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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「恋の傷あと」安西リカ (ディアプラス文庫)

自分が幸せになるためなら他人にどんな迷惑をかけてもいいのか?
いや、駄目でしょう。
そんなダメ男きっかけで出会った橋口と未知也が二人が恋に至る物語。
未知也が橋口に惹かれていく様子が丁寧に描かれていて、とても良かった。
セックスが下手そう、と言われ、
実際上手くはなかった橋口だけど、
ちゃんと未知也を労って自分の不足を補おうとする姿勢が好ましい。
未知也視点の物語。だからこれで良いんだけど。
橋口が未知也を好きなのもわかるけど。
橋口がどんな風に未知也に惹かれていったのかが
もう少し丁寧に描かれていたら尚良かった。
作品が面白かったが故の贅沢な望み。

先日会社のメンツで飲んだ時に
「昔は落ちてるエロ本拾って読んでたけど、最近はエロ本落ちてるってことはねぇよなぁ…」
と男子がしみじみ言っていたことを思い出しました。(笑)
自販機のエロ本をどうやって買っていたか、とか人それぞれで面白かった。(笑)

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「VIP 絆」高岡ミズミ (講談社X文庫)

それが最善の策だとは誰も思っていなくても。
彼らは敢えてその策で押し切った。
巻き込んだ形になる聡を救いたいという
和孝の気持ちを汲んだってこともあるけど、
それが最悪を回避するためのベターな手段だった、ってところなんだろうね。
突っ込みたいところはあるけども、
じゃあ、他にどうすれば?と言われると、やっぱり浮かばない。
敵地に赴くにあたって、和孝は久遠を信じ、久遠もまた和孝を信じた。
犠牲を払うことにはなったけれども、その結果がすべて。
和孝が久遠の傍に「帰りたい」と思ってくれたことが,
久遠の和孝に対する献身が嬉しかった。


バカ坊かと思った田丸が実はそうでもなくて。
白朗に都合の良いように利用されているわけでもなくて。
自分の立ち位置を理解した上で行動している姿は自由だなって思った。
自分で選んで突き進んだ道だからこそ、
結末がどうあっても、きっと後悔はしないんだろうなぁ。
人が二人いれば、視点も主張も二つになる。
白朗サイドの視点での話にも興味が湧く。

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「ヒトラーの試写室」松岡圭祐 (角川文庫)

第二次大戦下の日本。そしてドイツ。
二国間を行き交いながら展開する史実から想起された物語。
ウルトラマンで馴染みの深い円谷プロダクションの高度な特殊技術の先駆けというか、黎明期と言うか、そんな時代を垣間見た感慨深さが胸に広がる。
そして、ナチスドイツが「タイタニック」の映画撮影を試みていたことに驚く。
しかも、あんな理由で。
情報をコントロールするための手段に使われていた映像。
その大がかりさに比べたら、今のSNSの手軽さが逆に怖い。
政治的なプロパガンダと技術者たちの仕事への熱意は別のもののはずなのに、
彼等の熱意も否応なしに戦争へと巻き込まれていくのがやるせない。



「できるかできないかと問われたら、とりあえずできると答える。
それから胃が痛くなるくらい考えれば解決策が見つかる」とは
円谷英二の言葉。
ウチのボスも良く言っています。
「契約を取らないと売り上げにはならない。多少厳しくても
取ってからどうやって利益を出すか考えればいい」
先日メーカーさんに「毎回無理言ってすみません。でも助かってます!」と言ったら
「でも無理言った案件は高確率で取ってくれてますから!」と言ってもらえて
お互いに「ありがとうございます!」の応酬になりました。(笑)


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「VIP 刻印」高岡ミズミ (講談社X文庫)

ちゃんと調べないからそういうことになるんだよ~~、と。
思わず言いたくなる展開。
騙された云々以前に、聡をあの母親の元に帰したのがそもそもの間違い。
とはいえ。
これは立ち回り方が相手が一枚上手だった。
和孝が一方的に庇護される立場だった状態から、ある程度対等に意思を伝えあえる関係へと変化していることが明確に伺える久遠と和孝。
互いに対する想いがより深く信頼のおけるものになっているのが伝わってくる。
逆に白朗と田丸の関係は思っていた以上に一方的と言うか田丸が盲目的で驚く。
危険を承知で飛び込む敵地。
どうなる!?

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「夢色十夜 2の巻」かわいゆみこ (パレット文庫)

数百年に及ぶ恨みを抱き続けた「鵺」のもたらす恐怖とそこに秘められた悲哀。
恐怖を植え付けられ、閉ざされた世界の中で暮らす村人たちには、
自らに害を成す怪異を自力でどうにかしようという気概は湧いてこなかったんだろうね。
何より村の閉鎖性が怖い。
見世物小屋で囚われていた「人魚」と鷹司の物悲しい交流。
金の生る木だと思っているのなら、何故座長は人魚を大事に扱わなかったんだろうか?
謎だ。
「雛人形」に誘われた夢の中で倉橋が垣間見た、彼女の幸福な微笑み。
情景描写の緻密さと今市子さんの挿絵にうっとり。
収録された三篇の中でこれが一番好き。

