり続けた結果、揺らいだジャヴェールの信念。
二律背反に引き裂かれて自らの未来を閉ざした彼は、頑なに過ぎたのだろう。
そして己の信念に殉じたジャン・ヴァルジャン。
あまりにも厳しく、苛烈な生き様に胸を打たれる。
彼が「幸せだった」と感じられる時を過ごせたことは救いだけれども。
「これからの」幸せにも目を向けて欲しかった。
それだけの贖罪はしたのだと、思うから。
下巻はマリウスの青二才っぷりにイラッとしつつ読了。(苦笑)
奔放なガヴローシュがとても魅力的。
1862年に発行された本。
150年以上たった今でも、その面白さは損なわれることなく、こんなにも惹きこまれる。
岩波→角川と読んできたので、いつか新潮版も読んでみたい。
【ガーディアン必読 49-2/1000冊】
内容(「BOOK」データベースより)
あわただしい時代のなかで、貧しくても上昇志向でがんばっていた青年マリウスは、ある美少女に恋をした。謎の男性といつも一緒のコゼットだ。彼女への思いをつのらせる彼だったが、革命騒ぎのまっただなかに巻き込まれ、絶対絶命となる。そのとき、コゼットと一緒にいた男、ジャン・ヴァルジャンと再会した!ジャヴェール警部、凶悪犯テナルディエなどもまじえながら、壮大な物語は感動のクライマックスへと向かう―。
「女王と海賊~暁の天使たち5」茅田砂胡(C・NOVELS)
そして役者は出揃った。
怒れる女王の驀進は留まるところを知らず。
何で怒っているのかがわかるだけに、再開の瞬間が楽しみだったわけだけど、
ケリーに一発かました後のジャスミンのあんな素敵な告白が聞けるとは
思ってもいなかったわ。幸せ!私が!
並び立つ海賊と女王の姿に、気持ちが弾みます。
キングの貫禄はさすが。
そして、現役軍人を罵る女王の鈍っていない腕前もさすが。
振り回されっぱなしだったダンだけど、
肝心なところではちゃんと行動できる子(40過ぎのおじさまだけど・笑)でした。
一件落着かと思いきや、最後の最後に最も不穏な爆弾が暴発。
次巻、どうなるの!?
軽妙な会話は相変わらず楽しくて。
彼らの心のなかのツッコミがまた楽しくて。
笑いながら読み進めて、ジャスミンの告白でふわっとした気分になって、
最後のルゥの暴走でハラハラして、エンタメ要素満載な読書時間でした。
だからこのシリーズ、やめられない。
内容(「BOOK」データベースより)
ルウが復活し、キングも帰還し、女王は覚醒し、ダイアナも起動した。だがキングは連邦情報局に捕えられ、女王とダイアナには“ダイダロス・ワン”が繰り出した精鋭部隊が接近しつつある。この“加速する非常識”をルウの力で見せられたダンは呆然と呟いた。「…あかい、ひこうき…」絶好調、暁の天使シリーズ最新刊。
「最後だとわかっていたなら」ノーマ・コーネット
永遠の眠りの国に旅立っていってしまった最愛の人のために、
何をやっても「やり尽くした」と思えることは、多分なくて。
その人に対する愛が深ければ深いほど、どこかに後悔の念は残る。
だけど、哀しみを抱えながらも、涙を拭って明日を生きていく人たちは、
差し伸べたやさしさや愛は、旅立った人に確かに伝わっていたのだと、思っていいと思う。
とは言え、想いをきちんとした言葉に乗せて伝えることは、忘れずに心に刻みたい。
「ありがとう」「ごめんね」「大好きだよ」
今日伝えられる言葉は飲みこまずにその瞬間に言の葉に乗せる。
それこそ、明日になって後悔しないように。
詩と写真のマッチングがとても素敵。
内容(「BOOK」データベースより)
もし、明日が来ないとしたら、わたしは今日、どんなにあなたを愛しているか伝えたい。9.11同時多発テロのあと話題となり、世界中が涙した感動の詩の邦訳。子どもを、恋人を、兄弟を、親を…、大切な人を想いながら、この詩を読んでください。
「レ・ミゼラブル 上」ヴィクトル・ユゴー(角川文庫)
意思の力だけではどうにもならないことがある。
置かれた現状の中で、人は足掻きながらも生きていかなければならない。
見ず知らずの他人に子供を預けたのはフォンティエーヌの無知。
だけど、彼女にはそれ以外の手段はなかった。
テナルディエのように子供に辛くあたる大人は、現代社会にもいる。
司教に出会えたジャン・ヴァルジャンは幸運だったけれども、
前科があるが故の偏見に苦しむ人生は変わらない。
係った人が、環境が、人を幸福に導き、或は、不幸に陥れる。
苦難に陥っても綺麗な心を失わない人もいれば、心の底から腐った悪党もいる。
本書はそんな人々の人生を描いた物語だ。
「この世に無知と無慈悲がある限り」
無知は教育で補える。
だけど、無慈悲は外的な力でどうにかなるものなのだろうか?
と、懐疑的な想いを抱いてしまう自分が、ちょっと寂しい。
数奇な男の人生の終着点を見届けるために、次巻へ。
【ガーディアン必読 49-1/1000冊】
内容(「BOOK」データベースより)
貧しいジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で監獄に送りこまれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。しかし、ある司教に出会ったことで生まれ変わった彼は、まったくちがう人生を歩きはじめる。そして、不幸な美女ファンテーヌと出会い、彼女を救おうとするが、執拗に追いまわすジャヴェール警部が行く手に立ちふさがる。フランス文学の金字塔にして娯楽小説の真髄が、コンパクトな新訳で登場。
「ヘブンノウズ 足跡」英田サキ(SHYノベルズ)
温泉旅行にクリスマス。
居心地の良い空間で、人情味溢れる人たちと共に過ごすあたたかさ。
それなのに、それぞれが抱えた想いに泣かされて切ない気持ちで読了。
6歳のミツルの、兄に対する健気でいたいけない想い。
サンタへの願い事に涙が滲んだ。
旭の渋澤に対する報われない恋情。
セフレでもいい、と言いながらも、旭は関係が進展することを切望している。
心の壁に穴を開けたいと言ったのがその証。
だけど、それは渋澤の心の在り様の問題であって、旭にはどうしようもないのだ。
そして、渋澤の想い。
罪を断罪する彼の厳しさは、自らも贖罪を抱えていることを示している。
この先どうなるのかな?ドキドキだわ。
作中での「足跡」の定義がいい。
「生きていくってことは、足跡を残していくってこと。
その足跡でどんな人生を歩んできたかわかる」
揺らいでも、迷っても、遠回りでも。
自分が進んだ方向が進むべき道だったのだと。
思える足跡を刻みたい。
内容(「BOOK」データベースより)
ベストセラー作家の渋澤征武にイラストの才能を見いだされた千野旭は、幼い弟のミツルと一緒に渋澤邸で暮らすようになった。渋澤は恋人をつくらない主義だと自ら宣言していたが、旭は渋澤のキスが忘れられずにいた。あのキスはなんだったのか、何か意味はあったのか?本当は自分の気持ちに気づいているのではないだろうか?旭は渋澤が気になってしかたがなかった。そんなある日、旭は渋澤たちと温泉に行くことになって!?―。