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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「エス-裂罅-」英田サキ(SHY NOVELS)



【ならば会ってはいけない。決して会ってはいけないのだ】

自らに課した誓いと責任。
そして、燻り続ける押し殺すことのできない想い。
もっと楽に息をすることができないものかと。
胸苦しさを通り越して息苦しさを感じながら読み切ったシリーズ三作目。
一気に続きを読み切ってしまわないと、窒息しそうです。私が。
自分の弱さを誰よりもわかっていて、
それでも自分の脚でちゃんと立って責務を全うしようとする椎葉。
そんな彼を全力で守ろうとした宗近の選んだ決断が、切ない。
それを諾としなかった椎葉の頑張りは良かった。
良かったのに……とりあえず続きを読まないことには、
私の動悸がおさまらないようです。

とりあえず私、宗近がとっても大好きです。
と、主張しておきます。←誰に?(笑)



内容(「BOOK」データベースより)

警視庁組織犯罪対策第五課、通称「組対五課」の刑事である椎葉は、拳銃の密売情報を得る、言わば拳銃押収のスペシャリストだ。その捜査方法はエス(スパイ)と呼ばれる協力者を使った情報収集活動に重点がおかれている。大物ヤクザでありながら椎葉のエスである宗近。宗近に特別な感情を持っていることを意識しつつも、刑事というポジションを選んだ椎葉。互いを想いながらも、ふたりはエスと刑事という関係を守ることを誓っていた。そんなある日、椎葉の前に現れた謎の青年・クロによって、すべてが狂い始める!罪と罰。そして、贖われるべきものとは。

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「ムーン・パレス」ポール・オースター(新潮文庫)



【変化、というものも僕は考えている。
 何ごとも、いつでも、突然、永久に変わってしまいうるのだということを。】

人の営みは、すべて繋がっている。
過去があってこその現在。
親があってこその子。
そして構築される歴史。
だが、人と人との絆は必ずしも永遠に継続しうるものではない。
交わり、親密に絡み合い、ふいに断ち切れる。
それは、死であり、別れであり、自然な消滅でもある。
出逢いと別れの繰り返し。
けれども、たぶん、それが人生。
絶望に呑みこまれ、周りの人たちの善意によって人生を立て直し、
そして再びすべてを失ったかに見えるマーコだけれども。
彼の得たものは確実に彼のこの先の人生の糧となる。
多彩な言葉と不思議な経験で綴られたこの物語は、
彼の人生のはじまりの物語。

月ではじまり、月で終わる物語。
この物語の中では、月は未来の象徴。
月を見上げた彼から未来への一歩を踏み出す力強さを感じ取れたことに安堵する。


内容(「BOOK」データベースより)

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた…。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。

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「ハイキュー! 18」古舘春一(ジャンプコミックス)



「全てのプレーは繋がっている」
チームスポーツの醍醐味だなーと思います。
一人で戦っているわけではない。
だけど、一人一人が考えて工夫して全力を出し切って。
そしてひとつにまとまって機能するのがチーム。
両校ともに全力のチームプレイで臨んでいる試合。
各々強烈な個性を持つ人たちが、自分の役割をしっかりと自覚して果たしながら、
一致団結する姿って、見ていて気持ちがイイ。
「楽」をしようとした瞬間が「隙」になる。
だから全力で走る。跳ぶ。
「抜けた先にはスーパーリベロ」
ノヤっさんに対する絶対の信頼。
とっても痺れたフレーズです。

日向のハイタッチをスルーするツッキー。さすが(笑)
なんだかんだ言いつつ、しっかりチームに溶け込んでいる姿に安心するわ。
及川さん好きな私としては影山にとっての脅威が及川さんであることがなんだか嬉しかったりします。

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「エス-咬痕-」英田サキ(SHY NOVELS)



【生きてて何が一番辛いかっていうと、
 自分の居場所がみつからないことなんだよね】

理屈では説明できない想い。
その場にならなければわからない衝動。
抱えた過去。息苦しい現在。
見失いかける自分。
それでも人は、明日に向かって生きていく。
魂をすり減らして潜入捜査に打ち込んだ永倉の歪んだ想い。
自らの気持ちの在り方に惑い、そして苦悩する椎葉の想い。
そんな椎葉の気持ちに真正面から向き合った宗近。
苦悩の末の椎葉の選択は、二度目の誓い。
そして、悲壮で、だけど揺るぎのない決意。
苦しい関係の続きそうな二人の未来だけど、宗近の度量の広さに縋りたい。
垣間見れた篠塚の厳しさと優しさは、好ましいものだった。