三つ子の魂百まで。
最初に勘違いしちゃったから、
何度「違う」と修正しても私の中で「鵺」と言われて浮かんでくるイメージは烏。
今回も作中で説明されて、あ、そうだった!妖怪だった!となりました。

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「薬屋のひとりごと」日向夏 (ヒーロー文庫)

漫画を読んで、アニメを観て……からの小説。
小説を読むにあたって、視覚的に彼等のビジュアルが浮かぶことや、
その声が聴こえてくることは、今回はプラスの相乗効果。
並行して読んでみると情報量が多いのは小説だよなーと実感。
漫画で気づかなかったことが、小説だときちんと文章で書かれているから
あ、なるほど!と。
漫画も作風がが好みで視覚的に目を楽しませてくれるから好き。
作品自体が気になって一冊目を小説と漫画で読んでみたんだけど、
どちらでそろえるか。悩むなー。←蔵書を減らそうとしている人の発言ではないけど、読みたいものは読みたい。(笑)

感想ではなくお悩み独白みたいになってしまった。
手元にある小説や漫画がアニメの展開を追い越してしまうと、
たとえどんなに楽しく観ていてもそのアニメを観なくなるので、
どちらにしても集めるのは今期のアニメが終わってからかな。
紙本にこだわりたいけど、置き場所のことを考えると文庫は紙媒体で、漫画は電子でってのもありなのかな?←あれ?どっちも集める前提になってる。




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「ミノタウロス」佐藤亜紀 (講談社文庫)

たらればを言い出したらキリがない。
かと言って、時代のせいにするのも間違っている。
たとえ、生き延びるためには他者の命を犠牲にすることが必要だったとしても。
彼等が転落の一途を辿った責任の所在は彼等自身にある。
作中では一切言及されない「ミノタウロス」というタイトルに何を思うのか。
読み手の大多数が同じ認識を共有するであろう物語展開。
その筆致に圧倒されるものの、彼等のやることなすことに全く共感できるものはなく、
繰り返される略奪と虐殺にぐったり消耗して読了。


読んだタイミングが完全に悪かった。
文章を追いながら、何故かマッカーシーの世界がチラついて離れない。
そうなると無意識に比べてしまう。
そんな雑念が余計だった。
大好き作家さんと初読の作家さん。
初読の作家さんの方の分が悪いよね。
残念。
ロシア革命と言えば『オルフェウスの窓』!
読み返したい。

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「毒を食らわば恋までも」石原理 (ディアプラス・コミックス)

とても良かった。
めっちゃ好き。
大人の男しか醸し出すことのできない色気の描写が相変わらず素晴らしい。
三行と羽衣。
今の自分の立ち位置にそれぞれ問題を抱えた二人。
出会ったことによってプラスに好転していく関係性が良い。
胸に芽吹いた想いを自覚するほどに生じる戸惑いと高揚。
告白の言葉が素敵すぎた。
二人が秘められた過去を紐解こうと取材を行った烏柳八月。
明らかになったのは彼が辿ったとてつもない浪漫。
そこからの……描き下ろしで泣かされた。
「漫画」と「文章」と。
どちらも十分に堪能させてもらいました。満足。


裏表紙に記載されている「リテラチュア・ラブ」。
意味わからん、と思って検索。
目で見て即イメージできるような日本語で表記してくれるとありがたいなー。

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「夢色十夜」かわいゆみこ (パレット文庫)

昭和初期。
海軍将校を父に持つ倉橋と、侯爵家の子息鷹司の織りなす幻想的な物語。
オカルティックな作品は積極的に読む方じゃないんだけど、
かわいさんの描く不可思議な世界を堪能した。
情景描写の緻密さは、そこに在る光景をリアルに想起させ、
二人の掛け合いからは、
親密な精神的な繋がりを持ちながらも、それ以上は踏み込まない絶妙な距離感を伺わせる。
今回は三篇収録。
『白鳴琴抄』決して人を恨まなかった智子の心の在り様が美しくも哀しい。
『薄氷』今の二人の関係の源流を知れるのが嬉しい。
『夢の迷い路』人を魅了し幻惑する桜。

京都の桜。
機会があれば一度眺めにいきたい。
時期が限られていることを考えると、仕事をリタイアした後のお楽しみかな?
うん。
それまでは東北の桜巡りを満喫☆彡

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「サイケデリック・マウンテン」榎本憲男(早川書房)

ここ数十年の間に世界を震撼させた、いくつもの出来事。
日本が抱える数々の問題。
そういったリアルの部分に
エンタメ・オカルティック更には恋愛要素も盛り込んでまとめあげられた一冊。
著者の知識量が相変わらず半端ないし、
専門的なことをわかりやすく伝える術に長けているから置いていかれずに読める。
むしろ加速がついて一気読み。
冒頭で刺殺された鷹栖の波乱万丈な人生。
彼が生きていたらこの国はどうなっていただろう?
気にはなるけど私は却下だ。
そんな事態に知らぬ間に誘導されていることが怖い。
サイエンス一辺倒だった井澗のプレゼン。
めっちゃぐっと来た。


今のところ外れ一切なしのコンプ作家さん。
文庫になるのを待たずに買って正解。
読み応え抜群の一冊でした。

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