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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「あしたのきみはここにいない」 山本小鉄子(幻冬舎コミックス)



【抱かれることの意味をちゃんと分かってる?】

大好きな作品の一つ。
原作が崎谷はるひさん。
胸にキュンとくるセリフがちりばめられていて、二人のやり取りが切なくて。
何度も何度も読み返したこの本は、友達から借りた時に
「この話好き好き大好き!」と主張したら「そんなに好きならあげるよ」と、いただいたものです。(笑)

放課後の社会科準備室で過ごす二人きりの秘密の時間。
けれども、過去の苦い経験と、教師と生徒という立場から、
一線を引いた関係から決して踏み込もうとはしない史誓。
距離を置かれても、避けられても、
自分の気持ちを押し付けるわけではなく、ただ、諦めることをしなかった朝陽。

想いは一過性のもので、卒業したら何もかも忘れるに違いないと、悲観的な史誓に、
朝陽が体当たりの告白をして、心情を吐露しあう、このあたりの件がホント好き。
「せっかく逃がしてあげてたのに」
史誓が自ら引いていた一線を踏み越えた瞬間。

想いを伝え合い、身体を繋いだそのあとは、
今までのクールさはどこへやら、束縛体質の本質をさらけ出し,
甘やかしまくりの史誓が微笑ましい。(笑)
そしてなんだかんだたくましい朝陽がとってもかわいいのです。


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『Nights』 ヨネダコウ(BBC DELUXE)



【…元になんか戻れなくていいよ】

表題作「Nights」のほか「感情スペクトル」「リプライ」の三作を収録。

やっぱヨネダさん、好きだわー。
三作品どれもいいけど、個人的にはこの中では「リプライ」が一押し。

無理して必死にがんばっているときって、自分を顧みる余裕がなくて、
実はギリギリのところに立っていることにきづかなかったりする。
そのことに気づいてくれたり、労ってくれたり……
弱ってるときにそんな言葉をかけてもらえたら、泣きたくなるほどうれしいだろうなー。

関のまっすぐな不器用さと、高見の控えめだけど、絶対的な押しの強さと。
日々の営みの中で悩んだり迷ったりしながら、
ちょっとずつ距離を縮めていく二人の関係が好き。

巻末描き下ろし。
額にハンコ……許されるなら、いつか誰かにやってみたい。(笑)

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『SOSの猿』 伊坂幸太郎(中公文庫)



【すべてが悪だという人間も存在しなければ、すべてが善なる人間もいない】

前半の進みの悪さとは比較にならないくらい、一気に読み進んだ後半。
視点や時間軸が飛躍しながら展開されていくが故の混乱が収束されていく様はお見事。
結末までを踏まえたうえで二度読みすると、より深く楽しめるんだろうなぁ、と思いつつ、
初読で感想書いてます。

ラストの一文がとても好き。
「ふいに、別の自分が生れるかのような予感を覚えた私は、
 ゆらゆらと落下する毛に向かい、変われ!とささやいた」

ここではない、どこかへ。
今の自分ではない、自分へ。
現実にもがきながら切ないほどの思いを抱いたことは、誰にでもあると思う。
それが顕著なのが「思春期」……なのかな?
「自分の存在意義とは何ぞや?」「死とは何か?」
覚えのありすぎるクエスチョン。
存在意義をみつけられずにぐるぐる考え続けて、それが苦しくて。
どうしようもなくてどうしていいかわからなくて……そんな思考にはまった時のことをはっきりと覚えています。
でも、ある日突き抜けたんだよね。
ま、いっかーって。(笑)
そんなあたしの座右の銘は「いきあたりばっちり」。
なかなか素敵な言葉だと思っています。

内容(「BOOK」データベースより)
三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と、ひきこもりを悪魔秡いで治そうとする男。奮闘する二人の男のあいだを孫悟空が自在に飛び回り、問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か?そもそも答えは存在するの?面白くて考えさせられる、伊坂エンターテインメントの集大成。

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『恋』 小池真理子(新潮文庫)





【確かに、あれは誰もが落ちる恋には違いなかったが、健康的な恋ではなかった】

もし、あの時彼らに出会わjなければ?

出会ってしまった後の仮説には意味はない。
何故なら、具現化してしまった現実を、なかったことにすることはできないのだから。

健康的ではない、歪な関係の中にあった三人の前に現れた、一人の青年。
彼の指摘していることはとても真っ当で、その真っ当さ故に、彼は命を失うことになったんだと思う。

理解するに及ばない片瀬夫妻の関係。
でも、理解し得ないからこそ、彼らの織り成す物語に引き込まれていく。
そんな彼らのあり方を肯定的にみなすあたしの立場は布美子寄りで、
だからこそ、彼の真っ当な指摘にはっとさせられる。
それは、理解し得ないといいつつ、
三人の歪なあり方に魅了されていることに気付かされる瞬間でもある。
つまりは、作者が生み出した世界にどっぷり引きこまれているのだ。

妙義山・軽井沢・雲場池等々。
大好きな場所が随所にちりばめられているのも、個人的にはこの本に入れ込んでしまった理由。
情景がとてもリアルに目に浮かび、また足を向けたくなってしまう。

それにしても……
彼女の紡ぐ日本語はやはりとても綺麗だと思う。

内容(「BOOK」データベースより)
1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした…。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。

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『女衒夜話』 もんでんあきこ(クィーンズコミックス)






