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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「一九八四年」ジョージ・オーウェル(ハヤカワepi文庫)



破壊される言語。書き換えられる歴史。
一体何が真実で、何が虚構なのか。
同じことがいま自分たちの身の周りで行われていても、
果たして気づくことができるのだろうか?
答えは多分、否、だ。
「戦争は平和なり」「自由は従属なり」「無知は力なり」
どういうこと?と思ったスローガンを唸るように納得させてしまう論説に圧倒された。
これが1948年に書かれた文書であるということには、ただ感嘆するしかない。
ウィンストンを追い詰めていくオブラエンのやり方には背筋に薄ら寒いものが走るけれども、
それが効果的な手法であることは認めざるを得ない。
自由意思で謳歌することにのできない人生に何の意味があるのか?
と、問いかけたいところだけれども。
ウィンストンと同じ境遇に置かれたとき、
果たして自分はその問題提起を掲げることができるのだろうか?
即答できなかったことに、愕然とした。

内容(「BOOK」データベースより)

“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

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「秋霜 ブラディ・ドール4」北方謙三(角川文庫)



【いま、私はおまえの夢の中に現れた。そう思うことだ】

秋の霜。強固な意志。鋭く光る刀剣。
遠山の全てを込められた意味を持つタイトルが秀逸。
その男は画家だった。58年間、暴力には縁のない世界で生きてきた男。
だが、守り抜くと決めた女のために、闘うことを心に決める。
賭けるものは己の命。
見返りを求めることのない愛。
深いなぁ、と思った。遠山の想いが。

キドニーが心情を語るシーンはひどく切ない。
過去はやり直せない。
失ったものは取り戻せない。
それでも、男たちは、この街で生きていく。

葉巻を巡る海の男たちのやりとりが、あまりにも子供じみていて笑ってしまった。


内容紹介

人生の秋を迎えた画家がめぐり逢った若い女。過去も本名も知らない。何故追われるのかも。だが、男の情熱に女の過去が融けてゆく。”ブラディ・ドール”シリーズ第四弾! 再び熱き闘いの幕が開く。

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「肉迫 ブラディ・ドール3」北方謙三(角川文庫)



【死ぬときは死ぬさ。男ってやつはな。】

闘う理由は亡くした妻のため。娘のため。そして、友と認めた男のため。
そこに、打算も計算も損得勘定もない。
だからこそ、強く在れる。愚かしいほどまっすぐに、命をかけられる。
守りたい人のために。

己の在り方に揺るぎのない川中。
妨害や脅迫に屈せず、果敢に闘う秋山。
男としての成長の著しい坂井。
過去を背負い、今に生きる男たちの生き方に少しずつ感化されていく藤木。
そんな彼らと一線を画しつつも、寄り添うキドニー。
何とも不思議な魅力を持つ男たちが集う店、ブラディ・ドール。
男の窮地にただ震えるのではなく、共に闘える菜摘に、
同じ女としてエールを送りたい。


内容紹介

固い決意を胸に秘め、男は帰ってきた。港町N市――妻を殺された男には、闘うことしか残されていなかった。男の熱い血に引き寄せられていく女、”ブラディ・ドール”の男たち。シリーズ第三弾!

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「クラッシュ」水壬楓子(リンクスロマンス)



高臣がいままでどの相手とも長続きしなかったのは、
本当に欲する関係を自分自身が知らなかったから……なんだろうな。
抱くつもりで誘った侑生に逆に抱かれることになった高臣。
強引な侑生に翻弄されているようで、実は侑生は高臣のことを自分勝手に振り回してはいない。
高校生らしくないほど落ち着いていて、達観した侑生だけれども、
それは、十三年間、高臣のために強くなろうと在り続けてきたからこその強さだ。
向けられる深い想いと自分の立ち位置に戸惑いながらも、
だんだんと侑生の存在を受け入れていく高臣の心理がきれいに伝わってきた。
そして榎本さん、ナイスフォローでしたわ。(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