おまえは強い。
そう言われて、頑張れる場合もあると思う。
だけど、そうじゃない、と、叫びたい場合もある。
強いわけではない。
強く在るしかなかった。
だけど、たぶん、それでいい。
押し隠した弱さは、触れないままでいい。
偽りの強さが、いつか、真の強さになる日を信じて。



内容(「BOOK」データベースより)

警視庁組織犯罪対策第五課、通称「組対五課」の刑事である椎葉は、拳銃の密売情報を得る、言わば拳銃押収のスペシャリストだ。その捜査方法はエス(スパイ)と呼ばれる協力者を使った情報収集活動に重点がおかれている。大物ヤクザである宗近をエスとし、自分の身体を餌に情報を得る椎葉に、ある日、上司から命令が下った。それは同僚の刑事である永倉の援護をするというものだった!刑事とエス。それは運命を共有する関係でありながら、決して相容れない存在でもある。孤独に生きる男たちの歪で鮮烈な愛の物語。

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「アンチェルの蝶」遠田潤子(光文社文庫)



切望した新世界。
自らの手でつかみ取ろうとした未来。
血の繋がった親からの理不尽な仕打ちに黙って耐えながら、
中学生の彼らはただ、懸命に生きようとしただけなのに。
彼らの親は、人ですらなかった。
子供は生まれてくる環境を選ぶことができない。
そのことが、とてもやるせない。
悪夢のような現実を終わらせるために失ったものは、
心穏やかな日々。希望に満ちた未来。
けれども、彼らは彼女を守り、彼女は彼らを守り続けた。
そして、瓦解する「最高の日」。
どうして?と、叫ばずにはいられませんでした。
「アンチェルの蝶」
美しい響きを持つタイトルの意味を理解した時、鳥肌が立ちました。


「人にソフトクリームを買ってもらったのははじめてだ」
40歳を過ぎた藤太の言葉に、涙が溢れそうになりました。
私が与えてもらったたくさんのものを。
姪っ子ちゃんと甥っ子ちゃんに、今度は私が惜しむことなくプレゼントしてあげたい。


内容(「BOOK」データベースより)

大阪の港町で居酒屋を経営する藤太の元へ、中学の同級生・秋雄が少女ほづみを連れてきた。奇妙な共同生活の中で次第に心を通わせる二人だったが、藤太には、ほづみの母親・いづみに関する二十五年前の陰惨な記憶があった。少女の来訪をきっかけに、過去と現在の哀しい「真実」が明らかにされていく―。絶望と希望の間で懸命に生きる人間を描く、感動の群像劇。

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「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク(ハヤカワ文庫)



【われわれはこの先、どこにいくのだろうか?】

人類が宇宙に飛び立とうとする、まさにその瞬間。
遥か彼方から地球に訪れた、生命体との出逢い。
この出逢いがもたらすものは一体何なのか。
「人類はもはや、孤独ではないのだ」
わくわくするようなプロローグ。
しかし、別の惑星に住む高度な知的生命体との出逢いは、
私の知る「人類」の終幕へのカウントダウンだった。
産み育てた子供が手の届かない存在となってしまう悲哀と喪失。
未来があると信じられるからこそ生じる活力。
「幼年期」を終えた地球の在り方を見届けられるものは誰もいない。
「その記憶とは、過去の記憶ではなく未来の記憶」即ち予兆。
誰もが知る「悪魔」という概念に対する時間軸の逆転の発想には、ただ唸るしかなかった。


沼沢氏の翻訳した創元版と併読。
言葉の言い回しの細かいニュアンスはこんなに違うんだなーと、
なかなか面白い読書体験でした。

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「GIANT KILLING 35」ツジトモ モーニングKC



勝負の世界で生きる者たちにとって大切なことは、
ピッチの上で結果を出すこと。
とても厳しい世界で戦うが彼らが、
その状況を「楽しい」と、所属するチームを「大好き」だと、感じられるのは、
彼らを導く監督の手腕であり、チームメイトとの人間関係なんだろうなぁ、と思います。
のびしろのある椿や窪田がそう感じられるチームでプレイできることは
そして、互いに切磋琢磨しながら戦えることは、
彼らにとってとてもプラスになっていくはず。
ガッツリぶつかって戦い、引き分けたガンナーズ戦。
そして舞台は代表選へ。
ブランのスタンスは厳しいけれども、公平。
独特な雰囲気を醸し出す日本代表の10番のプレイが気になります!

