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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「丕諸の鳥」小野不由美(新潮文庫)



国の礎を担うのは民である、ということを改めて痛感させられた4編。
王が不在でも、国が荒廃しても、そこで生活を営まなければいけない民がいる。
そんな彼らが国を案じ、己にできることを必死でやり遂げようとする様に、胸を打たれる。
「丕諸の鳥」情景描写が溜息が零れるほど見事だった。
未来を諦めないでほしい。ここに人々の心の叫びを汲み取れる王がいるのだから。
「落照の獄」読後の苦い思いを形容する言葉がみつからない。
「青条の蘭」災害を食い止めようと王宮を目指してひたすらに走り続けた標仲。
動けなくなった彼の代わりに人々の手から手へと青条が託されていく様には涙が滲んだ。
苦悩や絶望の中にあっても、希望の光が決して潰えてはいないことを示してくれた物語だった。


内容(「BOOK」データベースより)

「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。

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「砕け散る薔薇の宿命」犬飼のの(ラヴァーズ文庫)



こんなにも恋焦がれているのに、狂おしいほどの想いは伝わらない。
手に入らないくらいならばいっそ殺してしまおうか、と
思い詰める誇り高き吸血鬼貴族、ルイ。
この身が彼の血肉となるならば、と、抗わずに瞳を閉じようとした下級淫魔、紲。
長い年月を過ごしてきた人ならざる者たちの、
あまりにも不器用で一途な、命がけの恋。
彼らの心情がキリキリとした痛みを伴って突き刺さってくる。
作りこまれた世界観がとても綺麗で、ロマンチック。
リミッターなんて最初からなくて、
両極に揺れ動く二人のバランサーであった獣人貴族、蒼真に癒されました。
続編一気買いしたので読むの楽しみ♪

内容(「BOOK」データベースより)

赤い瞳、年をとらない身体―。誰にも言えない秘密を抱えて生きてきた、調香師の香具山紲は、都会を避け、軽井沢の別荘地でひっそりと暮らしていた。しかしそこへ、過去に最悪の別れ方をした元恋人のルイが姿を見せ驚愕する。「次に私の前に現れれば殺す」。別れ際、酷い言葉を残したルイは、今も紲も憎んでいるはずだった。あれから百年近く経った今になってルイが現れたのは、裏切りにも似た過去の紲の決断を裁くためなのか、それとも…。人間よりも麗しく、獣よりも狂おしい、人ならざる者たちの気高い愛の物語。

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「あひるの空 39」日向武史(マガジンコミックス)



一ページ一ページ捲るたびに心が震えて泣きそうになる。
等身大の彼らが、そこでキラキラと輝いているから。
文字通り「青春」と呼ぶにふさわしい時間を懸命に過ごしている彼らがいるから。
大事なのは結果でも結末でもなく、そこに至る過程。
そうやって琴線に触れる物語は文句なしに素晴らしいと思います。
描き切ってほしい。最後まで。切実に願います。
千秋とトキワが未来の話をする場面が好き。
手を組んだ二人には是非ともチバさんと戦ってほしいな。
百春と円の関係も好き。
県大会はこれから。試合はまだ続きます。
大好きな物語のこれからを楽しみに待ちます。


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「ハサミ男」殊能将之(講談社文庫)



タイトルが秀逸。
ハサミ男がハサミ男に出会い、これで事態は終息へ……とは向かわず、
さらに新たな展開へ。
真剣な人の気持ちを弄んだり、試したりしちゃいけないよ、と思いつつ、
だからってそれが殺される理由にはならない。
逆に殺す言い訳にもならない。
そんな理由で!?と思った瞬間、ハサミ男も同じことを叫んでたよ。
とはいえ、そう言ったハサミ男に正当な理由があるわけでもない。
そんなんでも理由のある殺人は、まったく理由のない殺人よりは人間らしい気がした。
実はしっかりと仕事をしていた警察の皆々様。
捜査ってそうやって行われていくのねー、と、感心しつつも、ラスト、思いは複雑でした。

内容(「BOOK」データベースより)

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

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「進撃の巨人 15」諌山創(マガジンコミックス)




「何が事実かを決めるのはこの戦に勝った奴だ」
理不尽だけど、争いの真理を表す言葉だと思う。
そして、人類の未来を守るため、その理不尽に徹底的に抗う調査兵団。
ボンクラかと思っていたリーブス商会の息子もまた、理不尽に抗する声を上げ、
市民が自らの意志で立ち上がる。
革命へと時代が流れる。
ピクシス司令もだけど、ザックレー総統のタヌキっぷりがカッコイイ(笑)
再び問われるエルヴィンの覚悟。
迷いなく突き進むリヴァイたち。
捕らわれのエレンが見た過去は……嫌な予感しかしない。
ああ、でも続きが気になって仕方がない。
破綻なくきっちり進んでいる物語展開。最後まで描きたいように描ききってほしいです。


内容紹介

巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。

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「図南の翼」小野不由美(新潮文庫)



「王の責務を正しく果たせるのか?」と、問われ、
「あたしにできるはずないじゃない!」と、叫んだ珠晶。
ここから珠晶が想いを爆発させるシーンは本当に好き。
文句を言うのも嘆くのもやるべきことをやってからではないのか?と、珠晶は問いかける。
誰もが自分さえ良ければいいと思っている限り、国の窮状は救えない。
彼女の言うことは間違ってはいない。
十二歳の子どもにここまで言わせてしまう大人の不甲斐なさ。
でも、可もなく不可もない現状に甘んじる心境も
なんとなく理解できてしまう自分がちょっとさみしかったりもする。
でも珠晶の周りには頑丘や利広のような大人もいる。
彼らと共に作り上げる恭国の未来は溌剌とした色をしているような気がします。

