きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「アンフォーゲタブル」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
恋した人を想う気持ちの深さ。
やり遂げようという意思の強さ。
職場の仲間を案じる気持ち。
家族を思いやるやさしさ。
がんばって日常を生きる人たちのたくさんの想いが溢れて伝わってくる。
一穂さんの話が好きだなーと思う所以です。
望に対する想いを冬梧が自覚する場面がすごく好き。
そして封筒に入れたいちょうの葉に託した望みの想い。
それを汲んだ冬梧と一緒に泣きたくなりました。
そして再会。
冬梧の記事を望が追いかけていたということがなんだかじんわり嬉しかった。
穏やかに寄り添って生きていってほしいなぁ、と思います。
未帆ちゃんが本当に良い子だった。
泣いている未帆と途方に暮れる冬梧の脇を通り過ぎようとした静に笑ってしまった。
気持はわからなくもないけど!
でも私も叫ぶわ。「何で無視するんですか!」って(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
ある夜、新聞社勤めの冬梧が証明写真を撮っていたボックスに見知らぬ青年が闖入、身も世もなく泣き出してしまう。お詫びをと連絡してきた製薬会社勤務の望と交流を重ね、冬梧はデートめいて心地いい時間に戸惑う。やがて懇願される形で体をつなげ、すでに惹かれていたのだと観念した冬梧だが、望はその日から「もう会えない」人になっていた―。
PR
「僕はここにいる」飯田雪子(ホワイトハート)
【これからもずっと、僕はここにいる】
綺麗で純粋でちょっと切ないお伽噺。
不思議な瓶の音に導かれて出会ったのは、透明で優しい雰囲気をまとった彼だった。
逢うたびに彼に惹かれ、淡い想いを抱いていく涼香だったけれども。
いつしか彼女は気づいていく。
それは抱えきれない哀しみが引き寄せた出逢いであることを。
前に進むためには彼とはもう二度と会えない、会ってはいけないのだということを。
だけど、その出逢いは涼香にとっては必要なものだった。
人生に立ち向かっていくために。
いつだって笑っていられるために。
ぼくはずっとここにいる。
泣き顔しか見せなかった彼に、とびきりの笑顔を。
内容(「BOOK」データベースより)
はじまりは、瓶の音だった。夜の庭に響く、聞こえるはずのない音。中一の春。新しい町で幸せに過ごしていくはずだったのに、いつしか家の中には険悪な空気が流れ、そしてある夜、それは哀しい空気へと変わってしまった。なす術もなく立ちつくすあたしの前に現れた、不思議な雰囲気をもつ人。彼が教えてくれたことは…。心に染みる、せつなく美しいファンタジー。
「皆月」花村萬月(講談社文庫)
【ふつうの生活をしていると、そこまでするかって思うけど、
渦中にいると、何も見えなくなってしまのよ】
一千万円の貯金を奪われ、突如として妻に捨てられた諏訪徳雄。
沙夜子の元夫である彼は、アキラの兄貴であり、由美のオッサンであり、
我孫子たちのおとうさんだった。
これは再生の物語。
諏訪は男として、由美は女として、そしてアキラは人間として。
人生に躓いた人たちが互いに支えあいながら、前に進む物語。
アキラの無邪気さと純粋さ、そしてまっすぐさは人を守る最強の盾であり、
時に人を死に至らしめる最凶の鉾でもある。
大人になりきれない淋しさと孤独が見え隠れする彼はどこか不憫で憎めない。
だからと言って人を殺していいということにはもちろんならないけどねww
居場所を作って待っていてくれる人ができて、ホント、良かった。
必死でがんばった由美の頭を私も撫でてあげたいなぁ、と思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。人生に躓き挫折した夫、妻も仕事も金も希望も、すべて失った中年男を救うのは、ヤクザ者の義弟とソープ嬢!?胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。吉川英治文学新人賞受賞作品。
「ナイトガーデン」一穂ミチ(フルール文庫)
豊かな感性で生きる柊と、理詰めで生きる和章。
真逆なようでいて、実は分かり合える部分もあわせ持つ二人。
飾らない言葉と偽らない態度。
静かな山の中の自然に囲まれた空間の中で、
過去に大きな傷を抱えた二人がお互いの言葉でお互いのことを語りあい、
次第に気持ちを寄せていく様子がとても真摯に伝わってきて。
ああ、人って、こうやって惹かれあっていくんだなぁ、ということが
とても綺麗に伝わってきた。
お互いの弱さと強さを見失わずに「いい大人」に成長していくことが信じられるラスト。
「一度は物の数じゃない」
挫けそうになったときは、柊の解釈を思い出して頑張ろうと思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
静かな山の中で祖父と暮らす石蕗柊のもとに、祖父の昔の教え子だという男・藤澤和章が訪ねてくる。このまま一生山を出ずに生きていく、そう思っていた自分はなんて狭い世界しか知らなかったんだろう…生まれてはじめて触れた人の肌の熱さに和章への想いを自覚する柊。だが彼の瞳はいつも柊ではない“誰か”を見ていた…。「ふったらどしゃぶりWhen it rains,it pours」から一年、消えない傷を抱えた和章の愛と再生の物語。
「erotica」榎田尤利(リブレ出版)
