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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「逃亡者は北へ向かう」柚木裕子(新潮社)

結末は最初から想像できる。
だからって、払拭できるわけがないこのやるせなさ。
彼が思い描いた未来像が胸に刺さる。
ぬくもりを、やさしさを、愛情を少しでも感じて欲しいと思ってしまう。
いや、あの子の存在があったからこその夢だとすれば、
それらの欠片でも彼は手にすることができたのだろうか。
差出人のない手紙が、何かを届けてくれたのではないだろうか。
未曽有の大災害。
生活の基盤を失い、悲しみに打ちひしがれ、立ち上がれないほど疲弊しきっても、
それでも、人々は前に進まなければいけなかった。
生きていかなければいけなかった。


架空の都市名であっても、土地勘があればある程度は位置関係を思い浮かべることができる。
そんな私でも思った。
地図!地図が欲しい!と。
彼らの辿った道を目で確認して距離感がつかめれば、
よりリアルに感じることができたと思うんだよね。
ちょっともったいない。
そしてテリー・ホワイトの『木曜日の子供』を無性に再読したくなりました。

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「タフEXTRA1」 岩本薫(B-BOY NOVELS)

本編の番外5編。
本編後の甘々な作品群だと思って読んでみれば、過去編も入っていて。
ラブ期を知っているだけに、ギスギスしていた頃の二人が痛ましい。
『B.D.大作戦』
誕生日当日に拘るのは、付き合い始めだからこそよねー、と、何だか微笑ましい。
とはいえ、当日バタバタしたところでどうにもならない。
空回った挙句にシンゴが見出した答えは最良のものだったかと。(笑)
『アンラッキー刑事』
視点が違えば物の見方ってこうも違うのね、と。
シンゴの口から出た言葉に響と一緒に脱力。
なんだかんだ雪解けの兆しが見えているのが嬉しい。


その他3編。
私、貴水にはどうしても良い印象がないんだよなー。
と、引っかかったところ以外は楽しく読了。

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「デルフィニア戦記 外伝4 国王の受難」茅田砂胡(クロスノベルズ)

短編四編+α。
「王女誕生までの七日間」
リィが王女になるまでの宮廷内事情。
ウォルの提案を皆がどんな風に受け入れていったのか。
それぞれの言い分、立ち回りに納得。
そして「薔薇風呂に熊が肩までつかっている」の件に爆笑。
『デル戦』ホント好きだわーと思った瞬間。
「国王の受難」
ウォルの女性に対する向き合い方には好感しかない。
そしてウォルが女性と会う場を覗き見(?)していたリィのナイスフォロー。
良い夫婦(同盟者)だなーと思う瞬間。
「男の修行」
男子であるシェラの男としての振る舞いに違和感って…。
他の作品も楽しく読了。

これで『デルフィニア戦記』読了。
あ、寂しい。
久々に再読したけどとっても楽しかった。
デビュー作を改定したシリーズが、そしてそこから派生した作品が多々あって、
ホントすごいなーって思う。
しかも大元を辿れば同人誌。
増々すごい。
ああ、でも私、茅田さんとも沖さんとも逆cpなのよーー!とそこだけが残念。
基本リバokなんだけど、そこだけは固定なのです。




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「ファイアーウォール 下」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)

サイバー犯罪。
今では日常的に使われる言葉だけど、
1998年のマンケルの目の付け所と言うか、発想力、すごいな、と瞠目する。
彼らの企てたような目論見が成功したら、世界はどう変わってしまったのだろう?
明るい未来の想像はできない。
そして、その可能性はゼロではないのだ。
怖~~。
懸命な捜査半ばでヴァランダーが知ることとなるまさかの裏切り。
それでも。
この仕事を続けてきてよかったね、と、思えるラストに胸熱。
人と人。
まぁ、いろいろあるよね。
耳馴染みの良い言葉だけ聞こえてくるわけではない。
だけど。
前に進まなければいけないのだ。

プライベートの人間関係は切ってしまえばそれで終わり。
我慢してまで付き合う必要はない。
だけど、仕事が絡むとそうはいかない。
ましてや同じ職場で拗れると目も当てられない。
なるべくなら円滑に穏便に、最後まで(=辞めるまで)過ごしたいと思うよ~。

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「タフ 5」 岩本薫(B-BOY NOVELS)

シリーズ最終巻。
さすが岩本さん。
1巻から5巻に向かって尻上りにおもしろくなっていって大満足で読了。
10年前から引きずっていた事件は解決し、拗れまくっていた親子仲も修復の兆しを見せ、
何より、長きにわたって想い合いながらも、
偶然の再会がなければ一生会うことが叶わなかったかもしれないた二人の恋の成就。
その想いの深さと甘さに、幸せな気持ちになりました。
神蔵父と対峙したシンゴ、かっこよかったなぁ。
響とシンゴ。
互いに一生傍にいるという想いを口にするシーンはもはやプロポーズ。
新しい一歩を踏み出した二人に祝福を。

