きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「流」東山彰良(講談社)
家族。友達。恋人。近所の人。
人と人。
様々な係わりがあるけれども、どんな関係の中にあっても、情に篤い人たちの物語。
情と過去。
そして現在。
様々なものが絡み合い、物語に深みと面白さを醸し出す。
殺人事件の真相。
恋人との別れの理由。
無差別・無分別なものではなく、根底に情が絡んだもので在るが故にどうにもやるせない。
それは、秋生の祖父が己のしたことを深く悔いていたからこその行為であり、抱え続けた秘密。
それでも「自分が大事にされて育った」と噛みしめる秋生を愛したのは、
紛れもなく彼の両親であり、叔父叔母たちであり、祖父である。
人の人生は、死の瞬間まで滞ることなく流れていく。
私も流れの最期に「まぁ、いいか」と言えるべく生きていこうと思った。
水滸伝・武松・中森明菜。
自分が今タイムリーに読んだり聴いたりしていたものが順に並べられる偶然に嬉しくなります。
葉尊麟と宇文の胸の内を掘り下げて尋ねてみたかった気もするけど、
これは秋生の語る、秋生の人生の流れの物語。
彼の歩む人生の少し先が明確に示されつつも、その瞬間で幕を閉じた物語。
私はこの終り方、好きでした。
内容(「BOOK」データベースより)
1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。台湾生まれ、日本育ち。超弩級の才能が、はじめて己の血を解き放つ!友情と初恋。流浪と決断。圧倒的物語。
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「水滸伝3 輪舞の章」北方謙三(集英社文庫)
それぞれの山寨でまとまりつつある男達。
盗賊から義賊へ。
変わりつつある彼らの成長は目覚ましい。
そして、個々の対話からも目が離せない。
蟠りの残る楊志と孔明の再会。
自らの存在意義を胸の内で問い続ける楊志に放たれた孔明の迷いのない言葉にぐっとくる。
安易に弱音を吐くことのできない立場になった晁蓋と呉用が二人きりで吐き出す本音。
袁明ら青蓮寺の者達もまた、役人の腐敗を憂いている。
それを正す方法を模索している。
だが、彼らが晁蓋や宋江たちとは決して相容れることはない。
思わぬ事態から追われる身となった宋江。
「梁山泊で会おう」
たまらなく魅力的な言葉だ。
「楊令と名乗れ」
楊志のこの言葉に、この子の成長ぶりを思い描いてちょっと震えました。
ああ、ここから、と。
そして、王進と王母の存在に心が安らぐ。
彼らの元で人として生き返り、或は成長する英雄のなんと多いことか。
「水滸伝2 替天の章」北方謙三(集英社文庫)
少しずつ近づいている夢。
だが、掴みとるにはまだ遠い。
だからこそ、「光は、必ずある」という
揺るぎのない晁蓋の言葉が、彼らを導く光となる。
各地に散らばる同志たち。
「時」が刻々と近づいてきていることを伺わせる描写に胸が弾む。
夢は語るだけではなく、実現させるに至る手段をきちんと描かなければならない。
この作品を読むたびに痛感させられる。
適材適所。
それぞれの役割の才能に長けた男たちの個性的な在り様がとてもおもしろい。
王倫が小さくなっていった理由はなんとなくわからなくはない。
だけど、それでは国は変えられない。
志を抱いた男たちの熱い想いが迸る。
そして、「志なんかくそくらえだ」といった白勝の熱い想いにもまた、心が揺さぶられるのだ。
武松にまったく寄り添えないのは私が女だからかな。
同情する余地どこにある?