そして供麒と珠晶。なんだかとっても素敵なコンビだと思います(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

恭国は、先王が斃れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。首都連檣に住む珠晶は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意を諮るため、ついに蓬山をめざす。珠晶、12歳の決断。「恭国を統べるのは、あたししかいない」。

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「風の万里 黎明の空 下」小野不由美(新潮文庫)



陽子、祥瓊、鈴。
三人の娘たちが人として成長していく様が描かれた物語。
特に王として自らのあり様を見出した陽子の凛とした様子は見事だった。
彼女たちだけではなく、圧政に屈せず、機会を伺い、獣のような施政者たちに
反旗を翻した虎嘯や桓魋たちの在り方もすごい。
読後に感じる爽快感と力強さは、彼らの気概と息吹そのもので、
自分もがんばろう、という思いにさせられる。
学ぶこと。知ること。己を顧みること。人のせいにしないこと。
読むたびに背筋が伸びる思いがします。
他国の様子も随分とわかってきたことだし、今後の物語の行方がとっても楽しみです。


内容(「BOOK」データベースより)

王は人々の希望。だから会いに行く。景王陽子は街に下り、重税や苦役に喘ぐ民の暮らしを目の当たりにして、不甲斐なさに苦悶する。祥瓊は弑逆された父の非道を知って恥じ、自分と同じ年頃で王となった少女に会いに行く。鈴もまた、華軒に轢き殺された友の仇討ちを誓う―王が苦難から救ってくれると信じ、慶を目指すのだが、邂逅を果たす少女たちに安寧は訪れるのか。運命は如何に。

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「風の万里 黎明の空 上」小野不由美(新潮文庫)



いつまでも心に留めておきたい名言格言だらけの巻。
自分がかわいそうで仕方のない鈴。
自分の苦境をすべて人のせいにして嘆く祥瓊。
あまりにも自分のことしか考えていなかった二人が、
旅の途中で人々と交わる中で、少しずつ周囲に目を向けていく。
誰かのせいにして文句を言うことも泣くことも簡単だけれども、
そこから抜け出す努力をしなければ何も変わらない。
とはいえ、言うは易し、なんだよね。生きる、ということは本当に大変だ。
一方、自分が国の民のことを何も知らないことを誰よりもわかっている陽子は、
身分を隠して民の中へと分け入っていく。自国の民のことを知るために。
様々な柵を抱えた三人の少女たちの物語に自分を顧みながら次巻へ…


内容(「BOOK」データベースより)

人は、自分の悲しみのために涙する。陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。祥瓊は、芳国国王である父が纂奪者に殺され、平穏な暮らしを失くし哭いていた。そして鈴は、蓬莱から辿り着いた才国で、苦行を強いられ泣いていた。それぞれの苦難を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福を信じて歩き出すのだが―。

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「In These Words 2」Guilt|Pleasure(ビーボーイコミックス)



前巻からの息苦しさを引きずったまま読み始め、まさかの展開に驚きました。
いや、本読んでてこんなにびっくりしたの久々(笑)
そして時間は一気に過去に遡ります。
一コマ一コマの二人の表情がとても豊かでいい。
特に浅野の表情が個人的ツボ。
大がかりな仕掛けはなぜ必要だったのか?
そして殺人鬼の正体は?
まだまだ波乱を含む展開を匂わせつつ、謎は全く解決しないまま次巻へ(笑)
最後に収録されていた短編はかわいらしかったけど、
この話はヒリヒリとした緊迫感を孕んだまま突き進んでほしいと思います。
引っ掛かりキーワードは「アンタはもう、誰も傷つけない」
展開が全く予測できないから、余計に続きが気になります!



内容紹介

精神科医・浅野克哉への警察からの極秘要請。それは、3年で12人を殺害した殺人鬼・篠原のプロファイリング。
しかもその任務は、殺人鬼からの逆指名だった。
任務の日から、浅野は悪夢にとりつかれる。夢の中、浅野は顔の見えない男に監禁され、犯されつづける。
交差する夢と現実。そしてある夜、ついに殺人鬼は牙を剥く――!

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「In These Words 1」Guilt|Pleasure(ビーボーイコミックス)



密室空間での対話を繰り返す連続殺人犯と精神科医。
会話が進行するにつれ、増していく息苦しいまでの閉塞感。
そして込み上げる焦燥感。
ナイフが皮膚を抉る感触と、流れ出る生温かな血の匂いが、リアルに迫ってくる。
逃げ場のない空間で混在する夢と現。
境目が揺らぎ、混乱する意識。
そして、息を呑む。捉えられる、その瞬間に。
ストーリーに引きずられ、気持ちが休まる瞬間のないまま、
頁を捲る手が最後まで止まらない。
物語的にはまだ序章……なのかな?
ドキドキしながら次巻へ……


基本的にエログロ平気なんだけど、この巻を買って読んだ時はメンタルが弱っていたので
どうしても続きを読む気に慣れずに手放してしまいました。
今回おともだちのおススメで2巻と一緒に再び手にしたわけですが……
放棄した自分を罵りました。
これは2巻まで読まないと絶対だめです!←断言(笑)
1巻で止まってるなんて、もったいないことをしました。
というわけで、お友達に感謝です!


内容紹介

精神科医の浅野克哉は、悪夢に悩まされていた。
――それは顔の見えない男に監禁され、犯され、「愛している」と囁かれつづける夢。
夢と現実との接点を持つ、連続殺人犯が現れたときいつしかその夢は現実との境を越える――
連続殺人犯に魅入られた精神科医の運命とは!?

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