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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎(新潮文庫)



そこに在るだけで人々に安心と安寧を与える絶対的な存在感。
彼は、変わらずにそこに在り続けるはずだった。
そんな彼の喪失による人々の悲しみと困惑に、
彼がどれだけの求心力を持ってそこに在ったのかが伺える。
そして、知る。
人々の導き手であった彼自身の哀しみと絶望を。
やさしいだけではなかった、彼の想いを。
わずか数日のうちに起こった、あまりにも濃密な出来事。
思わず泣きたくなったのは、誰の想いにシンクロしたのか。
無駄なく散りばめられたピースがカチカチと嵌りこんでいく小気味よさ。
風にのって漂うその調べに想いを馳せながら、
顔も知らない彼の笑顔が脳裏に浮かんだ。

前言撤回。
初読の時に抱えた苦手意識が完全に覆った再読。
出し惜しみなく展開される伊坂ワールドにどっぷり嵌りこんでの読了。
面白かった。
仕事で牡鹿半島の荻浜とちょっとご縁があった今日この頃。
シンクロっぷりに今読むタイミングだったのかなーと。
これも優午の知り得た未来かしら?
……なーんてね。(笑)



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「エルマーと16っぴきのりゅう」



無敵に強くて、カッコいい存在だと勝手にイメージしてしまっているりゅうに対する認識が
ひっくり返りそうになるシリーズ。
彼等は穏やかで、和を好み、そしてやさしい。
自由の身になり、漸く家族のもとへ帰ったりゅうの子が目にした家族の大ピンチ。
助けてくれるともだちは、エルマーしかいない!
そんなわけで、りゅうの子供は決死の覚悟でエルマーの元へ。
前半はりゅうの子どもの大冒険。
後半はエルマーと協力してのりゅうたちの救出劇。
人知れず進行する活劇に、ワクワクしっぱなし。
夜明けとともに彼らは砂の彼方へ。だけど、友情は永遠に。
三冊に渡った彼らの冒険は、これにて終幕。

色とりどりなりゅうたちの描写に想像力をかきたてられてうっとり。
挿絵が白黒なのが残念だけど、逆に、これ、自分で色塗ったらどうだろう?という
チャレンジャー精神がムクムクと。
子供の頃、そうやってぐしゃぐしゃにしちゃった本、何冊もあるのにね。(笑)
姪っ子ちゃんや甥っ子ちゃんと一緒に塗ってみようかな?
とても楽しそう。



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「忠誠の代償~聖なる絆~」六青みつみ(リンクスロマンス)



世界観の作り込み方が半端ないところが、さすが六青さん。
腕の立つ皇子と愉快で粗野な仲間達の組み合わせは私的に大変好み。
そんな彼らの中で奔放に育ったキリハ。
運命に翻弄されのではなく、
運命を切り開いていった感じがとても良かった。
キリハの成長を見守り続けたヴァルクート。
キリハに対する想いを自覚してから
「そのあたりから口説きはじめればいい」と腹を括るまでの
短い葛藤には、思わず笑みが零れてしまった。
どんな立場や状況に置かれても、
自分を見失わずに毅然としていたヴァルクートが、
キリハに対してだけ不器用になっちゃうところは愛だよね、愛。


隊を整えていくための基本の基本は食事と糞尿処理。
そして適材適所の配置。
なんだか梁山泊の最初の頃を彷彿とさせられました。←北方脳(笑)
読み応え抜群なお借り本。続きも楽しみ~☆

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「楊令伝10 坡陀の章」北方謙三 (集英社文庫)



明確な未来像を掲げて新しい国づくりを始める楊令。
国とはなんだろうか?と問いかける岳飛。
新国家誕生に暗躍する李富。
王進の元で目覚ましい成長を遂げ、表舞台に立とうとしている秦容。
危うさを孕んだままの花飛燐。
めんどくさいオッサン化(褒めてます)した史進と班光のコンビ。
混乱する時世を彼らがどう生き、そしてどんな国を生み出していくのか。
この先が楽しみで仕方がない。
そして、梁山湖。
そこはあなたのいるべき場所じゃない、と。
思った私と同じ思いを抱いた男がいてくれてよかった。
夢の跡は夢の始まりとなり得るのか?

じゃあな、さよなら、あばよ、またな。
どれもこれもしっくりこない。
やはり、漢の別れの言葉は「さらば」だ。痺れる……
タイトルの意味。調べたら「 起伏 があって平らでないさま」とのこと。
なるほど、と納得の章。



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「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル(新潮文庫)



チェシャネコ。白ウサギ。ハートの女王。帽子屋。トランプ
例えば、この小説を読んだことがなくとも、
『不思議の国のアリス』という言葉から連想するワードを各々書きだしたなら、
多くの共通する言葉が抜き出されるだろう。
それほどまでに日常に浸透した物語が刊行されたのは、1865年。
時代的な古めかしさを感じることは全くなく、
アリスがウサギ穴に飛び込んだ瞬間から、物語はめまぐるしく展開していく。
何が起こるのかが全く予測できないその世界はまさしくワンダーランド。
成り行き任せのハラハラドキドキの冒険譚の後に待ち受けるのは、
著者の親心が垣間見えるとてもやさしいエンドだった。

この訳仕方には何か意図があるはずだ。でも読みにくい。
この語尾なんなの?と、とっかかりで相当難儀しました。
でも、そもそもが子どものために即興で作って聞かせた話だということを念頭において、
子どもたちを前にルイス・キャロルが語っている姿を想像すれば納得の訳。
まぁ、子供向けの訳ではない気がしますけど(笑)
他の方の訳本を読んだら、相当印象が変わる気がします。
【ガーディアン必読 54/1000冊】