とりあえず武松は自分を人間として生かしてくれた仲間の存在を
生涯忘れずに生きていくといいと思います。
「人間の想像力が及ぶかぎりの、壮大な物語を書きたい。私という創造者の矜持をかけて」
本の間からはらりと落ちてきた帯に書かれた北方の言葉に痺れました。
内容(「BOOK」データベースより)
梁山湖に浮かぶ天然の寨には、世直しを志す者たちが集まっていた。しかし頭領である王倫の堕落により、今は盗賊同然の集団となっている。宋江の命を受けた林冲は、安道全とともに寨に入りこんだが、そこには幾多の罠が待ち受けていた。一方、晁蓋は、巨額の税が賄賂として宰相に贈られることを知る。民の苦しみの結晶であるその荷を奪うための秘策とは。熱く血がたぎる「北方水滸伝」、第二巻。
「郵便飛行機より愛を込めて」尾上与一(Holly NOVELS)
戦争の最中にあっても「戦いではない時間」は確かに存在する。
その中で育まれる思いがあり、穏やかに笑いあえる日々がある。
そして、終戦を迎えても、彼らの「心の中の戦争」は終わらない。
戦争の記憶は癒えない傷となり、生涯彼らの胸に留まり続けるだろう。
だけど「生きていてよかった」。
この言葉に勝る言葉はない。
散りばめられた幾つもの物語からそれらのことが伺えて、
あっちこっちで胸が締め付けられながらも、彼らの笑顔にほっとする。
そんな短編の数々です。
大好きな六郎と恒の物語なので、思い入れもひとしお。
幸せな読後感に包まれて本を閉じました。
終戦記念日の読了に相応しい物語。
読みながら、兵士の日常を描いたティム・オブライエンの「本当の戦争の話をしよう」
を思い出しました。
織姫と彦星。
情緒が全くなさそうな恒の話に何故か思いっきりうなずきかけている自分がいて……
ああ、でも、恒、間違ってないよ!と、目から鱗でした(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「碧のかたみ」の主人公・琴平恒と厚谷六郎を中心に、家族や仲間、笑いと涙、命を懸けてきらめいた青春の日々を、やさしい眼差しで見つめ描いた番外編集。今では手に入らない特典SSから商業未発表作品までを収録!書き下ろしは、弟・希と恒の再会を描いた「桜雨」や、恒と六郎のあたたかく幸せなやりとりなど、1945Seriesファン待望の一冊!牧オリジナル描き下ろし漫画も同時収録!!
「ぐりとぐら」(福音館書店 )
お料理することと食べることがだい好きな、のねずみのぐりとぐら。
彼らが森でみつけた卵は、家に持って帰れないくらい大きな卵。
だけど、食べることを諦めない彼らは考えました。
どうしたらいい?
この辺り、子供達と一緒に考えてみてもおもしろそうですね。
二匹ののねずみの出した結論は、「おなべを持ってきてここでカステラを作ろう!」
彼らが用意したお料理道具の大きさにびっくりします。
森の中でカステラを焼けば、おいしそうな匂いに惹かれてやってきた
森の仲間と分けあうのはお約束。
え?キミも食べるの??というお仲間もちゃっかり混ざっています。
ぐりとぐらの表情が終始可愛いくて、ほっこり癒される絵本ですね。
エプロンをして、大きなボールをかかえてカステラを作っている姿が
なんとも言えないくらい可愛らしい。
カステラが出来上がった瞬間は一緒になってわくわくしちゃいます。
食べたーい!
「覇者の魔鏡(後編)炎の蜃気楼8」桑原水菜(コバルト文庫)
緊迫する戦いの連続。
渦中で対峙する謙信と家康の姿に、何故か私もハッとする。
そして氏照の示した肉親の情とやさしさに涙……。
「帰っておいで」
そうやって受け止めてくれる人は、もう、いない。
帰る故郷を失った景虎に突きつけられるのは、厳しい現実。
「私に甘えないでください」
なーおーえー。
誰もが、彼が恙鏡を壊すのではないかと危惧していた。
けれども、ギリギリの所で踏みとどまった直江。
その選択は間違ってはいない。
けれども、そうやって選択した道は、
高耶にとっても直江にとっても修羅の道であることには違いがないのだ。
日光!
日光に行かねば!という想いに駆られる巻。
何度も行ってますけどね(笑)
それよりも今は箱根に行きたいかな。
箱根神社をゆっくりまわりたい。
千秋の伊達最強説がなんだか嬉しく感じるのは、多分私の地元愛。
内容(「BOOK」データベースより)
「このひとを、鏡の中から解放してほしい」それが、直江が選んだ願いだった。北条氏康の化身した竜が持つ〓(つつが)鏡に呼応し、魔鏡から高耶の魂が放出された。意識を取り戻した高耶は風魔が支配する箱根を脱出し、譲が木縛されようとしている日光へ向かうのだった。天海僧正が徳川幕府守護のために、強力な呪法を行ったという『関東大三角』をめぐって北条と上杉夜叉衆の最終決戦が始まった。
「天使の影~アドリアン・イングリッシュ1~」ジョシュ・ラニヨン
自らがゲイであることをしなやかに受け止めているアドリアンと、
そんな自分を激しく嫌悪しつつも、アドリアンに惹かれていくジェイク。
ジェイクの申し出で付き合うことにはなったものの、
逃げ腰なジェイクの態度に傷つき、疲れ果てた
アドリアンが逃げ込んだ牧場で巻き込まれた事件。
恋愛要素とミステリー要素。
どちらもガッツリ読ませてくれながら、
最後まで目が離せない展開が続いて、読み応え抜群。
アドリアンとキスをすることすら抵抗のあったジェイクのセックスが
やさしかったのが、個人的にハッピー要素。
本来の自分たちの場所に戻った時、この二人の関係はどう進展するのかしら?
カッパハゲからザビエルを連想するのは万国共通なのかしら?