悪夢は土曜の夜に始まった―。警視庁勤務の夏目高臣は、仕事も恋愛も思いのままのキャリア官僚。週末に出向いたクラブで出会った、気の強そうな好みの青年・侑生と一夜を共にする。―が、抱くつもりだった思惑とは逆に、武道に長けた侑生に力ずくで押さえこまれ、抱かれてしまう。強引に「初体験」をさせられ、屈辱と怒りに歯がみする思いの夏目。その上、侑生が実はまだ高校生と知らされた挙げ句、脅されてマンションに住み着かれ…。

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「碑銘 ブラディ・ドール2」北方謙三(角川文庫)



【気になるやつとならないやつ。
 世の中にいるのは二種類の人間だけさ】

端的で簡潔な文章故なのか、情景がリアルに浮かんでくる。
波の音。酒の匂い。暴力。銃声。女。そして、なんとも魅力的な男たち。
刑務所帰りの24歳成人男子を「坊や」と呼びかけて様になる男はそうはいない。
一癖も二癖もある男たちが集う店、ブラディ・ドール。
自分を殺しに来た男と臆することなく殴りあい、
そして受け入れることのできる川中の漢気と懐の広さに、多くの男たちが魅了される。
手から手へと受け渡されるジッポ。
あぁ…と思うけど、感傷に浸るのは今ではない。
バーカウンターで辛口の酒が飲みたくなる本。
甘いカクテルはいらない。

内容(「BOOK」データベースより)

港町N市―市長を巻きこんだ抗争から2年半が経過した。生き残った酒場の経営者と支配人、敵側にまわった弁護士の間に、あらたな火種が燃えはじめた。そこに流れついた若い男。檻の中で過ごした2年間が男の胸に静かな殺意を抱かせていた。『さらば、荒野』につづく著者会心の“ブラディ・ドール”シリーズ第2弾!

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「バーボンとハニートースト」石原理(ディアプラスコミックス)



「ポルノではない18禁」
過去に石原さんが言っていた言葉だけど、
彼女の作品をものすごく端的に表している言葉だと思う。
濡れ場がなくてもエロティック。
ダダ漏れる大人の男の色気が半端ない。
しぐさや表情。
更に言えば、目線と唇の動きから漂う男の色香にドキドキして、
駆け引きめいたやり取りや、その距離感にゾクゾクする。
かと思えば、ふざけたノリも忘れない。
とても石原さんらしい作品だった。
「次も始まるよ!」って、おっしゃいましたね?
続刊、信じて待ってます!(笑)

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「フィフス」水壬楓子(リンクスロマンス)



15歳の榎本に取引を持ちかける29歳の巽。
そのやりとりと、成立してしまった取引内容に、悪い大人がいる~~!と思ったんだけど。
榎本と巽の両方からの心理を読んで、ああ、と納得してしまった歳の差カップル。
「終わり」を頭の片隅に置きながら、17年かけて育みつづけた想い。
いざ、終わりを迎えようとしたその瞬間に垣間見た二人の本気に、
読んでいて胸がギュッと締め付けられました。
悪魔の尻尾付の榎本が、巽の前でだけ可愛くなるのがイイ。
17年という歳月のなせる業かな。
巽の「あの子」呼びがなんだかとんでもなくツボでした。榎本32歳だよ!(笑)

延清が律の影響でちょっとずつ良い方向に変わってきているのが垣間見れたのも良かった。

内容(「BOOK」データベースより)

ある日、人材派遣会社『エスコート』のオーナーである榎本のもとに、新しい依頼人から電話が入る。相手は衆議院議員の門真巽。彼はボディガートを依頼し、さらにそのガードを同行させるプライベートな旅行に榎本を誘う。実は榎本と門真は、17年前、榎本が中学生の時にある取引をし、月に一度、身体を重ねる関係だった。旅行に誘われたのは初めてで、二人の関係の微妙な変化にとまどいを覚えながらも、榎本は門真の誘いを受けるが…。