【いつか あんたが 俺を殺ってくれるんだろうと思ってたよ】

何回読んでも、やっぱりこの話好き。
というか。
話もさることながら、あたしは彼女の描く男の人のカラダ……というか、
にじみ出る男の色気が本当に大好きです。
彼女の本は少女コミック・レディコミ・BLに至るまで読んでるけど。
主観で話の良し悪しはあるけど。
でも、彼女の描く男子のカラダは無条件でカッコイイと思っています。大好き。
いや、カラダ大絶賛はさておき。(笑)

一人の女を守れる男になりたがっていた女衒と
「後悔」という感情を知ってしまった殺し屋と
時代の波に振りまわされながらも逞しく生きる女たちの物語。
読後は重たい感じの何かがずしーん、と残るけど、
戦後と言う時代を必死に生きた人たちの話は、ぐっと胸に来るものがあります。
自分の選択した生き方に、誰も後悔していないんだろうなー、と思うと、なんだか切ない……
キリオと裕也の関係が、またいいんだよなー。
キリオの「生きててよかった」という言葉。
裕也の「生きていくれ」という言葉。
誰もが模索した生きることの意味を、残された命に託したい。

内容説明(背表紙より)
終戦直後の東京――。女をかどわかして売り飛ばすことで生計を立てているキリオと、場末のバーを営む殺し屋の裕也。闇を這いずるように生きる二人の男は、ある女との出会いで運命の歯車をくるわせていった…。

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『出口のない海』 横山秀夫(講談社文庫)






【たったひとつ、それだけが気がかりだから、何度でも言う
     幸せになってほしい。幸せになると約束してほしい】

第二次世界大戦の終戦前に展開された極秘作戦、人間魚雷「回天」。
目を逸らしてはいけない現実。
こんな兵器を作ったのは………人間。

宣告された死。
逃げることの許されない現実。
「生きること」の意味。「死ぬこと」の意味。
感情を持った人間であるが故に生ずる迷い。苦悩。
痛いくらい、リアルに伝わってくるのは、彼らが特別な人たちではなく、
ありふれた風景の中にいる、普通の若者だからなんだと思う。
特別な人間ではない、どこにでもいる若者だからこそ、彼らの苦悩や決断に、涙が止まらなくなる。
時代が違えば、彼らは自分であったかもしれないのだ。

時代も、置かれた状況も違うけれども、あたしも自分の人生と真っ向から向き合って
大切に生きていきたいなーと、と改めて思いました。

内容(「BOOK」データベースより)
人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第二次世界大戦の終戦前に展開されていた。ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、青春の哀しみとは―。ベストセラー作家が描く戦争青春小説。

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『何もかも憂鬱な夜に』 中村文則(集英社文庫)






【世界に何の意味もなかったとしても、
 人間はその意味を、自分で作り出すことができる】

この世界にいることが、どれほど息苦しいことに感じたとしても。
それでも人は、この世界で命をつないでいかなければならない。
いや。
命をつないでいくことができる、と、続けるべきか。

何故なら。

世界には、すばらしいものや綺麗なものがたくさんあるから。
太古からつながれてきた命の連鎖は、「今の自分のためだけにある」ものだから。

そう思えば、自分の命が、なにか、とても価値のあるものに思えてくるような気がする。
無駄にしていい命も、無駄にしていい時間も、ない。
だから生きる。懸命に。
何かに抗いながら。
何かを模索しながら。

この作品を読んだ後だからこそ。
「共に生きましょう」という作者の言葉が、やさしく、いたわるように、胸に響いた。

内容(「BOOK」データベースより)
施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している―。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。

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『夜行観覧車』 湊かなえ(双葉文庫)






【犯罪を起こさない人間が、決してえらいわけではない】

成績が悪いのは誰かのせい。
評判が貶められるのは誰かのせい。
好きなことに専念できないのは誰かのせい。
そうやって人のせいにするのは簡単だけれども、
その誰かを責め、攻撃することは、たぶん、間違っている。

同じ物事でも、視点が違えば感じ方も違う。
違って当たり前。
そこに誤解や齟齬が生じた場合はそれを正していくことも必要なんだろうけど、
自分の意見や考えをうまく伝えることができないがための家庭内不和が
現代には多いのかなーと、ぼんやりと思ってみた。

根底にあるのは悪意ではなく独りよがりな善意。
「あなたのため」という主張を振りかざす前に、相手の言うことに耳を傾けることができれば。
「自分はこうしたい」ということを、少しでも伝えることができれば。
防げた悲劇だったのかもしれない。

内容(「BOOK」データベースより)
高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説

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『瑠璃の雫』 伊岡瞬(角川文庫)






【事件の真相を知って、それでも犯人を許したのなら、どうしてそうできたのか知りたいんです】

綴られる物語は、罪と許しの連鎖。
そして、人間の弱さとやさしさ。
強さは、傷を覆い隠して生きていくために必要な鎧。

長い年月をかけて真実を解き明かしていく美緒。
秘められた過去は現在の彼女たちに何を語りかけるのか?
すべての過去を知り、憎むことよりも忘れることを選んだ彼らに幸あれ。

内容(「BOOK」データベースより)
母と弟の2人で暮らす小学6年生の杉原美緒。母はアルコールに依存し、親類に引き取られた美緒は心を閉ざしていく。そんな折、元検事の永瀬丈太郎という初老の男と出会う。美緒は永瀬の人柄に心を開いていくが、彼はひとり娘を誘拐されており、大きな心の傷を抱えていた。数年後、美緒は事件を調べ始め、余りにも哀しい真実を知る―。家族とは何か。赦しとは何か。今最も注目を受ける気鋭が贈る、感涙のミステリ巨編。


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