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「国民的スターと熱愛中です」小林典雅(ディアプラス文庫)



あっまーい。特に蜜月編は極上の甘さ。
一週間の長期休暇のおうちバカンス。
延々と続くツッコミ不在のバカップルトーク。
際限なくベタベタし続けても、尽きることなくにじみ出る甘さ。
大好き感が半端なくて、もう、ホントに激甘でした。
この二人の屋外デート、メッチャ楽しそうだなぁ、と思ったところで、
国民的人気を博す旬の恋愛はシークレット。
外では他人行儀でいるしかないのよね。
油断するとマイナスに落ち込みかける旬の思考だけど、そこは葛生が上手にフォロー。
糖分ガッツリ摂取して読了です。


部屋では存分に甘々で……と言っても、
ハートトーストは私でさえ作ったことないよ!←聞かれてない(笑)
とりあえず二人は褌で悪代官ごっこをするといいと思うの。
くるくる回るのは葛生の方でお願いします(笑)
樫原のスピン。
書いてくださるのならぜひ読みたい。


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「エルマーとりゅう」ガーネット(福音館)



一つの冒険の終わりは、新しい冒険の始まり。
前回は一人だったエルマーの冒険も、今回はりゅうの子供と一緒。
飛び出してきた家に戻るために、
りゅうの背中に乗って空をひとっ跳び……と思いきや、これがなかなかに前途多難。
りゅうがどこまでも無邪気で子供らしいのに対して、
エルマーは、聡明でやさしい。
みかんを分けあって食べる一人と一匹がとてもかわいらしかった。
見知らぬ土地でもまさかの再会。
そしてドキドキわくわくの宝探し。
プレゼントを持って家に帰り着いたエルマーにはまさかのサプライズ。
楽しく読了しました。

りゅうの挿絵がとてもとても可愛くてお気に入り。
子供の頃、私が空を飛ぶために乗りたかったものは
銀河鉄道999でした。(笑)


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「不良の木」北方謙三(光光社文庫)




不良の木。
とても見慣れた変哲のない単語の組み合わせ。
だが、最後まで読み切って、このタイトルに唸る。
この物語の中でしか汲み取ることのできない意味が、その言葉には込められていた。
大切なのは、真実を見極める目。
惑わされることなく、背けることなく、ただ、真実を。
大都市間を往復する間に見えてきた真実。
一人の男に導かれ、命懸けで駆け回った彼らの踏み躙られた想い。
それでも、彼らはその真実を受け止めて、前に歩き出していく。
「いつか、また」
その約束が果たされる日が、来るのだろうか?
個人的には武田さんと野崎はなんだかいいコンビだと思うので、
この先も絡んで行ってほしいなぁ、と、思うわけなのです。


「君たち、どこまで行ったんだい?」
「Aまでよ」
この会話、今の中学生の子たちにも通じるのかしら?
もう死語?
と、思いっきり通じる世代の私は首を傾げてみました(笑)



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「エルマーのぼうけん」ルース・ガネット(福音館)



年老いた猫との出逢いに端を欲するエルマー少年の冒険譚。
冒険の目的は子どもの竜の救出と、空を飛びたいというエルマーの夢をかなえるため。
猫と一緒に旅立つかと思いきや、単身で旅に出たエルマー。
船出の瞬間からドキドキわくわくの連続。
冒険に出かけるにあたって猫の指示通りにリュックに詰めた不思議な荷物の数々。
それがどんなふうにお役立ちになるのかが判明するたびにおぉ!となりました。
動物さんたちったら単純。
危機一髪の窮地をどうやって乗り切るのか。
ワニはどこまでもワニだった……という顚末に思わず笑ってしまいました。
気持ちがあたたかくなる物語。
そして冒険したくなる物語。
夢の中でなら、私も冒険に出かけられるかな?

リュックの中身がミッキーマウスのマウスケツールのようだと思ったのは私だけかしら?(笑)
エルマーがもう一度猫に出逢えるかどうかがなんだか気になりました。
物語は次巻へ続いています。
入手せねば!


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「寄せては返す波のように」六青みつみ(ガッシュ文庫)




「ほんと、エリィってお馬鹿さん」と、ため息をつきながら読み始める。
だけど、早々に自らの過ちを悟り、同じ愚を犯さないように、
愛しいものを決して失わないようにと懸命になる彼と、
零れ落ちる記憶を必死で手繰り寄せるルースとの交流が、
胸が痛くて、だけど微笑ましくて、やっぱり苦しくて。
紡がれる彼らの言葉のやさしさと切なさに涙が滲む。
孤高に在ることしか知らなかったエリィが周囲の人たちと打ち解けていく様が
丁寧に自然に描かれていて嬉しくなる。
「君が忘れたら何度でもくり返そう」から始まる最後のモノローグが好きすぎて、
何度も涙目になりながら反芻して幸せに読了。

この作品、本当に本当に大好きです。
ホント、どうしようもないわねぇ、とため息をつきたくなるエリィが
ルースと出逢って、変わっていく様がとてもやさしい。
修復不可能かと思われたショアとの「いま幸せ?」のやりとりに
良かったね、と、心から安堵した。
たくさん泣いた分、ルースはエリィの腕の中で幸せになるといいと思います。


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