何処か常軌を逸したようなあまりにも濃密な情事。
勘違いと好きすぎる気持ちが暴走した微笑ましい逆転劇。
快楽に奔放な男が知った、未知なる愉悦。
本当の自分を曝け出した男に絆されて踏み越えた一線。
嫉妬に狂った故の暴走……からの立場の逆転。
そして、美しい文体で綴られる書簡の往復と日記と間に差し込まれる胸に迫る小説。
6編の短編のどれもが秀逸すぎて、息を呑むような真剣さで読みふけってしまいました。
しばらく浸っていたいこの読後感を、なんと形容するのが適切なのか、
ちょっと言葉が見つかりません。
ときに秘やかに、ときに大胆に。
あとがきの榎田さんの言葉通りの短編集でした。
内容(「BOOK」データベースより)
弱みを握られ、脅され、ふたりがかりで辱められ―支配するものがその立場を奪われ、悦楽に跪くとき…。『10×3』をはじめ、書き下ろし含む全6編、密室、玩具、極道など、榎田尤利がこだわりぬいた極上のエロティック短編集。
「向こう側の遊園」初野晴(講談社文庫)
花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。
月明かりに照らされる夜に、彼岸と此岸の境界は曖昧になり、
動物たちの最後を看取る青年に巡り合える。
初野さんらしい、優しさと厳しさを備えた話。
語られる言葉の断片に、時に胸を抉られる。
生と死。
どんな命にも、生きてきた年数分の物語と想いが刻まれる。
人の想いですら理解に苦しむ人という存在が、
動物たちの最期にどんな想いを託すのか。
或は。
何を願うのか。
それぞれの章から投げかけられる問はどこまでも真摯で重い。
蒼い光を投げかける月の光。
匂いたつ数多の花の香り。
終末の物語の中に在って、唯一語られる再生の物語。
彼らに、光ある未来を。
内容(「BOOK」データベースより)
花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人人。せめて最期の言葉を交わせたら…。ひとと動物との切ない愛を紡いだミステリー。
「ふったらどしゃぶり」一穂ミチ(フルール文庫)
ひとつの彫刻作品を見てこみあげる思い。
その思いを、いま、この瞬間に伝えたいという衝動。
きっとわかりあえる。
そんなふうに思える相手に出会えたこと。
それは、たぶん、運命。
誤送信で始まったメールのやりとり。
やり場のない想いは吐き出す場所が必要で、
自分を理解してくれる相手の存在は、ただそれだけで心強い。
他愛もない言葉のやり取りから、真摯な想いを吐き出すまでに至るメールの往復は
胸に迫るものがあり、だからこそ、どん底に落ちた時に縋った言葉が痛い。
どこまでも際限なく求め合う二人の姿が痛々しくて切なくなる。
やっと一歩を踏み出すことができた二人。
お幸せに☆
実は私、一顕と同じ誤送信メールを送ったことがあります。
退職した部長に(爆笑)
レストランの店舗情報だけを送られてきた部長は、
どんな意味があるのかしばらく悩んだそうな。
一方の私は……あれ?届いてない?
ま、いっかー、送るつもりだっただけで実は送ってなかったのねー、
と、のんきになかったことになっていました。
ゴメンナサイ(*^_^*)
内容(「BOOK」データベースより)
同棲中の恋人とのセックスレスに悩む一顕。報われないと知りながら、一緒に暮らす幼馴染を想い続けている整。ある日、一顕が送信したメールが手違いで整に届いたことから、互いの正体を知らぬまま、ふたりの奇妙な交流が始まった。好きだから触れてほしい、抱き合いたい―互いに満たされない愛を抱えながら、徐々に近づいていくふたりの距離。降り続く雨はやがて大きな流れとなってふたりを飲み込んでいく―。
「ジェファーソンの密約 下」ジェームズ・ロリンズ(竹書房文庫)
【いずれ答えは出るだろう】
限られた時間の中で繰り広げられる戦い。
事の始まりはアメリカの建国の時まで遡る。
解かなければいけない謎。
止めなければいけない爆発。
守らなければいけない人たち。
めまぐるしく展開していく事象から目が離せなくなり、
ひたすら文字を追い続ける。
膨大な知識の数々が破綻することなく綴られる筆力は相変わらずお見事。
彼らの尽力があって、地球規模の危機を何とか脱するのだけれども。
失ったものはあまりにも大きかった。
カイとジョーダンの若いカップルに救われた感じかな。
絶望の底あるグレイが這い上がってくる、その時の姿を想いながら捲った最後のページ。
ラスト一行で受けた衝撃は半端なかった。
続きが楽しみ。
個人的に今回のベスト・オブ・シーンはムササビのように四肢を広げて宙を飛ぶ犬、カウッチ。
笑う場面じゃないんだけど、想像したらあまりの可愛さに笑ってしまった。
内容(「BOOK」データベースより)
先住民の歴史から調査を続けるペインターたちと、アメリカ建国の歴史から調査を続けるグレイたち。彼らが探すのは、あらゆるものを粉末へと分解してしまう「大いなる秘薬」―古代のナノテクノロジー技術から生まれた物質が大量に貯蔵されている場所。アイスランドでの爆発により、新たにニュートリノが放出され、次の爆発へのカウントダウンが始まる。金でできた地図からグレイは物質の貯蔵場所を突き止める。そこは考えられる限りで最悪の場所だった。アイスランドの百倍以上の規模と予想される爆発によってその地の火山が噴火すれば、全世界に壊滅的な被害が及ぶ。ペインターとグレイは、人類滅亡へのカウントダウンを止めることができるのか?そして、ギルドに関して驚愕の事実が明らかになる。