あと二冊。
番外編で楽しませてもらえるのが嬉しいね。




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「ファイアーウォール 上」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)

息つく間もなく上巻読了。
この重厚な面白さがあと一冊分味わえることが嬉しく、
反面、え、ちょっと続き気になるんですけどー!とジタバタする。
タクシー運転手が殺害され、犯人は逮捕される。
それは解決したも同然の事件の筈だった。
ところが。不可解な出来事が次々に起こり、事件は混迷を極める。
イースタ警察署のいつもの面子は相変わらず働きすぎで疲労困憊。
だけど、みんな手を抜かない。
地道に聞き込みをし、時に禁じ手を使い、手繰り寄せた事実の断片をコツコツと積み重ねていく。ぼんやりと見えてきた犯人の存在。
果たして、その真相は?

ルアンダでなんでポルトガル語?と思ったけど、
ルワンダと混同した自分に気づいてみました。
ルワンダ(国名・公用語はルワンダ語・スワヒリ語・フランス語・英語)と
ルアンダ(アンゴラの首都・公用語はポルトガル語)は別。

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「10DANCE 7」井上佐藤(講談社)

「今この瞬間も愛してる」
なのに。並び立つことができない遣る瀬なさ。
お互いに恋心を抱いていることはわかっている。
でも、その想いのままに突き進むことはできない鈴木と杉木。
妹への想いを断ち切れず、燻るノーマン。
そんなノーマンと鈴木の代償行為。
ああ、寝ちゃうんだ。
と思いつつも、それはそれで仕方なかったのなーと。
お互いに、それくらいやりきれなくて寂くもあり、
想う相手を守るためでもあったのかな。
だけど。
それじゃあ渇きは癒えない。
欠けたピース。顔を合わせてしまったらもう、そうなるよね。
ってか、次巻いつですかー!


特装版の小冊子。
こんな風にポンポン言い合う二人に早く出会いたい。
と、コミカルな内容なのになんかしんみり。
だってこの巻の二人は互いのことを思って苦しそうな表情ばっかりなんだもん。
2年焦らされたんで、続刊そろそろお願いしたいです。


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『茅田砂胡 全仕事』茅田砂胡(C・NOVELS)

本編終了から10年後の世界。「紅蓮の夢」
とてもとても楽しかった。
元の世界に戻ったリィの変わらぬデルフィニアへの想い。
10年経っても変わらない絆。
まさかウォルが飛ぶとは思わなかったけど、
異世界へ来ても動じない彼に絶大なる安心感。
だけど、デルフィニアがあんなことになっていたなんて。
リィの絵姿に向けられたデルフィニアの人々の切実なる想い。
間にあって良かったよ。
もう一度彼らとリィが並び立つ姿が見られたことがとても嬉しい。
沖さんの漫画「ヴァンツァーの櫛」。
動く(?)彼らに感無量。どの頁も豪華。
『デル戦』最高!

『スカーレット・ウィザード』も大好きなので、
ケリーとジャスミンにまた出会えたことも嬉しい。
ってか、他のシリーズも再読したくなる危険。
いつか、必ず☆彡




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「タフ 4」 岩本薫(B-BOY NOVELS)

前巻で一つのボーダーラインを越えた二人。
だけど、そこでなし崩しにならず、改めて過去の出来事としっかりと向き合い、
抱えた不安やこみ上げる想いを言葉にする。
ああ、そうやって折り合いをつけていくんだね、と、
そこまできっちり読ませてもらえて、感無量。
「好きよりも深くて、重くて、厳かな気持ち」
そうだよね。
その気持ちを表す言葉を二人の口からきけたことが、ただただ嬉しい。
正直、ヒカルの言動には苛々しっぱなしったけど、
それも吹っ飛ぶくらい、響とシンゴの関係性の進展が嬉しかった。



話のスケールが大きくなってきた4巻。
警察内部の抱える問題に今後どう迫っていくのか。
気になる~~!!

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「タフ 3」 岩本薫(B-BOY NOVELS)

副題がいいね。「ボーダーライン」。
8年の時を経て再会した二人が、改めて向き合うことになった境界線。
どうしたいのか。どうして欲しいのか。どう在りたいのか。
自分の意思で越えようと思った向こう側。
「同じ立ち位置で肩を並べたい」とはっきりと口にしたシンゴの言葉にぐっと来た。
とはいえ。
迷惑をかけないことと独りで無茶をすることは同義じゃない。
犯罪が絡んだ厄介ごとは刑事である響に任せるべし。
あ、でも今回はシンゴが響を助ける場面もあったからね。
成長が垣間見られる瞬間。
ヤクザ相手に立ち回る響がかっこよかった。

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