と、ぼんやり思ってみました。
途中で読むのをストップして出かけないといけないのが、
続きが気になりすぎて辛かった。
出先では楽しく遊んできましたケド(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
行き詰まった小説執筆と微妙な関係となったジェイク・リオーダンから逃れるように、祖母が遺した牧場へとやってきたアドリアンは道ばたで死体を発見する。だがその死体は保安官が来た時には跡形もなくなっていた。敷地内のスパニアード・ホロウ峡谷では学者たちによる発掘作業が行われていたが、謎の呪文や飼い犬の変死にスタッフは不安を覚えている。そして牧場の郵便受けにはガラガラヘビが。これは谷の安らぎを守る「ガーディアン」の呪いなのか?アドリアンを追ってやってきたジェイクとの関係も事件を通してゆっくりと動き出す、シリーズ第二弾。
「グレート・ギャツビー」フィッツジェラルド(中央公論新社)
読後に胸の中に広がる感情を言葉に表すなら「寂しい」の一言。
それが、身を切られるような寂しさではなく、
どこかにあたたみの感じられる寂しさである所以は、
語り手であるニックの目縁が、最後までギャツビーに寄り添い、
どこまでも優しかったから。
デイジーに想いを馳せつづけたギャツビー。
ありとあらゆるものを手にしていたかのように見えた彼の掌を、
唯一、すり抜けていったかつての恋の象徴。
象徴が実態を持って手の届くところに現れた時、降りかかる悲劇。
何もかもが虚飾にすぎなかったかのような人生。
だが、彼は孤りではなかった。ニックという友が、傍にいたのだから。
自分の浮気を棚に上げ、妻のかつての恋の再燃を詰るトムは最低だと思う。
デイジーを詰る資格は彼にだけは絶対にありえない。
そもそもの悲劇の一因はトムにあるのだから。
トムの言い分もしでかしたことも身勝手すぎて、個人的には許せない。
というわけで、彼に神の鉄槌が下ればいいと、大人げなく思うのでありました。
村上氏の訳は素晴らしかった。
かつて読んだ他の訳者の「グレート・ギャッツビー」とはまた違った物語を堪能させてもらいました。
内容(「BOOK」データベースより)
村上春樹が人生で巡り会った、最も大切な小説を、あなたに。新しい翻訳で二十一世紀に鮮やかに甦る、哀しくも美しい、ひと夏の物語―。読書家として夢中になり、小説家として目標のひとつとしてきたフィッツジェラルドの傑作に、翻訳家として挑む、構想二十年、満を持しての訳業。
「進撃の巨人 20」諫山 創(マガジンコミックス)
誰もが思う。
自分だけは特別だと。
だけど、そうではないのだと。
現実を突きつけられる残酷な瞬間がある。
闘わなければ勝てない。
だが、その勝利には多くの犠牲がなければ手が届かない。
「死んでくれ」といったリヴァイ。
余りにも穏やかなエルヴィンの微笑み。
犬死ではない。
明日を繋いだ者たちに、すべてを託すために、駆けつづける調査兵団。
そして、104期生も必死で考える。
かつての仲間を斃す手段を。
胸が軋みながら頁を捲る。
「海を見に行くよ」
堪えていた涙は堰を切り、ここから最後の章は大泣きしながら読了。
次巻、読みたいけど辛い……
容赦ないけど、だからこそ、読み応えがあるし、心に響くものがある。
この戦いの果てに何が残るのだろう?
その答えはエルヴィンの言葉にある。
この巻を最後まで読んで、彼の言葉を反芻して、再び号泣。
「水滸伝1 曙光の章」北方謙三(集英社文庫)
不正の横行する政治。
暴利を貪る役人。
困窮を極める民。
そんな世の中を何とか作り変えようとする男たちがいた。
期待の持てぬ今の世の中のすべてを叩き壊して、新しい国を。
中心に立つのは、人を魅了して止まない二人の男、宋江と晁蓋。
彼らを軸に、志を同じくする男たちの輪が少しずつ広がっていく。
男達が顔を合わせるたびに心が躍り、
それぞれがとても魅力的でわくわくする。
決してぶれることのないしっかりとした芯を持つ男たちの生き様は、
たまらなく熱くて、目が離せなくなる。
彼らがどんな理想郷を作り上げていくのか。
壮大な物語の幕開け。
「別れるとき涙が出てしまう友を持てたのは、
あなたがきちんと生きたからですよ」
王進の母の言葉が胸に響きました。
獄中での凄惨な日々を生き延びた林冲。
故郷を追われた史進。
水場に強い阮三兄弟。
財源を一手に担う蘆俊儀。そんな彼に影のようにつきそう燕青。
あげていけばきりのない英雄たちの物語。
だけど、どこまでいってもベースに在るのは北方浪漫。
内容(「BOOK」データベースより)
十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた―。世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の文庫版刊行開始。