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「華氏451度」レイ・ブラッドベリ(ハヤカワ文庫)



【ぼくたちが幸福でいられるために必要なものは、
 ひとつとして欠いていません。
 それでいて、ちっとも幸せになれずいにいます】

思索することを禁じ、情報の画一化された世界の中で、
知的財産、即ち書物を焼き払うことを生業とする男たちがいる。
知的好奇心を抹消され、己の意思を奪われ、無為に過ごす時間に疑問を持つことは、
果たして、幸か、不幸か。
身を置く世界に異を唱えれば、己の身に危険が及ぶ。
だが、一度溢れ出した疑問は、烏合することをよしとしない。
流れに身を任せて生きることは簡単で安全だけれども。
現実に抗った結果、モンターグが失ったものと得たものをどう捉えるのか。
「一番大切なことは単に生きるのではなく、善く生きることです」
ソクラテスの言葉が脳裏に浮かんだ。

愛してやまない書物を焼き払う炎の描写の美しさに息を呑みました。
書かれたのが1953年。
今なお色褪せないおもしろさ。




内容(「BOOK」データベースより)

華氏451度―この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく…。本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!

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「エス」英田サキ(SHY NOVELS)



誰も守ることができなかったが故の悔恨と、まるで贖罪のように身を置く孤独。
自責の念に突き動かされるような焦りと先走りは、事態を好転させるはずもなく、
結局自身を窮地に陥れてしまう。
そんな椎葉を救った宗近。
彼もまた、後悔と柵を抱える男でありながら、
ゆとりと余裕とを絶やさない。
椎葉に対して宗近はずっと泰然としたままでいるのかと思ったら、最後、デレましたねー。
「俺に逃げられるぞ」
この台詞、かわいかったです。
ヤクザと刑事。
相容れない立場の二人を繋ぐ「エス」というキーワード。
今後の二人の関係がどうなっていくのか、とても楽しみ。


内容(「BOOK」データベースより)

警視庁組織犯罪対策第五課、通称「組対5課」の刑事である椎葉は、拳銃の密売情報を得る、言わば拳銃押収のスペシャリストだ。その捜査方法はエス(スパイ)と呼ばれる協力者を使った情報収集活動に重点がおかれている。椎葉は新宿の武闘派暴力団・松倉組に籍をおく男を情報提供者として工作している。ある日、寝起きの椎葉に一本の不明な電話がかかってくる。おまえのエスに気をつけろ、と。劣情と矜持、孤独が交錯する男たちの物語。

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「ホテルローヤル」桜木柴乃(集英社文庫)



【どんどん乾いてゆく。どんどん軽くなる。
 そして最後は何も残らない。残さない】

生活に疲れた人たちの、寂しくて優しい物語。
虚しさと、やるせなさと、あたたかさがジワリと滲む。
全七編で紡がれる物語は、少しずつリンクして時間を遡っていく。
今では朽ちたラブホテルが何を見てきたのか。
そこを訪ねた人たちが、何を感じたのか。
新しく人生をやり直した人もいれば、
暗がりにひきずりこまれた人もいる。
挫折を振りかざす身勝手な男。家の為に夫以外の男に身体を預ける女。
妻を思って萎えた男。五千円でかみしめる幸福。
行き場所をなくした二人。真っ正直に生きてきた女。
そして、ホテルを作った男と女。
読後に零れ落ちるのは、溜息か、吐息か。

一緒に年を重ねていくことを幸せ、と、こぼした「バブルバス」が好き。
近しい人に傷つけられた二人の選択に
なんとかならなかったのかと、やるせなかった「せんせぇ」。
「星をみていた」ミコには幸せになってもらたいなぁ、と思います。




内容(「BOOK」データベースより)

北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。

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