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「ハイキュー!! 13」古舘春一(ジャンプコミックス)



烏野vs条善。
溌剌とした試合っぷりが小気味よくて楽しいのは、
彼ら自身が本当に楽しんで試合をしているからなんだろうなぁ。
でも、試合は遊びじゃない。
真剣に取り組んでいる姿勢がちゃんと伝わってくる。
アドバイスにはきちんと耳を傾け、
自分の実力を過信せず、成長しようという姿勢が伝わってくる。
だから全力で応援したくなる。
この巻を通して大地さんの存在感はすごい。
一緒にプレーする選手はもちろん、監督ですら心強いだろうなぁ。
一触即発のトイレ前もおもしろかったけど、個人的なツボは「薙ぎ払え!」でした(笑)

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「さらば、荒野」北方謙三(角川文庫)



【「なにか、俺にできることは?」
 「ないね」
 「なにもか?」
 「ここから出て行ってくれりゃいい」】

満を持してのブラディ・ドール再読。
若干大げさな言い回しだけど、そんな気分。
シリーズ通しての評価は私の中では一作目が一番低いんだけど、
それでもくぅぅぅ、と、拳を握り、息を止め、胸をドキドキさせながら
次へ次へと頁を捲ってしまう世界が紙面に広がっています。
どこかからっぽで、何かが足りていなくて、色々なものを諦めていて。
それでも、男の矜持と熱い魂を本能で忘れてはいない男たちの世界。
この巻は、ブラディ・ドールのオーナー、川中良一を主軸に繰り広げられる、
壮大な物語の幕開けです。
ドキドキが収まってから、次巻へ……



冬は海からやって来る。静かにそれを見ていたかった。だが、友よ。人生を降りた者にも闘わねばならない時がある。夜。霧雨。酒場。本格ハードボイルド、“ブラディ・ドール”シリーズ開幕!(生江有二)

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「海の翼」秋月達郎(新人物文庫)



【人はひとりでは生きていけないということです。
 歴史もまた、おなじです。ひとりでは紡げません。
 人から人へ何事かが伝えられ、さらにまた人から人へ何事かが伝えらえる。
 歴史はそうしたことの積み重ねで成り立ってゆく。】

多種多様な情報が飛び交う現代の情報化社会において、
何故、自分を含め、こんなにも大事なことを知らない人がたくさんいるのだろう?と。
この本を読むまでは知らなかったトルコの人たちの思いに胸が熱くなりました。
イランイラク戦争で混乱を極めたイラン国内に取り残された在留日本人を救うための飛行機を、
日本の政府も民間の航空会社も飛ばすことができなかった。
だが、トルコ政府もトルコの国民も、日本の人々を救うために手を尽くしてくれた。
語り伝えられた100年前の出来事に対する恩義を忘れていなかったから。
ありがとう、と。
ただ、そんな思いに胸が震えて、涙が溢れて仕方がなかった。
絶対に忘れてはいけない大切なことがたくさんたくさん詰まった本でした。

内容(「BOOK」データベースより)

イラン・イラク戦争開始から五年後の一九八五年(昭和六十)三月七日、イラク軍は突如、三月十九日以降にイラン領空を飛ぶ航空機の無差別攻撃を宣言。自国機の乗り入れのなかった日本は、イラン国内に取り残された在留日本人の救出対策に苦慮する。タイムリミットが迫るなか、日本人の苦境を知って、救援に動いた国があった…。このトルコ政府の英断の裏には、明治二十三年(一八九〇)九月、日本訪問から帰国中に紀州沖で台風にまきこまれたトルコ軍艦エルトゥールル号遭難の悲劇があった―。百年の時空を超えた“恩返し”を描いた感動の書き下ろし長篇大作。

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